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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

蓮華温泉から朝日岳へ 2度目 その1

2013年08月15日
後立山
こんにちは、北アルプス後立山地区からです。
8月7日から8日にかけて、新潟県糸魚川市の蓮華温泉と朝日岳(新潟県糸魚川市・富山県朝日町)を結ぶ歩道(登山道)を歩きました。前回(8月1日)は大雨のため途中で引き返しましたが、今回は雨に降られず予定していた作業をすべて行うことができました。

前回、渡ることが困難と判断し引き返した沢の様子です。

<左が前回、右が今回です。前回は滝のように流れていましたが、今回は写真では流れが分かりづらいくらいの何ということのない沢でした。なお、前回の写真は新潟県 県民生活・環境部 環境企画課の方が撮影したもの。>

ちなみに、前回の降雨の状況は、最寄りのアメダス観測所である平岩(糸魚川市山ノ坊)では、8月1日の0時台から引き返すことを決定する8時台までに47.5mmの雨が観測されていました。そして、戻る途中の9時台の1時間には32.5mmの雨が観測されました。

歩道ではないのですが、途中の瀬戸川橋から見た流れの様子も載せます。

<左が前回戻る途中に撮影したもの、右が今回です。撮影した位置が少し違うので比べにくいかもしれませんが、水量の違いは分かると思います。>

これまで、このような流量の増加によって、歩道の途中にある白高地沢では、仮設橋が流されることが何度もありました。そこで、天気に左右されず流れを渡れるように永久橋を架け昨年度から供用を始めました。これに伴って橋前後の歩道を付け替えています。誘導標識に従って通行をお願いいたします。

<環境省が整備した白高地沢橋。写真奥が右岸(蓮華温泉側)、8月1日撮影。>


さて、歩道の状況です。
特筆すべきことは、吹上のコルから蓮華温泉方面に下った所(八兵衛平)では、歩道上に雪が約150mの距離にわたり残っていることです。
ここは山小屋の方がステップを切ってくださっています。このため、雪上の歩行に慣れていればアイゼン、ストックなしで通行できます(私たち一行はアイゼンを付けず歩きました)。しかし、雪上の歩行に不安のある方や足腰に疲労がある場合はアイゼンやストックを使ってください。

<写真奥が吹上のコル方面。一番手前の黄色いシャツは施設整備を担当する環境省の職員。この写真は8月7日に撮影したものなので、この日記が公開される日には残雪の状況が変化している可能性があります。>

朝日小屋周辺もコバイケイソウの開花の当たり年です。

<斜面に白く点々と見えるのはすべてコバイケイソウです。左上に小屋が見えます。>

斜面では雪の解ける時期に応じていろいろな花が咲いています。歩いてとても楽しく感じました。
蓮華温泉から朝日岳へはコースタイムの長い区間です。花を楽しみすぎて小屋に着く時間が遅くならないように注意してください。

最近の夏山では、予約をしているからと午後6~7時に山小屋に着く計画で歩いておられる方々が見受けられます。山歩きは「早出、早着」が基本です。山小屋に心配をかけないよう早めに山小屋に着くようにしましょう。
ソロテント泊も増えていますが、北アルプスのキャンプ指定地はテントを張るスペースが限られています。お互いにスペースを譲り合って楽しい山行を心がけてください。