2020年10月
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2020年10月01日高妻山登山道巡視
妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎
長雨の合間の晴れの日。
先日の戸隠山登山道の巡視に引き続き、高妻山の登山道を巡視してきました。
高妻山は戸隠山の裏側にあり往復するのに結構時間がかかると聞いていたので、なるべく日の長い夏に行きたかったのですが、今年はなかなか天気の良い日が少なかったのと忙しかったのとで9月にずれ込んでしまいました。
<今回のルート>
戸隠キャンプ場~戸隠牧場~弥勒新道~五地蔵山~高妻山山頂~五地蔵山~一不動避難小屋~戸隠牧場~戸隠キャンプ場
およそ8時間の行程でした。
高妻山は日本百名山の一つです。戸隠キャンプ場の向かい側に高妻山登山者のための広い駐車場があるのですが、天気の良い日は平日でも常に車がいっぱいです。さすが日本百名山ですね。
戸隠牧場の中に高妻山への登山口が2つあります。
一不動避難小屋経由のルートと弥勒新道経由のルートを選べます。
登りは弥勒新道経由のルートを選択。今回はあくまでも登山道の巡視であり、前回の戸隠山の下山で通った一不動避難小屋経由のルートよりも、通ったことのない弥勒新道の巡視を優先しました。時間に余裕があれば帰りは別ルートでということに。
登山道に入るとすぐに急登が始まります。ヒイヒイ喘いでいると、後ろからズンズン迫ってくる集団が。遭対協の皆さんです。全員背中には草刈り機を背負っています。
「お先へどうぞ。いきなりバテてます~」と言うと遭対協の皆さんは「この登山道はバテますよねぇ」とニコニコしながらガシガシと私たちを追い抜いていき、あっという間に見えなくなってしまいました。圧倒的なスピード差に唖然とする私たち。
この方々がいつも登山道を整備してくれるおかげで私たちは気持ちよく登山が出来るのですね。ありがとうございます!
高妻山の山頂にたどり着くまでにいくつものピークを越えなければ行けません。
登っては下っての繰り返し。いやぁなかなか辛い山でしたよ。しかも高妻山の本体は奥の方にあるためなかなか姿を見せてくれません。
登り下りの連続にほとほと疲れ果てた頃、いきなり森の向こうの視界が開けてついに高妻山が姿を現しました。そこまでが苦しかった分、この感動は大きいですね。
高妻山が見えてからは絶景に次ぐ絶景で「来て良かったぁ」と思えましたね。
頂上には登山者が結構いらっしゃいました。
まあ駐車場にあれだけ車が停まっていたのだから当然ですけどね。
頂上は岩場なので座わりやすいのがいいですね。皆さん思い思いの場所に陣取り、ポカポカ陽気の下、雲海に浮かぶ北アルプスを眺めながら皆さん美味しそうにお弁当を食べてらっしゃいましたね。
思ったより時間が早かったので下山は一不動避難小屋経由のルートをとりました。
これで六弥勒~五地蔵山~一不動避難小屋までの登山道巡視も完了出来ました。
一不動避難小屋から下は前回の戸隠山の下山時にも通っているので慣れた道です。
途中滝が2つあり、滝のすぐ横を鎖を伝って降りて行きます。
鎖のトラバース(横移動)もあり気は抜けませんが楽しいコースです。
最後は牧場に出て牛たちに囲まれましたよ。
<のどかな牧場に出ます>
2020年10月01日上高地パークボランティア顔合わせ巡視会
中部山岳国立公園 小森 夏奈
みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。
連休中の上高地は、たくさんの方々がお越しになり賑わっていました。当初の予報よりお天気も良く、みなさん上高地や山々からの景色を楽しまれたのではないでしょうか。
さて、本年度の上高地パークボランティアの活動は、7月8日より開始しています。現在のところ、コロナ禍で活動内容を縮小しており、屋外での巡視や維持管理、野生動物対策(サルの追い払い)、外来植物対策・調査が主な活動で、屋内における定例会・研修会と利用者の方と接するガイドや観察会は活動見合わせとなっています。
本年度は新規会員6名がパークボランティアに追加登録となりました。定例会や総会ができていないため、新しい方と既会員が交流できる機会が今までありませんでしたが、先日、顔合わせのための巡視会が行われました。
上高地インフォメーションセンターに集合し、自己紹介いただきました。新規会員のうち4名と、会員10名ほどが集まりました。この後、2班に分かれて巡視に出発しました。
会員同士の距離に気をつけながら、インフォメーションセンター~河童橋~小梨平キャンプ場付近を、既会員の解説を聞きながらゆっくり進みます。歩いた距離としては1kmにも満たないのですが、様々なお話を聞くことができました。樹木について、清水川の湧水について、小梨の見分け方、ヒカリゴケの場所など、私も知らないことが多く、大変勉強になりました。小梨平の梓川沿いでは、群発地震や豪雨の影響による地形の変化を確認しました。
その後急な降雨のため、ビジターセンターで上高地のクマについてのレクチャーを受け、解散となりました。こちらのレクチャーについては、また改めてアクティブ・レンジャー日記でご紹介させていただきます。
上高地パークボランティアの活動期間は、上高地開山中のみとなっています。11月15日の閉山まで今年は残すところ2ヶ月を切りましたが、それぞれのボランティアが感染対策を徹底し、無理のない範囲で活動していければと考えております。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
皆さま、こんにちは。
アクティブレンジャーの山﨑です。
朝晩と随分涼しくなりましたね。また、日が暮れるのも早くなり、虫の声が聞こえ、季節の変化を感じます。
藤前干潟では、秋の渡り鳥が増えてきています。潮が引いたある日、イソシギが波打ち際で、ちょこちょこと歩き回り、エサを探していました。
<9月28日撮影、藤前干潟> <イソシギ>
さて、今回は、名古屋自然保護官事務所の職員が実施している出前講座について、お話しします。
出前講座とは、職員が実際に、小学校、中学校、会社などに出向き、「藤前干潟」の普及啓発を目的に、藤前干潟の魅力や今起きている問題について、お話しさせてもらう講座です。
小学校などで行っているテーマは、「藤前干潟 生きものの魅力にせまる!」
1. 干潟ってどんなところ?
2. 藤前干潟の生きものたち
3. 藤前干潟が困っている? です。
<講座に持って行く準備物は結構たくさんあるのです(笑)>
1では、干潟とは、どういう所なのか、どうやって出来るのかなどの説明や、実際に干潟の泥を持っていき、触ってもらったり、においをかいでもらったり五感を使い観察をしてもらいます。
<実際に泥を触り、観察している様子>
2では、干潟に棲む生きもの、渡り鳥、それらの特徴や環境に合わせた進化の凄さについてなど、また、時には、生きものを持っていき、マイクロスコープでスクリーンに映し出したり、実際に観察をしてもらったりなどしています。
生きものなので、状況により毎回持っていくことは難しいのですが、実際に生きものを観察出来るのは、名古屋自然保護官事務所ならではのメリットだと思います。出前に出張した生きものたちは、もちろんその日のうちに、干潟へ返します。
<マイクロスコープとゴカイ> <時には、実物大模型で説明します(2020年1月の講座)>
3では、藤前干潟が直面しているごみ問題についてのお話しです。約20年前の1999年に、名古屋市で「ごみ非常事態宣言」が出され、ごみ埋立て計画から藤前干潟が守られた経緯などについてお話しします。
<川や海などから流れ着くごみ、これは、最近の藤前干潟の写真です>
ここまで、説明をすると、ほとんどの子どもたちは、藤前干潟の重要性と自分たちで出来ることは何があるのかなど、いろいろと考えてくれます。
<子どもたちの感想>
・藤前干潟に行ってみたいと思った。
・神秘的な場所だと感じた。
・干潟は水をきれいにしてくれることが分かった。
・私たちの身近な場所であることが分かった。
・ごみはきちんと持ち帰るようにする。など、たくさんの感想をもらいます。
そして、1番の目玉は、「シジミの浄化実験」です。前日か前々日より藤前干潟でシジミを採取し、当日まで世話をして、出前講座に持って出かけます。そして、講座の最初の方で、シジミが入ったコップと入っていないコップに、干潟の泥で泥水を作り、同量を2つのコップに注ぎます。
<実際に子どもたちの目の前で作っている様子> <泥水をいれた直後の様子>
そして、講座を再開し、講座を聞きながら待つこと30分、忘れた頃に、シジミの浄化実験の結果発表です! シジミの入ったコップの方は、透明な水に変わっているのです。これには、先生方や子どもたちから驚きの声が上がります。実際に目の前で観察が出来るのはいいですね。
<20分~30分後のシジミ浄化実験の様子、シジミが入っている方の水はとてもきれいになっています>
このような出前講座を通して、藤前干潟のこと、生きもののこと、ごみ問題のことなどを知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけになればよいと思います。また、藤前干潟と自分たちの生活が川などを通じて繋がっていることも分かってもらえると嬉しいです。
□□□□□藤前干潟プチ情報□□□□□
よく川辺や田んぼなどで、見かける白い鳥、サギですが、サギと言ってもいろんな種類がいます。
藤前干潟で、よく見かけるのは、ダイサギ、コサギです。名前の通り、ダイサギは100cmほどに対し、コサギは60cmほどです。
<ダイサギ> <コサギ>
ダイサギ、コサギに対し、チュウサギもいます(笑)70cmほどです。藤前干潟ではあまり見かけません。
この他、アオサギ、クロサギ、ムラサキサギなど、良く似ていますが、色や大きさなどが少しずつ違うサギ類がいます。※クロサギ、ムラサキサギは、藤前ではほぼ見かけることはありません。
<クロサギ> <ムラサキサギ>
それぞれに特徴があり、見分け方が難しいものもいますが、興味がありましたら、ぜひ、身近に観察出来るの鳥なので、違いを確認してみて下さいね!
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環境省 稲永ビジターセンターと藤前活動センターの企画展開催中のご案内!
7月25日(土)~12月20日(日)企画展「干潟のちっちゃな生きものたち展」 稲永ビジターセンター
7月25日(土)~12月13日(日)企画展「干潟のベントス展」 藤前活動センター
入館無料です。両センターからの眺めも癒やされます。ぜひ、遊びに来て下さい。