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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26)

45件の記事があります。

2012年09月18日笹ヶ峰ミニビジターセンターの展示更新と初秋の笹ヶ峰

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 各種の環境省パークボランティア活動が目白押しの7月、8月は妙高高原自然保護官事務所にとっても、また、自分自身にとっても文字通り例年以上の「熱い夏」でした。

 「熱い夏」となったきっかけの一つは、「笹ヶ峰ミニビジターセンターの展示の充実」への取り組みでした。

 笹ヶ峰ミニビジターセンター館内の大きな常設コルクボードの一部を使った「自然紹介コーナー」は、前任のアクティブ・レンジャーが中心となって、「ビジターセンター周辺で出会った動植物を紹介することで妙高高原の豊かな自然に少しでも興味を持って頂こう」という思いのもとでスタートしたコーナーでした。

 昨年は一般の皆さんも参加して頂ける「笹ヶ峰のいきものたち」展示コーナーを新たに設けましたが、展示写真の更新は進めていませんでした。そこで、今年度は業務の合間で撮影した動植物の写真を追加展示することで、より多くの方に興味を持って頂けるようにしようと考えました。

 物も人手も限られた中での取り組みですから、とにかく工夫しかありません。
 まず、これまでの展示の一部を整理してスペースを確保するところから取りかかり、ポスターパネルに古いポスターの裏面を張り込むことで、まっさらなスペースを確保しました。
 次に、準備のできたパネルも活用して、平成20年度から今年度まで年度ごとに分けて写真を貼り込み、それぞれの写真の下部に撮影日とだいたいの撮影場所を表記、裏面に動植物の名前を書き込むことで、写真をめくると動植物の名前がわかるように掲示しました。こうして「めくってみてね」コーナーのリニューアルが完成しました。




 夏休みに入る前から作業を始めましたが、パークボランティア活動の運営と並行しての、一人コツコツ作業のため思うように進みません。それでも、8月初旬には何とか形にすることができました。
 珍しい生きものたちは決して多くありませんが、「笹ヶ峰や妙高高原でみかけるけど、なんて生きものかな?」という疑問に少しでも答えられたらとの思いで、取り組みました。

 後になって聞いた話ですが、親子連れの皆さんにわりと好評だったようで、苦労した甲斐がありました。写真は5月末から11月までの生きものたちを展示していますので、夏休み期間だけでなく、10月の閉館までにビジターセンターに訪れる多くの皆さんに楽しんで頂けたら嬉しいかぎりです。

 さて、そんな「熱い夏」も一段落した9月上旬、館内整理のため笹ヶ峰ビジターセンターに向かいました。

 道すがらまだ所々で鳴いているセミの声に夏を感じながら笹ヶ峰の牧場にさしかかると、シラカバの大看板前の草原で、




 一面のキンミズヒキが迎えてくれました。牧場内の立木に目をやると、巻き付いているツタウルシの葉も一部黄色に色づいてきています。

 ビジターセンターでの作業を終えて外にでると、オスをおんぶした大きな褐色型トノサマバッタのカップルを発見。追いかけられることがないせいでしょうか、近寄っても全く動じません。

 また、標高1300mの笹ヶ峰に避暑(?)に来ていたアキアカネも…




 赤みが強くなって、そろそろ低地に下りようかな、と考えているかのようでした。

 笹ヶ峰の生きものたちの変化から、厳しい残暑が続くなかでも少しずつ秋に向かっていることを実感することができます。

 これから妙高高原は秋の紅葉シーズンを迎えますが、その前に笹ヶ峰ビジターセンター周辺の環境省整備遊歩道の手入れをパークボランティアの皆さんとともに行うことで、より多くの方に安全に楽しんで頂けるよう準備を進めています。
 
 今後は各種の地域イベントも実施される予定ですので、多くの皆さんにお越し頂き、妙高高原の素晴らしい自然を直に感じて頂ければと考えています。

 地域のイベント等の詳しい情報は、
「妙高市観光協会」のホームページでご確認頂くか、
0255-86-3911
までお問い合わせください。

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2012年06月21日環境省アクティブ・レンジャー国立公園写真展 in 糸魚川

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 今年度の環境省アクティブ・レンジャー国立公園写真展は、平成23年度に長野自然環境事務所管内のアクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)8名が撮影した写真40枚を、会場の広さにあわせて展示点数を調整しながら、1ヶ月に1会場を目安に管内を巡回展示する計画となっています。

 この糸魚川市役所で3会場目、妙高高原自然保護官事務所管内としては今年度初めてとなり、6月20日水曜日から7月17日火曜日までの会期で、市役所1階「市民ホール」の一角をお借りして開催しています。



 市役所をお借りしての開催も今回が初めてでしたが、市の職員の皆様の行き届いた対応のおかげで滞りなく設営作業当日を迎えることができました。

 正面玄関を入ってすぐ、右手の大きなスペースを確保して頂き、パネルやその他の展示用具もすでに職員の皆様に準備して頂いてありました。市職員の方とともに、打合せをしながらより楽しんで頂けるような会場作りを心がけて設営をすすめました。



 設営当日は雨模様のうえ開催前で照明も落としてあったため、写真が暗くなってしまいわかりにくいかもしれませんが、広々として、ほんとうに立派なスペースです。

 市職員の方のご協力のおかげでスムーズに作業がすすみ、40点すべての展示が完了、



 展示用パネルの脇にはベンチもあり、皆さんにゆっくり見て頂ける落ち着いた展覧会場に仕上がりました。

 今回、会場をお貸し頂いた糸魚川市役所の皆様のお力添えでこの写真展を開催できましたことを、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。

 会場のお近くにお寄りの際は是非足を運んでいただき、環境省の様々な取り組みや国立公園についてより深い関心をもっていただく、一つのきっかけになってもらえたらと願っております。

 糸魚川市役所の次は、7月下旬からの約1ヶ月間、嬬恋村「高峰高原ビジターセンター」、中之条町「野反湖ビジターセンター」の2会場で同時開催する予定です。

今後の写真展開催に関する詳しい情報は、
「環境省長野自然環境事務所」 電話 026-231-6570
までお問い合わせ頂くか、
「環境省長野自然環境事務所ホームページ」
http://c-chubu.env.go.jp/nagano/
でご確認ください。

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2012年05月18日いもり池モニタリング調査

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 いもり池周辺では、「自然環境」と「利用状況」の変化を長期的にとらえて、今後の国立公園のありかたの参考とするためのモニタリング調査を行っています。今年で5年目となる取り組みで、少しずつ調査のポイントや視点に改良を加えながら続けてきました。

 午後から雲の湧くことの多い妙高山周辺ですので、これまでだいたい午前中にこの調査を行ってきましたが、この日は午後から晴れてきたため午後の作業となりました。個人的には午後の妙高山を撮影しようとすると逆光でうまく撮影できないため、午前中の調査の方がいいのかな、と感じています。
 モニタリング調査ですので定点での撮影は必ず行いますが、周辺も含めた生きものたちの様子や公園施設の状態、利用者の皆さんの様子から駐車状況まで、できる限りの情報を集めるように気をつけています。

 この日は時折強い風が吹き抜ける、ここ一週間で一番暖かく感じた明るい午後でした。木道から林の中を通る遊歩道に入ると湿地に咲くミズバショウ群落を裏側から眺めることができますが、盛りは過ぎていて葉の大きさは50㎝程になっていました。その一方で手前の灌木の下には…




20㎝弱のユリ科のショウジョウバカマが咲いていました。咲いている場所は30㎝ほどしか離れていないのですが、手前はサーモンピンク、奥はピンクと花の色はかなり違っていて訪れる人々を楽しませてくれています。あたりにはスミレの仲間も多く咲いていました。

 対岸の妙高高原ビジターセンター側からの遊歩道入口にある標柱の上には、初めて見る大きめのカメムシが、小さなクモと向き合って風にとばされまいとしがみついていました。




 調べてみると、黒い文様が四つあることからヨツモンカメムシという名がついた寒地系のカメムシで、山地のハルニレなどにみられるとのこと。これも大切な自然情報の一つであると同時に、何回訪れても毎回遭遇する新たな発見は、楽しみながらこの業務に取り組ませて頂く原動力にもなっています。

 木道のあちこちでは撮影会でしょうか、多くの方が歩道脇のミズバショウと春の光に満ちあふれた沢の流れに真剣にレンズをむけていらっしゃいました。




 利用者の皆さんには「笑顔で挨拶!」を心がけてはいますが、木道から湿原に足を踏み入れる方も無くこちらからあえて声をかける必要はほとんどありません。むしろ、ゴミバサミとファイルを持ち、ゴミ袋を腰にぶら下げたどうみても利用者に見えない姿に、
「ごくろうさま。」
「がんばってください。」
「なにをしているの?」と、
声をかけて頂くことの方が多く、また、湿地の陸地化が進んでいるのではないか等の環境変化に対するご意見を頂くこともあります。こういった利用者の皆さんの声を聞く度に、この取り組みの大切さを改めて感じるとともに、一つ一つの声が利用状況を確認するための大切な情報でもあると考え、感謝しながら作業させて頂いています。

 一方で、絵の具のついた紙が無造作に放置されていたり、アイスクリームの持ち手の紙やウエットティッシュ、タバコの吸い殻やお菓子の包装紙などが木道脇の灌木やベンチの下、あずまやの裏にあるのをみつけると大変悲しい気持ちになります。時期的なものかもしれませんが、この日は比較的多くのゴミを調査中に回収しました。美しく貴重な自然をそのまま次の世代に受け継いでいくためにも、ゴミの持ち帰りにご協力をお願いいたします。

 作業を終え、池沿いを通って事務所に戻るみちすがら、ウグイスの長い鳴き声やモリアオガエルのコロロ、コロロという鳴き声が聞こえてきました。多くの生きものの営みと息づかいに元気をもらい、妙高高原の自然に感動しつつ作業を進めることができ、充実した時間を過ごすことができました。

 皆さんも豊かな自然につつまれた癒やしの時間をすごしに、妙高高原まで是非足をのばしてみてはいかがですか。きっと素敵な出会いを体験できることと思います。

いもり池周辺の季節の自然情報や各種イベント等の情報は、
妙高高原ビジターセンターでも提供されています。

電話:0255-86-4599
URL:http://www.myoko.tv/mvc/

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2012年04月27日妙高高原の春

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 4月末の午前中、自然保護官に同行して、現場状況の確認のため笹ヶ峰キャンプ場に出かけました。
 去年は4月18日でしたが、今年は一週間ほど遅れての確認となりました。そのせいでしょうか、昨年の現場確認時よりはいくぶん雪の量が少なく感じられました。
 駐車場トイレの確認後、スノーシューを着用してキャンプセンターや笹ヶ峰ミニビジターセンター…




 広いキャンプ場内のトイレ、炊事棟、看板などの各施設をひとつひとつ雪による被害などがないか確認して行きます。
7月のキャンプサイトオープン後に訪れる皆さんに、安全にそして安心して利用して頂くための大切な作業のひとつですが、あたりはまだ雪原ですので雪にうもれてチェックできない箇所もありました。また、スノーシューを付けていれば移動は楽ですがここのところの好天で融雪がすすみ、写真を見て頂ければわかるように建物の近くは屋根からの落雪がいつ起きてもおかしくない状況になっています。遠目には平らな雪原に見えていても大きな穴がぽっかり空いていたり、場所によっては下が空洞になってしまっている箇所がある可能性も考えられます。気を配りつつの調査となりました。

 確認を済ませてミニビジターセンターに戻ってくると、雪の上に赤黒いものが落ちていました。拾いあげて見ると…




 カメノコテントウでした。こんなに早い時期に出会ったことがなかったため、死んでいるのかな?と思いきや、裏返してみると、とたんに足をジタバタ!この日の暖かな日差しに誘われて出てきてしまったのでしょう。
しばらく手の中に入れていましたが、驚いたのか、青臭いニオイのする赤い汁を手に付けられてしまいました。甲に乗せると忙しく歩き回り、写真を撮るのも一苦労。そのうち淡く霞む笹ヶ峰の青空へ飛んで行きました。

 このカメノコテントウは、1センチを越える日本で最も大きい部類のテントウムシで、成虫も幼虫もクルミハムシというオニグルミなどの葉を食べるハムシが好物です。ですから、クルミが生育する山の沢沿い、しかもクルミハムシなどの食べものがなければ生きていくことができません。一見派手で可愛いこのテントウムシも、豊かで多様な環境があってはじめて子孫を残すことができるのです。

 人間の営みも同様で、多様な生態系があってはじめて成り立っています。大人になってみかけることが少なくなった生きものたちも、この仕事に就き、妙高高原に通うようになって再び出会えるようになったということも多々ありました。多様な生物が生きていける笹ヶ峰をはじめとした豊かな妙高高原の環境を、良い状態で次の世代にバトンタッチするために、今年も自分にできることから取り組んでいきたいと気持ちを新たにした、そんな出会いでした。

 まだまだ人を寄せ付けない笹ヶ峰にくらべて、いもり池のミズバショウはというと…




 ごらんの通り、咲き始めていました。この日はあいにく曇りでしたが、妙高山と残雪をバックに、可憐に咲くミズバショウ群落を間近で観賞することができるのも、この時期ならではの楽しみではないでしょうか。

 環境省のパークボランティアの皆さんが池の周りの遊歩道のところどころに立って、訪れた皆さんにミズバショウといもり池の自然について解説している「ミズバショウ解説活動」も妙高高原ビジターセンターとの共催で、4月28日(土)から5月6日(日)の9日間毎日開催されています。どなたでも無料で解説を聞いて頂くことができますので、生きものたちの息吹に満ちた妙高高原の春を是非一度体感しにいらしてみてはいかがでしょうか。

「ミズバショウ解説活動」に関するお問い合わせは、
妙高高原ビジターセンター
電話:0255-86-4599
まで、お気軽にお問い合わせください。

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2012年04月20日春のあしおと

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 今年は妙高高原自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーとしての3年目、発信する情報の質にこれまで以上にこだわって、「環境省の取り組み」を中心にタイムリーな情報発信を心がけていきたいと考えております。今年度もよろしくお願いします。

 さて、今週の中頃に上越森林管理署での打合せに向かう道すがら眺めた、日本三大夜桜の一つ上越市高田公園のソメイヨシノはようやく花が多くなってきたところでしたが、同じ日の午後打合せのため訪問した糸魚川市役所の前、「中部北陸自然歩道」(※1)の天津神社(あまつじんじゃ)に向かう桜並木は…




 ご覧の通り、ほぼ満開。
南北に細長い新潟県、同じ上越地方でも場所によって、春の到来にかなりの差があります。

 春の便りが相次ぐ中、地元の皆さんが過去に例が無いと言うほどの積雪にみまわれた妙高高原でも、雪堤はかなり低くなり、現在は1.5メートル程の高さになりました。
 幹線道路脇の雪が溶けはじめた斜面の下からはフキノトウも顔をだしはじめ、春の到来を感じさせてくれます。保護官事務所の前庭、除雪機の脇からもようやく顔をだしてくれました。




 同じ日の昼前いもり池の様子を確認しに行くと、ちょうど池の平区の区長さん他2名の地元の方が、除雪機と小型ブルドーザーを使って、遊歩道に1メートル以上残った雪の除雪作業をされていました。




「ミズバショウが咲きはじめているしね。こうやって雪割りしておくと、風が通って溶けやすくなるんだよ。」
 そう言いながら、すっかり春めいた明るい日差しの中、堅くしまって飛ばしにくい雪の除雪を少しずつ進めておられました。
 いもり池の流れだしに架かる橋を積雪から守る「渡し木」も外されていて、地元のみなさんの力でミズバショウ・シーズンを迎える準備が着々と進められています。

 妙高高原自然保護官事務所でも、いもり池「ミズバショウ解説活動」の準備を現在進めているところです。
 この「ミズバショウ解説活動」は、4月28日(土)から5月6日(日)の9日間毎日、環境省パークボランティアの皆さんが池の周りの遊歩道のところどころに立って、訪れた皆さんにミズバショウといもり池周辺の自然について解説している活動で、どなたでも無料で聞いて頂くことができます。
 高原の春を満喫しながらボランティアの皆さんの多彩な解説に耳を傾けて頂けば、妙高高原の自然の懐の深さを実感して頂けるのではないかと思います。

 生きものたちに満ちた春まであとすこし、妙高高原でしか味わうことのできない春を体感しにいらしてみてはいかがでしょうか。

 ※1:中部北陸自然歩道
  長距離自然歩道の一つ。
  長距離自然歩道は、四季を通じて手軽に、楽しく、安全に自らの足で歩く ことを通じて、豊かな自然や歴史・文化とふれあい、心身ともにリフレッシ ュし、自然保護に対する理解を深めることを目的に整備されています。長距 離自然歩道のうち、新潟、群馬、富山、石川、福井、長野、岐阜、滋賀の8 県にまたがっているのがこの「中部北陸自然歩道」です。
  詳しい情報は、環境省ホームページ→「自然環境・生物多様性コーナー」→ 「エコツー」→「その他 自然大好きクラブ」から入って頂くか、下記アド レスからアクセスしてみてください。

 「自然大好きクラブ 長距離自然歩道を歩こう!」ホームページ
 http://www.env.go.jp/nature/nats/shizenhodo/index.html

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2012年03月22日今年度最後の環境省アクティブ・レンジャー国立公園写真展

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 今月の13日火曜日から29日木曜日までの会期で、妙高市の道の駅あらい「くびき野情報館」のイベント・ギャラリーをお借りして、今年度11回目、そして最後の「環境省アクティブ・レンジャー国立公園写真展」を開催しています。
 
 道の駅あらい「くびき野情報館」は、昨年度の写真展、そして震災の影響で会期が短縮された今年度はじめの写真展でも、駅長さんをはじめスタッフの皆さんから細やかなご配慮とご協力を頂いている会場です。
 高速道路「上信越自動車道」の新井パーキングエリアと国道18号線に挟まれた立地で、全国でも屈指の利用者数を誇る道の駅の一つ、毎回多くの方にご覧頂いています。

 設営作業のために前日の午後会場入りしましたが、すでに玄関にはポスターを掲示して頂いてありました。
 駅長さんからは、
「あるものは、何でも使ってくださいね。」
と、いつものように優しい言葉をかけていただき、脚立を使ってワイヤー付きフックを増やす作業からとりかかりました。
 額の設置は3人で行って40点すべてを展示、方向指示の看板も前回同様移動式表示板をお借りして入り口に置かせていただきました。また、前回ご覧いただいた方からのご意見をふまえて、ゆっくり座って楽しんで頂けるようにと椅子を会場中央に配置しました。

 新聞各社様から問合せと会場の取材が有り、




3月16日には、上越タイムス様に写真入りの開催記事も掲載していただきました。

 後日、無料配布資料の設置と会場確認のためにうかがうと、玄関入り口にさらにもう一つ職員の方に作って頂いた看板が設置されていて、会場内スポットライトの向きも調整して頂いてありました。その至れり尽くせりの対応に館内カウンター内にたまたまいらっしゃった館長さんへ思わず感謝、感謝でありました。




 ここは「くびき野情報館」というだけあって、館内で道の駅周辺の様々な情報を手に入れることができます。あいにく雪交じりの寒い1日でしたが、新聞各社に記事が掲載された効果もあってか、訪れた多くの方に入れ替わり立ち替わり会場をご覧になっていただきました。
 お子さんから年配の方まで幅広い層の方に楽しんでいただいており、設置した感想ノートには様々なご意見も寄せられていました。




 中には厳しいご意見もいただいています。

 ただ、業務の合間に撮影しているうえ、プロの写真家のような技術や機材もありません。また、巡回展のため、地元で複数回開催した場合会場が違っても年度内は同じ写真を展示することになります。
 何度も足を運んで頂いた方には大変申し訳なく思っておりますが、一人でも多くの方にご覧いただき、環境省の日々の取り組みの様子や四季折々の国立公園のありのままの姿を知っていただければ嬉しい限りです。

 今回、会場をお貸し頂いた道の駅あらいをはじめ、広報にご協力頂いた地元の組織や団体、新聞各社といった多くの皆様のお力添えでこの写真展を再び開催できましたことを、この場をお借りして心からお礼申し上げます。

 来年度の写真展は、平成23年度に長野自然環境事務所管内のアクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)8名が撮影した写真40枚を、会場の広さにあわせて展示点数を調整しながら、1ヶ月に1会場を目安に管内を巡回展示する予定です。
 今後展示を予定している会場としましては、4月中旬から「新穂高ロープウェイしらかば平駅」、5月末から「長野市役所」、6月下旬から「糸魚川市役所」となっております。

 日ごとに暖かさが増してくる季節、それぞれの会場のお近くにお寄りの際は是非足を運んでいただき、この写真展が訪れた皆さんに環境省の様々な取り組みや国立公園についてより深い関心をもっていただく、一つのきっかけになってもらえたらと心から願っております。

今後の写真展開催に関する詳しい情報は、
「環境省長野自然環境事務所」 電話 026-231-6570
までお問い合わせ頂くか、
「環境省長野自然環境事務所ホームページ」
http://c-chubu.env.go.jp/nagano/
でご確認ください。

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2012年03月22日子どもパークレンジャー

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 少し前ですが、3月4日の日曜日、国立妙高青少年自然の家を会場として、環境省長野自然環境事務所主催(担当:妙高高原自然保護官事務所)の「体感!!子どもパークレンジャー事業」を開催しました。

 この「子どもパークレンジャー事業」は、国立公園等の自然を守る自然保護官の仕事体験や自然観察を通じて、自然への関心を持ってもらうとともに豊かな人間性を育むことを目的に、環境省が全国各地で開催している子ども向けの自然体験プログラムです。

 今回は「豪雪の冬を生きる鳥、昆虫、哺乳類、樹木を見に行こう!」と題し、妙高高原の厳しい冬をたくましく生きぬく生き物たちを青少年自然の家周辺で実際に探して、ふれて、調べてみるという内容です。

 小学校4年生から中学校1年生までの19人の応募者の皆さんに、国際自然環境アウトドア専門学校の先生を講師として1名、運営スタッフ7名、長野自然環境事務所から自然保護官2名、アクティブ・レンジャー1名の合計11名の体制で対応させて頂きました。

 まず、「自然の家」内の学習室で、講師、スタッフ、スケジュール紹介の後、自然保護官から事業の説明と子どもパークレンジャーの任命式をとり行いました。




 自然保護官からひとりひとりに直接子どもパークレンジャー・グッズを手渡し、引き締まった雰囲気の中、いよいよ、実際に子どもパークレンジャーとしての活動がスタートします。

 快晴の空の下、スノーシュー(西洋かんじき)を身につけ、スタッフ・リーダーの先導で5班に分かれて自然の家周辺の生き物たちを実際に調べに出かけました。
 子ども達はスノーシューにもすぐ慣れて、ウサギの足跡を写真に納めたあと食痕や糞を探したり、ホオノキの大きな冬芽を探したり、生き物とその痕跡を探しながら雪原を元気よく移動します。
 朽ち木を見つけると、樹皮下で越冬する昆虫を探すため、そっと表皮を剥がしてみます。




 「おぉ~これは生き物が隠れていそうな朽ち木だぞ~」
講師の先生に手伝ってもらったり、スタッフ・リーダーに教えてもらったりしながら、樹皮の下に隠れている生き物たちもケースに集めて午前の活動が終わりました。

 昼食後、今度は学習室で集めてきたものを顕微鏡で拡大して細かい特徴を観察し、リーダーと一緒にその様子を記録していきます。




 子ども達は真剣そのもの。
 ホオノキの冬芽は一枚一枚剥がして産毛などの状態を、ウサギの糞はばらばらにほぐして冬に食べているものを、セッケイカワゲラやクモなどはそのままシャーレに移して観察しましたが、今まで見たこともない世界に子ども達の多くが夢中になっている様子でした。

 先生にウサギの糞のにおいを聞かれて、何人かの子どもパークレジャーがほぼ同時に、
「抹茶みたいなニオイ!」
と答えます。こんなことも実際に体験してみないとわからないことの一つです。

 先生からみんなが撮影した動物の足跡などの写真を解説してもらって、五感をフルに使ったこの楽しい調査活動もあっという間に終了の時間。
 最後に自然保護官をはじめとしたスタッフ全員が今日の活動について一言ずつ感想を発表し、すべての活動が終了しました。

 スタッフの言葉の中にもあったように、この事業を通じて一人でも多くの子ども達に、厳しい冬を生き抜く生き物たちの暮らしを学んでもらい、そこから豊かな自然のすばらしさや不思議さ、生物の多様性を感じ取ってもらうことで自然への興味関心や環境保全の重要性をより強く意識してもらえたらと強く願っております。

 今後も環境省長野自然環境事務所では様々な業務や事業を通して、子ども達だけで無く多くの方々に自然を体感して頂く機会を提供し、生物多様性の重要性をお伝えしていきたいと考えております。
 長野自然環境事務所で行われている各種のイベント情報につきましては、下記ホームページのトピックスをご覧ください。

「環境省長野自然環境事務所ホームページ」
http://c-chubu.env.go.jp/nagano/

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2012年02月15日「雪上観察会下見」

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 2月12日、雪の舞う妙高高原いもり池周辺で、妙高高原ビジターセンターとの共催で開催する「雪上観察会」(2月19日から3月25日までの毎週日曜日に開催予定)の下見と事前打ち合わせを行いました。

 まず、3.5mほどの雪壁に観察会スタート地点までのスロープ(侵入路)を切り、下見の準備を整えました。その後、ビジターセンター職員、地元協力者、ボランティア、環境省職員の総勢9名で、簡単な打合せとスノーシュー使用方法の再確認を行ってから、




ビジターセンター向かいの観察会使用予定コーススタート地点に向かいました。

 すでにビジターセンターや地元の皆さんによりコースは作られていましたが、今年は例年より降雪量が多いため、設置済みポイント表示も時間とともに腰のあたりの高さになってしまい、雪が付着して見にくいものもありました。コース周辺の注意箇所をチェックしながら、表示の付け替え、雪落としの作業もあわせて行います。




 雪は降ったりやんだりで、ときおり太陽も顔を出し、スノーシューや歩くスキーでふかふかの新雪や木漏れ日のスギ林をぬけていきます。




 コースから外れさえしなければ、きついアップダウンもないため、小学生から年配の方まで気軽にアドベンチャー体験を味わって頂けると思います。残念ながら雪が断続的に降っていたため、この日は動物の痕跡も、鳥も確認できませんでしたが、冬の高原や木々の様子を観察するだけでも十分楽しい時間でした。

 今回の下見でショートコースとミドルコースの2コースを確認しましたが特に問題となる箇所は無く、ゆっくりしたペースでも1時間半ほどで下見を終えることができました。きっと訪れる皆さんに冬の妙高高原を楽しんで頂けるのではないかと思います。
 なお、幹線道路は除雪されているため、4WD車を普段から愛用している上越在住の私の感覚ですと、ビジターセンターまでの移動に全く不便は感じませんが、2WD車で遠方からお越しになる皆様は、念のためチェーンをご持参いただければ、安心して観察会起点のビジターセンターまで来て頂けると思います。

 一方で、この時期は特に天候次第で自然への対応を臨機応変に変えて行く必要があります。冬ならではのイベントを思う存分楽しんで頂くためにも、事前に道路情報や天気予報を十分確認し、装備もチェックして体調を整えた上で妙高高原にお越し頂き、いろいろなイベントに是非参加して頂きたいと思います。
 あわせて、ご自分達で企画されたイベントでお越しの際は特に天候等にご注意頂き、極力無理をせず、場合によっては野外活動中止を決断する勇気ももって頂ければと思います。

「雪上観察会」に関する詳しい情報は、環境省の下記ホームページのトピックスをご覧ください。また各種お問い合わせは、妙高高原ビジターセンターまで、お電話にて(0255-86-4599 受付時間9:00~17:00 定休日:毎週水曜日・木曜日)お願い致します。

「環境省長野自然環境事務所ホームページ」
http://c-chubu.env.go.jp/nagano/

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2012年01月26日妙高高原の雪景色

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 昨年の年末除雪の合間でいもり池を訪れた際、池から妙高山を見上げると、山頂付近に現れたくねくねと昇る雲がまるで今年の干支「辰」のように見え、「来年はきっと良いことが起こるのでは…」と期待に胸膨らませつつ迎えた2012年。

 2011年の年始は、雪が少なくスキー場関係者の皆さんをやきもきさせましたが、今年は積雪量も十分で一安心。やっぱり「“辰の雲”のおかげかな、いい年になりそう。」と思いきや、雪はどんどんどんどん降り積もり…


 

 1月中旬を過ぎる頃には、事務所周辺もこんな姿となりました。
 
 事務所の屋根は雪が自然に落下するように作られていますが、雪が屋根にくっついてこんな状態になってしまいました。写真の赤い除雪機噴出口の先端までで高さ2m弱、事務所の屋根の端から端までが約10mです。
それから考えると、屋根上の雪の高さは、少なくとも2m、幅は9m以上はあるでしょう。とんでもない重量が事務所にのしかかっているはずです。

 いもり池も気になったので、合間で様子を見に行ってみました。妙高高原ビジターセンターと反対側の入り口は、池の近くまで地元の皆さんの協力で一部除雪されていて、スノーシューがなくても入っていけるようになっていました。除雪と久しぶりの晴天のおかげか、雪原となったいもり池の向こうにそびえる妙高山を一目見ようという皆さんが、入れ替わり立ち替わり訪れていました。

 空気は冷たいですが、この時期ならではの美しい景色。


 

 点々と残る動物たちの痕跡、巨大なマシュマロのような雪の丘、そしてその向こうに静かにたたずむ雪化粧した妙高山。澄んだ空気の中、スキー場のアナウンスがかすかに聞こえてきます。

 寒さと同時に、不思議な暖かみも感じました。

 さて、前述の屋根雪はどうなったかといいますと、とうてい素人の手に負える状態ではありませんので、日を改めて専門の業者さんにお願いし、雪をおろして頂きました。

 防護板は設置してあるんですが、雪塊が事務所の窓を突き破り室内に飛び込んでくる可能性もありましたので、一時室外に避難しました。




 ご近所の皆さんも見守る中、クレーンで釣り上げたゴンドラに作業員の方が乗り込み、写真の通り、まず向かって右側のアンテナにくっついてしまった雪を崩してから、反対側に移動し慎重に崩していきます。
 しばらく作業したところで、アンテナ側の4分の1程を残して巨大な雪の塊が「ゴ、ゴ、ゴ、ザーッ」という音とともに一気に落下しました。その後、アンテナ周りを作業員の方が手で除雪し、ガラス窓が壊れることも無く無事に終了しました。

 地元の皆さんのお話では例年のこの時期の1.5倍以上の積雪とのこと、事務所の屋根がこんな状態になったのは長く住んでいるが初めて見たと言う方もいらっしゃいました。これから2月末までは降雪量が心配されるところですが、こんな出来事も雪の多い地域の冬ならではの経験ではないでしょうか。また、この時期妙高高原は晴れの日が少ないのですが、冬にしか見ることのできない美しい自然やこの時期にしか体験できない楽しみもたくさんあります。

 環境省でも、妙高高原ビジターセンター様との共催で、冬の妙高高原の自然を満喫してもらうイベント「雪上観察会」を2月19日から3月25日までの毎週日曜日に開催する予定ですので、この機会に是非妙高高原の自然を体感してみてはいかがでしょうか。

 詳しくは下記ホームページのトピックスをご覧頂き、妙高高原ビジターセンターまで、お電話にて(0255-86-4599 受付時間9:00~17:00 定休日:毎週水曜日・木曜日)お申込みください。

「環境省長野自然環境事務所ホームページ」
http://c-chubu.env.go.jp/nagano/

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2011年12月07日初冬のいもり池と妙高山

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 西林 琢也

 ここ数日は最低気温が0度近くなる日もあり、小雪の舞う日も増えてきた妙高高原。今年もいよいよ雪の続く日々がはじまる予感。
 除雪時の目印として杭を地面に打ち込んで竹をくくりつけ、メンテナンスから戻ってきた除雪機を事務所前に移動して、いよいよ妙高高原自然保護官事務所も除雪体制を整えました。

 最近はめっきり晴れの日が少なくなってきましたが、この朝は通勤途中薄雲の中にたたずむ妙高山がとても印象的でした。そこで、朝清掃の合間の短い時間、いもり池周辺の様子を確認しに行ってみました。
 すると、地元のみなさんでしょうか、雲の切れ目からさす一瞬の太陽光線をチャンスと思われたのでしょう、すでにシャッターを切っていらっしゃる方も見受けられました。




 気温は低いですが風はなく、薄く雪化粧した妙高山が静かにたたずみ、いもり池にその美しい姿を映していました。




 「湖面に広がりすぎたスイレンがもう少し少ないと、もっと大きく池に山が映りこむのに。」と、
腕の悪さをスイレンのせいにしたりしています。
 もともとこの池には生育しておらず、広がりすぎたスイレンを、地元の方に間引いて頂いてはいるのですが、なかなか追いつかないのが現状です。

 ふと視線をおとすと、先ほどの妙高山撮影ポイントの手前、遊歩道の隅に、点々と残る動物の足跡が目にとまりました。




 足跡の長さは6cm~7cmくらい。犬の足跡のようにもみえますが、周囲に人の足跡がない、うっすら積もった雪の上に点々と残されていますから、散歩中についた犬の足跡ではないようです。

 よくみると、足跡が重なっていて、ところどころ「シュッ」とこすったような細長い痕跡が、足跡と足跡の間についています。足跡は直線的に続いていました。

 足跡の形や大きさ、跡の残り方から、おそらくテンかキツネではないかと思います。いもり池周辺でキツネは何回か目撃し、つい数日前も帰宅途中で出会ったばかりでしたが、テンを見たことはいまのところありませんので、このへんに住み着いているキツネではないかな、と考えました。
 シュッとした跡は、しっぽがこすれてできたのではないかと思います。ちなみに、テンは指の跡が5本で残ることが多く、キツネは4本で残ることが多いそうです。

 こんな風に、美しい風景に目を向けて味わってみたり、想像力を働かせて「アニマルトラッキング」(動物を追跡すること、日本では雪上の痕跡を追跡することが多いそうです。)してみたりすることも、楽しみながら自然環境への理解を深め、人と自然が共存共栄していく方向性を見いだすための、ひとつのきっかけとなるのではないかと考えています。

 皆さんも冬の晴れ間を利用して、妙高高原を訪れてみてはいかがでしょうか。きっと、他の季節とはまたひと味違った、自然の美しさや楽しみ方を再発見していただけると思います。

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