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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年8月21日

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2020年08月21日白山国立公園の山!稜線歩きが楽しい ♪別山♪

白山国立公園 大石佳織

皆さん、こんにちは。

白山自然保護官事務所の大石です。
白山国立公園と言えば、白山の御前峰、剣ヶ峰や大汝峰周辺の大らかな山頂域や火口湖のある風景を思い起こす方が多いかもしれません。

しかし、白山には違った山容を楽しめる場所もあります。
その一つは別山(べっさん)です。

(秋の別山。 20199月別山平の御手洗池から撮影)
別山は私の大好きな山ですが、事故や道迷いが発生している山でもあるので、今回は魅力と注意点の両方をお伝えしたいと思います。

別山は標高2,399m。石川県白山市、岐阜県高山市、白川村の境に位置する山です。
御前峰などは火山活動によって形作られた山で今も気象庁が観測を続ける活火山ですが、別山は堆積岩が隆起してできた山で、火山ではありません。

別山へは、
■ 上小池(福井県大野市)から鳩ヶ湯新道を進み、三ノ峰を経て至る登山道(片道約8km
■ 市ノ瀬(石川県白山市)から別山市ノ瀬道を進む登山道(片道約9.5km
■ 別当出合(石川県白山市)から南竜ヶ馬場を経て登る登山道(片道約9.7km
■ 石徹白(岐阜県郡上市)から石徹白道(南縦走路や美濃禅定道とも呼びます)を進み、三ノ峰を経て至る登山道(片道約18.9km
などがあります。
※ 距離は登山アプリ等で示される水平距離とは異なります。

それぞれ見どころがありますが、今回は、南竜ヶ馬場(みなみりゅうがばんば)から別山へ登る登山道を見てみましょう。

南竜ヶ馬場を出発して最初の見どころは南竜湿原です。

(左:南竜湿原、右:ハクサンオオバコ 819日撮影)

ここではハクサンオオバコやイワイチョウ、イワショウブなど湿った環境に生育する植物を木道沿いで間近に観察しちゃいましょう。

湿原を堪能したら赤谷へ下り、油坂を登ります。

(南竜湿原から油坂 南竜道から撮影)
見るからに大変そうな登り...。
実際にキツイ登りですが、「もうダメだ...」と思い始めた頃に北アルプスの遠景や白山などの素晴らしい景色が待っているので、単純な私は途中で辛さを忘れて登れてしまいます。

(油坂から振り返れば白山♪)

そして、
キツイ坂を上り切って油坂の頭に到着すれば、ここから先は稜線歩き。
景色は一変します。
私はここからの稜線歩きで見られる景色が大好きです。

(天空の道を行く♪ 2019年9月撮影)
狭い稜線のため、登山道はちょくちょく崖の際についており、慎重に歩く必要があります。

(登山道はこんな崖の際についています。足元には注意!)
危険な場所ですが、私は空を飛んでいるかのような爽快な気分になってしまいます。

人にとってはどきりとするような急峻な崖ですが、多様な植物が生育し、色とりどりの花を咲かせていて目を奪われます。

(急斜面で咲き誇る花々。 819日撮影)
花はとてもきれいですが、くれぐれも足元には注意してくださいね。

また、所々に小さな池があり、空に近い場所に池がある様子は別世界のようです。

(天池 20199月撮影)
この稜線の道は、かつて石徹白(岐阜県郡上市)から白山へ登拝するために、多くの人に利用されていた歴史があるため、室跡などもあります。

こうした見どころを楽しみつつ、登っていくと別山に到着です。
山頂横には別山神社があり、ここでも歴史ある信仰の山であることを感じられます。

(山頂からの白山を望む)

もちろん360度絶景です!

<別山登山の注意点>
別山は魅力的な山ですが、少し注意も必要です。
■ 滑落に注意
南竜ヶ馬場から別山までの区間は、片側が谷へ急激に落ち込んでいる場所が何か所かあります。慎重に歩けば問題ありませんが、滑落事故も発生しています。通行の際は、浮石や路肩に十分ご注意ください。

(危険個所の一例:岐阜県側へ崩れた斜面)

■ 道迷いに注意
また、別山から御舎利山を経て市ノ瀬へ下る分岐付近には、紛らわしい踏み跡がついています。石や杭などで踏み跡の入口を塞いでいますが、ガスがかかって視界が悪い時に誤って踏み入り、滑落する事故が発生しています。

(道迷いが発生した分岐)

(道迷いが発生した場所の遠景)
踏み跡はとてもはっきりしているので、登山道と勘違いしやすいのですが、次第に不明瞭になります。その先は崖となっており、非常に危険です。
視界が不明瞭なときは地図で登山道の状況を確認しながら歩き、不安を感じたら、わかるところまで戻ることが大切です。

別山への道は、距離や高低差が大きいため体力も必要です。水場も日差しを遮る木陰もほとんどありません。ご自身の体力や体調と相談して、ゆとりを持った計画で、安全登山をしてくださいね。

(水色線の箇所が今回ご紹介したルート)

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