中部山岳国立公園
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2020年10月23日令和2年度火山ガス救急救助訓練
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
先日、令和2年度立山室堂地区安全対策連絡協議会 火山ガス安全対策救急救助訓練を行いました!
立山の室堂には「地獄谷」と呼ばれ、有毒ガスが発生するエリアがあります。現在は、地獄谷への立入りを禁止しています。
周辺の歩道である「エンマ台~雷鳥荘」間は火山ガスの噴煙が風に運ばれ特に影響を及ぼしやすい場所です。
環境省では、グリーンシーズンの間、このエリアの火山ガスの状況を検知器や監視員の巡回によって常時モニタリングしています。
<火山ガス情報ステーション>
今回は、万が一の自然災害や、特殊災害の発生に備え、山岳警備隊や消防、火山ガス監視員等の関係者と連携した救急救助訓練を実施しました。
当日は、歩道を歩いていた通行者2名が有毒ガス濃度の急激な上昇で倒れてしまった。というシチュエーションで訓練がスタートします。
<監視員と先行隊の山岳警備隊が傷病者を発見>
今年は、コロナ渦ということもあり、手袋や検温、シートで包む等、今まで以上に神経を使いながら搬送をする場面もありました。
<搬送車をシートで傷病者を覆う>
<傷病者がストレッチャーで搬送される>
また、事故発生に伴い、2次災害を発生させないための連絡体制の確認も行いました。
<訓練終了後の意見交換>
また午後には、火山ガスの有識者である、東京工業大学 野上教授による火山ガスについての講習会も行いました。(今回はリモートで実施しました)
日本は火山大国とも言われますが、全国に111の活火山があり、1951~2010年の間に発生した火山ガスによる事故は30件以上、53名の尊い命が失われました。
火山有毒ガスは、徐々に気分が悪くなるのではなく、条件が揃うと一瞬で倒れてしまったり、気を失ってしまうというとても恐ろしいものだそうです。
ですので、ちょっとだから大丈夫と思わず、危険区域(立入り禁止区域)には入らないことが重要です。
これからも、事故が起きないことを願っています。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2020年10月16日アクティブ・レンジャー写真展
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
乗鞍高原は紅葉が見頃を迎えています。
特に一ノ瀬の大カエデ周辺は、乗鞍岳を背景に紅葉が広がっています。
今日は、信州まつもと空港でアクティブ・レンジャー写真展の会場設営をしてきました。
出発や到着の際はもちろん、空港を目当てに来ていただいても楽しめます。
送迎デッキや空港に隣接するスカイパークからは、飛行機や中部山岳の山々を眺めることができます。
会場:信州まつもと空港 ターミナルビル2階多目的ホール
(http://www.matsumoto-airport.co.jp/index.htm)
開催期間:10/17(土)~11/24(火)
開館時間: 9:00~17:00 無休
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2020年10月15日イタセンパラ生育状況調査~その②
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
先日のイタセンパラ生育状況調査に佐藤アクティブレンジャーと行ってきました。前回の佐藤ARの投稿はこちら。
時間が空いてしまいましたが、今回はその後の保護池での調査の様子です。
今回は、イタセンパラが順調に生育しているかどうかをイタセンパラ保護池で確認をしてきました。
<氷見市にあるイタセンパラ保護池>
※一般の方は保護池を見学することは可能ですが、池での採取は禁止です。
保護池内は、大きい池や小さい池、ワンドなど実際の川の生態系に近づけたつくりになっており、イタセンパラの飼育研究が行われています。
秋はイタセンパラの繁殖期にあたり、とても重要な時期です。イシガイやドブガイの二枚貝の体内に卵を産みこみます。
前日に仕掛けていた定置網を回収し、魚の種類ごとに分けていきます。私はまだ、種類を見分けることができないので精通されている方々がどんどん仕分けていきます。手際の良さはまさに職人技です!!
※一般の方は保護池を見学することは可能ですが、池での採取は禁止です。
そして、その結果は、イタセンパラを確認でき、順調に生育している様子を見ることができました。
こちらがイタセンパラのオスです。
尾ひれが黒っぽく、おなか周りは婚姻色と呼ばれるきれいなグラデーションを見ることができました。
そして、こちらがイタセンパラのメスです。
お腹付近から産卵管が出ているのがわかります。この産卵管を二枚貝の口に入れて排卵をするようです。
イタセンパラが絶滅を危惧される一方で、外来種として増殖しているのが「タイリクバラタナゴ」です。
<タイリクバラタナゴ。氷見ラボにて>
タイリクバラタナゴは、イタセンパラと大きさや形が似ており、繁殖期にイタセンパラの雌がパートナーを勘違いし繁殖機会を失っていたということが氷見ラボの研究でわかってきたようです。(タイリクバラタナゴ♂とイタセンパラ♀では繁殖ができない)
>>詳細を知りたい方はこちら
イタセンパラを絶滅させないために日々、調査、研究に尽力いただける方々がいることで、この地球上の豊かな自然が持続し、守られていくのだと思います。
富山へお越しの際には、「氷見ラボ」や「イタセンパラ保護池」へぜひお越しください。
2020年10月09日乗鞍山麓に広がる貴重な自然景観「五色ヶ原の森」
中部山岳国立公園 平湯 福澤春彦
こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
中部山岳国立公園の乗鞍岳北西部に広がる広大な森、高山市丹生川町の「五色ヶ
原の森」をご存じでしょうか?
約3000ヘクタールの森で、年代の違う複数回の乗鞍岳火山活動により流下
した溶岩が作り出した自然を見ることのできる大変貴重なエリアです。
古く岐阜県側からは、乗鞍岳に続く山岳信仰の登拝道が8つあったそうですが、
車道が整備され乗鞍岳へのアプローチが時代とともに大きく変化したため
登拝道は自然と姿を消し、自然の森はそのままの姿で残ることになりました。
近年まで地元住民など限られた人しか入ることのなかったこの森は、専門ガイド
によるツアーでのみ一般公開されています。
<溶岩流の上に森ができました>
そんな「五色ヶ原の森」は、今年7月豪雨で登山道や架け橋は流され、土砂流出で川
の流れや様相が変わり、山小屋の土台を抉り、大きな被害を受けました。
私も8月の復旧活動に参加し、状況を目の当たりにしていましたので大変心配して
いましたが、現在はガイドさんを中心に地元関係者の方々の尽力で「五色ヶ原の森」
ツアーコースであるシラビソコース、ゴスワラコースは、復活しており安堵しました。
<流された歩道や橋を再構築 >
<素敵な山小屋で休憩できます>
この森の最大の特徴は、溶岩台地の上に出来上がった手つかずの森で、水の保水力が
物凄くあると言うことです。そのことにより、絶えず森の地中を縦横無尽に流れる豊富
な水は森全体の気温を下げシラビソやオオシラビソなど亜高山帯の植生を形成していま
すし、また豊富な水は溶岩台地の崖から流れ出し大きな滝となっています。
<布引の滝>
この布引の滝の上には大きな川はありません、大量の伏流水が溢れ出して滝になっています。
この貴重な森と自然について、専門のガイドさんから詳しい、そして楽しいお話を
聴くことができます。
○乗鞍山麓 五色ヶ原の森案内センター<https://goshikinomori.com/>
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2020年10月05日剱岳登山道巡視
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
剱岳の登山道巡視に行ってきましたのでその時の様子を書いていきます。剱岳は立山連峰の北部に位置する標高2,999mの山です。急峻な岩壁と氷河によって削られた山容は「岩と雪の殿堂」とも称されています。
今回は室堂を出発し、剣山荘から別山尾根ルートのピストンで歩いてきました。(山行日:9月15~17日)
※剱岳別山尾根ルートは一般登山の中でも上級者向けのルートとなっています。山行に行かれる際には十分な計画と準備をお願いします。
1日目は室堂から剣山荘までの道のりで、歩道は終始よく整備された道を進みました。
剱御前小屋まで登りきったところで大きな剱岳の山容が姿を現しました。
その日は剣山荘で宿泊です。
<剣山荘と剱岳>
剣山荘も他の山小屋と同様に、宿泊人数の規模を縮小し、アルコールや寝室・食堂のパーテ-ションの設置などコロナ対策をしっかりとされていました。
<夕暮れ時の一枚>
山小屋の灯りが、登山者に安心感を与えてくれます。やはり山を利用するにあたり山小屋はなくてはならない存在です。
2日の早朝。
<剣山荘前にて>
この日は予報では天気も持ちそうとのことで剱岳を目指して歩きはじめます。
歩きはじめてしばらくして、最初の鎖場1番に到着しました。
剱岳別山尾根ルートでは、鎖場が合計で13カ所に設置されています。(上りで「1~9番」、下り「10~13番」)
<2番の鎖場>
一服剱、前剱と厳しい岩場や上りが続き、前剱まで上ってきました。
ほぼ同スピードで上っていた栃木からの登山者さんと何度かお会いしましたが、ここでもお会いし、写真を撮っていただきました
<撮っていただいた1枚。剱岳を背景に>
鎖場、岩場を順々にクリアし、
上りで最後の難所となる鎖場9番「カニのたてばい」に取りつきます。
高度感のある岩場を登っていきます。鎖を補助にしながら慎重に進みます。
無事カニのたてばいを登り終えて、しばらくして山頂に到着です!
<山頂での1枚。ここでも栃木からの方にせっかくだからと撮っていただきました。>
<早月尾根。小さく見える赤い屋根が早月小屋>
<北方稜線方面。ここから先は一般登山者は進めません。>
<遠くに中腹に雲がかかっていますが富士山も望めました。>
山頂で一休みをしたら、下山です。別山尾根ルートは上りルートと下りルートが途中別々になるので看板・道標に注意しながら下りていきます。
岩場や鎖場は下りの方が恐怖感・高度感を感じやすいので、一歩一歩慎重に下りていきました。行程には余裕を持って無理のない計画をお願いします。
<10番 カニのよこばい。慎重に進みます。>
今日の宿となる剱澤小屋に到着です。
<小屋前の看板と剱岳>
<今夜の夕食。あたたかいご飯に豪華なラインナップ>
3日目の下山途中には雷鳥にも出会うことができました。ヒナもすくすくと成長している姿が見られました。
今回歩いた室堂~剱岳(別山尾根ルート)の登山道は概ねルートや案内看板もしっかりとありました。剱岳周辺の山小屋は今年は10月初旬に閉まってしまいます。(剱岳もいつ雪が降ってもおかしくない時期です。)登山を計画される際にはしっかりとした準備と情報収集をお願いします。
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2020年10月01日上高地パークボランティア顔合わせ巡視会
中部山岳国立公園 小森 夏奈
みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。
連休中の上高地は、たくさんの方々がお越しになり賑わっていました。当初の予報よりお天気も良く、みなさん上高地や山々からの景色を楽しまれたのではないでしょうか。
さて、本年度の上高地パークボランティアの活動は、7月8日より開始しています。現在のところ、コロナ禍で活動内容を縮小しており、屋外での巡視や維持管理、野生動物対策(サルの追い払い)、外来植物対策・調査が主な活動で、屋内における定例会・研修会と利用者の方と接するガイドや観察会は活動見合わせとなっています。
本年度は新規会員6名がパークボランティアに追加登録となりました。定例会や総会ができていないため、新しい方と既会員が交流できる機会が今までありませんでしたが、先日、顔合わせのための巡視会が行われました。
上高地インフォメーションセンターに集合し、自己紹介いただきました。新規会員のうち4名と、会員10名ほどが集まりました。この後、2班に分かれて巡視に出発しました。
会員同士の距離に気をつけながら、インフォメーションセンター~河童橋~小梨平キャンプ場付近を、既会員の解説を聞きながらゆっくり進みます。歩いた距離としては1kmにも満たないのですが、様々なお話を聞くことができました。樹木について、清水川の湧水について、小梨の見分け方、ヒカリゴケの場所など、私も知らないことが多く、大変勉強になりました。小梨平の梓川沿いでは、群発地震や豪雨の影響による地形の変化を確認しました。
その後急な降雨のため、ビジターセンターで上高地のクマについてのレクチャーを受け、解散となりました。こちらのレクチャーについては、また改めてアクティブ・レンジャー日記でご紹介させていただきます。
上高地パークボランティアの活動期間は、上高地開山中のみとなっています。11月15日の閉山まで今年は残すところ2ヶ月を切りましたが、それぞれのボランティアが感染対策を徹底し、無理のない範囲で活動していければと考えております。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2020年09月18日涸沢公衆トイレ改修確認
中部山岳国立公園 小森 夏奈
みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。
上高地は標高1,500m、ここ数日で急に冷え込み、秋の深まりを感じています。寒かったのでついに事務所の暖房をつけてしまいました...!朝夕は特に冷えますので、散策される方は防寒対策をしっかりとお願いします。長袖+上着に加え、念のためもう一枚あると快適に過ごせるかと思います。
バスターミナル周辺のカラマツも、ほんのり黄色みを帯びてきました。これから紅葉シーズンの到来です。
さて、先日、改修中である涸沢公衆トイレの現地確認に行ってきました。
涸沢の公衆トイレは上部(涸沢小屋)、下部(涸沢ヒュッテ)の2か所にあり、和式トイレを洋式へ改修しています。紅葉時期までには供用開始できる見込みです!
涸沢公衆トイレ(上部) (下部)
便座は寒い時期にはうれしい温座仕様になっています!
でも長居はご遠慮ください(*^^*)紅葉時期の涸沢は混雑が予想されますので、トイレも譲りあってご使用くださいませ。
また、このトイレはくみ取り式で、たまった汚物はヘリコプターで搬送して処理しています。施設維持のためにチップのご協力をお願いいたします。
この日はあいにくのお天気でしたが、時折青空がのぞき、山々は稜線までくっきりと見えました。
涸沢ヒュッテ横のナナカマドがほんのりと色づいていました。
(2019年10月5日撮影)
涸沢の紅葉はもうすぐ、しっかりと準備をしてお楽しみください。
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2020年09月14日新穂高温泉から槍ヶ岳登山道巡視
中部山岳国立公園 福澤春彦
こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
岐阜県側の北アルプス玄関口、新穂高温泉から槍ヶ岳を目指して巡視してきました。
槍ヶ岳を目指すルートは東西南北あり(※北鎌尾根は登山道ではありません)、北アルプスの交差点とも言われますが、今回は新穂高温泉より左俣から鏡平、双六岳、そして西鎌尾根で槍ヶ岳、下山は右俣で飛騨沢沿いに槍平、そして新穂高温泉とグルッと一周ルートです。
出発地の新穂高温泉登山口に立てば、荒々しい錫杖の岩場から笠ヶ岳、そして弓折岳から抜戸岳の稜線が壁のようにそそり立っており自然の畏怖を感じさせます。
<左俣林道から小池新道へ>
左俣林道は7月の大雨や群発地震の影響もすっかり整備され快適な林道でした。
わさび平小屋で小休止して小池新道に入ると整備された登山道で歩きやすく、石の積み
方や雨水の逃がし方など様々な工夫がされた道に驚かされます。
<歩きやすく工夫された小池新道>
初日は、双六小屋までの計画でしたが、夏山の特徴である午後の積乱雲発達による強雨に遭い鏡平山荘泊まりとしました。
翌日は雨もすっかり上がり、早朝から好天が約束されたような青空が広がりました。
鏡平からは、これから歩く西鎌尾根が槍ヶ岳まではっきりと分かり、穂高岳に続く稜線が屏風のように見えます。
<鏡平の向かいに見える槍ヶ岳に続く西鎌尾根>
双六小屋まで快適な尾根歩きで北上し、そこからは今朝まで居た鏡平小屋を右手に見ながら西鎌尾根を辿り槍ヶ岳に向かいます。
北上しているときは富山県側の山々が波打つように望まれ、また西鎌尾根に乗るとシンボルの槍ヶ岳に向かって一直線の稜線に感動します。
<槍ヶ岳への快適な縦走路 西鎌尾根>
最後に千丈沢乗越からの急登をゆっくりと登り終えると槍ヶ岳山荘に飛び出しました。
慎重に穂先を往復しましたが、登山道はしっかりと整備されており、登り降りの道順の整理と梯子の区別、また難所での手足の置き場をサポートするマーキングなど安全に対する山小屋や登山関係者の思いが伝わります。
しかしながら穂先への登山は、両手両足を操りながら登る難度の高い岩場の登り降り、空中に身体を放り出すような梯子の高度感、そして何より3000mの山岳気象状況をしっかりと把握して登山可能かどうかを判断できること、など登山者自身の責任ある行動が重要です。
<険しい槍ヶ岳の穂先>
鏡平も槍ヶ岳でもコロナ禍における登山者への対策は、消毒や検温、山荘内のマスク着用や食事時の人数管理などしっかり徹底されており、街中とは大きく異なる厳しい山岳環境に在りながら登山客を迎え入れる体制は素晴らしいものでした。
<槍の肩にある槍ヶ岳山荘>
最終日は、飛騨乗越より飛騨沢を降り槍平小屋、右俣沢沿いに樹林帯に入り滝谷出合を通り新穂高温泉口に下山しました。
槍平小屋の今期営業は、キャンプ場と売店のみです。
新穂高と槍ヶ岳の中間点に位置するところに山小屋があると安心しますし、なんと言っても登山道状況や気象状況を確認できることは本当に心強いです。
私たちも7月の豪雨影響があった右俣での注意箇所、復旧状態など詳しくお聴きすることができました。
<滝谷出合付近の迂回路(新穂高方面)>
一番の注意箇所は滝谷出合いで、従来の登山道から迂回路及びマーキングが大きく変わっていました。
山小屋関係者によって安全に、そして分かり易く迂回路が示されていました。
今回の左俣から右俣への登山道の周回ルートは、概ね安全に通行可能でした。
登山道は山小屋はじめ、登山関係者によって登山者が安全に通行できるよう様々な工夫
がされていました。
但しその事は、決して安全な登山を保証するものではありません。
登山者自身がしっかりと登山の備えや判断をもって安全登山を実践し、登山を楽しむ姿を見せることが登山の安全管理に関わる人たちを笑顔にするのだと思います。
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2020年09月11日【立山室堂】地獄谷代替歩道
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
先日、室堂平にある地獄谷代替歩道周辺を巡視してきました。
地獄谷代替歩道(以下、代替歩道に省略)という名前はあまり馴染みがないかと思いますが、室堂山荘東部から雷鳥沢キャンプ場につながる道のことを言います。
<地図の赤線部が代替歩道 出典:国土地理院地図を加工>
黄色く囲っている部分が地獄谷です。地図記号で温泉?!みたいなマークに見えるのが「噴火口、噴気口」を示す記号です。
地獄谷は、現在も活発に噴気を上げており火山ガスが発生しています。周辺の歩道を通行する際には注意が必要です。
※地獄谷を通るルートは現在通行止めとなっています。
<火山ガス通行注意喚起ポスター>
アルペンルートの各駅や山小屋、ホテル等に掲示しています。A4サイズのチラシでも配布しており、左上のQRコードからは現在の火山ガスの状況を確認できます。
↓↓↓下記のサイトからも火山ガス情報をご覧いただけます。
この地獄谷周辺を迂回するようなルートになっているのが代替歩道です。
この日の午前中は立山がきれいに望めました。
<右上にポツンと見える建物が雄山神社>
室堂山荘東側から進むと途中に突如現れてくる大きな鉄の扉があります。
しばらく待っていると、「フウオーーーーーン」と中から響き渡る音が聞こえてきます。
そう、この扉の先に立山トンネル(3.7km)が掘られて室堂(2450m)と大観峰(2316m)がつながっています。そこに電気で走る立山トンネルトロリーバスが走っているんですね。日本でトロリーバスが走っているのは唯一立山だけです!
<立山トンネルトロリーバス。写真は別日に撮影>
そんなトンネルの扉を横目に先を進むと雷鳥沢キャンプ場と一ノ越へ向かう分岐点に出合います。
<左上に延びる道が一ノ越へと向かう道>
今回は、一ノ越方面へ進み、室堂へと戻りました。
<左に室堂平、中央に噴煙を上げているのが地獄谷、奥には奥大日岳・大日岳>
<アルペンルートから室堂ターミナルを望む>
アルペンルートでは早くも?!冬支度の準備で竹や木の棒が側道に建てられていました。
これから立山は楽しみな秋、そして間もなくして冬が訪れそうです。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
乗鞍上高地地域で歩道整備の業務を行いました。
今回の業務は近年注目されている「近自然工法」による整備とし、
大雪山国立公園や全国各地で整備や技術移転に取り組んでいる北海道山岳整備の方に来ていただきました。
「近自然工法」とは自然の作用(水、霜、雪など)をよく観察し、
どのようにすれば土壌が安定するかに着眼して施工します。
土壌が安定すれば植生が回復し、さらに崩れにくく安定した歩道となります。
まずは机上講習で考え方や施工事例を紹介していただきました。
現地講習会として地元の皆さんに「近自然工法」の技術移転をしながら施工をしました。
この場所は、かつて設置した階段の周辺土壌が流れ出していました。
元々の階段工は土留めとして活用しつつ新しく階段を整備しました。
安定感もあり歩きやすくなりました。
どのような観点で施工しているか、改めて紹介したいと思います。
作業は、地元の方も私自身もとても楽しいものでした。
いつも歩く道、見る自然が良くなっていくことは心から嬉しいですね!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。