ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

中部山岳国立公園 後立山

46件の記事があります。

2018年04月17日雪形(ゆきがた) 発達中

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。

4月10日、長野県大町市からは爺ヶ岳(じいがたけ)、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)など中部山岳国立公園の3,000m級の山々を望むことができました。

<大町山岳博物館前からのパノラマ。写真の右側が北、左側が南。北は白馬岳(しろうまだけ、はくばだけ)から南は大天井岳(おてんしょうだけ、だいてんじょうだけ)辺りまで望むことができます。>

<左:爺ヶ岳、中:鹿島槍ヶ岳、右:五竜岳(ごりゅうだけ)。鹿島槍ヶ岳と五竜岳は日本百名山に選ばれています。>

さて、これらの山々に、「雪形(ゆきがた)」が現れ始めていました。

「雪形」とは、里が新緑を迎え、山が雪解けを始めた季節に、山肌に残った残雪によってできる模様を生き物などの形に見立てたものです。

今回は、鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳に見られる雪形を紹介します。まだ、形を十分に認められるものは少ない状況です。もう少し日が経てば、山も雪解けが進み、雪形がはっきりしてきます。

まず、鹿島槍ヶ岳に見られる雪形です。

鹿島槍ヶ岳の山頂部です。左側(南側)のピークが南峰(2,889.1m)、そこから右に続く尾根(吊尾根)の右のピークが北峰です。2つのピークからなる双耳峰(そうじほう)と呼ばれる山の形が特徴です。

ここでは雪形を2種類の動物に見立てています。一つは南峰の下(左側の丸)に、もう一つは吊尾根の下(右側の丸)に現れます。ともに岩肌の黒色で作られた雪形です。

左は飛び立とうとしている「鶴(つる)」に、右は駆け下ってくる「獅子(しし)」に見立てています。

次に、爺ヶ岳に見られる雪形です。

爺ヶ岳の山頂部です。こちらはピークが3つあり特徴的です。左側(南側)のピークが南峰、真ん中のピークが中峰(2,669.8m)、右側のピークが北峰です。

ここでは雪形を、農作業をする人に見立てています。2つあり、一つは南峰直下(左側の丸)に、もう一つは南峰と中峰の鞍部(右側の丸)に現れます。ともに岩肌の黒色で作られた雪形です。

左側は「(南の)種まき爺さん(たねまきじいさん)」、右側は「(北の)種まき爺さん」と呼ばれる雪形です。

雪形については、日が経って形がはっきりしたものや、別の山で見られる雪形の情報をお届けしたいと思っています。

遅ればせながら、今年度も引き続きよろしくお願いいたします。

ページ先頭へ↑

2018年01月23日長野県内初の氷河 カクネ里雪渓

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、

中部山岳国立公園にある「カクネ里(さと)雪渓(せっけい)」(長野県大町市)が「氷河」と認められました。

長野県では初めての氷河です。

このニュースの前までは、日本では富山県の3カ所「小窓(こまど)雪渓」、「三ノ窓(さんのまど)雪渓」、「御前沢(ごぜんさわ)雪渓」だけが氷河と認められていました。

この度、カクネ里雪渓とともに富山県の2カ所の雪渓が氷河と認められたことで、日本の氷河は富山県5カ所、長野県1カ所の計6カ所となりました。すべて中部山岳国立公園内にあります。

・日本の氷河6カ所の位置。丸の大きさは、雪渓の大きさを反映したものではありません。

・写真撮影位置は下で紹介する3枚の写真の撮影位置です。氷河は他の場所からも望むことができます。

・図は上が北。

では、それぞれの氷河を紹介します。

■カクネ里雪渓

・長野県大町市にあり、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)の北東の谷に位置します。

<写真中央に「く」の字に灰色っぽく見えるものがカクネ里雪渓です。秋に撮影したので雪渓の面積は小さくなっています。中央の高いところが鹿島槍ヶ岳の山頂部です。撮影場所は遠見尾根の中遠見山付近。平成28年10月4日撮影。>

■御前沢雪渓と内蔵助(くらのすけ)雪渓

・富山県立山町にあり、雄山(おやま)などからなる立山の東斜面に位置します。

<御前沢雪渓は雄山付近の谷に、内蔵助雪渓は富士ノ折立と真砂岳(まさごだけ)の間の谷に位置します。撮影場所は岩小屋沢岳(いわこやさわだけ)付近。平成24年7月19日撮影。>

■小窓雪渓と三ノ窓雪渓

・富山県立山町にあり、剱岳(つるぎだけ)山頂から北に延びる岩稜の東斜面に位置します。

<剱岳から北に延びる岩稜でみられる深い切れ込みは「窓」と呼ばれており、小窓雪渓は小窓谷に、三ノ窓雪渓は三ノ窓谷にあります。撮影場所は種池(たねいけ)小屋から岩沢小屋岳にかけての稜線。平成24年7月19日撮影。>

ここまで日本の氷河6カ所のうち5カ所を写真で紹介しました。

しかし、残り1カ所の「池ノ谷(いけのたん)雪渓」の写真はありません。というのも、池ノ谷雪渓は長野県側(私の担当している区域)から見えないためです。

さて、皆さんも6カ所の氷河を見たいとお考えかもしれません。

6カ所のうち内蔵助雪渓は登山道があるので雪渓に立つことができます。しかし、ほかの5カ所は一般の登山者が近づくことは困難です。

となると、氷河を見ることができる登山道を歩くということになります。上で紹介した写真は、すべて大町市と他市町村の境界である稜線上の登山道から撮影したものです。

次のグリーンシーズン、氷河を望む大町市の稜線を歩いてはいかがでしょうか。

ページ先頭へ↑

2017年10月16日八方尾根の植生回復

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。

10月10日は八方尾根(長野県白馬村)で、地域の団体が主催する植生回復作業に参加しました。裸地化が進んでいる斜面にマットを敷き、在来の種子を播種することで、植生の回復を促す作業です。

地域の方が八方尾根を地域の資源として大切にしていこうという活動の一つで、長野県の「地域発 元気づくり支援金」の交付を受けたものです。

なお、国立公園でこのような作業を行う場合は、事前に最寄りの地方環境事務所、自然環境事務所または自然保護官事務所に問合せをくださいますようお願いします。後立山地区(長野県大町市・白馬村・小谷村、新潟県糸魚川市)の場合は長野自然環境事務所(026-231-6572)へお願いします。



さて、作業前後の写真です。左が作業前、右が作業後です。


写真手前の、植物がほとんど生えていない場所にマットを敷きました。マットは時間が経つと自然に分解される植物の繊維のみからできており、植物の種子、土や肥料は混じっていないものです。

マットの敷設後、付近に生育するのと同じ種類の植物の種をマットの植物の繊維に絡ませるように撒きました。

マットを敷くことで土砂の移動を止める効果が期待できるので、植物が定着する可能性が高くなります。


この斜面は5年ほど前から同様の作業をしています。

写真の奥のほうにケルンと呼ばれる石積みがあります。その斜面下側(写真ではケルンの左下)は生えた草が枯れて茶色くなっています。この場所は5年ほど前にマットを敷いた場所です。当時は草が少なかったのですが、現在では遠景の写真でも草があることが分かるようになっています。

その手前の灰色が目立ち、所々に草が生えている場所は1、2年前にマットを敷いた場所です。ここは、現在はマットのほうが目立ちますが、いずれは植物が目立つようになると思います。

今回マットを敷設した場所も何年か経つと植物が目立つようになることを期待しています。



ちなみに、八方池の岸には、約10年前に同様の作業を行った場所があります。下の写真で、八方池の右側の斜面がその場所です。普通に草が生えていて、かつてほとんど草がなかったというのを想像できないくらいになっています。

<平成29年9月14日撮影>



さて当日、白馬三山は残念ながら雲の中で、また八方池付近では強い風が吹いていました。

<風による波が立っていて、水も濁り気味でした。八方池に写る白馬三山を期待して来られた方には残念な天気でした。>



八方尾根のゴンドラとリフトは10月29日(日曜日)まで営業します。お出かけいただき、お楽しみください。ただし、八方池は標高2,000mを超える場所にあります。八方池まではリフトを降りた後、約1時間ほど歩きます。この際、気温や風の吹き方によっては手袋、帽子があったほうがよいかもしれません。準備をして、お気をつけてお出かけください。



ページ先頭へ↑

2017年10月03日大町市から氷河見えます

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。

信濃大町 山フェス「北アルプス100年祭」が先の土曜日と日曜日(9月30日、10月1日)に行われました。天気にも恵まれ4,500人もの方が来場されたそうです。


<10月1日、北アルプスの山並みがはっきり見えました。右奥から左に五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳が連なり、さらに左の鳴沢岳、赤沢岳へと連なります。大町市三日町付近の県道から。>



<フェスには近隣市村などのマスコットキャラクターも来ました。左は松本市の「アルプちゃん」、右から2体目が大町市の「おおまぴょん」、右は白馬村の「ヴィクトワール・シュヴァルブラン・村男Ⅲ世」。あなたの推しキャラは?>



さて、私たちは山フェスで写真展示を行ったのですが、展示する写真を選ぶ作業中に気付いたことがありました。

「大町市から、日本に現存する氷河3つと学会による氷河認定待ちの1つの雪渓を見ることができます。」

■氷河として認定されている雪渓は「小窓(こまど)雪渓」「三ノ窓(さんのまど)雪渓」「御前沢(ごぜんさわ)雪渓」の3つ

■大町市にある「カクネ里(かくねざと)雪渓」は氷河の可能性が高いですが、まだ認定されていません。

■大町市境の稜線を歩くと3つの氷河とカクネ里雪渓を見ることができます。


<カクネ里雪渓。鹿島槍ヶ岳の北面の谷にある。>


<立山と剱岳の東斜面に3つの氷河がみられる。>



今シーズンはもう山小屋の小屋閉めの始まるような時期になりました。来シーズン、氷河を望む大町市の稜線を歩いてはいかがでしょうか。


ページ先頭へ↑

2017年09月12日「信濃大町 山フェス」 開催されます

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。

山に関わるイベントの紹介です。

信濃大町 山フェス「北アルプス100年祭」が開催されます。

■9月30日(土)、10月1日(日)

■大町市文化会館ほか

・ホールでは、山トークショー、ゴキゲン山映像の上映、山岳学生サミットなどが行われます。

・各種登山用品メーカーの出展、飲食店の出店などがあります。

・会場受付で配布されるスタンプラリーカードの提示で、街中の店舗で割引等の特典を受けられるようです。

・大町登山案内人組合100周年を記念して開催されるイベント。

詳細は長野県大町市観光公式サイトをご覧ください。

http://www.kanko-omachi.gr.jp/omachi_blog/2017/09/100930101.php



大町市や周辺市町村にお越しの予定があれば、「山フェス」も訪問先に加えてはどうでしょうか。

私たちも「環境省山岳写真展示」として、後立山地区の写真を展示します。どうぞお出かけください。


ページ先頭へ↑

2017年08月08日花盛りの白馬岳

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。8月3日、4日に白馬三山(長野県白馬村)を歩きました。コースは、猿倉→白馬大雪渓→白馬岳(しろうまだけ)→杓子岳(しゃくしだけ)→白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)→白馬鑓温泉→猿倉で、登山道の状況などを確認しました。なお、白馬三山とは、白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳の3つの山を総称した呼び名です。


まず、登山道の状況についてのトピックスは3点です。

・大雪渓上部は秋道を利用するようになっています。大雪渓と秋道との行き来はロープに従ってください。秋道は最低限の整備はされていますが、道が悪いので通行に注意してください。(秋道とは雪渓の上を歩けなくなった場合に、山の斜面に迂回路として設けられる登山道のこと)


・大雪渓下部で雪渓に割れ目ができているところがあります。紅ガラ(染料)に従って通行してください。

<割れ目の左側を通行しました。紅ガラは薄くなっていますが、赤テープを巻いた小石が置かれています。現在は状況が変わっているかもしれません。現地の誘導ロープ等に従ってください。>


・小雪渓は今年度死亡事故が起きています。アイゼンを着用して通過するよう注意喚起されています。

<手前が白馬尻側、奥が山頂側。夏山常駐隊の方がステップ切りの作業中でした。>



さて、タイトルのとおり花盛りでした。

写真のほかにもいろいろな花が咲いています。


<雪解けの遅いところではウルップソウが咲いていました。村営白馬岳頂上宿舎付近。>


<お花畑。クルマユリ、ハクサンフウロなど。杓子岳付近。>


<一面のチングルマ。雪解けの遅いところではチングルマが花盛りでした。大出原。>


<ミヤマキンポウゲの群落。白馬鑓温泉小屋付近。>



〇〇 広域情報 〇〇

白馬村の天狗山荘は営業していませんが、テント場は8月5日から利用できるようになったとのことです(水場、トイレは利用可能。ただし、売品はなく、食堂営業も行われません。)。これを踏まえて登山計画をお考え下さい。天狗山荘の最新情報は白馬村振興公社のサイトなどでご確認下さい。<http://hakubakousha.com/index.php/hut>。

<現在、解体、補修工事中で、小屋内は立入禁止です。左側から雪に押され損傷を受けました。8月3日撮影。>


ページ先頭へ↑

2017年05月23日白馬村のギフチョウ

中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、中部山岳国立公園の後立山地区からです。

北アルプス(飛騨山脈)の北部、長野県の大町市、白馬村、小谷村、新潟県糸魚川市のエリアを担当しています。


5月19日に白馬村で「ギフチョウ、ヒメギフチョウなどのパトロール」に参加しました。

参加者は、白馬村教育委員会(主催者)、白馬村の文化財保護監視員と関係する行政機関など合わせて10名でした。

ギフチョウとヒメギフチョウは白馬村の天然記念物になっています。ギフチョウ、ヒメギフチョウが舞う今頃の時期に生息地に行き、成虫(チョウ)の数や産み付けられた卵の数を確認したり、チョウを採取している人がいないか見て回ったりします。

地域の方が主体的に行うこのような活動によっても、国立公園の自然環境が保たれています。


<写真中央のエメラルド色の丸いものがギフチョウの卵で、11個あります。卵の直径は1mm程度です。卵が産みつけられている葉はミヤマアオイという植物の葉です。卵からふ化した幼虫はこの葉を食べます。>


<ギフチョウ。平成26年に撮影したもの。今回は写真を撮影できるほど近くを飛ぶことはありませんでした。>


白馬村では、ギフチョウとヒメギフチョウは文化財保護条例により天然記念物に指定され、捕獲が禁止されています。また、採集した場合等に10万円以下の罰金等の罰則があります。

無許可でギフチョウまたはヒメギフチョウを採集している方を見かけましたら、白馬村教育委員会にご連絡をお願いします。



ページ先頭へ↑

2017年01月27日この景色を見るために行く人もいると思う

中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山(うしろたてやま)地区担当です(北アルプス北部の長野県側と新潟県側を担当しています)。


先日、八方尾根(長野県白馬村)にあるスキー場で調査を行いました。

内容は、スキー場最上部のコースの一部が国立公園区域にあるので、積雪状況や植物(ハイマツなどの幹、枝)の雪面上への露出の状況を確認し、コースオープンの可否を判断するというものです。関係する行政機関、地域の団体、索道事業者(リフトの運行会社)が合同で行いました。


調査で、積雪は十分にあり、コースとなる部分に植物の露出がないことが確認されたので、コースオープンは可と判断されました。

調査後すぐに整備が行われ、当日のうちにコースオープンとなりました。


ご利用の際は、コースをはずれないよう(立入規制のロープを越えないよう)お願いします。特に、第1ケルン付近は地形の関係で積雪が少なく植物が雪面上に出やすいので、規制に従い、植物を傷つけないよう一層のご注意をお願いします。


さて、当日の景色を紹介します。

<白馬三山(はくばさんざん)。3つのピークは、左から白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)、杓子岳(しゃくしだけ)、白馬岳(しろうまだけ)。八方尾根に来たらこの景色という定番。>


<妙高戸隠連山国立公園の眺望>


<手前が五竜岳(ごりゅうだけ)、奥が鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)。>



上の3枚の写真はスキー場内から撮影したものです。あまりうまく撮影できていませんが、スキー場内からでもこれだけの景色を見ることが出来るのです。

実際はもっと素晴らしい、冬の山岳の景色を見に、どうぞお出かけください。



なお、最上部のリフトを下りた後に、八方池方面に向かう(斜面を上る)場合は、スキー場外(バックカントリー)となります。慎重な行動で冬山をお楽しみください。

・登山者等で八方池方面へ向かう場合は登山届の提出が必要になります。

・バックカントリーでの遭難事故防止には、装備と技術、体力とともに、情報収集も重要です。

 雪崩に関する情報は次のページが参考になると思います。

 NPO法人 ACTの「北アルプス北部雪崩に関する情報」http://153.121.73.248/index.php



ページ先頭へ↑

2016年08月04日もうすぐ「山の日」 八方尾根でいろいろな花をご覧ください

中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

  • こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区担当です(北アルプス北部の長野県側と新潟県側を担当しています)。


    長野県白馬村の「八方尾根(はっぽうおね)」を7月20日に歩きました。

    今年は雪解けが早く、7月中旬までには登山道の雪がほとんど消えていたとのことで、当日は雪の上を歩くことはありませんでした。

    上る途中はガスで景色は望めませんでしたが、いろいろな花が咲いているのを楽しみながら歩きました。


    目立ったのは、雪田植物(せつでんしょくぶつ)と呼ばれる植物の花でした。

    高い山では、窪地や稜線の風下側など、雪が吹き溜まる雪田(せつでん)と呼ばれる環境があり、そこに生育する植物を雪田植物と言います。

    雪田では、雪が消えるのが周囲に比べて遅くなるので、植物が生長を始める時期も遅くなります。しかし、雪が積もり始める時期は周囲もおおよそ同じなので、植物が生長できる期間(雪が溶けている期間)が周囲に比べて短くなります。こういった環境に生育する植物は、短い期間のうちに、生長し、花を咲かせ、実を結ぶことができるという特徴を持ちます。

    <中央にアオノツガザクラ、手前や奥にチングルマ。>


    <左:ガンコウラン、右:ミネズオウ。>


    また、歩く途中、花の色が黄色で、花の形がよく似ている植物がありました。どれがどういう名前だったかな? と迷っている方もいました。

    <左:ミヤマダイコンソウ、中:ミヤマキンバイ、右:ミヤマキンポウゲ>

    ・花にだけ目が行きがちですが、葉の形も一緒に観察すると区別しやすくなります。



    そして、主稜線に近くなると、岩礫地に生える植物が目立ち始めました。

    <左:チシマギキョウ、右:イワツメクサ>


    このほか、写真を載せませんが、アカモノ、イブキジャコウソウ、シモツケソウ、キヌガサソウ、クガイソウ、クルマユリ、コイワカガミ、コバイケイソウ、タカネマツムシソウ、トモエシオガマ、ニッコウキスゲ、ハクサンイチゲ、ハクサンタイゲキ、ハクサンフウロ、ハッポウウスユキソウ、ミツバオウレン、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマアズマギク、ミヤマコゴメグサ、ミヤマダイモンジソウ、ミヤマムラサキ、ヨツバシオガマなどの花も見ることが出来ました。



    稜線に着いたところ、富山県側はガスが切れていて素晴らしい景色を見ることが出来ました。

    <右のピークが唐松岳(からまつだけ)。中央左奥のピークが剱岳(つるぎだけ)。その左に立山(たてやま)があるが雲に隠れている。長野県側では青空さえ見えなかったので、より素晴らしい景色に感じました。>


    8月11日は「山の日」。いろいろな花と素晴らしい景色を見に八方尾根へお出かけください。


    <お知らせ>

    「登山計画書の提出が義務付けられます」

    長野県は、長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。指定登山道については長野県のページをご覧ください。

    <http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html>

    ・登山計画書の様式はこのページの上のほう、指定登山道についてはこのページの中ほどにリンクがあります。


    なお、今回紹介した八方尾根については、ゴンドラとリフトを利用して入山し唐松岳方面に向かう場合、条例での指定登山口は、八方池から少し唐松岳方面に進んだ所になります。このため、八方池よりも上部へ行く場合に登山計画書の提出が義務付けられます。

    ・この指定登山口では紙媒体の登山計画書を提出できません。紙媒体の提出場所はゴンドラ乗り場前です(夏季に登山相談所が開設されます)。

    ・インターネットにつながる環境がある場合は、「長野県ホームページ 電子申請」または「山と自然のネットワーク コンパス」から提出することができます。



    <余談(国立公園外)>

    八方尾根を上る場合、山麓からゴンドラとリフト2基を乗り継いで行きますが、ゴンドラを下りて1つ目のリフト(アルペンクワッドリフト)では、白馬村キャラクターの「ヴィクトワール・シュヴァルブラン・村男Ⅲ世」の取り付けられた搬器(人が座る椅子)があります。座ることができるかな?

  • ページ先頭へ↑

    2016年07月11日長野県で初めての氷河!? そして、久しぶりのライチョウ

    中部山岳国立公園 アクティブレンジャー則武 敏史

    こんにちは、中部山岳国立公園(≒北アルプス)の後立山地区担当です(北アルプス北部の長野県側と新潟県側を担当しています)。


    今回は長野県大町市の話題を2つ。

    話題の1つ目「長野県で初めての氷河!?」の場所は、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)山頂から北東に広がる谷にある「カクネ里(かくねざと)雪渓」です。

    この雪渓では、昨年度(平成27年度)、氷河であるかどうかを確かめるための現地調査が、カクネ里雪渓(氷河)学術調査団により行われました。その結果、「氷河である可能性がほぼ確実な状況となってきた」ということです。


    これまで、国内では富山県にある次の3つの雪渓が氷河であると学術的に認められています。

    ・立山(雄山)東面の御前沢(ごぜんざわ)雪渓

    ・剱岳東面の三ノ窓雪渓

    ・同じく小窓雪渓

    今回、カクネ里雪渓が国内では4つ目、長野県では初めての氷河となりそうです。


    <中央に白く縦に帯状に見えるものがカクネ里雪渓。中遠見山付近(北東側)から望む。鹿島槍ヶ岳の山頂部は雲に隠れている。>


    なお、上記調査団の一員である「大町山岳博物館」において、企画展「鹿島槍ヶ岳カクネ里 氷河への道のり」が8月28日までの予定で開催されています。また、調査団による報告会やミュージアムトークが行われる予定です。

    詳細は同館のウェブページ<http://www.omachi-sanpaku.com/>をご覧ください。


    <カクネ里雪渓と富山県の3つの雪渓(氷河)の位置(●)>

    ・▲は日本百名山

    ・緑の塗りつぶしが中部山岳国立公園の範囲



    そして、話題の2つ目「久しぶりのライチョウ」は、

    報道等でご存知かと思いますが、大町山岳博物館ではニホンライチョウの人工飼育が12年ぶりに始まり、7月1日に、運び込まれた4卵すべてから孵化しました。

    同館では1963年からニホンライチョウを飼育していましたが、2004年に死去のため中断していました。今回、久しぶりのニホンライチョウの飼育です。まずは雛が順調に成長することを祈ります。(同館では、近縁のスバールバルライチョウも飼育しているので、区別のためニホンライチョウという表記にしました。)



    さて、今回話題にした大町市は、富山県、岐阜県と接しており、その境界は3,000m級の山並みです。中には、槍ヶ岳(やりがたけ)、鷲羽岳(わしばだけ)、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)といった日本百名山に挙げられる山があります。

    まもなく梅雨明け、夏山の最盛期です。これらの山を求めて、大町市の山々へお出かけください。


    また、山は歩きたくないけれど、山の景色を見たいという方には、大町山岳博物館の展望ラウンジや、同館の斜面上部にある鷹狩山へどうぞ。視界が良ければ、北は白馬岳から、南は常念岳まで、後立山の山々のパノラマを眺めることが出来ます。なお、大町山岳博物館は入館料が必要となりますのでご留意ください。



    <お知らせ>

    「登山計画書の提出が義務付けられます」

    長野県は、長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。指定登山道については長野県のページをご覧ください。

    <http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html>

    ・登山計画書の様式はリンク先のページの上のほう、指定登山道についてはこのページの中ほどにリンクがあります。



    ページ先頭へ↑

    ページ先頭へ