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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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中部山岳国立公園

317件の記事があります。

2021年02月05日立山を開山したのは誰?熊と白鷹の伝説

中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。

「立山のいまとむかし~立山信仰と歩くアルペンルート~」と題して、立山の魅力をシリーズとして紹介しています。今回は、第2回目です。シリーズ前半は立山の昔話、つまり立山信仰を中心にとりあげていきます。

○第1回目の記事はこちら

<<立山が出てくる最古の文学書「万葉集」>>

前回、立山に関する最も古い文献として残っているのが万葉集ということを書きました。その頃から立山は、神がすむ山として崇められていることが推測できます。

さて俗に言う、立山を開山したのは誰なのでしょうか?

そのことが書かれている書物が「立山開山縁起(たてやまかいざんえんぎ)」です。

「立山開山縁起」にも様々な種類があるようですが、その中の「立山略縁起(たてやまりゃくえんぎ)」というものには次のように書かれています。

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越中の国の城主である「佐伯有若(さえき ありわか)」の息子「佐伯有頼(さえき ありより)」がいました。有頼は、父が大切にしていた白鷹をもって狩りに出かけましたが、その最中に山の方へ逃げてしまいました。探しに行った有頼は、苦労しながらも白鷹を見つけ出したところに、熊が現れ白鷹は逃げてしまいました。その後、熊が襲いかかってきたので矢を射ったところ、矢は熊の月輪に命中しましたが、絶命せず、熊が逃げていきました。有頼はその熊の血の跡を追い、立山山中で熊と白鷹を見つけました。するとその両者とも玉殿窟(たまどののいわや)に逃げ込みました。洞窟に入ると、そこに阿弥陀如来と不動明王が現れ、有頼に立山を開山するよう導きました。その後、有頼は「慈興(じこう)」上人と名のり立山を開山しました。

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その伝説が語り継がれて、現在も一般的に佐伯有頼(慈興上人)が立山を開いたとされています。

その他の説としては、狩人が開山をしたという説や、有頼の父佐伯有若が開山したという説もあるようです。(諸説あるようです)

また、熊は日本のみならず世界でも神聖な動物とされており、立山開山縁起でも、熊は立山の神か、その使いを象徴しています。

日本古来から有する山岳信仰(山に神がいるという、自然に対する畏敬の念)と外来信仰である仏教信仰とが合わさり、神仏習合となっていることが伺えます。

佐伯有頼像は、室堂ターミナル内と富山市内の呉羽山公園展望台にて見ることができます。

<室堂ターミナルに立つ佐伯有頼像>

<呉羽山展望公園 佐伯有頼像と立山連峰 2021.1.20撮影>

参考文献:立山の歴史 立山信仰の歴史[2006 富山県立山センター]

     入門!立山ワールドあんない[H30 富山県立山博物館]

     

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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

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2021年01月29日氷瀑

中部山岳国立公園 関根陽太

中部山岳国立公園管理事務所の関根です。

今日、乗鞍高原の園路管理に行ってきました。

善五郎の滝は、夏も人気ですが冬は氷瀑となった姿も見応えがあります。

ただ、善五郎の滝周辺は坂道や階段があり、この時期は雪や氷で歩きづらい場合があります。


写真のように、踏み固められた雪が氷となってスロープになっています。

訪れた方も、滑らないように気をつけながら通過しています。

 

雪が積もれば元通りですが、氷が厚くなっていたので部分的に氷を砕いてきました。

 

 

自然を楽しむためにも、事前に足元の準備をすることや自己責任を念頭に歩くことは必要です。

 

  

また、谷に下りずに滝見台から善五郎の滝を眺めることもできます。

 

準備をしっかりして、冬の乗鞍高原を歩いてもらえたらと思います。

心配な方は、ガイドさんと歩くことをオススメします!

今まで知らなかった乗鞍高原の話も聞けるかもしれません!

  

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2021年01月27日立山が出てくる最古の文学書「万葉集」

中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。2021年に入り、初投稿です。

冬の時期は、現場に行ける機会が極端になくなってしまうのが立山です。(立山黒部アルペンルート、黒部峡谷鉄道の営業が11月末まで)

冬の間は、シーズン中にできなかった事務作業や春の開山に向けた準備諸々を行っています。

その中でも、立山についての魅力を発信できないかと、こんな企画を考えました!

題して、「立山のいまとむかし~立山信仰と歩くアルペンルート~」

不定期ではありますが、何回かのシリーズ編として立山の歴史を中心にご紹介をしつつ、今の国立公園との関わりについて触れていけたらと思っています。

専門家ではないため、拙い知識や文章が見受けられるかもしれませんが、僕自身も今回の企画を通し学んでいき、立山の魅力が少しでも伝われば幸いです。

第1回目の今回は、立山の景観を詠んだ万葉集の一首を紹介します。

「万葉集」は、奈良時代に歌われた日本で最古の和歌集です。

学校教育でも出てくるので、中身は知らなくても誰もが聞いたことがある言葉だと思います。

一方で、越中国守(富山)であった『大伴家持(おおともの やかもち)』が万葉集に大きく関わっていたというのはご存じでしょうか。その万葉集の中で、立山について歌った短歌があります。立山という言葉が出て来る中では最も古く、天平19年(747)に「立山の賦」と題して発表されました。

「立山に降りおける雪を常夏に見れどもあかず神からならし」

「真夏になっても降り積もって残っている白い立山をいつ見ても飽きないのは、立山に神がいるからだろう。」

現代の日本語に要約するとこんなニュアンスでしょうか。

ちなみに、この頃は「立山(たてやま)」ではなく、「立山(たちやま)」と呼んでいたそうです。

この歌からもわかるように、昔の人々は雄大な立山を神聖なものとしてとらえていたことが伺えます。

また、外来宗教である仏教が日本に伝来されていき、修行者などの仏教の面からも立山は大きな意味をもつ山となっていきます。

大伴家持や昔の人たちが立山をどの位置から見ていたのかわかりませんが、天気がいい日には富山の海岸線から立山連峰と海を望むことができます。

こちらは、雨晴海岸からの景色で、富山湾と立山連峰が望める有数のスポットです。この時は、うっすらと後ろに立山連峰が見えました。

<雨晴海岸にて。2020年3月撮影>


こちらは、射水市にあるみなとオアシス海王丸パークからです。新湊大橋が印象的でもあります。

<みなとオアシス海王丸パークにて。海と立山連峰>

富山市よりの海岸になると、立山連峰でも北側(毛勝三山)がよく見えます。

<浜黒崎海水浴場にて。2020年4月撮影>

富山へお越しの際には、お気に入りの立山連峰が見える場所を探されてみてはいかがでしょうか。

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2021年01月21日冬の一の瀬

中部山岳国立公園 関根陽太

中部山岳国立公園管理事務所の関根です。

Facebookで「アクティブ・レンジャーが選ぶ最高の1枚!」企画でも取り上げましたが、乗鞍高原一の瀬が最高です!

  

Facebookに載せた写真を撮影した日は、雲が出ていましたが、

その後、環境省施設の確認に訪れた日は、晴天で最高の天気でした。

  

冬の一の瀬へは、車道が除雪されていないので歩いて向かいます。

初心者の方は、乗鞍観光センターからスタートするのがオススメです。

  

この日は、管理官とともにクロスカントリースキーを使いました。

スノーシューなどを使う方々も多いです。(乗鞍高原でレンタルもできます!)

  

30分前後歩くと、一の瀬が広がります!

 

  

まいめの池、ツツジ園などから見る冬の乗鞍岳も美しいです。

小山を登ったり滑ったりするのも冬ならではの楽しみです。

 

  

トイレは、ネイチャープラザ一の瀬横にあります。(環境省設置のトイレです)

簡易的な冬期使用のぼっとんトイレで開設していますので、使いづらい方や心配な方は携帯トイレをオススメします。

携帯トイレは乗鞍観光センター等で販売しています。

  

冬の乗鞍高原も魅力がいっぱいです!

  

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2020年12月23日今年最後の上高地巡視

中部山岳国立公園 小森 夏奈

みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。

上高地は11月16日より冬期閉鎖期間となり、冬の眠りについています。

昨日、今年最後となる上高地の巡視を実施し、平日でしたが30人以上の登山者の方をお見かけしました。

ここで、冬の上高地を訪れる方にご案内いたします。

連日の寒波により上高地は積雪しており、厳冬期の山岳地域と同様です。すべての施設は閉鎖されております。必ず冬山登山の装備でお越しいただき、安易な入山は控えてください。

以下の『上高地冬期入山ルール』をよくお読みいただきますようお願いいたします。

PDFはこちら→ 冬期利用チラシ 日本語版.pdf

信越自然環境事務所のHP(上高地の冬期入山ルールについて)

上高地公式サイト(上高地へ冬期に入山される方へ)

 

中ノ湯ゲートで登山届を提出してください。

今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、今までのように交通アクセスができないこともございます。入念な登山計画を立てていただきますようお願いいたします。

また、工事用車両が頻繁に出入りしていますので、注意して通行してください。

 

冬期トイレは中ノ湯ゲート、大正池、中ノ瀬、バスターミナル、小梨平にございますので、事前に場所をご確認ください。トイレ以外で用を足さないで下さい。

 

幕営をされる方は、小梨平キャンプ場にてお願いします。それ以外の場所にはテントを張らないでください。

今回の巡視の際に、テント跡付近でし尿の痕跡を確認しました。景色がいい場所にテントを張りたい気持ちも分かりますが、トイレからは少し離れてしまいます。きちんと自己判断の上で、利用のルールをお守りいただける位置に、幕営をお願いします。

 

 

新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念される中始まった今シーズン、春先からの群発地震・夏の豪雨・クマの出没等いろいろなことが上高地では起こりました。上高地で事業をされている方々、旅館・山小屋の方々にとっては苦しい1年となりました。早くコロナが収束し、来シーズンは平穏な日常を取り戻せることを願ってやみません。

上高地管理官事務所でも例年以上にイレギュラーな対応が多くありましたが、なんとか開山期を終えることができてほっとしています。現在は来シーズンに向けての準備を中部山岳国立公園管理事務所でおこなっています。

来年の上高地の開山は2021年4月17日です。

また上高地でお会いしましょう!

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2020年12月08日木道の清掃

中部山岳国立公園 関根陽太

中部山岳国立公園管理事務所の関根です。

あっと言う間にグリーンシーズンが過ぎ去り、冷え込む日が多くなってきました。

  

乗鞍高原には環境省の管理する施設があります。

木道点検や清掃などは業務発注している期間もありますが、雪が積もる前に管理官と清掃をしてきました。

  

  

この木道では、雨の当たらない箇所にシラビソやコメツガなどの落葉が溜まってしまいます。

  

  

春の雪解けや梅雨時期までしばらく湿り、木道を傷めてしまうこともあるので箒で掃きました。

ブロアーの風では飛ばないので、グリーンシーズン中の感謝を込めてコツコツ作業をしてきました。

  

   

  

すっきりして来春の準備も万端です。

冬の乗鞍高原もスキー、スノーシュー、氷瀑など楽しみが沢山あって楽しみですね!

   

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2020年12月08日アルペンルート営業終了。室堂平仮設野営指定地の状況

中部山岳国立公園 立山 一ノ枝亮輔

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。

11月30日で立山黒部アルペンルートの営業が終了しました。

<11/29 室堂ターミナルから雄山方面>

室堂平では山小屋が営業終了後の11月25日~11月30日の間、仮設野営指定地を設置しました。

<11/28 仮設野営指定地>

11月末に1日に60cm程積もる雪が降ったことで室堂周辺もかなり植生が隠れて白くなってきました。最終の土日の28,29日には、テントが50張を越える数の利用者が見受けられました。

<11/29 仮設野営指定地>

多くの人は今シーズン初のスキー・ボードを楽しみに求めてこられている方々のようです。

<スキーヤー・ボーダーが山へ向かう様子>

この時期に室堂平周辺を利用するにあたっては、利用ルールが定められています。

ルールについては、佐藤ARの投稿をご覧ください。

11月の積雪期に立山室堂平周辺に訪れる皆様へ(リンク)

日頃から、中部山岳国立公園の適切な利用にご協力いただきありがとうございます。

仮設野営指定地は、極力植生のダメージが少ない場所を選び決められています。トイレについては、室堂ターミナルのトイレ(24時間使用可。ターミナルまでは直線で200m程)を使用するか携帯トイレの使用をお願いしております。

<室堂ターミナルにて販売しています。1個300円>

<ゴミ箱は、室堂ターミナルに設置されています。緑色が携帯トイレ用>

<11/29 仮設野営指定地から奥に見える建物が室堂ターミナル >

僕の担当が土日だったため、利用者が多い日に巡視をしましたが、屎尿が散見されました。

<中には、大のほうも、、、>

自然保護の観点からもそうですが、次の利用者が見た際にこの場所にテントを張りたいと思うでしょうか。

みんなが、気持ちよく利用するためにも、自然や次の人のことを考えてお互い思いやりの気持ちを心がけて行動をして欲しいと思います。

また、スキーで滑走をする際には植生がまだ出ている箇所は、踏んでしまうとダメージを与えてしまうため、植生を避けての滑走をお願いしております。

<こちらは、地獄谷立入り禁止区域の看板>

  1. 植生が見えている箇所での滑走跡、踏み跡が見受けられました。

<植生上の踏み跡>

<ガンコウランの上の踏み跡>

ほとんどの利用者の方は適切なマナーをもって、この自然を楽しんでいると思いますが、こういった現状もあることを知ってもらいたいということで、今回書かせていただきました。

はるばる、アルペンルートに乗って、雄大な立山の自然を求めて来ていただけているので、皆さんに気持ちよく利用していただき、

「立山来て良かったなあ~楽しかったな~」

と思って帰っていただきたいです。

<自然が織りなす造形美>

昨今では、「SDGs(エスディージーズ)」という言葉が頻繁に出てくるようになりました。

その体験が、後世にも続くように、自分たちができることを心がけていきたいです。

僕自身も、アクティブレンジャーとして、いち個人として何ができるのかを改めて見直して小さなことからアクションしていければと思います。

立山黒部アルペンルートや黒部峡谷鉄道(トロッコ列車)も11月30日で営業を終了しました。山での現場業務は来春までお休みです。

今シーズンは、激動の年となりました。それでも変わらずにある立山の自然に感謝をしつつ、コロナが落ち着いて来年は多くの方が立山に来てもらえることを願っています。

<ミクリガ池と雄山(立山)>

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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

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2020年11月09日【紅葉情報】黒部峡谷の紅葉見頃です。

中部山岳国立公園 立山 一ノ枝亮輔

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。

黒部峡谷の紅葉が見頃を迎えていました! (写真はすべて11/7に撮影)

黒部峡谷は、宇奈月温泉から切り立った峡谷沿いにトロッコ列車が走っており、終点の欅平まで乗り物で行くことができます。

このトロッコ列車は、もともとは観光用列車としてではなく、黒部川の水力発電開発を進めるために作られたものです。現在は、冬のシーズンを除く4月~11月までの間、黒部の大自然を気軽にトロッコ列車を乗って楽しめるようになっています。

この日は、沿線の木々が紅葉を迎えており、終始絶景の中トロッコ列車が進んでいきました。

<宇奈月ダムの湖面橋>

<トロッコ列車からの紅葉>

<冠雪しているのがサンナビキ山周辺。雪と紅葉の両方が見られるという贅沢。>

終着駅の欅平駅です。

 

<欅平にて> 

<欅平 黒部川と紅葉>

<欅平河原の足湯は残念ながら今シーズンの営業は終わっていました。>

この日は、お昼頃から雨が降ってきましたが、雨と霧が幻想的な雰囲気を醸し出していました。

<欅平駅上の展望台より奥鐘橋>

欅平駅を出てすぐ正面にあるのが「欅平ビジターセンター」です。

<欅平ビジターセンター>

黒部峡谷や中部山岳国立公園についての情報を知ることができますので行かれた際にはぜひお立ち寄りください。

<2Fの映像シアター>

欅平ビジターセンター

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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

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2020年11月05日近自然工法の歩道整備 ~施工編~

中部山岳国立公園 関根陽太

中部山岳国立公園管理事務所の関根です。

近自然工法による歩道整備は「現場観察が重要」と前回の日記で取り上げましたが、今回は施工について紹介します。

観察を通して原因を考えましたが、土壌の浸食を抑えて植生が回復するためにはどのように手を加えればいいかを考えていきます。

この現場では、既存階段は土留めとして活用し、洗堀が起きた箇所を補修しつつ近自然工法で新たな階段を作ることにしました。

小枝を並べて新しい階段の構造イメージや必要な資材を皆で共有します。

資材は現地材を活用することにし、手分けして調達しました。

土砂は環境省園路で支障になっていたものを、木材は通景伐採で発生したものを活用しました。

今回の現場では地元の皆さまのご協力もあって資材を無事確保することができましたが、自然公園法や土地所有者との事前調整は、歩道整備を持続的に進める上でとても大切と感じました。


日本の国立公園は環境省だけではなく、地域の方々や関係団体の方々の取り組みがあってこそ成り立っていることが身に染みました。

資材をコツコツ荷運びし、近自然工法の考え方を教わりながら施工スタートです。

現場の状況によって杭を使うこともありますが、今回は杭を使わずに木材を固定します。杭を打つことによって洗堀が進むこともあるからです。むしろ資材の組み合わせによって、踏圧などの力が加わるほど固定される状態を作り出すことが重要とのことです。

そのために歩道の浸食幅より長い木材を使って、岩や根に引っ掛けたり法面(のりめん)に差し込んだりと、上部から流れてきた物が引っかかったり埋まったりしている自然の状況を真似して固定していきます。

階段の木材は平面図として見た際に、ハの字、逆ハの字になるように、

立面図として見た際には、木材の一端を下げて水が蛇行して流れるように工夫します。

蛇行した水が当たる部分には、石材を置いて法面(のりめん)が洗堀されないようにします。

(「登山道を直す 近自然工法の考え方と技法」から抜粋)

一見不思議に思えるかもしれませんが、身体を前に踏み切って登る単調な階段ではなく、身体を横移動させながら登る歩きやすい階段になりました。


木材の天端は、踏んだときに滑らないようにチェーンソーで削ります。


木材と木材の間は石材などを詰めていきます。

石材は天端の高さや水の流れ、木材からの力の受けるようになど考えながら石を据えたり詰めたりします。

石1つでもとても難しいものでした。

歩道上をさらに水が流れないように、階段の下部に水切りも設置しました。

水の処理や足の運び方に配慮した階段ができあがりました。
写真だけでは伝わらない、自然景観に馴染む雰囲気もあります。

今回の業務で地域の方々に工法や考え方を紹介でき、作業後にも「楽しかった」と感想をいただきました。

施工した箇所が想像したように機能するか、来年以降も観察していこうと思います。

また、土壌が安定し植生が回復してくるのもとても楽しみです。

乗鞍高原にお越しの際は、ぜひ現地を見ていただけると嬉しいです。

近自然工法の施工方法は現場ごとに異なります。

考え方は共通しますので、興味のある方は下記もご覧ください。

信越自然環境事務所HP 「登山道を直す 近自然工法の考え方と技法」

大雪山国立公園HP   「大雪山国立公園における登山道整備技術指針 2016 年 改定版」

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2020年11月02日近自然工法の歩道整備 ~まずは観察~

中部山岳国立公園 関根陽太

中部山岳国立公園管理事務所の関根です。

  

前回の日記で近自然工法の歩道整備業務について取り上げましたが、どのような観点で施工したか紹介したいと思います。

  

近自然工法で重要な事は「観察」と机上講習会で講師の方がおっしゃっていました。

現地講習会の歩道の様子を見てみましょう。

  

(左:歩道の上部  右:歩道の下部)

  

既存の階段は、崩れていて歩きづらい。

歩いた跡を見ても利用者は階段を使わずに左側を歩いていそう。

雨水も左側の人が歩いた跡を流れているかも。

雨水と一緒に土が流れて石が露出してきている・・・などが想像できました。

   

連続降雨量80mmの日にも現地を見てみました。

歩道上部の先に見える東屋一帯の雨水が歩道に流れ込んでいました。
春先は長期間にわたり水が染み出ていた記憶もあります。

流れ込んだ雨水は、歩道の土砂を少しずつ洗堀(せんくつ)しています。

そして歩道の下部で排水されていました。

  

(左:歩道の上部  右:歩道の下部)

   

なぜこのようになってしまったのでしょうか。みんなで考えます。

   

この歩道はハイカーも利用しますが、もっとライトな利用も多い場所です。

既存階段の段差が高くて横に新しい道ができてしまったのかもしれません。

また、歩道から排水される箇所も少なく洗堀が進んでしまったようです。

  

水の入り込みを防ぐのは難しい地形でしたので、

排水、人の歩く動線を誘導できれば、土壌が安定して洗堀を少なくできるかもしれません。

土壌が落ち着けば、植生が回復してさらに崩れにくくなってくるかもしれません。

  

私自身、業務の発注準備と講習会で「観察」が大切だと身に染みました。

実際の施工は次回紹介したいと思います。

  

近自然工法については、信越自然環境事務所HPに「登山道を直す 近自然工法の考え方と技法」を掲載しています。ぜひご覧ください。

   

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