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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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中部山岳国立公園 松本

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2008年10月27日国立公園写真展in乗鞍高原

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

各地を巡回している国立公園写真展が乗鞍高原にやってきました。

10月28日から来年1月12日まで、休暇村乗鞍高原で開催していますので、ぜひお立ち寄りください。中部山岳国立公園と上信越国立公園の各地で活動しているアクティブレンジャー達が撮影した四季折々の写真全40枚を展示しています。

今日は3人がかりで設置作業をしてきました。

フロントロビーから温泉館へ至る廊下が写真展の入口になります。国立公園について紹介したポスターも掲示しました。


温泉上がりに休憩するお座敷スペースです。ゆっくりとご覧ください。

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2008年10月16日乗鞍高原に秋が来た

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

乗鞍岳がうっすら雪化粧しました。


地形の関係でしょうか、最高峰の剣ヶ峰より、右隣の蚕玉(こだま)岳が集中的に白くなっています。乗鞍岳で冬支度が始まった頃、裾野の乗鞍高原では紅葉まっさかりです。



一の瀬牧場にぽつんとたたずむ大カエデ。この時期だけは注目の的となります。昨年テレビで放映されたことで一躍有名になりました。この一本を見るために今日も多くの人が訪れていました。数あるカエデの中でも、こちらはコハウチワカエデという種類だそうです。「カエデ」という名の由来は、葉がカエルの手のような形をしているためだとか。



こちらは白骨温泉。乗鞍高原からスーパー林道B線を沢渡方面へ下る途中からの眺めです。温泉街が紅葉にうずもれている感じですね。乗鞍高原も白骨も、良質な温泉と紅葉を同時に楽しめる贅沢なところです。深まる秋を満喫しに来ませんか。

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2008年09月24日笠ヶ岳登山道調査[後編:笠ヶ岳山荘~クリヤ谷]

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

笠ヶ岳登山道調査2日目です。

秋分が近づき日の出がずいぶん遅くなりました。日の入りも早いので、秋の山歩きはロングコースを避けた方がいいでしょう。今日のコースも長く、山荘からクリヤ谷へ向かった人はいませんでした。

この日(9/11)の日の出は06:00。
槍・穂高の稜線からの御来光。

朝日を浴びて、出発前の準備運動。寝起きはまだ体が硬く、怪我しやすいのでストレッチは必要ですね。山荘の向こうには笠ヶ岳山頂が見えています。がれきの積もり重なった不安定な斜面を30分程登れば山頂。久しぶりの快晴にめぐまれ、360度の大展望。遠く富士山まではっきり見ることができました。写真は、左手前から笠ヶ岳山頂、中央に乗鞍岳、右奥に御嶽山。

山頂からは2時間ほど尾根づたいに南下。西側斜面はハイマツに覆われ、ライチョウも姿を現しました。一方東側斜面は切り立った崖で、尾根道が寸断されかけているような細い箇所もあり要注意です。

雷鳥岩からはクリヤ谷へ一気に急降下。急斜面で、所々に崩壊個所もありました。2時間ほどで谷まで降りると、さらに2時間沢沿いに下って行きます。水場が豊富でありがたい反面、何度も沢を渡らなければならない難関でもあります。沢の右岸・左岸を行ったり来たり。誤って沢に迷い込まないよう、ピンクのテープを頼りに進みます。

増水すると渡れなくなる場合があるので、ルートに入る前に上部の笠ヶ岳山荘か下部の槍見旅館で確認してください。

クリヤ谷は非常に澄んだ水が流れる美しい渓谷です。まだまだ緑がまぶしいですが、紅葉の頃にもまた来てみたいところです。



最後は植林地を抜けて槍見旅館横の道に出ました。こちらから入山する場合は分かりにくいですが、槍見旅館すぐ手前を左に入る道が登山口となります。

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2008年09月22日笠ヶ岳登山道調査[前編:笠新道~笠ヶ岳山荘]

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

夏山登山シーズンが一段落つき、紅葉が待ち遠しい北アルプス。笠ヶ岳は、槍や穂高連峰といった人気縦走ルートから谷を隔てているため、訪れる人が比較的少ない印象ですが、基点となる平湯温泉からはその名の通り笠のような美しい形が眺められ、シンボル的存在です。

新穂高温泉から左俣林道を1時間程進むと左手に笠新道入口があります。そこから一気に樹林帯をジグザグに約4時間登り、杓子平に出ると大展望が開けます。東側には槍・穂高連峰、西側には目指す笠ヶ岳。

登山中のご夫婦も記念撮影。写真中央が笠ヶ岳。山頂右下には小さく山荘も見えます。まだまだ道のりは遠い。

杓子平から抜戸(ぬけど)岳分岐のある尾根まではこれまた急登。ガレた斜面なので落石に注意しながら慎重に進みます。雨が降ると歩道を水が流れるため、それを避ける登山者の踏み跡が歩道と並行して植生上に幾筋も出来てしまっていました。歩道以外を歩かないよう注意する看板が設置されていますのでご協力お願いします↓



尾根に出ると、山荘までは1時間ぐらいのゆるやかな登りです。

日没の頃には、夕陽に染められた槍の穂先がたなびく雲海から見え隠れする光景に見入ってしまいました。

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2008年09月09日槍ヶ岳登山道調査[後編](槍ヶ岳~西鎌尾根~小池新道~新穂高温泉)

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

ちょっと間隔が開きましたが、前回の槍ヶ岳登山道調査[前編]に続き、[後編]をお送りします。[前編]は主に上りですが、[後編]は主に下りです。

西鎌尾根は通る人も少なく、一部危険な鎖場をクリアすれば、あとはおだやかな尾根歩きが楽しめます。オンタデの花が咲き乱れる斜面の向こうに突如現れる硫黄尾根。硫黄のにおいと火山性の殺伐とした風景が強烈な印象を与えます。このルートは残念なことに、ゴミが非常に目立ちました。ビニールや空き缶など、拾いながらだとなかなか前に進まないほどです。袋いっぱいに集まりました。

久々の好天で、朝から荷揚げのヘリが飛び交います。どこへ行くのか・・・

行先は鏡平山荘。ちょうど荷降ろしの瞬間に立ち会いました。ヘリは上空でホバリングしたまま荷物だけ降ろし、また次の荷物を取りにすぐに去ってゆきました。この間付近は爆風が吹き荒れるので、登山者は小屋の中へ避難。野菜や肉・卵など大量の食糧が無事到着しました。これで何日分賄えるのでしょうか。

鏡平山荘の横には素敵な池があります。

ここは雲上の世界。雲のあいまに槍の穂先が一瞬姿を現わしました。文字通り鏡のような水面に映る逆さ槍が神秘的です。

槍・穂高連峰を一望するには東側の蝶ヶ岳や常念岳が有名ですが、こちらのルートからは反対に西側から一望することができるんです。

弓折岳分岐付近からの一枚です。

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2008年08月29日槍ヶ岳登山道調査[前編](白出沢~槍平小屋~槍ヶ岳)

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

標高3,180mの槍ヶ岳は、その名の通り鋭利な姿の美しさから多くの登山者が憧れを抱く山です。
槍ヶ岳への登山道はたくさんあり、頑張れば1日で到達できる上高地から入るルート、燕岳から大天井岳などを経て槍を眺めながら尾根を縦走する表銀座ルートなど、東側からのアプローチが人気です。今回は反対の西側から入るルートの1つで、新穂高温泉から右俣谷沿いに登るコースの調査を行いました。

せっかくの短い夏山シーズン中ですが、8月後半から日本列島付近に前線が停滞し、不安定な天気が続いています。いくつもの沢を渡っていくこのルートは雨の影響を受けやすく、前日は滝谷の沢が増水し通行不能だったそうです。

今日は雨さえ降らなかったものの、濃霧と強風で体感温度は日中でも5度程度でしょうか。まだまだ高山植物も楽しめますが、今回はあえて悪天候時の高山の厳しさをお伝えしたいと思います。

前述のとおり、このルートはいくつかの大きな沢を超えていきます。通常はほとんど水は流れておらず、大きな岩石がごろごろしているだけで、広々して視界が開けることから、沢のど真ん中で一休みしていく登山者が多いです。!!!しかし!!!上流で雨が降っていれば、いつ鉄砲水が押し寄せるか分かりません。その場の天気がどんなに良くても沢は気をつけてください。木や草が生えていなければ、時々流れているということが推測できます。

通常8時間かかるコースですが、展望もきかず暑さによる疲労も少ないためか、黙々と歩いて5時間で着いてしまいました。そんな訳でいきなり山頂です。

山頂直下にある槍ヶ岳山荘から、ガスの間に槍の穂先が望めます。山荘から山頂までは通常30分程度ですが、岩場の狭いルートなので混雑時には渋滞します。山頂もスペースが狭く、順番待ちになることも。必要最小限の荷物だけ持って、譲り合いながらゆっくり進みましょう。

特に危険な個所にははしごや鎖が設置されていますが、鎖だけに頼るのは不安定で危険です。できるだけ岩の凹凸を利用して両手両足をフル活用。岩は濡れると滑りやすくさらに危険。

山荘横のキャンプ場。この悪天候にもかかわらずテントで頑張る人たち。写真ではなかなか伝わりませんがかなりの強風です。息を吸わなくても勝手に空気が喉の奥まで入ってきます。そして霧の向こうはがけっぷち。こんな時は山荘に泊まってほしいところです。

この悪天候でお盆以降荷揚げのヘリが飛べず、山荘の食材も底をつきかけている様子。人気のコーヒーは既に品切れとなっていましたが贅沢は言えません。こんな厳しい環境の所で食事が提供されていること自体、特別なことなんですよね。昔は全て自分で担いで登れる人しか来れなかった秘境も今では大勢の人が楽しめるようになりました。ただし、くれぐれも装備は怠らず、自分の体力を自覚し、悪天候時には断念する勇気を忘れないでください。

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2008年08月26日双六池の環境保全活動

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

双六岳や岐阜県側から槍ヶ岳へ向う登山道の中継地点として親しまれている双六小屋の前には、小さな双六池があります。ところが近年、裸地化した池畔のキャンプ場から土砂が流入し、年々池が縮小、消滅の危機にさらされてきました。そこで、土の移動を食い止め、池畔の植生を復元することによって双六池を守ることを目指した活動が立ち上がり、3年目を迎えた今年が最後の仕上げとなります。

今回はボランティア20名と関係者の総勢約30名が、約6時間の登山を経て双六小屋に終結。あいにくの雨と冷たい風の中、作業を行いました。



池畔の裸地部分にむしろを敷き詰めます。風で飛ばされないよう竹ぐしで固定、おもりの石も乗せておきます。もちろん全て自然に還る素材を使用。これで雨が降っても土砂が流れにくくなり、さらにむしろの隙間に植物の種子が付着し生育しやすくする効果もあります。

実際に、前年の作業でむしろを敷いた部分には既に草が生えてきていました。
これは期待できます!


参加者の立場はそれぞれ違うけれど、目的を同じくする者たちのパワーはすごい。2日間を予定していた作業が1日で完了し、翌日は思い思いに登山を楽しまれる方もいたようです。

次の日は快晴。双六池ってこんなところだったんですね。

中央奥には笠ヶ岳も顔をのぞかせました。この景観をいつまでも守っていきたいですね。5年後、10年後の活動の成果が楽しみです。

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2008年08月13日オオハンゴンソウ除去活動in平湯

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

高山市内の小学生が参加して、特定外来植物オオハンゴンソウの除去活動を平湯で行いました。


まずは、平湯の秋本自然保護官から活動内容について説明。繁殖力が強く在来種を駆逐してしまうことから特定外来植物に指定されているオオハンゴンソウは、平湯に限らずあちこちで勢力を拡大しています。子供たちの身長を上回るほどに成長し、ちょうど今が開花時期なのでよく目立ちます。

種を実らせる前になんとかしなければ。。。

藪に分け入って除去作業。地下茎でも繁殖するので、根っこが切れないよう丁寧に抜き取ります。泥にまみれ、汗水たらして頑張りました。抜き取ったものは、根っこ部分を切り離し、乾燥させて完全に枯死させてから焼却処分という手順を踏まなければなりません。

午後は乗鞍岳畳平のお花畑散策へ。オオハンゴンソウの繁殖をふもとで食い止めているおかげで、高山植物のお花畑が存続できているということを実感してもらえたのではないでしょうか。

オオハンゴンソウは悪者なの?という子供の質問。オオハンゴンソウには悪気はなく、ただ連れてこられた場所の環境が快適だったのですくすくと育ってきれいな花を咲かせているだけなんですよね。悪いとすれば、未来のことをよく考えずに持ち込んでしまった人間の方なのでしょう。
今回の活動を夏休みの自由研究課題にするという子もいて、とてもいい体験になったようです。

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2008年07月28日乗鞍自然観察教室

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

車(マイカーは不可)で行ける場所のうち日本最高所にある乗鞍岳の畳平では、遅い雪解けとともに様々な高山植物が開花しています。

白いハクサンイチゲの大群落。

お花畑シーズン本番の畳平では、7月中に乗鞍自然観察教室が行われています。残すところあと3日(7/29(火)・7/30(水)・7/31(木))のみとなりましたが、お立ちよりの際には参加してみてはいかがでしょうか。無料で予約も不要です。9:00~11:30の間にお花畑入口にて受付し、随時出発します。所要時間は40~50分で、その日のお勧めスポットへご案内します。

個性あふれるスタッフの解説に参加者は興味津々。

ところでここは標高2,700mの高所です。真夏と言えど、曇ると急激に寒くなりますので、防寒具はお忘れなく。酸素も薄いのでゆっくり行動しましょう。

ライチョウ親子が新鮮なお花を食べにやってきました。好奇心旺盛なヒナは怖いもの知らず。よちよち歩く後から、母鳥が周囲を警戒しながらついてきます。彼らに出会っても近づいたりせず、そっと見守ってあげてください。

★お願い★
畳平一帯は木道が整備されています。くれぐれも、木道から降りたり、ロープの先に立ち入ったりしないでください。カメラの三脚も同様です。脆弱な高山植物は、ちょっとした踏みつけにも耐えることができません。写真を撮りたいからといって近づけば近づくほど、お花達は年々遠ざかっていきます。遊歩道脇に裸地があるなら、そこは過去に誰かが踏み込んでしまった跡かもしれません。自制心をもって可憐なお花達を愛したいものですね。

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2008年07月14日外来植物の除去活動in乗鞍

中部山岳国立公園 松本 アクティブレンジャー 木村 亜紀

もともとその地域になかったのに、人間の活動によって外国から入ってきた生物を外来生物と呼び、日本では約2,000種が確認されています。その中でも特に、繁殖力が強かったり、生態系を乱したりと、在来の生物に悪影響を及ぼすと考えられているものを対象に、駆除活動を行っています。乗鞍エリアでは、標高によって状況が異なることから、高原部と山岳部に分けて各関係機関や地元ボランティアの方々による地道な除去活動が進められています。

まず乗鞍高原部では、北米原産のキク科植物、アラゲハンゴンソウの除去活動をスキー場ゲレンデにて行いました。

広範囲に繁茂しており、一回の作業では到底抜ききれませんが、現実を目の当たりにして危機感を募らせた参加者も多かったのではないでしょうか。30年ほど前までここにはマツムシソウが咲き乱れていたそうですが、現在では見る影もありません。

一方乗鞍山岳部では、畳平周辺にてセイヨウタンポポの除去活動が行われました。乗鞍岳は標高2,700mの畳平まで車道が整備されているため誰でも気軽に高山へ登ることができる特殊な場所ですが、そのために車のタイヤや人の靴などにくっついて外界の種子が侵入しやすい環境となってしまっています。そんな経緯を如実に物語るかのように、セイヨウタンポポは道路際に沿って繁茂しており、脆弱な日本の高山植物への影響が懸念されています。

ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポは、外側のガクのように見える部分が反り返っている点で、在来種のタンポポと区別することができます。根が非常に深く、抜き取りは容易ではありません。

約20名で、濃霧と強風の中寒さに耐えながら4時間かけて抜き取った成果。
一度繁殖してしまったものを取り除くには多大な労力を要するのですね。

美しい花、かわいい動物、身の回りの動植物も視点を変えて見ると実は外来種だらけです。だからと言って、国立公園や山などでむやみに外来種除去をしないでくださいね。見分け方や除去方法、処理方法などを誤るとかえって悪影響を及ぼす恐れがあります。まずは外来生物予防三原則「入れない・捨てない・拡げない」を意識することから始めましょう。

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