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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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妙高戸隠連山国立公園 戸隠

223件の記事があります。

2020年09月08日ロングトレイル全線踏査

妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎

妙高戸隠連山国立公園利用促進のために計画しているロングトレイルはいよいよ大詰めを迎えております。

今回は、案内標識の作成業務を請け負っていただいている「くりこま高原自然学校」のスタッフの方が5日間の日程で全線踏査を行うのに合わせ、戸隠自然保護官事務所も管轄地域である長野県側の踏査(初日、2日目、5日目)に同行しました。

「くりこま高原自然学校」は、全長1025kmという超ロングトレイルである「みちのく潮風トレイル」開通で培ったノウハウを当ロングトレイルに活かして、案内標識の設置場所とその内容を検討してくれます。

初日。朝、長野駅に観光協会や市役所の方など関係者7人が集合しました。 ここから戸隠、笹ヶ峰を経由し、妙高市、野尻湖を経て斑尾山の頂上まで続く総延長約86㎞のロングトレイルの始まりです。

天気にも恵まれ旅の出発は気分が高まりますね。

ロングトレイルの利用者が迷わないよう、駅前から分岐等に出くわす度に、どこにどんな案内標識を取り付けたらわかりやすいかを検討・決定し記録する作業しながら歩いていきます。

今後この記録をもとに標識を作成していくことになります。

いつもならたくさんの人で賑わっているであろう長野駅から続く善光寺までの参道も、コロナの影響でしょうけど人通りが少なくてびっくり。

<善光寺>

善光寺を過ぎてからは裏通り的な細い道に入ります。普段通らない道を歩くのは楽しいものですね。途中山道や田園地帯も通り、芋井支所からは予めデポしておいた車も用いてこの日は戸隠古道に入るあたりまで調査を行いました。

<踏査>

2日目。朝、「戸隠そば博物館とんくるりん」に集合。この日は、戸隠自然保護官事務所からは私一人だけ参加。総勢6人。この日は宝光社の270段ほどあると言われる階段といい、なかなか太腿がパンパンになる行程でしたよ。 ちなみに階段の正確な段数は知りません。いつも数えながら上るのですが、いつも途中であやふやになります。どなたか正確な段数をお教えください。

<宝光社の階段>

<標識設置調査>

途中、中社の大鳥居の建て替え工事も見ごたえがありましたよ。建て替えが行われるのは80年ぶりのことだそうです。クレーンがなかったであろう80年前の大鳥居は一体どうやって建てたのでしょうね。

<中社大鳥居①>

<中社大鳥居②>

<夜の中社大鳥居>

そして最終日。黒姫高原スノーパークの駐車場に集合し、車で御巣鷹林道を走って黒姫山西登山口へ。そこから黒姫山登山道の本線分岐まで歩いて登り、標識設置場所を検討しました。さすがスタッフの皆さんは歩くのが速いこと。

笹ヶ峰へ抜ける道の途中で巨大なカツラの木に出会いました。ハート形のカツラの葉にはマルトースという成分が含まれていて落葉するとこれがマルトール(カラメル)に変化して甘い香りを出すのです。きっと秋には焦がしプリンのような甘い香りに包まれることでしょうね。

<カツラの巨木>

その後、雨が降り出しましたが、古池側からの登山道を新道分岐まで踏査。戸隠牧場までの道も繋いで、今回の踏査は終了となりました。

クタクタになりましたが、ロングトレイル開通まであと少しと思うと疲れも吹き飛びますね。

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2020年07月01日ロングトレイル写真展開催します!

妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎

妙高戸隠連山国立公園を利用したロングトレイル計画を進めていることは何度かお伝えしておりますが、この度、そのロングトレイルの写真展を開催することになりました。

これは公益財団法人 八十二文化財団さん(長野県民の方にはおなじみの八十二銀行が設立した、長野県の芸術・文化を育む活動をされている財団です)の『ギャラリープラザ長野』のスペースをお借りして毎年行われている写真展の一環です。

昨年のテーマは「一目五山」でしたが、今年はロングトレイル開通を目指してテーマはもちろん「ロングトレイル」

計画されているロングトレイル周辺の素敵な景色を集めてみました。 ぜひ皆さん、ご覧ください! 

あっお出かけの際はマスクを忘れずに!!

写真展【自然と文化の融合する道】

~妙高戸隠連山国立公園とロングトレイル~

開催場所:ギャラリープラザ長野

開催期間:2020年7月6日(月)~8月7日(金)  ※土日祝日休館

開館時間:9:00~16:00

入館無料

詳しくはこちら⇒ギャラリープラザ長野

ギャラリープラザ長野

長野市新田町1513-2 「82プラザ長野」内

※「もんぜんぷら座」の向かい側

★八十二別館(本店隣)の会場ではありませんのでご注意ください

妙高戸隠連山国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。妙高戸隠連山国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

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2020年06月19日黒姫山登山道巡視

妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎

黒姫山は妙高戸隠連山国立公園内にあり、妙高山・戸隠山・飯縄山・斑尾山とともに北信五岳と呼ばれる山の一つです。 今年はコロナ禍の影響で毎年行っている黒姫山開山祭が中止になり、その代わりに地元関係者のみで登頂し黒姫山登山の安全祈願が行われました。

参加者は地元登山ガイドの方を筆頭に観光協会の方など関係者7名。戸隠自然保護官事務所としては、倒木の状況確認など登山道調査も兼ねています。

ルートは黒姫高原スノーパーク側の小泉登山道を登り、頂上の七つ池を巡り、表登山道を降りて町民の森に下山するというもの。黒姫山に登るには戸隠の大橋登山口からの新道ルートが一般的なのに対し、今回のルートは標高差上り約1,200m下り約1,300mという、最近運動不足の私にとってはなかなか過酷なルートでしたよ。

<今回のルート>

ちなみに昨年私はまだ雪のある時期にこのルートで登頂を試みましたが、外輪山の稜線の雪庇が張り出していて雪崩が怖くて敗退した経験があります。

<昨年5月の黒姫山外輪山上部>

朝7:00黒姫高原スノーパークをスタート。雪のないスキー場のゲレンデを登っていきます。最初は環境省の制服を着ていた私たちでしたが、熱中症になりそうなくらい暑くてすぐにTシャツ1枚に。

<スキー場を登ります>

<ブナの巨木帯を進みます>

<登山道の倒木除去>

<登山道の看板修理>

黒姫山は今、オサバグサが見ごろを迎えています。葉がシダのような形をしていて珍しい植物ですね。

<葉がシダのようです>

<オサバグサの群落>

<オサバグサのアップ>

<オサバグサのもっとアップ>

ひいひい言いながら稜線部に出ると今度は火口に向かって森の中をずんずん降りていきます。するといきなり視界が開けました。

<黒姫山火口原>

黒姫山は火山で頂上部には火口跡があってその中には草原(湿原)が広がっています。黒姫山湖沼・湿原群と呼ばれ環境省の指定する「日本の重要湿地500」のうちのひとつです。「七つ池」と呼ばれる池が点在していますが、実際にはもう少し数が多そうです。 ちなみに火口の内側は国立公園の中でも最も利用規制の厳しい特別保護地区にも指定されています。

この日は午前中は晴天で暖かく、そよ風に吹かれながら広々とした草原の中を気持ちよく歩くことが出来ました。 また火口の中には小黒姫(御巣鷹山)(2,046m)と呼ばれる小山があり、これがおよそ4万年前の黒姫山の最後の噴火の時にできた中央火口丘と考えられています。ただ黒姫山の最高地点である頂上(2,053m)は外輪山の稜線上にあります。

<森を抜けるといきなり視界が開けます>

<七ツ池>

<大草原>

<大池と小黒姫(御巣鷹山)>

七つ池から再び急登を登って外輪山の稜線部に出て頂上へ。頂上の祠で信州しなの町観光協会長による今年の黒姫山登山の安全祈願が行われました。

<観光協会長による安全祈願>

<頂上から望む野尻湖>

下山は登りルートとは異なる表登山道へ。ブナ帯が広がる森をずんずん降りていきます。だんだん霧に包まれてきました。霧とブナの森の組み合わせはなかなか幻想的ですね。またこのルートは途中にヒカリゴケなどの見どころもあって楽しませてくれるルートですよ。

<新緑の美しいブナ>

<枝ぶりがすごい>

<新緑~>

<ブナの森>

<霧で幻想的なブナ>

<霧で幻想的なブナの森>

<ヒカリゴケ説明>

<確かに光ってる>

途中から小雨模様に。合羽を着て歩きます。雨の森もいい感じです。 夕方18:00ヘロヘロになりながら「町民の森」の表登山口に到着。長かった~。 皆さん、お疲れ様でした! 私にとっては滅多に登らないルートなのでとても有意義な巡視でした。

<途中から雨模様に>

<やっとの思いでゴール>

その他、黒姫山で見られた花たち。いやぁ黒姫山の森って自然がとっても豊かですねぇ。

<マイヅルソウ>

<サンカヨウ>

<マメザクラ>

<ナルコユリ>

<ツバメオモト>

<ギンラン>

<タニウツギ>

<カエデの地味~な花>

<アカモノ>

<イワカガミ>

<エンレイソウ>

<ギンリョウソウ>

<ゴゼンタチバナ>

<ブナの葉に付いた虫コブ>

妙高戸隠連山国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新たな生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。妙高戸隠連山国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

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2020年06月11日ロングトレイル踏査

妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎

現在、長野駅をスタートし妙高の笹ヶ峰高原を経由し斑尾山頂まで続くロングトレイルが計画されています。今まで多くのメンバーが実際に踏査して、議論を重ねてルート選定をして参りました。

妙高戸隠連山国立公園は自然と文化が一体になった珍しい国立公園です。その国立公園を代表する美しい景色をつなぎ、歴史を感じながら歩けるロングトレイルは来年開通を目指して調査も大詰めを迎えています。


先日もそのメンバーの方々とルート調査に出かけてきました。今回は計画しているロングトレイルの本ルートからは外れますが、周辺に残る歴史の道「戸隠山道」の調査です。 江戸時代に信濃町柏原から戸隠に抜けるルートとして使われた古道だそうです。 信濃町役場に集合して出発。のどかな田園風景の中を進みます。今の時期は田んぼに水が張られていて水面には山々が映り込みます。また道端にはところどころ馬頭観音などの石仏が。普段なら車で一瞬で通り過ぎてしまうような道も、ゆっくり歩いてみるといろいろ発見があって面白いですね。


<出発前の打合せ>              <信濃町役場に残る石碑>

<柏原~戸隠を結ぶ戸隠山道>         <詳しい方々による解説>

<黒姫山>                  <真ん中の森が黒姫山の噴火による溶岩台地>

<のどかな田園風景を歩きます>        <道端に点在する石仏>

<道端に点在する石仏>            <小林一茶さん?>


今回のルート選定にあたっては古道に詳しい方がいて、古い文献等から事前に調べていただけました。その他のメンバーも、古道に関しては長野市や信濃町の役場の方、観光協会の方、地元で商売を営まれる方、なかなか濃い~方々が参加されていましたよ。奇遇にも日本山岳ガイド協会の登山ガイドが私を含めて4人も。

午前中だけでしたが戸隠地質化石博物館の館長も同行していただけて、地形や岩石の解説がとても興味深かったです。

黒姫山と飯縄山の間にこんもり盛り上がった森が見えます。これは黒姫山が噴火した際に出来た溶岩台地だそうです。浅間山の鬼押し出しなども5万年も経つとこのような森になるそうです。

沢沿いにガラス質の石が点在していました。館長によるとこれは人工的な石だそうです。昔ここら辺で鉄を作っていてその際に出来る不純物(スラグ)を撒いたのだろうとのこと。人間が作った黒曜石ですね。


道はずんずん山の中へ。最初ののどかな風景とはガラリと変わって藪漕ぎの連続に。なかなかへとへとになりましたよ。 ロングトレイルに藪のコースはありませんので、開通の暁にはぜひ多くの皆様に歩いて欲しいですね。  


<地層には噴火の記録が残っています>     <昔の鉄を作るときに出来たスラグ>

<石の解説>                 <タニウツギがそこかしこに>

  

<ずんずん山の中へ>             <ミズバショウが見られる長原湿原>

<突然現れた滝>               <藪漕ぎ>

<ひたすら藪漕ぎ>              <お疲れ様でした!>


妙高戸隠連山国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。妙高戸隠連山国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。 なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。

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2020年06月05日飯縄山 登山道調査

妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎

先日飯縄山の登山道調査に行ってきました。

<大谷地湿原から望む飯縄山>

トレイルランニングレースのコースに飯縄山の登山道が含まれているので、環境省としてはトレランが自然環境に与える影響を確認する必要があるのです。

飯縄山は学校登山でも上られていて北信五岳(斑尾山・飯縄山・黒姫山・妙高山・戸隠山)の中でも比較的簡単に登れる山です。・・・のはずなのですが「黒姫山よりキツイ」←これ飯縄山に登る度に何故か感じる私の率直な感想。

しかも今回は、霊仙寺山への道もトレランコースに入っているのでそこも見る必要がありました。

コロナで運動不足気味の私にとってはなかなか応えましたよ。

<イワカガミ>

<ツツジもそこかしこに>

<南登山道と西登山道分岐>

<私~>

<飯縄山頂>

さて飯縄山豆知識いろいろ。

長野市戸隠・信濃町・飯綱町の3つの市町に跨がっています。どういう訳か飯縄山の「つな」は「縄」と書くのに対し、飯綱町は「綱」なんですよね。

北信五岳のうち野尻湖の西側には飯縄山・黒姫山・妙高山の3つが南から北へきれいに1列に並んでいます。これらはすべて火山です。火山としての古さもこの順番だそうで、飯縄山→黒姫山→妙高山と南から北へ噴火の場所を移していったと言われています。飯縄山が最後に噴火したのは約5万年前とのこと。

昔は今まさに活動しているものを「活火山」と定義し、それ以外を「死火山」「休火山」と定義していたのですが、現在では過去1万年以内に噴火したものを「活火山」と定義する以外は特になく、つまり飯縄山や黒姫山は活火山ではないというだけで、今後も絶対に噴火しないかというとそうは言いきれません。

一方、妙高山は最近の噴火が3,000年前くらいといわれていて活火山の分類になります。今一番ホットなのは妙高山の更に北側にある焼山です。常に噴気(煙ではなく水蒸気?)を上げています。

活火山についてはこちら⇒気象庁「活火山とは」

<火山活動の活発な焼山>

飯縄山から霊仙寺山に行くには一旦思いっきり下って登ります。いやぁなかなか大変なコースです。

<飯縄山頂付近から望む霊仙寺山>

<飯縄山~霊仙寺山間は大きな石をいくつも超えていきます>

<野尻湖が見えます>

<霊仙寺山頂からみる飯縄山頂>

飯縄山の名前の由来は、昔食べられる砂「飯砂(いいずな)」が産出したことからとのこと。「飯砂」とは「テングノムギメシ」(天狗の麦飯)とも言われた菌類・藻類など微生物の複合体を指すらしく、昔は飯縄山中に生息していたのが現在は絶滅したといわれています。

テングノムギメシは他にも小諸市や群馬県嬬恋村の浅間山周辺でも産出するそうです。過去に群馬県嬬恋村民だったこともある私ですが、長野県民になって初めて聞きました。

昔、凶作の時に飯縄三郎という天狗がこの飯砂を配って人々を救ったという伝説があり、祀られている飯綱大権現は烏天狗の姿をしています。

長野市富田というところに飯縄神社があるのですが、ここが全国に祭祀されている飯縄神社の総社なのだそうです。東京の高尾山薬王院でも飯縄大権現を祀っていますね。

この総社の飯縄神社には里宮と奥宮があり長野市富田にあるのが里宮で、飯縄山山頂にあるのが奥宮。奥宮はなんと避難小屋も兼ねているのだとか。

<これが全国の飯縄神社を束ねる総社の奥宮>

飯縄大権現は「戦勝の神様」として武田信玄や上杉謙信からも崇められたようで、長野市の飯縄神社は武田信玄の創建によるものだそうです。

そして飯縄山豆知識の極めつけは・・・飯縄大権現はなんと「どんな願い事も叶えてくれる」霊験あらたかな神様なのだそうです。ある意味ちょっと怖い(?)頼りになる神様ですね。

下山路はスキー場に出るコースで。歩きやすく整備されていましたよ。

<巨木の森>

<リュウキンカやニリンソウを咲き乱れ>

<カラマツはまだまだ新緑です>

<歩きやすく整備された沢沿いルート>

<最後はスキー場に出ました。奥に見えるのは戸隠山>

妙高戸隠連山国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。妙高戸隠連山国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。

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2020年05月22日#STAYHOME 春の情報と擬態?

妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎

先日、戸隠自然保護官事務所が管轄する地域の主だったところを巡視してきました。

戸隠神社、戸隠森林植物園、戸隠スキー場、戸隠キャンプ場、鏡池、種池・古池、黒姫高原、野尻湖、象の小径、飯綱リゾートスキー場、むれ水芭蕉園、大谷地湿原...山を除いても戸隠事務所管内だけで見回る必要のある場所がこんなにあります。

小谷村も戸隠事務所管内なのですが、片道2時間近くかかるのでまた今度。

今回、改めて妙高戸隠連山国立公園って美しい自然がたくさんある場所だなぁと思いましたよ。

<荘厳な戸隠神社中社>

鏡池

<鏡池>

戸隠神社奥社への山道途中にある随神門

<戸隠神社奥社への山道途中にある随神門>

杉の巨木の参道

<杉の巨木の参道>

奥社への参道途中にカタクリが

<奥社への山道途中にカタクリが>

静かな種池

<静かな種池>

野尻湖越しに見える黒姫山

<野尻湖越しの黒姫山>

野尻湖周遊道路にある展望台からは黒姫山に沈む夕日が見られます

<野尻湖周遊道路にある展望台からは黒姫山に沈む夕日が見られます>

さて今年の雪解け後では初めて野尻湖畔の「象の小径」も歩いてきました。

今は日に日に緑が濃くなっていく季節ですね。

象の小径

<象の小径>

森は新緑から濃い緑へ変わりつつあります

<森は新緑から濃い緑へ変わりつつあります>

途中には古代人の遺跡が!...実は昔の別荘の基礎部分と暖炉だけが残っている状態

<途中には古代人の遺跡が!...実は昔の別荘の基礎部分と暖炉だけが残っている状態>

こんな植物も見られましたよ。これなんだかわかりますか? 

ヨモギに似ているような???

<ヨモギに似ているような???>

花が咲くとこんな感じです。

トリカブト

<トリカブト>  ※この写真は昨年飯縄山にて撮影

そう、猛毒のトリカブトです。

トリカブトは花から根っこまで全草毒。トリカブトに含まれるアコニチンという毒素は致死量が2~6gで、食べると嘔吐や下痢・呼吸困難などから死に至るそうです。昔アイヌの人々は狩猟用の毒矢の毒として使用したとか。

実は自然界には毒草が普通に自生しています。スイセン、スズラン、ヒガンバナ、ハシリドコロ、オトギリソウ、バイケイソウ等々。もう毒草だらけですね。

一目で毒草とわかる植物をわざわざ食べる人はいないと思いますが、食べられる植物が毒草に似ていることがあるのが怖いところです。

例えばこのトリカブトの切れ込みの入った葉っぱ、何かに似ていませんか? そうヨモギの葉っぱにそっくりですよね。ただ、ヨモギの葉の裏を見ると白くてザラザラしています。

一方トリカブトは裏もテカテカした緑。更に匂いを嗅げば、ヨモギはヨモギ餅の匂いがするので分かります(本来ヨモギ餅がヨモギの匂いなわけですが(笑))。

ヨモギよりももっとトリカブトの葉にそっくりなのがニリンソウの葉。ニリンソウも昔から若葉が山菜として食べられてきました。花が咲いていれば見分けがつくのですが、葉っぱだけだとわかりませんよね。

何故こんなに似ているのでしょうか。しかもお互いが近い場所に群落を形成していることが多いようです。

葉がトリカブトそっくりのニリンソウ

<葉がトリカブトにそっくりなニリンソウ>

ハエの仲間であるハナアブは黒と黄の体からよくハチに間違われますが、これはスズメバチに似ることによって捕食者から身を守る擬態と言われています。

同じように植物にも擬態ってあるのでしょうか。トリカブトの傍で葉を似せることによって花が咲く前に食べられることから身を守ってきたとか???

他にも春先にスイセンの花が咲く前の葉っぱだけの時に、ニラや山菜のカンゾウ、ノビル等と間違えて食べてしまい、食中毒になったり残念な事故が毎年のように起きていますね。あとバイケイソウの葉っぱは、山菜のウルイ(オオバギボウシ)にそっくり。

またきれいな花だからと毒草を食卓のテーブルに飾ったりするのも危険です。花粉が落ちて食事に降りかかる可能性が・・・。

山菜に似ている毒草については、こちらのホームページに詳しく出ていますね。

東京都健康安全研究センター

皆さまくれぐれもお気を付けください。

ただし、国立公園では利用上のマナーとして花や植物を採らないようにお願いしています。「とっていいのは写真だけ!」※それもコロナが終わってからにしましょう

国立公園の利用上のマナー

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妙高戸隠連山国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、都道府県をまたいでの不要不急の来訪や、感染リスクが高まるような行動の自粛をお願いしています。お出かけの前に、各自治体や訪問先が発信している情報をご確認ください。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。

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2020年05月01日#STAYHOME 戸隠の池周辺巡視

妙高戸隠連山国立公園 戸隠 土屋達郎

妙高戸隠連山国立公園内には名所となっている美しい池がたくさんありますね。今回は戸隠周辺の池を巡視してきました。

戸隠はまだちょっと寒いせいか花もまだまだこれからという感じでした。

国立公園の標識(看板)の肩の部分がはがれてしまっています。たぶん隙間から水が入って冬に凍って膨張して押し上げたためと思われます。

幸いきれいに剥がれていて、モルタル塗ってくっつけるだけなので直すのも簡単そうです。

<鏡池と国立公園標識>

<肩の石材が剥がれています>

<戸隠山は向かって右ですね>

<キクザキイチゲ>

<ミズバショウ>

<静かな鏡池>

<古池は工事のため水が抜かれています>

<まだ小さいミズバショウ>

<リュウキンカ>

<まだ雪が残っています>

気になったのが、登山道周辺の笹が結構広範囲に枯れていること。

笹は60年(100年以上ともいわれている)に一度花を咲かせた後、一斉に枯れるそうですね。

そういえば昨年は笹に花が咲いているのを見かけましたよ。

一度枯れるとまた笹に覆われるまでに10年以上かかるそうで、他の植物にとっては子孫繁栄のチャンスなのだとか。

<いたるところに笹枯れ現象>

尚、長野県内の観光施設等はほとんど閉まっています。今はじっと我慢の時ですね。

信州はお休み中キャンペーン

<戸隠森林植物園も今は入れません>

コロナ禍で外出を控えざるを得ない皆様の心の栄養になりますよう、今後も引き続き国立公園の情報をお伝えしていきます。

妙高戸隠連山国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。

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2020年04月22日#STAYHOME 戸隠からご挨拶

妙高戸隠連山国立公園 戸隠 土屋達郎

皆さまはじめまして。4月1日にアクティブレンジャーとして戸隠自然保護官事務所に着任しました土屋達郎と申します。信濃町在住です。

着任後は挨拶回りでバタバタしておりましたが、ようやく一段落。

そこで天気の良い日に国立公園内にある戸隠森林植物園に巡視に行って参りました。国立公園の巡視もアクティブレンジャーの重要な仕事です。

熊が出るというので熊スプレーを腰に差して残雪の森へ。木道にはまだまだたくさん雪がありました。

<熊出没注意の看板がそこかしこに>

<木道はまだ雪の下>

<気持ちのいい残雪の道>

野鳥たちもたくさん。コンパクトカメラでは小さくしか撮れませんでした。今度は一眼レフの望遠を持って行こうと思います。

<木の枝にホオジロ?>

ポカポカ陽気で気持ちのいい巡視でした。自然の奥深くに入っていくのって楽しいですね。毎日でも行きたいくらいです。ミズバショウが咲くのが楽しみですね。

<新緑の頃にはミズバショウに覆われることでしょう>

広い敷地内をくまなく歩いた後の帰り道は戸隠神社奥社までの参道の途中にある随神門経由で帰ってきました。

<戸隠神社奥社参道の途中にある随神門>

ついでに鏡池へ。荒々しい戸隠連峰がどーん眼前に広がる迫力のある場所です。普段は鏡のように戸隠山や周囲の風景を映すことで人気の撮影スポット。なんと池の半分が凍ってましたよ。

<凍っている鏡池>

風の強い場所なのでしょう、国立公園の標識に雪対策でかけてあったブルーシートがはがれていたので、撤去して綺麗にしてきました。

<看板もきれいになりました>

今回、戸隠事務所はアクティブレンジャーだけでなく、自然保護官も交代となりました。

新しく着任した秋本自然保護官は第52次南極地域観測隊に環境省から参加していました。かくいう私も2016年11月から2018年3月にかけて第58次南極地域観測隊の越冬隊に野外観測支援隊員として参加しました。

というわけで、今後戸隠自然保護官事務所は南極コンビで運営していきます。南極のことなら何でも聞いてください! それでは今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

<たっつあんとお呼びください>

妙高戸隠連山国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。

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2019年11月28日戸隠小学校の6年生、自作のパンフレットを配布!

妙高戸隠連山国立公園 戸隠 アクティブレンジャー 前田久美子

昨年度、自分たちの生まれ育った"戸隠"を自分たちの言葉で、観光客の方に伝えたい!

という6年生の思いから始まったパンフレット作り

 

今年の6年生にもしっかり受け継がれています。

環境省では校外学習のコーディネートをお手伝いしました。

 

まずはパンフレットに乗せる素材集めのために、

戸隠森林植物園や戸隠キャンプ場で、自然を思いっきり体験したり...

01 戸隠森林植物園観察会

 

宿坊の見学や戸隠神社では神事の体験をさせていただき、

神社のしくみなど普段は聞けないお話をしていただきました。

02 戸隠神社

 

なんと精進料理も食べさせていただきました!戸隠祭礼御膳というものの一部です。

匂いの強い食材は使わない、など色々なルールと意味があり、女将さんから教えていただきました。

03 精進料理

 

学習した内容を一人一人まとめて、お世話になった方に向けて発表会も行いました。

精進料理は味が薄かった。など正直な感想もあり、宿坊の女将さんは嬉しかった様子。

04 発表会

 

そして学習した結果をまとめてパンフレットに。完成品はこちら。

今年は挿絵も6年生が自分たちで描きました!すごい(◎o◎)!!!

今年のパンフレット

 

パンフレットを持って観光客の方に配ります。

05 思い切って渡す!

 

今年の6年生はとにかく勢いがすごい!

走って駆け寄り「小学校で戸隠のパンフレット作りました!」と元気よく渡します。

観光客の方からも「すご~い!」と褒められていました。

 

オランダから来た外国人の旅行客の方にも配りました。

この方はとっても喜んで下さり、帰国したら地元の小学校にもこの取り組みを広める!と感動されていました。

06外国人の方にも渡す!

 

このパンフレットは、観光情報センターや戸隠中社区のお蕎麦屋さんにも置いてあります。欲しい方はぜひ店員さんに声をかけてみてくださいね♪

 

○妙高戸隠連山国立公園のタイムリーな情報はFacebookで確認☆

https://www.facebook.com/妙高戸隠連山国立公園-1875339872757492/

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2019年09月12日戸隠小学校5年生と飯縄山登山

妙高戸隠連山国立公園 戸隠 アクティブレンジャー 前田久美子

9/6(金)、久々にとっても晴れました。

 

この日は戸隠小学校の地域学習の日「とがくしの日」。

全学年が学校を飛び出して、体験学習を行います。

 

5年生は飯縄山登山。戸隠登山ガイド組合のガイドさんに

案内をしてもらって地元の山を登りました。

 

しっかり体操をした後に、ガイドさんからリュックの背負い方、水の飲み方など"登

山のいろは"を教えてもらって歩き始めました。

01体操しっかり 02携帯トイレ回収BOX

 

歩き始めてすぐ、足下にアカハライモリを発見!

登山道を上りはじめてすぐは少し急な坂ですが、5年生はみんな元気です。

03アカハライモリに遭遇 04登山開始!

 

足下を見ると沢山のキノコが出ていました。

特に人気だったのはサンゴのような形の黄色いキノコと赤いキノコでした!

05サンゴみたい! 06赤いキノコ

 

さらに登っていくと、稜線付近ではお花が沢山咲いていました。

青や紫のお花が多く、ガイドさんから「トリカブトは毒があるんだよ!」と教えてもらって「えーっ!」と悲鳴をあげている姿が印象的でした(笑)

07青紫といえば 08全草毒と聞いてびっくり

 

休憩中、振り向くと戸隠連峰がと~~ってもよく見えました。

あまりの絶景に疲れも吹っ飛びます!

09戸隠連峰よく見えます 10クジャクチョウにも出会いました

 

稜線に出てからはほとんど「まだ~」「あと何分~?」の声も聞こえなくなり・・・

元気よく歩いて、みごと全員で山頂に到着!すごい!よく頑張りました!

11もう少しで山頂! 12全員で登頂できました!

 

山頂で昼食後、トイレに行きたい子ども達は『携帯トイレ』を使いました。

使い終わりトイレブースから出てきた第一声は、みんな一様に「意外と普通だった。」です。笑

 

自分で使ったトイレは持ち帰るんだよと言われると身構えてしまいますが、使ってみれば清潔な普通のトイレ。袋がしっかりしているので、使用後、臭いも漏れません!

ちょっとした手間で山をキレイに保てるので、ぜひ皆さんも一度使ってみて下さい♪

 

下山開始。後ろの子に「浮き石あるよー!」「滑るよ-!」などのかけ声を積極的にかけてくれて、最後まで元気よく、全員ケガなく無事に山を下りられました(^^♪

13みんな携帯トイレを使いました 14ずんどこ降りていきます

 

ある少年は、「俺、体力あることが分かった!」と自信に満ちた表情に。

校長先生からは登山前より顔が凜々しくなったと褒められていました。

 

そしてこの裏で・・・6年生は・・・戸隠の中社・宝光社へお勉強に。

「戸隠講ってどんなもの?」「神事のお作法」「宿坊の祭礼御膳」など戸隠の歴史文化の部分をみっちり体験させていただきました。

15戸小6年生は玉串体験 16精進料理も!

 

地元の沢山の戸隠のプロが関わって、戸隠の様々な側面を学ぶ戸隠小学校の子ども達。

こんな経験ができるのも今のうち、存分に体験して欲しいですね♪

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