中部山岳国立公園 立山
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2017年08月17日大日岳巡視
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
お盆休みはいかがお過ごしでしたか?
さて、8月15日(火)に称名平から大日小屋(大日岳山頂まで20分程度の山小屋)までの巡視を行いました。
登山口は、レストハウス称名から称名滝へ向かう途中にあります。
大日平までは急な坂、鎖場、梯子等がありますが、慎重に足を運びました。
【大日岳登山口】8月15日撮影
【登山道の様子①】8月15日撮影
岩場に鎖がかかっている場所は急で滑りやすいので、足元を確認しながら歩いてください。
木道が見えてくると、まもなく大日平です。
2012年に弥陀ヶ原とともにラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録された湿原です。
広々とした湿原の風景と湿原地帯に生育するチングルマやワタスゲ等の植物に癒やされました。
【大日平】8月15日撮影
この景色を眺めながらゆっくりするのもおすすめです。
大日平より大日小屋に向かう途中も急な坂が続き、沢を渡る箇所が数箇所あります。
増水時には十分ご注意ください。
【登山道の様子②】8月15日撮影
写真ではわかりにくいですが、沢沿いを登っています。
今回はこのコースを日帰りで歩きましたが、標高差がありコースタイムで9時間以上(登山口~大日小屋往復、山と高原地図参照)かかります。
展望が良いコースですので、ぜひ宿泊されて景色を楽しまれることをおすすめします。
大日小屋から奥大日岳へ向かい、室堂へと縦走することも可能です。
2017年08月08日登山者カウンター設置
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
梅雨明けを喜んだのも束の間、今度は台風の影響で8日午前現在は時折強い雨が降っています。
先日、室堂周辺及び弥陀ヶ原に登山者カウンターを設置しました。
毎年登山者カウンターを設置し、夏山シーズンの利用者数を確認しています。
各所で以下のような登山者カウンターを見かけた場合、その前で立ち止まらないようにお願いします(カウント数が余計に増えてしまう恐れがあります)。
また、登山者カウンターには触れないようお願いします。
【登山者カウンター①】7月27日撮影
【登山者カウンター②】7月27日撮影
こちらのタイプのカウンターは、登山道の両側に設置されています。
登山者カウンターの設置中にも周りの景色が気になるものです。
室堂には週に1回ほど足を運びますが、7月は梅雨の影響で青空と広々とした景色を見ることが中々できませんでした。
少しの時間とは言え久しぶりに青空が広がり、景色が楽しめました。
【青空と立山】7月27日撮影
本格的な夏山シーズン、立山は多くの利用者で賑わっています。
涼しい立山でゆっくりと散策、登山を楽しんでみてはどうでしょうか。
天気予報はしっかりと確認され、悪天候の場合は無理な行動はしないようお願い致します。
2017年07月10日朝日岳山開き
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
非常に暑くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
7月8日(土)、9日(日)に朝日岳山開き登山会に参加しました。
朝日岳は、富山県と新潟県にまたがり、北アルプス・後立山連峰にある山です。
非常に多くの積雪があり、雪解け後には多くの高山植物が花を咲かせます。
この山開きに参加し、今シーズンの登山の安全を祈願してまいりました。
8日には、麓の朝日町・小川温泉元湯に関係者らが集い、入山式が行われ、登山における注意事項等を説明していただきました。
入山式後には登山口である北又小屋まで移動し、テープカットを行いました。
【入山式】7月8日撮影
北又小屋から宿泊地の朝日小屋までは標高差約1400mあり、急な場所もあるため、ゆっくりと登り深緑や高山植物を楽しみました。
【キヌガサソウ】7月9日撮影
朝日小屋に到着後、小屋の近くにある朝日神社にて山開き及び登山安全祈願祭を行い、今シーズンの登山の安全を祈願しました。
【山開き、登山安全祈願祭】7月8日撮影
9日早朝、真っ暗な中ヘッドライトを点けて朝日岳山頂に向かいました。
山頂でしばらく待つと、素晴らしい朝日(ご来光)が見られました。
山開きの日に朝日が見られたのは4,5年ぶりとのことで、初めて登頂した私としてはとても幸運でした。
【ピンク色に染まった朝日】7月9日撮影
朝日岳への登頂ルートはいくつかありますが、いずれも長時間歩く必要があります。
7月9日現在、まだ残雪が多く、視界が悪いときは道迷いの危険性があります。
事前に情報を確認され、余裕をもった計画を立てて登山していただきたいと思います。
2017年06月28日立山町千寿ヶ原コミュニティ防災訓練
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
6月27日に、立山町主催の千寿ヶ原地域コミュニティの防災訓練に参加しました。
千寿ヶ原地域は、中部山岳国立公園の富山県側の玄関口であり、国内外から多くの観光客が訪れます。
立山自然保護官事務所では、地獄谷の火山ガス対策を行っており、地域住民の方に火山ガスのことやその対策を知っていただきたく思い、説明する機会をいただきました。
始めに、集中豪雨による土砂災害を想定した防災訓練が行われました。
立山駅で待っていると放送が流れ、近くの国立登山研修所へ避難するよう指示があり、消防や警察の協力の元避難訓練が行われました。
日本語だけでなく台湾語と英語でも放送し、外国人観光客に向けても情報を発信しました。
避難後には保健師による救護・健康観察を行い、参加者はアルファ米と飲料水を受け取りました。
【国立登山研修所へ避難】6月27日撮影
防災訓練後は立山駅に戻り、火山ガス対策について説明しました。
まずは火山ガスの基礎知識(性質や対策)、火山ガス検知機器の設置や情報発信状況について、木村保護官が説明しました。
その後、防毒マスクと簡易呼吸器(酸素ボンベ)の装着方法について中山が説明し、参加者にも実際に装着していただきました。
普段見ることがないであろう防毒マスクや簡易呼吸器に、地元住民の方々は興味津々であり、「防毒マスクをつけても思ったより息苦しくない」「簡易呼吸器は重い」と言った声があがりました。
【火山ガスに関する説明】6月27日撮影
【防毒マスクの装着の実演】6月27日撮影
防毒マスクや簡易呼吸器は、緑色の防災箱に入っています(エンマ台に今後置く予定です)。
地獄谷の火山ガス濃度が高くなり危険を感じた場合は、ご使用ください。
また、水で濡らしたタオルやハンカチ等で口や鼻を覆うことで、影響を減らすこともできます。
詳細は以前の日記(http://chubu.env.go.jp/blog/2017/06/post-389.html)もご覧ください。
2017年06月23日もうすぐ夏山シーズンの立山
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
富山県も梅雨入りし、これから本格的に雨が降るのかと思いきや、意外と降っておりません。
さて、だいぶ雪が少なくなってきており、もう少しで北アルプスの3000m級の山々も本格的に夏山シーズンが到来しますね。
もう予定を立てているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
立山は1週間後の7月1日(土)に夏山開きを迎えますが、その前に室堂周辺を歩いてきました。
【みくりが池と立山三山】6月22日撮影
みくりが池はまだ半分以上は水面が見えていません。手前に写っている山本ARは、みくりが池に踏みいらないようポール・ロープを移動させています。みくりが池や地獄谷に落ちないよう、ポール・ロープがある場所では外れて歩かないようお願いします。
【歩道のひび割れ】6月22日撮影
エンマ台から雷鳥荘方面へ数分下りた歩道にひび割れがあります。バランスを崩したり足を捻ったりする危険性がありますので、歩く際はご注意ください。
【水場の設置】6月22日撮影
雷鳥荘前と火山ガス情報ステーション前に水場が設置されました。地獄谷では火山ガスが発生しており、濃度が上昇する場合があります。臭いを感じましたら、タオル等を水で濡らして口に当てることによって、影響を少なくできます。詳しくは、右のリンク先をご覧ください。http://chubu.env.go.jp/nagano/post.html
【水浴び中】6月22日撮影
目の前でカヤクグリが水浴びをしていました。私や山本ARから距離3,4m程度でしょうか。こんな至近距離でも逃げようとしませんでした。
立山は夏山シーズンには大変な賑わいをみせますが、今の時期は観光客・登山客ともに少なく、静かな立山を楽しむことができます。
歩道上にはまだ雪が残っていますので、長靴や登山靴等を準備されることをおすすめします。
2017年06月13日薬師岳夏山開き
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
6月に入っても立山町はそれほど暑くはなく、比較的快適に過ごしています。
6月10日(土)、11日(日)と薬師岳夏山開き安全祈願祭及び記念登頂会に参加しました。
この夏山開きは、夏山シーズンの登山者の安全を祈願し、また全国に薬師岳の夏山シーズンの到来をPRするものです。
10日は、まず富山市大山地区の亀谷(かめがい)温泉郷に関係者が集い、槍ヶ岳を開山したことでも知られる播隆上人(ばんりゅうしょうにん、現在の富山市大山地区出身)像の前で登山者の安全を祈願しました。
【安全祈願祭】6月10日撮影
その後に登山口である折立(おりたて)に移動し、登山口に入ってすぐの十三重之塔へ。
昭和38年に三八豪雪に遭い薬師岳遭難死した愛知大学山岳部員13名の慰霊のため設置されたものです。
【十三重之塔】6月10日撮影
10日は太郎平小屋まで向かい、翌11日に薬師岳山頂へ登頂しました。
山頂には祠があり、薬師如来が安置されました。
薬師如来は、左手に薬壺(やっこ)を持ち、病気に苦しむ人々を救う仏であるとされています。
夏山開き時に山頂の祠に薬師如来を安置することで、夏山シーズンの登山者の安全を祈願しました。
【薬師岳山頂での安全祈願】6月11日撮影
登頂した11日は晴天に恵まれ、山頂や登山道からは素晴らしい景色を堪能できました。
立山、剱岳、槍ヶ岳、穂高連峰と言った山だけでなく、富山平野や日本海も望めました。
【薬師岳山頂から立山・剱岳方面の景色】6月11日撮影
【薬師岳登山について】
6月11日現在、薬師岳はまだ多くの残雪に覆われています。
山頂付近は特に風が強く、急に天候が変化することもあります。
雨具、防寒着、アイゼン等を準備してお越しください。
2017年06月01日アクティブ・レンジャー国立公園写真展開催!
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
立山自然保護センター及び美女平駅で、国立公園の写真展を6月1日より開催しています。
平成28年度に長野自然環境事務所管内(中部山岳国立公園、妙高戸隠連山国立公園、上信越高原国立公園)のアクティブ・レンジャーたちが撮影した、四季折々の素晴らしい景色や生き物たち、国立公園における取り組みの写真を展示しています。
3つの国立公園についての紹介、レンジャーやアクティブ・レンジャーの仕事について紹介したパネルも併せて展示していますので、ぜひゆっくりとご覧ください。
また、美女平駅の写真展会場の机の上にノートを置いてありますので、写真展の感想を書いていただけると幸いです。
◇平成29年度環境省アクティブ・レンジャー国立公園写真展in立山◇
期 日:平成29年6月1日(木)~6月30日(金)
場 所:立山自然保護センター(8:30~17:00)、美女平駅(7:00~17:30)
入場料:無料
【立山自然保護センターの写真展】5月31日撮影
階段の踊り場で展示しています。
【美女平駅の写真展】5月31日撮影
2階で展示しています。
なお、立山以外の地区でも国立公園写真展を開催します。
詳しくは下記リンク先をご覧ください。
2017年05月29日ライチョウの様子
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
平地では30℃近くにもなる暑い日もありますが、標高2450m程度の立山室堂は未だに豊富な残雪に覆われています。
暑さや雨により雪解けが進み、「ハイマツ」という背丈が低いマツの木が目立つようになりました。
そのハイマツ周辺やハイマツ帯の中で、種の保存法により国内希少野生動植物種に指定されている「ライチョウ」をよく見かけます。
ハイマツ周辺だけでなく、岩の上でオスが見張りをする姿や雪の少ない場所で番(つがい)で行動する姿も見かけます。
【見張り中】5月12日撮影
一際目立つところで動き回って周辺を見回していました。縄張りを守るための見張りをしていたのかと思います。
【番で行動中】5月24日撮影
オス(右)がメスの後をつくような形で、草をつっついていました。
ここで皆様に、ライチョウを観察・撮影するときのお願いがあります。
○これからライチョウは卵を産み、子育ての時期に入ります。あまり近づきすぎないよう、少し離れて見守るようにしましょう。
○雪解けがさらに進むと、ハイマツ以外の植物もどんどん見えてきます。ライチョウにとってはそれらの植物がエサとなりますので、植物を踏み荒らしたり採取したりしないようにしましょう。
2017年05月15日ゴールデンウィークの立山室堂巡視
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは。
立山自然保護官事務所の中山です。
ゴールデンウィーク期間中、立山室堂から雷鳥沢野営場まで巡視をしました。
この巡視では、地獄谷やライチョウ保護区域といった立入禁止区域への立入がないかの確認を行いました。
【大日連山を眺める利用客のみなさま】5月4日撮影
雄大な大日連山を眺めつつ、写真を撮る方が多く見られました。手前には地獄谷があり、火山ガス濃度が上昇して危険であり、立入禁止としています。滑落の危険性もありますので、ロープの内側には入らないようお願いします。
【雷鳥沢野営場】5月4日撮影
多い日では250張以上が張られていたそうです。カラフルなテントが、白一色の世界によく映えました。
【雷鳥沢野営場で回収したゴミ】5月7日撮影
残念ながら、こんなにもゴミがありました。雪に埋めてしまっても、雪が解けたら出てきます。ゴミは捨てずに持って帰るようお願いします。また、雷鳥沢野営場には水洗トイレがありますが、携帯トイレを持参され、室堂ターミナルで捨てるかご自宅で捨てるようお願いします。
その他、以下をご一読いただき、自然と景観を守りつつ安全に登山、散策等を楽しんでいただきたく思います。
地獄谷の通行規制→http://chubu.env.go.jp/nagano/post.html
室堂平の積雪期利用ルール→H29_春期リーフレット .ai
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
室堂周辺では秋らしさを感じるようになってきました。
ウインドブレーカーやフリース等の羽織り物が必須です。
さて、立山室堂周辺の地獄谷では火山ガスが噴出しています。
地獄谷内の歩道は通行止めになっておりますが、地獄谷の近くを通り上から望むことはできます。
地獄谷の近くを歩いたことがある方は、卵が腐ったような臭いを感じることがあったと思います。
火山ガスは、風向きや天候によって濃度が上昇することがあります。
また、人によって感じ方も違い、喘息の方や妊娠中の方等は特に注意が必要です。
火山ガスの影響を弱めるため、お越しの際はタオル等を水で濡らして口に当てることが有効です。
【水場】8月18日撮影
火山ガス情報ステーション横、雷鳥荘近くに水場が設置されています。
室堂ターミナルや火山ガス情報ステーション、各山小屋の電光掲示板の案内も確認して行動してください。
【火山ガス検知器】8月18日撮影
【電光掲示板】
写真はテスト画面です。
火山ガスの濃度の上昇が続いた場合に備えて、室堂山荘から雷鳥沢野営場間の「代替歩道」を整備しています。
室堂山荘側からは、少し一ノ越方面へ向かい左折します。
雷鳥沢野営場側からは、浄土川を渡り右折します(左折すると剱御前・奥大日岳方面です)。
道が狭く、足場が不安定な場所があります。
また、遅くまで残雪があるため、積雪状況に注意してください。
【代替歩道(上:室堂山荘側 8月10日撮影 下:雷鳥沢野営場側 7月27日撮影)】
火山ガスに関する詳細は、長野自然環境事務所のHP(http://chubu.env.go.jp/nagano/post.html)をご覧ください。