ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋

253件の記事があります。

2012年09月06日稲永ビジターセンターのウッドデッキの塗装作業を行っています。

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 稲永ビジターセンターは今から約7年前に完成し、2009年にはセンター西側にあるウッドデッキの塗膜劣化に伴い再塗装を行いました。あれから3年が経ち、ウッドデッキは、再び塗膜劣化により塗装の剥がれや木部の痛みが目立つようになってきました。
 当センターは、自然に配慮して木材をふんだんに用いて作られており、ウッドデッキは子供達が安全に遊べるような場所となっています。
 現在のウッドデッキ表面は擦れてケバケバしており、コケが生えている部分も見られ、落書きや日に焼けて脱色している箇所も確認されました。当センターは直射日光と海風が直接当たるので木材の風化が早く進行するようです。


【塗装前のウッドデッキの様子】


【塗装前の木造階段(写真左)と洗浄後のウッドデッキ床部分(写真右)】

 現在、稲永ビジターセンターでは、この色褪せたウッドデッキをきれいに塗り直すために、業者さんにお願いして、再塗装を行っております。今回塗装する部分は、1、2階のウッドデッキとそれを結ぶ木製階段および手すりです。
 塗装を始める前に下処理として高圧洗浄機を用いて木部表面のコケや汚れをきれいに落としていきます。洗浄後は汚れが取れて木部が白くなり、ウッドデッキ全体が明るくなった印象です。乾燥したらいよいよ塗装作業開始です。


【2階ウッドデッキ塗装作業の様子(写真左)と塗装直後の様子(写真右)】


【塗装前後の色比較】

 2階のウッドデッキから色塗りを開始して、階段→1階ウッドデッキへと進めるそうです。今回使用する塗料色は「ダークブラウン」。自然にも人体にも影響が少ない塗料を使用しています。塗装前後の色を比較するとその違いは明らかで、落ち着いた感じの色となります。
 良い天気が続けば今週末には色塗り作業が完了する予定ですので、色褪せてしまったウッドデッキがどのような姿に仕上がるのか楽しみです。

ページ先頭へ↑

2012年08月21日夏休み!干潟観察会

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

7月31日のアクティブ・レンジャー日記でご案内した「夏休み!干潟観察会」が
8月16日に藤前活動センターにて行われました!

非常に蒸し暑い日でしたが、夏休みでお盆休み期間中であったことから、
ご家族での参加がたくさんありました。
中には、福岡県から藤前干潟に来て、観察会に参加してくださった方もいました。

【藤前活動センターのレクチャー室に集まりました】

今回の観察会のテーマは、ズバリ「二枚貝」。
アサリのように2枚の貝殻が合わさってできている貝たちに注目してみました。
(※藤前干潟にはアサリはあまりいません。)

二枚貝のことを知る第一歩として、まずはハマグリの貝殻を用いて
「貝合わせ」という遊びにチャレンジしました。

【きれいなハマグリの貝殻。昔は藤前干潟でもハマグリが捕れたそうです】

「貝合わせ」は、平安時代から行われている神経衰弱のような遊びです。
(昔は、「貝覆い」と呼ばれていたようです。)
二枚貝の2枚の貝殻の外側を上にして別々に置き、その模様や形などを見て、
ペアの2枚をみつけます。
これは、一つ一つの貝の貝殻が形や大きさが異なり、
同じ貝の貝殻でないと絶対に組み合わさらないからできる遊びなんです。
一見、全部同じようにみえる貝にも個性=多様性があるんですよ。

【簡単なようで以外に難しい・・・?】

そして、いよいよ干潟へ出て、二枚貝を始めとする生き物探しへ。

【こんなに広大な干潟が出ていました】

みお筋と呼ばれる干潟の少し深いところにしかけた土管の中にいる生き物を探したり、
泥の中を掘ってみたり・・・。


【何がみつかったでしょうか?】

再び、室内に戻って、生き物を観察してみたところ、
ヤマトシジミ、オキシジミ、ソトオリガイなどの二枚貝の他に、
マハゼ、コチ、エビなどを探すことができました。
その中でもお味噌汁に入れて食べるヤマトシジミがとってもたくさんいることが分かりました。
そして、夏の風物詩、ウナギも一匹、土管の中からみつかりましたよ!

【みつかった二枚貝】

生き物の観察の後は干潟から持ち帰ってきた二枚貝であるヤマトシジミの貝殻の内側に
絵を描いて自分だけのオリジナル貝合わせを作成しました。

【一生懸命描いてくれました】

最後は、振り返りとして二枚貝の役割について学びました。
二枚貝は、水の中に溶け込んでいる有機物を餌としています。
二枚貝が有機物をたくさん餌として食べてくれると、
水の富栄養化が抑制され、赤潮、ひいては青潮という海の環境の悪化を防ぐことができます。

貝はあまり動かないし、中身は見えないし、一見地味な生き物ですが、その力は強大です!
二枚貝がたくさん生息する藤前干潟などの干潟をこれ以上減らしたくはありませんね。

このように、最後はちょっと難しい話もありましたが、皆さんには楽しく、
観察会を終えてもらえたようです。
また、藤前干潟に来て、生き物にふれあい、学んでほしいと思います。


~藤前干潟は2012年11月18日で、ラムサール条約登録10周年を迎えます~

ページ先頭へ↑

2012年08月15日藤前干潟で見られる鳥~カワウ~

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

まだまだ日中は暑いですが、立秋を過ぎて、
朝晩はわずかに涼しくなってきたような気がします。
夜になると、外でコオロギなども鳴き始め、
秋が近くなっていることを実感しています。

【橋の向こうでは入道雲が勢いよく発達中】

さて、今日は、藤前干潟で最も確実に見られる鳥であるカワウをご紹介します。

【ワタシがカワウです!】

【カモのように浮くのではなく、身体が半分沈んだような状態で泳ぎます】

このカワウは藤前干潟で年中見ることのできる鳥です。
大きな群れになることもあり、干潟の上が羽を休めているカワウで
一面真っ黒になることもあります。

【このままじ~っと羽を乾かします】

近年カワウが増えて、カワウの糞が樹木の立ち枯れやの原因になったり、
漁業に悪影響が生じたり、という被害が各地で生じています。
しかし、藤前干潟では今は漁業が行われていないことや、
カワウの大規模な営巣・繁殖は行われていないこと、
カワウの飛来数に顕著な増加が見られないことから、大きな問題にはなっていません。


【藤前干潟の鳥獣保護区にある唯一のカワウの営巣場所】

しかし、藤前干潟にはカワウの餌となる魚が豊富にいるようで、
弥富市などにねぐらを構えるカワウが、藤前干潟にはたくさんやってきます。
そして、ここ藤前干潟ではカワウたちの「追い込み漁」がよく見られ、藤前名物になっています。


数十羽のカワウが集まって、一定方向に泳いで魚を追い込み、
次々と潜って餌を捕らえる光景は、かなり迫力があります!
これを見たいがために藤前干潟にやって来るという人もいるくらいです。

【群れの後方にいるカワウは次々群れの前へ飛んで、追い込みます】

8月13日は、庄内川の岸のすぐ近くでこの追い込み漁が見られ、
カワウたちが餌を捕まえる瞬間も何回か見ることができました。

中にはアカエイを捕まえたカワウもいました。
この大きなエイをどのように食べるのかと、息をのんで見守ってしまいました。

【アカエイをゲット!!】

【難儀しながらも何とか飲み込む・・・】

藤前干潟では、何と!ウナギを捕まえているカワウもよく観察されます。
カワウもよくよく観察してみると、奥深くおもしろい鳥です。
いつもいる真っ黒い鳥、と終わらせないで、藤前干潟で彼らをみつけた際は
じっくり観察してみてくださいね。

【V字になって群れ飛ぶ姿】


~藤前干潟は2012年11月18日で、ラムサール条約登録10周年を迎えます~

ページ先頭へ↑

2012年08月15日あおなみ線ツアーズ~野鳥観察コース~

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

8月2日に、「あおなみ線ツアーズ」の野鳥観察コースが
稲永ビジターセンターと名古屋市野鳥観察館にて開催されました。

「あおなみ線ツアーズ」とは、あおなみ線とあおなみ線沿線にある施設の魅力を知り、
体験してもらうためのイベントです(主催:あおなみ線沿線活性化協議会)。
野跡駅周辺で行われる野鳥観察コース以外にも、海上見学コース(金城ふ頭駅)や、
荒子川公園駅コース、ささしまライブ駅コースなどが毎年行われています。
(主に小中学生を対象としています。)

【名古屋駅と金城ふ頭を結ぶあおなみ線】

今回の「あおなみ線ツアーズ」野鳥観察コースは、
午前の部と午後の部と合わせて57名の参加者があり、大変賑わいました。

当日は野跡駅に集合後、稲永ビジターセンターへ。
そして、まずは干潟の環境学習として干潟という場所についての解説を聞いた後、
藤前干潟を紹介する映像を鑑賞しました。

【干潟はいつも見られるわけではないんです。】

続いて、ヨシという植物を使った工作を体験しました。
ヨシは昔はすだれや、紙、笛などの材料として、人の身近にある植物のひとつでした。

【藤前干潟にあるヨシ原。今の季節は青々としています。】

今は、中国産のすだれや、プラスチック製品におされて、
日本に生えているヨシはあまり利用されなくなってしまいましたが、
今回は、昔ながらの方法で、藤前干潟で育ったヨシを使ってミニすだれ編みにチャレンジしました。


【ヨシを一本、一本、編んでいく作業に、みんな黙々と熱中・・・。】



【作成中(上)と完成したミニすだれ(下)】

そして、最後は名古屋市野鳥観察館で野鳥観察を行いました。
カワウやウミネコ、サギ、カルガモ、ミサゴなどが見られました。

【野鳥観察館の2階からの眺めはステキです!】

参加していただいた皆さんには、「ヨシ編みが楽しかった」、とか
「今まで見たことのない鳥が見られた」という声をいただきました。

今回のあおなみ線ツアーズを機に、藤前干潟やあおなみ線に親しみを
持っていただけたのではないかと思います。

【今回はあおなみ線の電車の金太郎飴のお土産もありました!】


~藤前干潟は2012年11月18日で、ラムサール条約登録10周年を迎えます~

ページ先頭へ↑

2012年08月14日屋上緑化のメンテナンス

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 稲永ビジターセンターの屋上には、環境に配慮した技術として「屋上緑化」が施工されています。今の時期、植物が屋根を覆っていることで直射日光を遮り、館内の温度が上昇するのを防いでいます。また、植物の蒸散作用により周囲の気温を下げる効果や二酸化炭素の削減効果などが期待できます。このように屋上緑化は環境にやさしく、節電にも大きく貢献しているのです。水は、自動的に散水して芝に水分補給させていますので、水やりの心配は不要です。



【稲永ビジターセンターの屋上緑化】

 ここにはムクドリやスズメをはじめとする多くの鳥たちが休憩に訪れます。
鳥のフンの中には植物の種が含まれていることがあり、それが発芽して飛び抜けて成長するので大変目立ちます。最近、この雑草が屋上で目立ってきたので、安全に十分配慮した上でセンター休館日に除去作業を行いました。



【屋上での作業風景】



【屋上に生えた雑草類 黄丸:ヒメムカシヨモギ、赤丸:イヌホオズキの仲間】


【ツユクサ(写真左)とイヌホオズキの仲間(写真右)】

 屋上ではヨモギやヒメムカシヨモギ、イヌホオズキの仲間、ツユクサだけでなく、イヌムギ、エノコログサ、その他イネ科植物が生えているのを確認しました。このうち、背が高くて目立つヒメムカシヨモギとイヌホオズキの仲間と枯れ草を中心に除去しました。除去作業中にはバッタやコオロギ、カマキリなどの生き物がたくさん見られ、屋上緑化は生物生息機能としても働いているようでした。

【きれいになりました★ 西側(写真左)と東側(写真右)】

 ご覧の通り、きれいサッパリしました。これからも屋上緑化のおかげで涼しく快適に過ごせるでしょう。

ページ先頭へ↑

2012年08月08日この夏休みは『カニ』が熱い!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

みなさん、夏休みはいかがお過ごしでしょうか?

 稲永ビジターセンターでは、8月から「カニ展」を開催しています。藤前干潟で見られるカニの生体展示をはじめ、普段目にすることのない国内外のカニ類標本を多数展示しております。世界一大きなカニや巨大なハサミを持つカニ、深い海底に住むカニ、陸に住むカニ、ココナッツクラブ、マングローブクラブなど大集合!
 「毛むくじゃらのカニ」「面白い名前を持つカニ」「カモフラージュするカニ」「いろんなカニのハサミ」「ライフサイクル」「教えて!カニマン」「♂♀の違い」「塗り絵」などの魅力的なコーナーも多数設けておりますのでカニを十分ご堪能下さい。


【会場の様子】

 来館者からは「このカニ食べられるの?」「身はどうしたの?食べちゃった?カニ味噌は?」など『食』に関する声が多く聞こえてきます。その他にも、「こんな大きなカニ初めて見た!」「生きているみたい!」「このハサミで挟まれたらヤバい」という声も聞こえてきます。



【塗り絵コーナー(左)といろんなカニのハサミ(右)】



【生体展示(左)と教えて!カニマンのコーナー(右)】

 カニに関して疑問に思ったことや分からないことがあればカニ展会場に時々やってくる「カニマン」を捕まえて聞くと親切丁寧に教えてくれることでしょう。 
 8月末までの夏休み限定開催ですので、おもしろいカニ達にぜひ会いに来て下さい!今年の夏休みはカニが熱い!お見逃し無く。

ページ先頭へ↑

2012年07月31日藤前干潟で7月に見られた鳥② ~ウミネコ~

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

先のコアジサシに引き続き、藤前干潟で7月に見られる鳥として
「ウミネコ」を紹介します。

【くちばしの先端が赤く、尾の先に黒い帯があるのが特徴】

コアジサシは、7月末日の今、ほとんど見られなくなってしまいましたが、
同じカモメの仲間のウミネコを数多く見られるようになっています。

【時折、「ミャーオ」という猫のような鳴き声が聞こえます】

干潮時間帯、現れた干潟の上で羽を休め、羽繕いをしていました。
暑かったのか、盛んに水浴びをする姿も見られました。


【陰のない干潟の上にいて熱中症にならないかと
心配になってしまいますが・・・】

このウミネコはまだしばらく藤前干潟で見ることができます。
そして、明日から8月でまだまだ暑いですが、
既に秋の渡り鳥であるシギの仲間たちが徐々に藤前干潟に訪れ始めています。
季節の移り変わりは早い、と思う今日この頃です。


☆干潟の観察会のお知らせ☆
8月16日(木)に藤前干潟で干潟の生き物観察会を行います!
参加をお待ちしています!!

『夏休み!干潟観察会』
日時:8月16日(木)10:00~12:30
場所:藤前活動センター
対象:幼児~一般(小学3年生未満は保護者同伴)
定員:20名
費用:大人200円、小中学生100円、幼児無料
申込先:藤前活動センター TEL:052-309-7260
    (※8月7日より申込みを受け付けます。)

ページ先頭へ↑

2012年07月31日藤前干潟で7月に見られた鳥① ~コアジサシ~

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

毎日とっても暑いですね!
みなさん、熱中症にはくれぐれもお気を付けください。

さて、今日で7月も終わりです。
今日は、7月中に藤前干潟で見られた鳥として「コアジサシ」をご紹介します。

藤前干潟の夏の顔である「コアジサシ」。
コアジサシは毎年5月頃、オーストラリアなどから藤前干潟周辺にやってくる
カモメの仲間です。

【このキリリとした顔に女性ファンが多いとも?!】

今年も藤前干潟の近くで子育てを行っており、その間、盛んに藤前干潟に魚を
獲りに来ていました。
「キリッ、キリッ」というコアジサシの鳴き声が藤前干潟の上空に響くと、
今年も夏が来たことを実感します。

【名港西大橋を背に乱舞】

コアジサシは世界的に数を減らしている鳥で、
種の保存法に基づいた国際希少野生動植物種に指定されています。
(※環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類に指定)
コアジサシの繁殖地の保全が、藤前干潟でも重要な課題となっています。


【炎天下でも、抱卵中(7月2日撮影)】

今年は既に子育てが終わり、7月半ばでほとんどのコアジサシが
藤前干潟を旅立ってしまいましたが、
来年もたくさんのコアジサシの姿が藤前干潟で見られることを願っています。

また、藤前干潟にある稲永ビジターセンター
環境省主催の全国自然いきものめぐりスタンプラリーにおけるシンボルいきものは「コアジサシ」となっています。

稲永ビジターセンターでは、「シンボルいきものプログラム」として、
コアジサシについて学べるプログラムを実施中です。
さらに、夏休み期間中は、『ぼくのわたしのシンボルいきもの研究』として、
シンボルいきものの作文や絵を募集しています(対象:小学生、締め切り:8月31日)。<募集終了>

夏休みには稲永ビジターセンターに来て、
コアジサシについて学んでみてくださいね!


~藤前干潟は2012年11月18日でラムサール条約登録10周年を迎えます~

ページ先頭へ↑

2012年07月25日南陽海岸堤防の土盛りに住んでいるのは?

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 藤前活動センター前の南陽海岸堤防には幅約1.5m、長さ約10mの土盛りが堤防階段を挟んで東西に2カ所存在します。この土盛りは藤前干潟協議会において議論され、少しでも生き物が住めるような環境を造成しようと堤防施工者が誰でも簡単にできる技術で環境創造したものです。土盛りは他の場所の堤防工事で掘削して出た土を使用しており、完成した南陽堤防の傾斜部分に置かれました。この土盛りが作られてから約1.5年経ちますが、大雨や台風が通り過ぎてもその形を維持したまま存在し、現在では草が覆い茂り殺風景な堤防の一部が青々としてオアシスのようになっています。 



【南陽海岸堤防に造成された土盛りの様子】

 この土盛りを良く観察してみると誰かの巣穴や草の動きがあり、「キキュッ!」という鳴き声も聞こえてきました。どうやらここにはたくさんの生き物たちが暮らしているようです。あちらこちらに空いている巣穴がどうしても気になったので穴の中を枝でやさしく刺激し、お邪魔してみると穴の中から毛むくじゃらの逞しい足が数本出てきました。しばらくすると体全体を現したので確認すると赤い体と爪が特徴のベンケイガニでした。他の巣穴には黒っぽいクロベンケイガニが暮らしていました。直径1~3cm程度の穴は全てベンケイガニの巣穴であることが分かり、いずれも甲幅2cmほどの小型個体でした。堤防の完成により、内地と海が遮断されてしまい、普段海に近い内陸に住んでいて海に放卵する陸生カニたちは困っていましたが、この土盛りを利用することで険しい堤防を乗り越えなくても海にすぐ出ることができるようになりました。


【ベンケイガニ類の巣穴】



【巣穴から出てきたベンケイガニ】
 
 この土盛りにはカニの他にもバッタやコオロギ、フナムシ、ゲジゲジ、ツチガエル等がこれまでに見つかっているので、今後も新たな生き物が住み着くことでしょう。

ページ先頭へ↑

2012年07月04日藤前干潟に漂着するもの

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

皆さん、こんにちは。
昨日は名古屋では大雨が降りましたが、
今日は青空が広がって暑いくらいの藤前干潟です。

昨日のような大雨の後には、3つの川の河口にある藤前干潟には大水が流れ込み、
上流から大量で様々な物が流されてきます。

先月半ばに襲来した台風4号とその後の大雨の後も多くのゴミが流れてきていました。

【堤防沿いに漂着したゴミ】

最も目立つごみは、ペットボトルです。
ペットボトルを始めとするプラスチック製品は水に浮くため、
どこまででも流れていきます。
野球やテニス、サッカーのボールも非常に多くみつかるゴミです。

【大量の枯れたヨシとともに流れてきたプラスチックゴミなど】

そして、最近なぜかよく見かけるのが、回転寿司のお店で使われているお皿です。
川の上流で大量に不法投棄されたものが流れ着いたのかもしれません。
さらに、ライターや注射器など危険なゴミも頻繁に目にします。

【回収したお皿やカゴなど(上)、注射器(下)】

これらのほとんどのゴミは、人のちょっとした気遣いによって
川や海への流出が防げたのではないかと思うと、哀しい気持ちになります。

藤前干潟には上述の人工物だけでなく自然の物も漂着します。
例えば流木がそうです。

【堤防に流れ着いた流木】
流木の漂着は漁業の行われていない藤前干潟では大きな問題にはなっていませんが、
伊勢湾の島々では流木が大量に漂着し、漁業に深刻な影響を与えています。

このように、藤前干潟には人工物から自然物まで、様々なものが漂着します。
そして、これらの漂着物をじっくり見ると、
漂着ゴミの問題や藤前干潟の上流や下流の環境のことなどを考えることができます。

皆さんも、干潟や海岸の漂着物をみつけたら、
それらの経緯や行方にも思いを馳せてもらえたら良いなと思います。


~藤前干潟は2012年11月18日でラムサール条約登録10周年を迎えます~

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ