中部山岳国立公園 立山
146件の記事があります。
2021年02月05日立山を開山したのは誰?熊と白鷹の伝説
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
「立山のいまとむかし~立山信仰と歩くアルペンルート~」と題して、立山の魅力をシリーズとして紹介しています。今回は、第2回目です。シリーズ前半は立山の昔話、つまり立山信仰を中心にとりあげていきます。
○第1回目の記事はこちら
前回、立山に関する最も古い文献として残っているのが万葉集ということを書きました。その頃から立山は、神がすむ山として崇められていることが推測できます。
さて俗に言う、立山を開山したのは誰なのでしょうか?
そのことが書かれている書物が「立山開山縁起(たてやまかいざんえんぎ)」です。
「立山開山縁起」にも様々な種類があるようですが、その中の「立山略縁起(たてやまりゃくえんぎ)」というものには次のように書かれています。
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越中の国の城主である「佐伯有若(さえき ありわか)」の息子「佐伯有頼(さえき ありより)」がいました。有頼は、父が大切にしていた白鷹をもって狩りに出かけましたが、その最中に山の方へ逃げてしまいました。探しに行った有頼は、苦労しながらも白鷹を見つけ出したところに、熊が現れ白鷹は逃げてしまいました。その後、熊が襲いかかってきたので矢を射ったところ、矢は熊の月輪に命中しましたが、絶命せず、熊が逃げていきました。有頼はその熊の血の跡を追い、立山山中で熊と白鷹を見つけました。するとその両者とも玉殿窟(たまどののいわや)に逃げ込みました。洞窟に入ると、そこに阿弥陀如来と不動明王が現れ、有頼に立山を開山するよう導きました。その後、有頼は「慈興(じこう)」上人と名のり立山を開山しました。
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その伝説が語り継がれて、現在も一般的に佐伯有頼(慈興上人)が立山を開いたとされています。
その他の説としては、狩人が開山をしたという説や、有頼の父佐伯有若が開山したという説もあるようです。(諸説あるようです)
また、熊は日本のみならず世界でも神聖な動物とされており、立山開山縁起でも、熊は立山の神か、その使いを象徴しています。
日本古来から有する山岳信仰(山に神がいるという、自然に対する畏敬の念)と外来信仰である仏教信仰とが合わさり、神仏習合となっていることが伺えます。
佐伯有頼像は、室堂ターミナル内と富山市内の呉羽山公園展望台にて見ることができます。
<室堂ターミナルに立つ佐伯有頼像>
<呉羽山展望公園 佐伯有頼像と立山連峰 2021.1.20撮影>
参考文献:立山の歴史 立山信仰の歴史[2006 富山県立山センター]
入門!立山ワールドあんない[H30 富山県立山博物館]
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2021年01月27日立山が出てくる最古の文学書「万葉集」
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。2021年に入り、初投稿です。
冬の時期は、現場に行ける機会が極端になくなってしまうのが立山です。(立山黒部アルペンルート、黒部峡谷鉄道の営業が11月末まで)
冬の間は、シーズン中にできなかった事務作業や春の開山に向けた準備諸々を行っています。
その中でも、立山についての魅力を発信できないかと、こんな企画を考えました!
題して、「立山のいまとむかし~立山信仰と歩くアルペンルート~」
不定期ではありますが、何回かのシリーズ編として立山の歴史を中心にご紹介をしつつ、今の国立公園との関わりについて触れていけたらと思っています。
専門家ではないため、拙い知識や文章が見受けられるかもしれませんが、僕自身も今回の企画を通し学んでいき、立山の魅力が少しでも伝われば幸いです。
第1回目の今回は、立山の景観を詠んだ万葉集の一首を紹介します。
「万葉集」は、奈良時代に歌われた日本で最古の和歌集です。
学校教育でも出てくるので、中身は知らなくても誰もが聞いたことがある言葉だと思います。
一方で、越中国守(富山)であった『大伴家持(おおともの やかもち)』が万葉集に大きく関わっていたというのはご存じでしょうか。その万葉集の中で、立山について歌った短歌があります。立山という言葉が出て来る中では最も古く、天平19年(747)に「立山の賦」と題して発表されました。
「立山に降りおける雪を常夏に見れどもあかず神からならし」
「真夏になっても降り積もって残っている白い立山をいつ見ても飽きないのは、立山に神がいるからだろう。」
現代の日本語に要約するとこんなニュアンスでしょうか。
ちなみに、この頃は「立山(たてやま)」ではなく、「立山(たちやま)」と呼んでいたそうです。
この歌からもわかるように、昔の人々は雄大な立山を神聖なものとしてとらえていたことが伺えます。
また、外来宗教である仏教が日本に伝来されていき、修行者などの仏教の面からも立山は大きな意味をもつ山となっていきます。
大伴家持や昔の人たちが立山をどの位置から見ていたのかわかりませんが、天気がいい日には富山の海岸線から立山連峰と海を望むことができます。
こちらは、雨晴海岸からの景色で、富山湾と立山連峰が望める有数のスポットです。この時は、うっすらと後ろに立山連峰が見えました。
<雨晴海岸にて。2020年3月撮影>
こちらは、射水市にあるみなとオアシス海王丸パークからです。新湊大橋が印象的でもあります。
<みなとオアシス海王丸パークにて。海と立山連峰>
富山市よりの海岸になると、立山連峰でも北側(毛勝三山)がよく見えます。
<浜黒崎海水浴場にて。2020年4月撮影>
富山へお越しの際には、お気に入りの立山連峰が見える場所を探されてみてはいかがでしょうか。
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2020年12月08日アルペンルート営業終了。室堂平仮設野営指定地の状況
中部山岳国立公園 立山 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
11月30日で立山黒部アルペンルートの営業が終了しました。
<11/29 室堂ターミナルから雄山方面>
室堂平では山小屋が営業終了後の11月25日~11月30日の間、仮設野営指定地を設置しました。
<11/28 仮設野営指定地>
11月末に1日に60cm程積もる雪が降ったことで室堂周辺もかなり植生が隠れて白くなってきました。最終の土日の28,29日には、テントが50張を越える数の利用者が見受けられました。
<11/29 仮設野営指定地>
多くの人は今シーズン初のスキー・ボードを楽しみに求めてこられている方々のようです。
<スキーヤー・ボーダーが山へ向かう様子>
この時期に室堂平周辺を利用するにあたっては、利用ルールが定められています。
ルールについては、佐藤ARの投稿をご覧ください。
日頃から、中部山岳国立公園の適切な利用にご協力いただきありがとうございます。
仮設野営指定地は、極力植生のダメージが少ない場所を選び決められています。トイレについては、室堂ターミナルのトイレ(24時間使用可。ターミナルまでは直線で200m程)を使用するか携帯トイレの使用をお願いしております。
<室堂ターミナルにて販売しています。1個300円>
<ゴミ箱は、室堂ターミナルに設置されています。緑色が携帯トイレ用>
<11/29 仮設野営指定地から奥に見える建物が室堂ターミナル >
僕の担当が土日だったため、利用者が多い日に巡視をしましたが、屎尿が散見されました。
<中には、大のほうも、、、>
自然保護の観点からもそうですが、次の利用者が見た際にこの場所にテントを張りたいと思うでしょうか。
みんなが、気持ちよく利用するためにも、自然や次の人のことを考えてお互い思いやりの気持ちを心がけて行動をして欲しいと思います。
また、スキーで滑走をする際には植生がまだ出ている箇所は、踏んでしまうとダメージを与えてしまうため、植生を避けての滑走をお願いしております。
<こちらは、地獄谷立入り禁止区域の看板>
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植生が見えている箇所での滑走跡、踏み跡が見受けられました。
<植生上の踏み跡>
<ガンコウランの上の踏み跡>
ほとんどの利用者の方は適切なマナーをもって、この自然を楽しんでいると思いますが、こういった現状もあることを知ってもらいたいということで、今回書かせていただきました。
はるばる、アルペンルートに乗って、雄大な立山の自然を求めて来ていただけているので、皆さんに気持ちよく利用していただき、
「立山来て良かったなあ~楽しかったな~」
と思って帰っていただきたいです。
<自然が織りなす造形美>
昨今では、「SDGs(エスディージーズ)」という言葉が頻繁に出てくるようになりました。
その体験が、後世にも続くように、自分たちができることを心がけていきたいです。
僕自身も、アクティブレンジャーとして、いち個人として何ができるのかを改めて見直して小さなことからアクションしていければと思います。
立山黒部アルペンルートや黒部峡谷鉄道(トロッコ列車)も11月30日で営業を終了しました。山での現場業務は来春までお休みです。
今シーズンは、激動の年となりました。それでも変わらずにある立山の自然に感謝をしつつ、コロナが落ち着いて来年は多くの方が立山に来てもらえることを願っています。
<ミクリガ池と雄山(立山)>
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2020年11月13日11月の積雪期に立山室堂平周辺に訪れる皆様へ
中部山岳国立公園 立山 佐藤 裕子
積雪期に立山室堂平周辺を訪れる利用者の皆様の安全確保と自然環境保全のため、立山室堂地域関係者で構成する「室堂平周辺積雪期利用適正化協議会」では、積雪後から11月30日まで「室堂平の積雪期利用ルール」を策定しています。
立山室堂へお越しの際は以下のルールをお守りください。
■積雪期におけるテント泊について
テント泊を予定している方は、冬山に対する高度な知識と技術、十分な装備を持った上で自己責任のもと利用してください。
雷鳥沢野営管理所は10月31日~翌年4月下旬まで冬期閉鎖しています。野営場は利用可能ですが、トイレや水場は使用できないため、携帯トイレをお持ちください。(入山安全相談窓口、ホテル立山2F売店で販売しています)
・テント設営を予定している方は、登山届を事前に提出している場合であっても、室堂ターミナル内の
入山安全相談窓口にて必ずレクチャーを受けてください。
・少しでも技術、体力、装備に不安のある方は山小屋(山小屋は11月24日(火)宿泊まで営業)やホテルを
ご利用ください。
■室堂平仮設野営指定地の開設について
山小屋が休業する11月25日(水)~アルペンルートが閉鎖する11月30日(月)までの間、応急的に室堂平仮設野営指定地を開設します。詳細は信越自然環境事務所HPでお知らせしますのでご確認ください。
~テント宿泊について~
11月25日までは雷鳥沢野営場をご利用ください。
11月25日の宿泊から雷鳥沢野営場もしくは、室堂平の仮設野営指定地をご利用ください。
室堂平では、上記以外の場所ではテント設営はできません。ご協力お願いいたします。
立山周辺や雷鳥沢野営場、室堂平の植生上、登山道上にし尿やゴミが放置され、環境汚染が懸念されています。携帯トイレをお持ちください。
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2020年11月09日【紅葉情報】黒部峡谷の紅葉見頃です。
中部山岳国立公園 立山 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
黒部峡谷の紅葉が見頃を迎えていました! (写真はすべて11/7に撮影)
黒部峡谷は、宇奈月温泉から切り立った峡谷沿いにトロッコ列車が走っており、終点の欅平まで乗り物で行くことができます。
このトロッコ列車は、もともとは観光用列車としてではなく、黒部川の水力発電開発を進めるために作られたものです。現在は、冬のシーズンを除く4月~11月までの間、黒部の大自然を気軽にトロッコ列車を乗って楽しめるようになっています。
この日は、沿線の木々が紅葉を迎えており、終始絶景の中トロッコ列車が進んでいきました。
<宇奈月ダムの湖面橋>
<トロッコ列車からの紅葉>
<冠雪しているのがサンナビキ山周辺。雪と紅葉の両方が見られるという贅沢。>
終着駅の欅平駅です。
<欅平にて>
<欅平 黒部川と紅葉>
<欅平河原の足湯は残念ながら今シーズンの営業は終わっていました。>
この日は、お昼頃から雨が降ってきましたが、雨と霧が幻想的な雰囲気を醸し出していました。
<欅平駅上の展望台より奥鐘橋>
欅平駅を出てすぐ正面にあるのが「欅平ビジターセンター」です。
<欅平ビジターセンター>
黒部峡谷や中部山岳国立公園についての情報を知ることができますので行かれた際にはぜひお立ち寄りください。
<2Fの映像シアター>
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2020年11月06日富山空港にて国立公園紹介&写真展示中
中部山岳国立公園 立山 佐藤 裕子
11月2日から12月14日まで富山きときと空港にて、国立公園紹介と写真を展示中です!
入ってすぐの場所です!
(レイアウト、模索中です...)
写真は、2週間程度でテーマを変えていく予定です。
初回は「 いきもの 」です。
中部山岳では動物、昆虫、鳥...様々ないきものが暮らしています。
立山と言えば!のライチョウの写真も展示中です。
富山きときと空港へお越しの際はぜひご覧ください!
2020年11月04日立山室堂は冬を迎えています
中部山岳国立公園 立山 佐藤 裕子
10月17日に立山の初冠雪が発表されました。
平年より遅いとのことですが、一昨年・昨年と雪が少なかったため、今年は積雪量が多く感じられます。
写真はすべて10月末に撮影したものです。
今日(11月4日)の室堂ライブカメラは真っ白(ホワイトアウト)、写真の時より更に積雪していると思われます。
■今シーズンの代替歩道(※)の橋等は、冬期のため撤去しました。
写真の通り、室堂側の代替歩道入口にはロープを張っています。
通行していただく分には問題ありませんが、渡渉する可能性があり、通行には注意が必要です。
また、積雪しており、深いところでは1m以上あります。
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※呼吸器疾患や心臓病等持病のある方、妊婦、乳幼児などは高感受性者と呼ばれ、低濃度の火山ガスでも体に影響がある可能性が高いとされています。
室堂から雷鳥沢をつなぐ「代替歩道」は、火山ガスの影響が強いエンマ台から大日展望台間を避け、雷鳥沢まで歩くことができる道です。)
■エンマ台から大日展望台、雷鳥沢野営場等に設置した火山ガス濃度検知器は、
冬期のため10月末に撤去しました。
地形や風によって火山ガス濃度が急激に高くなる可能性もありますので、注意してご通行ください。
■雷鳥沢野営場管理所は10月末で冬期閉所しました。
野営場(キャンプ場)はご使用いただけますが、厳冬期のテント泊には経験や技術が必要です。
トイレや水場はありません。携帯トイレは忘れずにお持ちください。ゴミ(ペグ類)もすべてお持ち帰りください。自然素材であっても高山では還るのにとても時間がかかります。
携帯トイレは室堂駅内の入山安全相談窓口か、ホテル立山2階のお土産売り場で販売しています。
回収(ゴミ箱)は室堂駅内にあります。
2020年10月23日令和2年度火山ガス救急救助訓練
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
先日、令和2年度立山室堂地区安全対策連絡協議会 火山ガス安全対策救急救助訓練を行いました!
立山の室堂には「地獄谷」と呼ばれ、有毒ガスが発生するエリアがあります。現在は、地獄谷への立入りを禁止しています。
周辺の歩道である「エンマ台~雷鳥荘」間は火山ガスの噴煙が風に運ばれ特に影響を及ぼしやすい場所です。
環境省では、グリーンシーズンの間、このエリアの火山ガスの状況を検知器や監視員の巡回によって常時モニタリングしています。
<火山ガス情報ステーション>
今回は、万が一の自然災害や、特殊災害の発生に備え、山岳警備隊や消防、火山ガス監視員等の関係者と連携した救急救助訓練を実施しました。
当日は、歩道を歩いていた通行者2名が有毒ガス濃度の急激な上昇で倒れてしまった。というシチュエーションで訓練がスタートします。
<監視員と先行隊の山岳警備隊が傷病者を発見>
今年は、コロナ渦ということもあり、手袋や検温、シートで包む等、今まで以上に神経を使いながら搬送をする場面もありました。
<搬送車をシートで傷病者を覆う>
<傷病者がストレッチャーで搬送される>
また、事故発生に伴い、2次災害を発生させないための連絡体制の確認も行いました。
<訓練終了後の意見交換>
また午後には、火山ガスの有識者である、東京工業大学 野上教授による火山ガスについての講習会も行いました。(今回はリモートで実施しました)
日本は火山大国とも言われますが、全国に111の活火山があり、1951~2010年の間に発生した火山ガスによる事故は30件以上、53名の尊い命が失われました。
火山有毒ガスは、徐々に気分が悪くなるのではなく、条件が揃うと一瞬で倒れてしまったり、気を失ってしまうというとても恐ろしいものだそうです。
ですので、ちょっとだから大丈夫と思わず、危険区域(立入り禁止区域)には入らないことが重要です。
これからも、事故が起きないことを願っています。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2020年10月15日イタセンパラ生育状況調査~その②
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
先日のイタセンパラ生育状況調査に佐藤アクティブレンジャーと行ってきました。前回の佐藤ARの投稿はこちら。
時間が空いてしまいましたが、今回はその後の保護池での調査の様子です。
今回は、イタセンパラが順調に生育しているかどうかをイタセンパラ保護池で確認をしてきました。
<氷見市にあるイタセンパラ保護池>
※一般の方は保護池を見学することは可能ですが、池での採取は禁止です。
保護池内は、大きい池や小さい池、ワンドなど実際の川の生態系に近づけたつくりになっており、イタセンパラの飼育研究が行われています。
秋はイタセンパラの繁殖期にあたり、とても重要な時期です。イシガイやドブガイの二枚貝の体内に卵を産みこみます。
前日に仕掛けていた定置網を回収し、魚の種類ごとに分けていきます。私はまだ、種類を見分けることができないので精通されている方々がどんどん仕分けていきます。手際の良さはまさに職人技です!!
※一般の方は保護池を見学することは可能ですが、池での採取は禁止です。
そして、その結果は、イタセンパラを確認でき、順調に生育している様子を見ることができました。
こちらがイタセンパラのオスです。
尾ひれが黒っぽく、おなか周りは婚姻色と呼ばれるきれいなグラデーションを見ることができました。
そして、こちらがイタセンパラのメスです。
お腹付近から産卵管が出ているのがわかります。この産卵管を二枚貝の口に入れて排卵をするようです。
イタセンパラが絶滅を危惧される一方で、外来種として増殖しているのが「タイリクバラタナゴ」です。
<タイリクバラタナゴ。氷見ラボにて>
タイリクバラタナゴは、イタセンパラと大きさや形が似ており、繁殖期にイタセンパラの雌がパートナーを勘違いし繁殖機会を失っていたということが氷見ラボの研究でわかってきたようです。(タイリクバラタナゴ♂とイタセンパラ♀では繁殖ができない)
>>詳細を知りたい方はこちら
イタセンパラを絶滅させないために日々、調査、研究に尽力いただける方々がいることで、この地球上の豊かな自然が持続し、守られていくのだと思います。
富山へお越しの際には、「氷見ラボ」や「イタセンパラ保護池」へぜひお越しください。
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
「立山のいまとむかし~立山信仰と歩くアルペンルート~」と題して、立山の魅力をシリーズとして紹介しています。今回は第3回目で、「立山曼荼羅(たてやままんだら)」についてです。
<第1回目の記事はこちら>
<第2回目の記事はこちら>
立山曼荼羅(たてやままんだら)とは、立山信仰を全国に広めるために、立山山麓に住む人たちが「日本の越中に立山って言う場所があって、そこにはこんな世界が広がっているんだよ。ぜひお越しください。」と布教を行ったものです。
立山の歴史・文化について精通されている「立山博物館」では、所蔵されている立山曼荼羅が50点程あるようです。
<立山町芦峅寺にある 立山博物館>
立山曼荼羅は、掛け軸(掛幅)になっており、通常は4枚で1つの立山信仰の世界が描かれています。大きいものでは、縦180cm×横240cmのサイズがあります。4つに分割をすることで、携帯性を良くし、全国に持って行きやすいようにしたようです。
この立山曼荼羅は、立山信仰を広めるために重要な役割を担っていました。
口頭で「立山ってこんなすごいところがあるんだよ~」と伝えるよりも、絵を通して伝えた方がよりわかりやすく、説得力があります。確かに、現代でも写真を使った方がその場所の情報を伝えやすいですし、「行ってみたい!」という気になります。
先にご紹介をしたように立山曼荼羅でもたくさんの種類があります。その中の1つが「吉祥坊本」です。立山曼荼羅ごとにも名前が付いているんですね。
<富山県[立山博物館]蔵、国指定重要有形民俗文化財>
※立山博物館より許可を得て掲載しています。
そして、こちらが「善道坊本」です。
<富山県[立山博物館]蔵、国指定重要有形民俗文化財>
※立山博物館より許可を得て掲載しています。
写真ではわかりずらいですが、立山曼荼羅には、いくつも種類があり、その中でも描かれているものが異なっているようです。立山曼荼羅の中には、「様々な地獄」が描かれていたり(現在の地獄谷)、「立山開山」した場面が描かれていたり、その他にも雄山山頂の「峰本社」や、剱岳、浄土山、室堂、美女杉など現在でも呼ばれている地名が描かれています。絵と照らし合わせて、現在の場所と比較してみると「ここは、ここのことか~!」と発見があり面白いです。
「立山曼荼羅」を見て「立山登山・周遊観光」をしてみても面白いですし、
「立山登山・散策(観光)」をした後に「立山曼荼羅」を見てみるというのもまた面白いです。
立山へお越しの際には立山曼荼羅を展示している、「立山博物館」へセットで立ち寄るのもお勧めです。ちなみにすぐ隣は雄山神社中宮祈願殿がありお参りもできます。
<雪の雄山神社中宮祈願殿>
富山県側から立山駅へ向かう途中の「芦峅寺」という集落に立山博物館はありますのでぜひ寄ってみてはいかがでしょうか。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。