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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

歩くアルペンルートを歩こう!~立山の魅力~その2(美女平~弥陀ヶ原)

2022年01月19日
立山 一ノ枝亮輔

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝&平松です。

第2回目は、ブナ坂(美女平)から弥陀ヶ原までを歩いていきます。


<↑今回の歩いた区間>

○過去の投稿はこちら

第1回目 歩くアルペンルートを歩こう!~立山の魅力~その1 立山駅から美女平

第2回目は、ブナ坂より先、まずは滝見台を目指します。

この辺りはブナ平という名前で呼ばれるようにブナが多く、その林の中を進んでいきます。美女平までは急な道でしたが、ここからは比較的平坦な道が続きます。

<ブナ平のブナ林>

<ブナの若い実が落ちていました>

しばらく進むと滝見台(1280m)に到着です。350mと日本一の落差を誇る称名滝が一望できます。この日は霞んでいたものの見ることができました。ここには、第21番観音石仏があります。

<滝見台>

<第21番丹波国穴太寺 聖観世音菩薩>

その先にある「桑谷」の看板が押しつぶされてしまっていました。

<桑谷の倒壊した看板>

滝見台を過ぎると、高木にキタゴヨウ、スギ、ネズコ、オオシラビソなどの針葉樹が増えてきます。

<針葉樹が増え、林の雰囲気も変わってきます>

<林内ではシライトソウが咲いていました>

称名滝がよく見える2つ目の展望地が「大観台」です。この日はガスがかかっており、展望はありませんでした。写真は別日で眺望があった時のものです。

<大観台2021/10/24撮影 展望が開けると称名滝と弥陀ヶ原、立山を望むことができる>

大観台を過ぎると、高い木が少なくなり視界が開けてきます。動植物もこれまでとは違ってきます。

<キンコウカ 湿り気の多い開けた場所でよく見られます>

<タテヤマウツボグサの花にトラマルハナバチが訪れていました>

<アズマヒキガエル 立山では低地から高所まで広く見られます>

八郎坂と弥陀ヶ原の分岐までやってきました。分岐を弥陀ヶ原方面へ進み、一旦道路へ出ると第23番観音石仏があります。

<一旦車道に出て向かい側にある>

<第23番摂津国勝尾寺 十一面千手観世音菩薩>

さらに進んだ「追分料金所手前」には、第26番観音と地蔵があります。

<第26番札所播磨国一乗寺の聖観世音菩薩と地蔵菩薩>

地蔵菩薩立像の光背部には「右 うばがふところ道   左 一ノ谷みち」と刻まれており、文字としてしっかりと道標の役割もある石仏です。ここを境に、右へ行くと姥石へ向かう道へ、左へ進むと一ノ谷の鎖場へと2つのルートに分かれていたようです。現在は一ノ谷へ向かう道のみが通れるようになっています。

追分の分岐を過ぎると弥陀ヶ原です。弥陀ヶ原には池塘と呼ばれる水たまりが多く点在しています。別名で「餓鬼田(がきた)」と呼び、仏道の餓鬼道に落ちた亡者達が飢えをしのぐために田植えをするので「餓鬼田」という名が付いたようです。餓鬼田に見えるのは当然稲ではなく、高層湿原に生える「ミヤマホタルイ」という植物を稲に見たてていたようです。

<餓鬼田。学術的には池塘と呼ばれる>

弥陀ヶ原に到着です。

<弥陀ヶ原 1930m>

弥陀ヶ原は木道の散策路になっており、アルペンルートのバス停もあるので、老若男女が楽しめる場所になっています。弥陀ヶ原の詳細については次回に触れていきます。

<弥陀ヶ原の木道散策路>