ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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中部山岳国立公園 松本

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2009年07月09日毎日蒸気をあげている活火山、焼岳へ

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

上高地から梓川の上流を眺めると秀麗な穂高連峰、振り返って下流に目をやると対照的なごつごつした焼岳の登山道調査に行ってきました。

今回は上高地から見ると反対側、岐阜県の中尾登山口からスタート。山頂までの標高差約1,200mをひたすら登りつめて行きます。樹林帯の歩きやすい道です。

途中にヒカリゴケがありました。

ヒカリゴケは自分で発光しているのではなく、反射によって光って見えるのですが、たいてい洞窟の奥など暗いところにあって自然光が届かないのでライトで照らしたりフラッシュ撮影すると分かりやすいです。緑色に輝いて幻想的です。

その他、オオバミゾホオズキ、ヤマオダマキ、ショウキランなどの花が見られました。

新中尾峠にある焼岳小屋を過ぎると間もなく森林限界に達し、殺伐とした岩の世界。硫黄の臭いが漂ってきて、生きた火山の息遣いが感じられます。

火山ガス噴出口の真横を通るとようやく山頂(北峰)です。
視界がよければ眼下には上高地が広がり、火口湖、笠ヶ岳や乗鞍岳まで見晴らすことができます。なお、南峰は危険なため立入禁止です。

下山は上高地方面へのルートをとりました。比較的なだらかですが、長~いハシゴが待っています。


上高地の散策ついでにハイキング気分で焼岳へ・・・といきたいところですが、このハシゴを見て退散する方も多いとか。ここをクリアしたとしても、焼岳小屋から山頂までは足場がもろくもっと難易度が高いですので、それなりの心構えで挑戦してくださいね。

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2009年05月21日乗鞍高原牧場をつっきるお散歩コース

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

5月17日に一の瀬園地で乗鞍高原開山祭が行われました。当日はあいにくの雨模様でしたが、歩道調査に出かけた昨日はポカポカ陽気で、たくさんの人が思い思いに散策を楽しんでいました。

一の瀬園地は広すぎてどこを歩けば分からない・・・という方のために、あまり知られていないおすすめコースを1つご紹介します。

一の瀬園地にある食堂「座望庵」横の広い駐車場からスタート。
広大な牧場の草地をつっきって、ミズバショウ群生地へ至る約2kmのコース。

雄大な乗鞍岳を眺めながら、のどかな牧場をのんびり歩きます。満開を過ぎたけれどスモモの花がまだ楽しめました。

スモモの花

木道があるわけでもなく踏み跡もはっきりしなかったりと、ちょっと不安になってきますが、要所に立っている1~10番の標柱が心強い。

だいたいの方角は、乗鞍岳を目指せば間違いないでしょう。きっちり道が決まっていない分、開放感たっぷりのコースです。
帰りは野営場を抜けた後、舗装された歩道または木道を通って駐車場へ戻ることができます。道がたくさんあってどれにしようか迷いますね。

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2009年05月11日乗鞍岳の春山状況

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

松本の平野部では30度を超える真夏の暑さを記録したところですが、標高3,000mを超える乗鞍岳はまだまだ白銀の世界です。ゴールデンウィーク中の様子を見に行ってきました。

大雪渓付近(標高約2,600m)。春山を楽しみに来た人たちが列をなしてさらに上を目指します。登山、スキー、スノーボード、楽しみ方は様々なようです。

標高を上げていくと不意に現れたのは穂高連峰。上高地から見上げる姿とは角度が違い、同じ高さの目線から眺めると新鮮なものがあります。今日は槍ヶ岳まで望むことができました。

ツアーコースを滑って降りる場合は標識やロープを見落とさないようにご注意ください。特に視界の悪い日は沢に迷い込む危険があります。また、安全面・自然保護面から滑走範囲が決められていますのでルールを守って楽しみましょう。詳細は位ヶ原山荘など要所で配布しているパンフレットをご覧ください。

周辺ではライチョウの鳴き声が方々から聞こえました。飛び交う姿も複数見られ、繁殖に向けて活動が活発になってきています。生活の場となるハイマツ帯には近づかないでくださいね。

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2009年04月16日雪解け進む乗鞍高原

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

春の陽気が続いていますが、ここ乗鞍高原も日中は上着なしで過ごせるさわやかな気候に包まれています。スキー場の営業も終わり、訪れる人が少ない時期ですが、早春ならではの楽しみがたくさんあります。



一の瀬園地にあるまいめの池は、真冬には完全に凍結していましたが、岸辺に沿って氷が融け始めていました。池に映る乗鞍岳の雄姿が再び見られる日はそう遠くなさそうです。隣にあるしのぶの池は例年ゴールデンウィークの頃にミズバショウが咲き乱れますが、今は水中に顔をのぞかせている状態でした。

場所によっては既に顔をのぞかせたミズバショウを見つけることができます。今年は積雪が少なかったので、早くにピークを迎えるかもしれません。これからのお天気次第でしょうか。楽しみです。

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2009年03月12日冬の三本滝

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

初めて冬の三本滝を見に行ってきました。

スキー場のリフトを乗り継いで三本滝平へ。三本滝レストハウス横に設置されている計測器によると積雪130cm。今年は各地のスキー場で雪不足に悩まされているようですが、ここは標高約1,800m、散策するには十分すぎる積雪です。途中の吊橋はこのとおり。

雪の重みに耐えています。渡るときは、中心を踏み外さないよう慎重に。

樹林帯を通り抜けたり渓谷を横断する険しいルートのため、1人では行かないでください。


滝は全面凍結ではないものの、つららが地面まで達してできた立派な氷柱も見られました。

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2009年02月27日只今、準備中

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

12月から定期的に冬期利用調査のため乗鞍高原を歩いてきました。夏に比べると木々の緑や花がなく色の少ない一面の雪原は、長い冬の眠りについているように思われますが、よく見ると至る所に生き物たちの息遣いが感じて取れます。ノウザギ、キツネ、カモシカの足跡・・・動物はもちろん、植物も眠ってはいません。雪の上で見つけたこの芽はなんでしょう?

答えはレンゲツツジです。1月に撮影したもの。最も寒い時期でもこんなに膨らんでいたんですね。着々と春に向けて準備を整えているようです。通常1つの花芽の中に数個の花が入っています。この中にはいくつ隠れているのでしょうか。

雪解けが進みミズバショウの花も咲き終わった5月下旬、ようやくつぼみが顔を出しました。ここからは急展開を見せます。

1週間たたずして、早い株には花らしいものが見えてきました。なるほど、1か所から複数の花が出ているのがよく分かります。

そして満開!

6月中旬、初夏の高原をあざやかに彩ります。

レンゲツツジは別名オニツツジ。この激しい色が鬼を思わせるためだとか。
レンゲツツジには毒があり、牧場では家畜も食べずに残すためレンゲツツジが大群落を形成。子供の頃道端に咲いていたツツジの花の蜜を吸って楽しんだ記憶がありますが、レンゲツツジは蜜も有毒なのでうかつにすすっては危険ですね。

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2009年01月30日氷瀑

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

善五郎の滝が凍結しています。


どうどうと水が流れ落ちる夏の姿も迫力満点ですが、かちこちに凍った冬の姿はさらにどっしりとし、静寂で人を寄せ付けない、そんな印象を受けます。


善五郎の滝への道はいくつかありますが、たとえば善五郎の滝駐車場から遊歩道に入ると穏やかな樹林帯で、スノーシューハイキングが楽しめます。踏み跡もしっかりついているので迷うことはないでしょう。

ですが、気分爽快なのは束の間、間もなく滝へと降りる急斜面が始まります。最後は雪の積もった階段という難関が待ち受けています。

この辺りはスノーシューではかえって歩きにくいので脱いでしまった方がいいかもしれません。雪が踏み固められてつるつるの斜面になっている場合はアイゼンがあると安心です。私は手すりにしがみついて降りました・・・

ところで善五郎の滝、全面凍結、と言ってもこの豊富な水量が涸れるわけではありません。凍っているのは表面だけで、内部では水が流れ続けています。いつ氷に亀裂が入って崩落するか分かりませんので、むやみに近づくのは危険です。昨年には暖かい日が続いた2月のある午後、大崩落を起こしたそうです。

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2009年01月19日乗鞍高原温泉スキー場パトロール

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

スキーヤー・スノーボーダーは意識していないと思いますが、乗鞍高原温泉スキー場は国立公園内に位置しています。景観の保持とともに快適なスキー場としての安全性を保つため、関係の方々とスキー場パトロールに行ってきました。





日頃行っている安全対策について、経営者側から説明を受けます。
背後に見えるのが最上部のかもしかゲレンデ。傾斜がきつく、乗鞍ゲレンデの鳥居尾根コースと並んで事故の多い場所とのこと。中間地点に「SLOW DOWN」という旗が立てられており、スピードの出しすぎに注意を促しています。

初級・中級コースを中心に、狭いルートや沢を横断する箇所にはネットやテープが設置されています。

この日は市内の小学生がスキー教室に来ていました。子供専用のスペースも設けられているので、安心して練習に励んでいるようでした。怪我なく楽しんでほしいですね。

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2008年12月09日乗鞍高原冬景色♪

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

寒さ厳しい12月。空気は冷たいですが、美しい雪山を見ると心が熱くなるのはなぜでしょうか。

今シーズン最後のモニタリング調査に行ってきました。


一の瀬園地はすっかり雪に覆われました。背後にそびえる乗鞍岳はとっくに真っ白です。今は訪れる人も少なく静かですが、動物の足跡が至る所に刻まれているのを見ると、実は賑やかなんですね。

牛留池の木道です。こんもり雪が積もって歩きにくいですが、これからはスノーシューという楽しみ方もあります。

道路の様子です。
乗鞍高原の主要道路は除雪されていますが、観光センターから休暇村へ上がる区間はこのように凍りついた雪が残っています。必ず冬対策をしてお越しください。

いよいよ今週末12月13日(土)に乗鞍高原温泉スキー場オープンです。

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2008年11月12日晩秋の乗鞍高原

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

朝の冷えこみが厳しくなってきました。標高約700mに位置する松本自然環境事務所周辺では、今朝の気温は3度でした。標高1,500m前後の乗鞍高原は氷点下です。そんな乗鞍高原から晩秋の様子をお伝えします。

乗鞍高原入口にある御池です。ここは国立公園区域の外ですが、私の好きなスポットの1つです。春のミツガシワに始まり、今はカラマツの黄葉まっさかり。水面が落ち葉で覆われています。

カメラマンに人気のスポット、鈴蘭橋からの風景です。乗鞍岳はきれいに雪に覆われました。シラカバ(写真右端)はすっかり落葉し白い幹が光っている一方で、カラマツはまだまだ黄金色に輝いています。色といい樹形といい、炎を連想させます。

道路沿いも見事です。景色に見とれてふらつき運転する車や、路肩に駐車して写真を撮っている方を見かけます。危ないですので必ず最寄りの駐車場に停めてからゆっくり鑑賞してくださいね。

なお、乗鞍エコーラインの休暇村乗鞍高原より先は11月10日から冬季閉鎖に入りましたので通行できません。来年の春まで深い雪の下で眠りにつきます。

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