中部山岳国立公園 立山
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2017年11月15日立山カルデラに行ってきました
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
立山町もすっかり冷え込んできて、布団やコタツが恋しく感じます。
さて11月6日に、立山カルデラに行ってきました。
閉山直前ではありましたが、立山カルデラ砂防博物館の学芸員の方に案内していただきました。
立山カルデラは、弥陀ヶ原火山に食い込んだ谷が激しい侵食作用によって拡大してできた浸食カルデラといわれています。(出典:立山カルデラ砂防博物館ウェブサイト)
【六九谷展望台からの立山カルデラの展望】11月6日撮影
1969年の集中豪雨により生じた谷であり、立山カルデラが一望できます。奥には白くなった立山連峰が見え、真ん中に鬼岳、左に龍王岳や浄土山、右に獅子岳や鷲岳等が写っています。
【鳶山崩れ(左:大鳶崩れ、右:小鳶崩れ)】11月6日撮影
上の写真より右に目を向けると、1858年の飛越地震により生じた鳶山崩れが見られます。
鳶山崩れにより発生した土石流が当時賑わっていた立山温泉を襲い、崩壊しました。
1869年に再興しましたが、立山黒部アルペンルート開通の影響で利用客が減少し、1973年に閉鎖されました。
その温泉の跡地があり、タイルがしっかりと残っています。
【立山温泉跡地】11月6日撮影
そして、飛越地震をきっかけに、常願寺川流域での土砂災害を防ぐために建築されたのが、白岩砂防堰堤です。
本堰堤と7基の副堰堤からなるこの施設は、白岩堰堤砂防施設として国の重要文化財に指定されています。
【白岩砂防堰堤から望む湯川上流側】11月6日撮影
立山カルデラは安全上自由な出入りはできませんが、富山県、立山カルデラ砂防博物館主催の体験学習会に参加することで見ることができます(今年度は終了しました)。
詳しくは以下のリンク先よりご覧ください。
立山カルデラ砂防博物館 → http://www.tatecal.or.jp/tatecal/index.html
2017年11月02日イタセンパラ保護増殖事業
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
いつもは山に行ってばかりの私ですが、珍しく川に行ってきました。
環境省長野自然環境事務所では、希少種の生息環境の保全を図るため、「イタセンパラ」の生息地における特定外来種の駆除を実施しています。
イタセンパラについては、下のページもご覧ください。
http://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/itasenpara.html
【イタセンパラ】10月25日撮影
手前の魚が、イタセンパラです。
イタセンパラは環境省レッドリストで絶滅危惧IA類に分類され、種の保存法で国内希少野生動植物種に指定されています。
漢字で書くと「板鮮腹」、板のように平べったく産卵期には鮮やかな色になることからこの名前がつけられました(ちなみに、奥の魚は「ミナミアカヒレタビラ」で同じく環境省レッドリストでIA類に分類されています。)。
富山県氷見市では、富山大学との連携研究室「ひみラボ」を拠点に、イタセンパラの調査、保護、啓発活動等を行っています。
今回は天敵となるオオクチバスの駆除調査に同行し、イタセンパラの生息地の状況や現地の取り組みを確認しました。
氷見市教育委員会の学芸員の方やNPO法人 BIOクラブの代表の方に、駆除を行っている2つの河川に案内していただきました。
【地引き網によるオオクチバス駆除作業の様子】10月25日撮影
イタセンパラが生息するためには、エサとなるプランクトンや卵を産みつける二枚貝が生息していることが重要です。
イタセンパラは秋にイシガイ等の二枚貝に卵を産み付け、貝の中で仔魚(しぎょ)にふ化して冬の間を過ごします。
春になり、貝から出てきてからは動物プランクトンや植物プランクトンを食べて成長します。
【イシガイ】10月25日撮影
川での駆除作業後は、イタセンパラ保護池に案内していただきました。
イタセンパラの保護増殖を行うとともに来訪者が自然と触れあえることができる施設であり、イタセンパラが住みやすくするための環境を整備しています。
【イタセンパラ保護池】10月25日撮影
ひみラボ内にある「ひみラボ水族館」では、イタセンパラやその他淡水魚等の生態展示、事業の取り組みを紹介した展示等が見られます。
ぜひ訪れてみてください。
詳細はウェブサイトをご覧ください。
https://sites.google.com/site/himilab/
【ひみラボ水族館】10月25日撮影
2017年10月30日真っ白になりました!
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
立山町もだいぶ寒くなってきており、我が家ではこたつを出しました。
ストーブはいつ点けることになるでしょうか。
さて、室堂と弥陀ヶ原に設置した登山者カウンターを撤去しました。(8月の記事もあわせてご覧ください→http://chubu.env.go.jp/blog/2017/08/post-433.html)
26日に室堂や弥陀ヶ原に行ってみると、一面の白銀の世界が広がっていました!
【真っ白になった立山】10月26日撮影
ご覧の通り室堂から立山まで一面真っ白でした!踏み固められていない場所では、ヒザからヒザ上まで埋まるくらいの深さでした。
【こちらも白くなった弥陀ヶ原】10月26日撮影
室堂ほどではありませんが積雪があり、雪原の景色を楽しめました。奥には、富山平野が広がっていました。
【雪に埋もれた室堂の登山者カウンター】10月26日撮影
登山者カウンターも少し埋もれていたため、スコップで掘り起こしてから撤去しました。
また、室堂には、以下の写真のように竹の棒が刺してあります。
視界が良くないときでも、この棒を目印にして歩くことができます。
【竹棒】10月26日撮影
11月30日(木)にアルペンルートの営業が終了します。
立山にお出かけの際は、最新の様子や天気予報、アルペンルートの交通状況(特に立山高原バスは積雪で運休になりやすいです)を確認されてください。
また、暖かい服装や防水性の靴、サングラス、日焼け止め等を準備されてください。
日焼け止めを忘れた私は、室堂ターミナルの立山ガールさんに「顔が焼けすぎて一瞬誰か分かりませんでした」と言われたほどでした。笑
2017年10月24日紅葉いろいろ
中部山岳国立公園 立山 アクティブレンジャー 山本美智子
立山室堂は既に雪が降り始めていますが、少し標高が低い場所へ行くと、まだまだ紅葉が見られます。
この時期は、立山の大きな標高差によって出来る多様な景色を楽しめます。
紅葉も遠くから眺めるだけでなく、葉っぱ一枚一枚を近くで見てみると、
葉っぱの形や色が違うことがわかります。
どうして違うのかな?と考えながら観察してみるのも面白いですよ。
左:ブナ 右:ミズナラ
左:ヤマウルシ 右:タムシバ
左:アサノハカエデ 右:ヤマモミジ
2017年10月19日歩くアルペンルートの巡視
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
10月17日に立山は初冠雪を記録しました。
10月19日現在室堂でも積雪があり、山にはもう冬が訪れています。
寒さ対策、雪対策はしっかりと準備してお出かけください。
立山の状況は、インターネット自然研究所の「立山三山」からご覧になることができます。
http://www.sizenken.biodic.go.jp/
10月18日に、「歩くアルペンルート」の巡視を行いました。
歩くアルペンルートは、立山信仰のために利用されていた旧立山登拝道を整備してできた登山道であり、立山駅近くの国立登山研修所前から室堂、さらには黒部ダムまで歩くことができます。
今回歩いたのは、標高1,630mの弘法から標高480mの国立登山研修所前までです。
この区間はタテヤマスギやブナ、ホオノキ等の巨木が立ち並んでおり、今の時期は紅葉が楽しめます。
春から夏にかけては、花の観察も楽しめそうです。
【弘法周辺の登山道】10月18日撮影
弘法周辺は紅葉の見頃が過ぎ、たくさんの落ち葉の上を歩きました。
【歩くアルペンルートから見た立山黒部アルペンルート】10月18日撮影
少し開けた場所では、立山黒部アルペンルート(写真は標高1,380mの桑谷)が見られます。途中、道路のすぐ傍や道路を歩くことがありますので、車やバスにご注意ください。
【梯子】10月18日撮影
1箇所だけ梯子が設置されています。慎重に登り下りしましょう。
【材木石】10月18日撮影
材木石という溶岩が露出しています。立山火山の一部であり、その火山から噴出して固まる際に六角柱状に割れて出来たもので、形が材木に似ていることからその名前がつけられました。
2017年10月06日黒部峡谷の案内施設
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
先日、黒部峡谷鉄道のトロッコに乗って欅平に行ってきました。
欅平には、環境省直轄の施設である「欅平ビジターセンター」があります。
そのビジターセンターで、Wi-fi開通工事の立会いをしてまいりました。
無事に工事が終了し、ビジターセンターの館内でWi-fiに接続できるようになりました。
欅平ビジターセンターは、黒部峡谷鉄道の欅平駅を出てすぐ左側にある施設で、黒部峡谷の地形や動植物、遊歩道・登山道等を、様々な展示物で紹介しています。
職員が常駐しており、様々なお話が聞けます。
また、黒部峡谷自然解説員(ナチュラリスト)もビジターセンターの入口で黒部のことに関してご案内しております。
欅平にお越しの際は、ぜひビジターセンターに足を運んでみてください。
詳細はWebサイトをご覧ください。
http://www.keyakidaira.info/
【欅平ビジターセンターの外観】10月4日撮影
【展示スペース ~1階~】10月4日撮影
入口から入ってすぐ右側では、ビデオで黒部の四季を紹介しています。
【展示スペース ~階段~】10月4日撮影
階段も展示スペースとなっており、欅平から黒部ダムまでの登山道が紹介されています。
欅平ビジターセンター周辺は遊歩道が整備され、少し歩くだけで雄大な黒部峡谷のV字谷を見ることができます。
特にこれからは紅葉が見られる時期で、より一層美しい景色が楽しめることと思います(10月4日現在、ほとんど色づいていませんでした)。
【黒部峡谷】10月4日撮影
欅平駅から徒歩約10分でこの景色が楽しめます。赤色の奥鐘橋からの景色も見事ですよ!
宇奈月駅から欅平駅までは片道で約1時間20分かかりますので、時間に余裕を持ってお越しください。
冷え込む日もありますので、ジャケットや手袋等も準備されることをおすすめします。
2017年10月05日火山ガス救急救助訓練
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
朝晩は冷え込み、山では氷点下の日もあるようです。
そろそろ室堂でも雪が降るかもしれません。
さて、9月29日に山岳警備隊、消防本部、室堂の山小屋関係者等が集まって、火山ガス救急救助訓練を行いました。
この訓練では、室堂のエンマ台から大日展望台間で火山ガス事故を想定した連絡体制の確認や救助訓練を行いました。
【傷病者を発見し呼びかける】9月29日撮影
【傷病者を搬送】9月29日撮影
【無線で連絡を取り合う】9月29日撮影
火山ガス情報ステーションの監視員同士で無線連絡を取る様子。
地獄谷では噴気活動が拡大活発化しており、風向きや天候によってエンマ台から大日展望台の火山ガス濃度が高まる恐れがあります。
火山ガスの情報は、室堂ターミナルや立山自然保護センター、火山ガス情報ステーション、各山小屋の電光掲示板で得ることが出来ます。
火山ガスの対策として、水で濡らしたタオルやハンカチ等を口に当てることが有効ですので、ぜひお持ちください。
火山ガスに関しては、9月8日の記事もご覧ください。
2017年09月22日黒部源流域へ
中部山岳国立公園 立山 アクティブレンジャー 山本美智子
筆無精で、かなり久々の更新になってしまいました。
台風通過前に、黒部源流域に行って参りました。
雲ノ平から望む水晶岳
水晶岳から望む薬師岳
鷲羽岳から望む鷲羽池と槍ヶ岳
薬師沢
山の上は、もう冬の足音が聞こえてきています。
霜に耐える高山植物も美しいのですが、やっぱり寒い・・・。
寒くなってくると、"ふわふわ"や"もふもふ"が恋しくなりませんか?
私のおすすめ"もふもふ"は、ライチョウ、オコジョ、マルハナバチです。
触ることは出来ませんが、出会えるとちょっと暖かい気持ちになります。
みなさんも"もふもふ"を探しながら歩いてみませんか?
2017年09月22日紅葉の様子
中部山岳国立公園 中山博人
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
先週末から今週にかけて台風18号が上陸し、多大な被害に遭われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
心よりお見舞い申し上げます。
室堂では大きな被害はなく、3連休明けの19日にはすっきりとした青空が広がりました。
さて、山の方では本格的な紅葉シーズンに突入します。
立山では、弥陀ヶ原やそれより標高が高い場所で既に紅葉が楽しめます。
19日現在、見頃とは言えないものの黄色やオレンジ、赤色の葉が目立つようになりました。
弥陀ヶ原では、草が紅葉する「草紅葉」が見られるようになってきました。
他にもナナカマドの葉や実が赤くなってきており、緑色とのコントラストが美しいです。
富山平野や大日連山を眺めながら、弥陀ヶ原でゆっくり過ごすのもおすすめです。
【弥陀ヶ原の草紅葉】9月19日撮影
室堂では、イワイチョウの葉が黄色くなっているのが目立ちます。
今週に入り、チングルマの葉が赤くなり始めました。
【立山の紅葉】9月19日撮影
紅葉だけでなく、動物にも目を向けてみてください。
弥陀ヶ原ではベニヒカゲ、コヒョウモンといった蝶が優雅に飛び回り、室堂ではライチョウの親子やイワヒバリ、ホシガラスといった野鳥が元気に過ごしています。
【コヒョウモン】9月4日撮影
【ライチョウ】9月11日撮影
日中と朝晩の寒暖差が大きくなってきましたので、特に宿泊される方は、ダウンジャケットや手袋等の防寒着を準備されてください。
また、植生に足を踏み入れての写真撮影等はご遠慮いただくようお願い致します。
こんにちは、立山自然保護官事務所の中山です。
11月30日を以て、立山黒部アルペンルートの営業は終了します。
室堂はすっかり雪に覆われた一面の銀世界、美しい光景が広がっています。
それは同時に、室堂は標高2450mの大変厳しい自然環境下にあることを意味しています。
そこで、利用者の安全確保と自然環境保全のため、室堂平周辺積雪期利用適正化協議会では「室堂平の積雪期利用ルール」を設けています。
詳しくは、環境省長野自然環境事務所のウェブサイトや以下のポスターをご覧ください。
環境省長野自然環境事務所 → http://chubu.env.go.jp/nagano/pre_2017/11.html
【左:室堂平の積雪期(秋期)利用ルール、右:室堂平の積雪期利用ルールマップ】
入山の際は、室堂ターミナル内の入山安全相談窓口にて必ずレクチャーを受けてください。
ターミナルの外にトイレはありませんので、携帯トイレを持参し、室堂ターミナル内の回収ボックスをご利用ください。
【携帯トイレ回収ボックス】
室堂ターミナル1階、ゴミ箱の右側にある黄緑色の蓋の小さな箱が、携帯トイレ回収ボックスです。
視界不良や雪崩による遭難の危険性がありますので、決して無理のない行動をお願い致します。
また、立山駅や扇沢駅に自家用車でお越しの際は冬用タイヤを装着のうえ、必要に応じてチェーンも装着してください。
【立山駅周辺の様子】11月21日撮影