ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋

249件の記事があります。

2011年11月19日★記念日月間★ 11月18日

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

皆さん、こんにちは。
藤前干潟にある名古屋自然保護官事務所の
野村アクティブレンジャーです。

白山【山】と名古屋【干潟】、そして志摩【海】のそれぞれの記念日に合わせて
アクティブレンジャー日記を更新していく記念日月間リレーの
第二走者をつとめます。

11月12日の「白山国立公園指定日」に続いて、
11月18日は藤前干潟のとある記念日です。

藤前干潟は国立公園ではないので、国立公園指定日ではありません。
それでは、何の記念日かというと・・・、
藤前干潟が「ラムサール条約」に登録された日なのです。
藤前干潟は国指定鳥獣保護区であり、その一部がさらにラムサール条約湿地に登録され、
保全されている場所です。

【ラムサール条約湿地登録の記念碑】

ラムサール条約は正式名称を、
「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と言います。
藤前干潟は、干潟の生き物を餌とする渡り鳥が非常にたくさんやってくる
日本有数の湿地です。
渡り鳥の中には12,000㎞もの長距離を移動するものもいます。
そんな渡り鳥たちにとって、渡りの中継地となる藤前干潟の存在は
大変重要なのです。

しかし、藤前干潟は皆さんの想像しているような大自然を感じることのできる場所では
ないかもしれません。
皆さん、自然というと深い森や青い海が広がっている風景を想像しませんか?



藤前干潟の周辺は工業地帯で、緑は少ないですし、
青く透き通った海が見られるわけでもありません。
先に紹介のあった白山のように色鮮やかな花をつける高山植物が
見られるというわけでもありません。
生き物の宝庫である干潟は灰色をしていて、干潟の生き物たちの色も一見地味な印象です。

【藤前干潟の生き物たち】
(※じっくり見ると生き物たちはとっても魅力的で、干潟はとってもおもしろい場所です!)

でも、この工業地帯の真ん中にあることが藤前干潟の何よりの特徴、魅力、
そして存在意義だと私は思います。

それは、藤前干潟が守られてきた歴史に理由があります。
かつて伊勢湾最奥部にあった広大な干潟の中で
1960年以降の大規模な開発で埋め立てされずに唯一残った藤前干潟。
しかし、1981年にこの最後に残った藤前干潟を埋め立てるという計画が
持ち上がりました。
私たちの出すゴミを捨てる埋め立て処分場とするために・・・。

しかし、市民らの反対運動の結果、1999年、この埋め立て計画は中止され、
2002年11月1日に国指定鳥獣保護区に、
同年の11月18日にラムサール条約湿地に登録され、
藤前干潟は将来に渡って保全されることになったのです。

【記念碑にある認定証】

また、こんなに都会に近く、工業地帯の隙間にある藤前干潟だからこそ、
訪れた人に感じてもらえることがたくさんあると思います。
「こんな場所にもこんなにたくさんの生き物がいるんだ!」という驚きを得ると同時に、
川の上流から流れてくる排水やゴミの問題を実際に見て、
私たちの生活と自然が繋がっていることを実感できる場所だと思います。

そして、白山の世良アクティブレンジャーも白山に携わる人々に思いを馳せていましたが、
私も藤前干潟に携わっている人の思いを日々感じながら業務にあたっています。
様々な観点から藤前干潟で活動している人、訪れる人、見守っている人がいます。

藤前干潟の日(11月18日)を記念して先日開催した「藤前干潟ふれあいデー」では、
延べ6,300人もの方の来場がありました。
また、11月12日に行われた藤前干潟のゴミ清掃活動であるクリーン大作戦には
1,500人もの市民の方が参加し、汗を流しました。

都会に近い場所だからこそ、訪れ、関わる人が格段に多いのも
藤前干潟の特徴だと思います。

11月18日の今日、藤前干潟はとっても穏やかです。
冬鳥であるカモが水上で羽繕いをしたり、採餌したりしているのが観察できます。


藤前干潟で過ごす彼らの姿を見ながら、人と自然との共存の難しさを思うとともに、
来年でラムサール条約湿地登録から10年という節目を迎える藤前干潟の
自然と関わる人々の思い、活動が今後も続いていくことを願ってやみません。


それでは、この藤前干潟と伊勢湾を通してつながっている
志摩の村松アクティブレンジャーにバトンを渡したいと思います。
村松アクティブレンジャー、よろしくお願いしま~す!

(※11月19日のアップになりましたが、11月18日に執筆しています。)

ページ先頭へ↑

2011年10月21日あと一週間!!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

今、藤前干潟は何やら落ち着かない気分に包まれています。

それは、前回のAR日記でお知らせしました「藤前干潟ふれあいデー」が
一週間後の10月29日(土)、30日(日)に迫っているからなのです。

【↑藤前干潟ふれあいデー2011の案内】

一昨日には、29日10時から行うオープニングイベントの中で
踊りと歌を披露してくれる名古屋市立港西保育園の園児さんたちが
稲永ビジターセンターにリハーサルに来てくれました。
踊りは既にばっちりで、ふれあいデー当日にはより元気な踊りを見せてくれるはずです。
園児さんたちのかわいい姿を見に来てくださいね!
(※オープニングイベントは稲永ビジターセンターで行います。)

また、ふれあいデーに合わせて行われたフォトコンテストの応募作品が
稲永ビジターセンターの隣の名古屋市野鳥観察館(2階)で展示されています。
力作揃いの写真展となっていますので、皆さん、足をお運びください。
(※展示期間:10月7日(金)~11月6日(日))

【↑藤前干潟の新たな一面に気づけるかもしれません。】

この他にもふれあいデーの準備が着々と行われていますが、
私が大きな期待を抱きながら準備しているのが、
藤前干潟で初めて行う「サイエンス・カフェ in 藤前干潟」です。

【↑会場となるレクチャー室(稲永ビジターセンター)】

いろんな方の助けを受けながら、目下準備に励んでおります。
楽しい「サイエンス・カフェ」を目指していますので、
皆さんぜひお越しくださいね。(※申込み・参加費は不要です。)

「サイエンス・カフェ in 藤前干潟」の詳細はこちら↓。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
開催日時:10月30日(日)
【第1部】10:30~11:30
  「ワシ・タカ・ハヤブサ~猛禽類の魅力と保護・救護技術の最前線!~」
   ゲスト:中島京也氏(日本ワシタカ研究センター所長)
【第2部】13:30~14:30
   「水族館職員が語る!名古屋港の生き物との出会いかた
~プランクトンからペンギンまで~」
   ゲスト:中嶋清徳氏(名古屋港水族館職員)
 【ファシリテーター】蓑田裕美氏(国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ、WEcafe事務局代表)

開催場所:稲永ビジターセンター 1階 レクチャー室
対象:中高生から一般
参加費:無料
お問い合わせ:名古屋自然保護官事務所 (TEL:052-389-2877)
主催:「藤前干潟ふれあいデー」実行委員会
※事前申し込み不要※
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ふれあいデー当日は混雑が予想されますので、ご来場には
公共交通機関をお使いください。
アクセス方法はコチラ(↓)をご覧ください。
http://c-chubu.env.go.jp/wildlife/fujimae/access/index.html

当日の公共交通機関の時刻表はコチラ(↓)です。



たくさんの方のご来場お待ちしております!!

ページ先頭へ↑

2011年10月21日都会と自然のはざまで

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 俳句の秋の季語に「初鴨」があるが、藤前干潟でもカルガモをはじめ、さまざまなカモが見られるようになった。
満潮時、カモがたゆたう姿は見ていて微笑ましい。秋が来たことを実感する瞬間でもある。

   
【稲永公園内にある名古屋自然保護官事務所周辺の木々も色づきはじめた】

   
【稲永公園でみつけたコテングタケモドキ。実は菌(キノコ)も秋の季語となっている】

 今からちょうど1年前の秋、愛知県名古屋市でCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開催された。その時、里山里海という言葉が新聞の見出しを飾った。
 里は、大自然に対して人が住むところをさし、都市に対して田舎という意味もある。つまり山や海、大自然と都市の中間に位置するが里山里海というわけだ。自然と人の交差点と言い換えられるかもしれない。
 わたしにとって一番身近な(個人的に思う)里山里海は、勤務地でもある藤前干潟だ。

   
【新東名高速道路と新名神高速道路をつなぐ伊勢湾岸道路】

 北に名古屋市と中京工業地帯を代表する工業都市四日市市を結ぶ国道23号線、南に新東名高速道路と新名神高速道路をつなぐ伊勢湾岸道路(名港西大橋)という新旧の交通の大動脈の間に位置する藤前干潟は、名古屋市唯一の里海だと思う。

   
【都会と自然のはざまにある藤前干潟】

 お昼休みにわたしのお気に入りに場所、庄内川沿い河口にある干潟に行くと、いつもカニやハゼといった底生生物が迎えてくれる。最初は人の気配に驚き干潟の巣穴や岩の合間に身を隠すのだが、息をひそめていると、そっと外を伺い、住み家からぞろぞろと這い出してくる。

   
【コンクリートの隙間は、絶好の隠れ家だ!クロベンケイガニ】

   
【カニに比べるとなかなか会うことができないトビハゼ】

 「ひっかかったな」と、さらに息をひそめていると、カニは足で泥をすくっては口に運び、ハゼは胸ビレを使って干潟をはい回り、何か感じるものがあったのかジャンプをして、驚かせてくれる。
 命を謳歌しているようにみえる底生生物だが、渡り鳥や大きな魚に食べられる危険をはらんでいる。命のリレーと言ってしまえばそれまでだが、一生懸命なだけに少し胸が痛む。
 愛知県名古屋市では、報道によるとCOP10以降、生物多様性が浸透しつつあるとのことだが、大自然の中だけでなく、都会と自然のはざまで命の限りに生きる小さな生き物がいることをこれからも伝えていきたいと思った。

ページ先頭へ↑

2011年09月30日「サイエンス・カフェ in 藤前干潟」を実施します!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

すっかり秋めいてきましたね。
渡り鳥であるシギ・チドリの飛来が段々と増え、夜は虫の音が賑やかとなり、
藤前干潟にも徐々に秋が訪れているのを感じます。

【名港西大橋を臨んで。空が高くなりました。】

また、秋の藤前干潟のイベントといえば「藤前干潟ふれあいデー」です。
藤前干潟がラムサール条約に登録された11月18日を記念して毎年行われる
藤前干潟最大のイベントです!!
今年は藤前干潟ふれあいデーは10月29日(土)・30日(日)に実施されます。
例年好評のバードウォッチングや生き物観察会、地元野菜の販売、箸づくり、
凧づくりなど、今年も魅力的なイベントが盛りだくさんです。
詳細はコチラをご覧ください(↓)。
http://www.city.nagoya.jp/kankyo/page/0000028412.html

そして、この藤前干潟ふれあいデーで、今回初めての試みとして実施するのが
「サイエンス・カフェ in 藤前干潟」です!

【玉津ARの作成したチラシです!】

私たち、名古屋自然保護官事務所が今年度初めから温めてきた企画で、
目下、ゲストや打ち合わせや広報など忙しく準備をしているところです。
(※主催は「藤前干潟ふれあいデー」実行委員会)

ところで、サイエンス・カフェって何?と思われる方も多いかと思います。

サイエンス・カフェとは、科学(自然含む)に関する専門家を招き、
お茶を飲めるカフェのような雰囲気の中で科学を語り合う場のことです。
ファシリテーター(進行役)を参加者と専門家の間におき、
参加者から質問や意見を引き出すことにより、
より科学を身近に感じ、より興味を持ってもらうことを目的に、
近年様々な場所で開催されています。

今回のサイエンス・カフェは藤前干潟にも生息する生き物の専門家を
2人お招きして、それぞれの生き物の魅力・現状を伺うとともに、
参加者のみなさんと藤前干潟を始めとする自然、生き物との共生についての
思いを語る場としたいと思っています。

一人目のゲストは、猛禽類の専門家である
日本ワシタカ研究センター所長の中島京也さん。
猛禽類の研究、生息地の保全、鷹狩の技術を用いたワシタカの保護などの
活動を行ってみえます。
これらの活動と藤前干潟にやってくるミサゴなどの
猛禽類のお話をしていただきます。

【藤前干潟に頻繁に飛来する猛禽類であるミサゴ】

二人目のゲストは、名古屋港水族館職員の中嶋清徳さん。
名古屋港水族館の飼育員さんで、もちろん海の生き物全般にお詳しいのですが、
名古屋周辺の干潟や海、川の生き物に特別関心を持ってみえます。
水族館の飼育員さんの視点からみた海、干潟の生き物等について語っていただきます。

【名古屋港水族館(左上)と干潟の生き物(左下:ヤマトオサガニ、右上:ヤマトシジミ、右下:アナジャコ)】

そして、この生き物の専門家と参加者をつなぐファシリテータ役に
国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータの蓑田裕美さんをお迎えします。
数々のサイエンス・カフェの進行を経験してみえるだけでなく、
大変明るく、楽しい方です!

サイエンス・カフェは講演会とは違って肩肘張らずに
参加いただけるイベントです。
「ワシとタカって何が違うの?」
「藤前干潟には猛禽類がいるの?」
「名古屋港、藤前干潟にはどんな生き物がいるの?」
「名古屋港でペンギンって??」
こんな初心者的な質問も大歓迎です。お気軽にご参加くださいね!

詳細は上のチラシ、もしくはコチラをご覧ください(↓)。
http://aichi-science.jp/events/single/298
(あいちサイエンスフェスティバルに登録しています。)

ページ先頭へ↑

2011年09月26日藤前干潟カメラ講座を開催しました!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 みなさんは写真を記録として撮っていますか?それとも思い出として撮っていますか?




 暑さが残る9月14日水曜日。稲永ビジターセンターにて、名古屋自然保護官事務所主催の「藤前干潟カメラ講座」を開催しました。 
 なぜこのような講座の企画をしたのかというと、藤前干潟に勤務して、干潮の時間にあわせ訪れるアマチュアカメラマンに多いことに驚いたからです。しかもそのほとんどの方が高齢の方です。ある時まで、第二の人生を楽しもうとする姿に、微笑ましさを感じていたのですが、その中に、撮影に戸惑っている人がかなりの割合でいることに気がつきました。
 お隣の名古屋市野鳥観察館のスタッフにその話をすると、時々、カメラの使い方がわからない、と言って高価なカメラを持ったお年寄りが尋ねてくる、と言います。
 カメラの使い方がわからなくて写真が嫌いになってしまったら、こんなもったいない話はありません。藤前干潟周辺は、渡り鳥だけでなく、名古屋港を横断する名港西大橋や、稲永公園の松林、河口の向こうに広がる鈴鹿の山並みなど、シャッターを切りたくなる被写体が数多く揃っています。この名古屋屈指の撮影ポイントをカメラに納め、もっと藤前干潟を好きになってもらいたい、そんな願いもこめ、準備に取りかかりました。

   

*【潮の満ち引きで変わる姿を楽しみに訪れる人も多い藤前干潟】* 

 講師をお願いしたのは、わたしの前職の元上司の井上琢朗氏。井上氏は、中日新聞系の映画会社の中日映画社カメラマンとして活躍し、フリーになってからは、雑誌の巻頭を飾る写真を数々撮ってきています。
 長年ファインダーをのぞいてきた経験が、参加者の質問にも必ず答えてくれるはずと、講座の前半は座学で、後半は講師が撮影会というプログラムにしました。

   

*【平日の開催にもかかわらず13名の方が参加してくれました。】*

 それではここで、みなさんにも、カメラ講座の中から、今日からできる撮影のポイントをご説明しましょう。
 さてみなさんは、これから何かを撮ろうというとき、その撮りたいモノ(見せたいモノ)をフレームのどこにおきますか?
 以下の写真を観てください。天守閣と城壁、そして門が、とてもバランスよく収まっているように思いませんか?
   

*【ポイント1 3分の1の法則】*

 実はこの写真の特徴は、上下、左右の3分の1のあたりにポイントを置いているところです。普通に考えると、天守閣を中央に置きがちですが、左から3分の1あたりに天守閣、右から3分の1あたりに屋根、そして下から3分の1あたりに門を置くことで、城の奥行きや広大さが表現できるようになるのです。

   

*【ポイント2 構図は引き算】*
 
 以上の写真は、構図の中に余分なものをいれない、という講義の中で使用した写真です。実はこの写真は、整然と地蔵郡が収まっていますが、周辺には蔵や近所の家があり、何を撮りたいのか、というテーマのもと、ひとつずつ引き算をして行った結果、このような構図になったそうです。
 よく見ると、この写真にも、左右、上下の3分の1に地蔵の列をいれるという「3分1の法則」を取り入れていることに気がつきます。
   

*【撮影の実施風景。これは逆光撮影のヒトコマ。実施ではARがモデルになることもありました。】*

 デジタルカメラの普及でますます身近になったカメラ。身近ゆえに、心になる一枚が撮れたらうれしいいですよね。
 秋の深まりとともに藤前干潟には、鴨が戻りつつあります。ぜひこの機会に、カメラを持って藤前干潟にお出かけください。

****フォトコンテスト開催****
(名古屋自然保護官事務所からのお知らせ)
10月29・30日に開催される「藤前干潟ふれあいデー」(主催:藤前干潟ふれあい実行委員会)のイベントとして、藤前干潟をテーマとした「フォトコンテスト」を行います。応募期間は、10月3日(月)当日消印有効までです。詳しいお問い合わせは、名古屋自然保護官事務所まで℡(052)389-2877

ページ先頭へ↑

2011年08月31日 アップしました!!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子




 映画の予告編を観ていると、「構想5年!制作3年!」という、クレジットが出てくることがあります。いかに、時間と労力を費やしたか、ということの表現なのだと思いますが、これをもじって、「構想1ヶ月!制作に3ヶ月!」の歳月かけて完成したのが、現在、環境省動画チャンネルで配信中の「藤前干潟 夏羽の鳥たち」です。


*映像は、ハマシギの群舞で始まります。

 思えば、そもそもの始まりは、この5月に干潟で羽根を休めているダイサギを双眼鏡で見たことに遡ります。ふと目に留まったダイサギの目のまわりがアイシャドーを塗ったように緑色に見え、それは、それは、怪しい美しさを称えていたからです。
 鳥に詳しい名古屋市野鳥観察館のスタッフの話を聞くと、それは繁殖期に出現する「婚姻色だ」とか。さらに、「夏羽のコサギは、頭に長いベールを冠羽が現れ、ベールをかぶったみたいになりキレイだ」と言います。
 この言葉が、動画を作るきっかけとなったことは言うまでもありません。


*きっかけとなったダイサギの緑色の目(左)。
コサギ(右)の冠羽も夏羽の特徴だ。

 それからというもの、干潮時間に時間を作り、カメラを片手に干潟に出かけるようになったのですが、鳥たちは、わたしが鳥の初心者であることを知っているのか、「見せてあげない!」とばかりに、姿を表してくれません。
 カメラに残るのは、周辺の風景ばかり。そんな日が続いたある日、名古屋市野鳥観察館のスタッフから、こう声をかけられました。「鳥は、干潮時間の前後の方が、干潟に来ることが多いよ」。
 さらに、驚いたことに、名古屋市野鳥観察館のスタッフの皆さんは、鳥が来るのを待って、シャッターを切るのではなく、鳥が来そうなタイミングがわかる、ということでした。


*動画の中で一番好きな写真。干潟が出るのを待つシギ・チドリ。

 今のわたしの実力では、一生かかっても夏羽の鳥たちを撮影することができません!恐る恐る写真協力をお願いしたところ、二つ返事で、CDにデータをコピーしてくれました。これで良い作品ができる、と喜んだのもつかの間、鳥を勉強中のわたしは、どれが夏羽でそれが冬羽なのか、はたまた鳥の名前の判断のつかないものあり、一人で密かに汗をかくこともしばしばありました。


*エサをついばむ姿から、バードウォッチングを始める人もいるという。       
写真協力:名古屋市野鳥観察館(すべて)

 気がつけば、鳥は7月に北へ向かい、暑さが残るこの時期の完成にこぎつけました。
 残念ながら、今、藤前干潟では、渡りの鳥を見ることができませんが、あと1ヶ月もすれば、また北から渡来する鳥たちで賑わいます。
 鴨戻る。実は、この「鴨戻る」は、俳句の世界で親しまれている秋の季語なのです。
 鴨が戻ったら、またこの日記でお知らせします。それまで「藤前干潟 夏羽の鳥たち」をお楽しみください。そして秋、お会い出来る日を楽しみにしています。
■環境省動画チャンネル
http://www.youtube.com/kankyosho

ページ先頭へ↑

2011年08月30日夏の藤前干潟観察会、テーマはあの生き物

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

8月はイベントなどで忙しく、すっかり遅くなりましたが、
8月3日に行った「夏休み!干潟観察会」のご報告をします。

【夏の藤前干潟】

さて、ここで突然ですがクイズです。
以下の5つのヒントに当てはまる生き物は?
①細くて長い、②背中は黒色、③ヌルヌルしている、④夏の食べ物と言えばコレ、⑤名古屋名物になる

分かりましたよね?
そう、「ウナギ」です。
名古屋名物「ひつまぶし」になる名古屋にとても馴染み深い生き物です。
そして、このウナギ、藤前干潟周辺にたくさん生息しています。
そこで、今回は夏のテーマとしてもぴったりなウナギを目玉にした観察会を行いました。

観察会当日はよく晴れ、たくさんの方が参加してくれました。
一列に並んで、早速干潟へ入ります。

【足元に気をつけながら・・・】

そして、ウナギを捕まえるために予めしかけてあった土管を
ひとつずつ引き上げていきました。

【土管でウナギを捕る漁法は昔から行われている伝統的な漁法です】

3つ目までの土管にはウナギがかかっておらず、残念でしたが、
4つ目の土管を引き上げたとき、遂に中からヌルっとしたものが!
と、同時にみんなの歓声が干潟に響き渡りました。
ウナギ、ゲットです!!



「ウナギってこんな顔をしているんだ!」
「触ると本当にヌルヌルしている」

ウナギを見る子供達の喜んだ顔を見て、私たちスタッフも嬉しくなりました。
(※観察会後、このウナギは捕まえた場所に戻しました。)

また、今回の観察会では、干潟でウナギを捕まえるだけでなく、
ウナギの生態やウナギを含む藤前干潟の食物連鎖についてクイズで学びました。

【ウナギのクイズ大会!】

ウナギの好物は貝やゴカイであること、
ウナギは実は毒を持っていること(触った直後に手を洗えば問題ないです)、
ウナギは日本から2,000kmも離れた南の海で産卵することなど、
身近な生き物のようで意外と知らないウナギの生態について
知ってもらえたのではないでしょうか?

今後、夏にウナギを目にする際には、
ウナギの生態やウナギを育む藤前干潟のことを思い出してもらえると
嬉しいと思います。

ページ先頭へ↑

2011年07月28日夏の主役

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 この時期、干潟沿いを歩いているとマメ粒よりもはるか小さな数ミリの砂団子が目に飛び込んできます。 
 この砂団子が無数にあれば、周辺にカニが住んでいるということ。今日は、藤前干潟の夏の主役であるカニを紹介していきたいと思います。

   
*無数の砂団子がれば、周辺にカニが生息している。

 渡り鳥が北に飛び立ってしまったこの時期の藤前干潟は、青い空ばかりが目につきます。
 一見主役を失ったような藤前干潟で、元気な姿を見せているのが、干潟に生息する底生生物の蟹たちです。
 真水と海水が混ざった汽水域である藤前干潟は、潮の時間で塩分や水量の環境が変化するため、魚だけではないさまざまな生き物の住み処となっています。
 中でも甲殻類のカニは、砂粒の大きさによって住むカニも違ってくるため、引率の大人が夢中になってしまうということもしばしばおきています。

   
*干潟周辺にあるスロープの隙間は底生生物の宝庫。フジツボにクロベンケイガニが見える。

 まず砂干潟に入り口、砂の多い場所で人気者となっているのがチゴガニ。チゴ(稚児)という名前から想像できるように、甲羅の幅は10ミリというミニサイズ。しかもその見た目のかわいさだけでなく、パフォーマンスを披露してくれるため、訪れる人のハートを釘付けしてしまうようです。
 実はこのパフォーマンスは、両方のハサミを上下に振るもので、オスのみが行うため、求愛のダンスとも言われています。が、チゴガニは、春が繁殖期といわれていますが、繁殖期以外の夏にもこのハサミを振るため、はっきりとした理由がわからないのが本当のところです。求愛のダンスなら素敵なのですけどね。

   

   
*これが、チゴガニのパフォーマンス。
 
 そしてこのチゴガニと同じ場所を好み、同じぐらいの甲羅の大きさを持ちながら、背面が灰色から褐色という干潟の保護色なため、ちょっと目立たない存在になっているのが、コメツキガニ。
が、よくみると、昼間に潮が引くと巣穴から砂をかきだしながら現れ、小さいながらの生き物の強さを見せてくれます。
 このコメツキガニも、チゴガニ同様、オスが背伸びをして、ハサミを振り上げるパフォーマンスをします。この動作は、春から夏にかけて行われるため、こちらは求愛行動と見られています。

   
*チゴガニとコメツキガニ(右)の2ショット。同じ環境を好むため一緒に見られる。

 さて干潟をさらに進み、干潟が柔らかい泥になったあたりで見られるのが、ヤマトオサガニ。この日本男子らしい名前のせいもあるのか、このカニの四角い甲羅を見て思い出してしまったのは、亡くなった国民的俳優の顔。それ以降、干潟で見る度に心の中で「寅さんガニ」と呼んでいます。

   
*穴から出るヤマトオサガニ。この四角い甲羅でぜひ国民的カニを目指してほしいもらいたいものだ。

 四角い顔でなかった、四角い甲羅とともに、眼が長いのもこのカニの特徴。繁殖期になると、このカニもハサミを振り上げるパフォーマンスを行うそうですが、残念なことに、まだそれを目にしたことがないのでした。
 小さな生き物が精一杯に生きている藤前干潟。一生懸命な姿を目にすれば、元気が出ること請け合いです。

ページ先頭へ↑

2011年07月20日小学校の総合学習にて

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

本当に暑い日が続いていますね。
「こまめな水分補給」と「よく食べ、よく寝る」を実践して、暑さに負けず、
この夏を乗り切っていきたいと思っている今日この頃です。
皆様も体調には十分お気をつけください。

さて、少し前のこととなりますが、
7月1日、名古屋市立八熊小学校の6年生の皆さんが
稲永ビジターセンターに来てくれたときのことを今回はご報告したいと思います。

【稲永公園の松林を抜けて稲永ビジターセンターへ。】

来館の目的は「総合学習」の授業として藤前干潟の環境や生き物について学ぶこと。
藤前干潟の稲永ビジターセンター及び藤前活動センターには年間を通じて、
多くの小学校、中学校の来館がありますが、
今回はヨシ原観察を含めた学習プログラムを実施しました。

まずは、DVD鑑賞。
映像で藤前干潟の概要と底生生物などの生き物をご紹介。


【見終わった後はみんな真剣にメモを取ってくれました!】

続いて、本日のメインイベントであるヨシ原観察へ。
ヨシ原だけでなく、ヨシ原の側にある干潟の石の下や泥の中から
カニやゴカイ、ヤマトシジミなど
たくさんの生き物がみつかりました。


最初は恐る恐る干潟へ入っていた女の子たちも、
しばらくすると次々とカニを手で捕えていてびっくり!

ヨシ原観察では、ヨシ原や干潟のゴミ問題にも目を向けてほしかったので
生き物の観察だけでなく、ゴミ拾いもしてもらいました。

【拾ったゴミ(左)ときれいになったヨシ原(右)】

少しだけのつもりだったのですが、あっという間にゴミ袋いっぱいに。
「ペットボトルが多い!」
「サッカーボールや野球のボールがたくさん捨ててあり、もったいない!」
などの感想が生徒たちから聞かれました。

ゴミがたくさんあるヨシ原や干潟にカニや貝などの生き物が生きている光景を見て、
少しでも何かを感じてもらえたでしょうか?


【最後の質問タイムではたくさんの手が挙がりました。】
八熊小学校のみなさんは、事前に藤前干潟のことをノートにまとめて学習し、
鳥などの干潟の生き物を書いた絵を持参してくれ、とても勉強熱心な姿勢を感じました。

学校で自ら勉強したことに加えて、今回、藤前干潟で見て感じたことが、
生き物や自然環境を見たり、考えたりするときの助けになってほしいと願っています。
そして、実際に生き物を見て、「生き物っておもしろい」と思ってもらえたら
何より嬉しいです。
八熊小学校のみなさん、また、藤前干潟に遊びに来てくださいね。

最後に、名古屋自然保護官事務所では、
小学校・中学校等に出向いて藤前干潟の紹介をする「出前講座」をしています。
興味がある方はぜひお問い合わせください。
(名古屋自然保護官事務所 Tel:052-389-2877)

ページ先頭へ↑

2011年06月27日「いつか」ではなく「明日」のために

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

東日本大震災。

3月11日に発生したこの未曾有の災害に対して、
直接の被害に遭わずとも、被害の大きさに胸を痛めると同時に、
あの津波の破壊力にショックを受けた方も多かったのではないかと思います。

目の前に海を臨む、私たち稲永ビジターセンター、藤前活動センター、名古屋自然保護官事務所職員も、
あの津波の被害映像に非常に大きな衝撃を受け、
東海地震や東南海地震の津波への不安・恐怖が一気に高まりました。
(実際、3月11日は浸水に至らなかったものの、
名古屋港には1m程度の津波が来ていたそうです。)

そこで!!
不安を嘆いてばかりでは仕方がない!ということで、
6月22日、藤前干潟の各センターで初めての震災・津波に対する避難訓練を行いました。

◆稲永ビジターセンターの避難訓練◆
午前中は稲永ビジターセンターからの訓練を行いました。

「訓練!訓練!」というアナウンスとともに訓練開始。
訓練と分かっていても、一気に緊張感が高まりました。
ヘルメットを被り、非常持ち出し袋を持って、人数を確認して・・・。
避難所の稲永スポーツセンターへ、さぁ避難!



避難した稲永スポーツセンターからの帰りには津波避難ビルに指定予定の市営住宅を見に行きました。
命に関わる問題なので、ビルを見る顔は真剣そのものです・・・。



◆藤前活動センターからの避難訓練◆
午後は藤前活動センターから藤前公園(一時避難場所)への避難訓練を実施。
大変暑く、汗を大量に流しながらの訓練に・・・。



訓練後は、同じく津波避難ビルに指定予定の南陽工場へ見学に伺いました。


【南陽工場5階からの眺め (余談ですが、南陽工場は藤前干潟がよく見えるおすすめスポットです)】

このように、初めての震災に対する避難訓練は無事終わりましたが、
避難訓練中も、避難訓練後の反省会でも、参加者のみなさんが口にされたのは、
やはり津波への恐怖でした。

私も、正直、大きな災害に対しての無力感を感じる部分もありましたが、
このたびの震災では、頻繁に行っていた避難訓練により多くの命が助かったという事例を耳にします。
防波堤の強化等のハード面の対策を待つだけでなく、
私たちはソフト面でできる努力をしていきたいと
改めて感じた避難訓練でもありました。

災害はすぐにでも起こるものとして、
今回の訓練の反省点等を生かして、
今後も訓練実施や情報収集にあたっていきたいと思っています。



最後にお知らせです。
以前のAR日記でご報告しました「みどりのフェスティバル」のおりがみイベントですが、
予告通り、稲永ビジターセンターに展示しました!
8月末まではみんなの折ってくれたおりがみの「いきもの」たちが、入り口横で迎えてくれます。
夏休みにはぜひ見に来てくださいね!


ページ先頭へ↑

ページ先頭へ