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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

八方尾根での植生回復作業

2011年10月13日
後立山
先日の日記で、長野県白馬村の八方尾根で環境省と地域の方々が連携して植生回復作業を行っていることを紹介しました。
今年度も植生回復作業が10月4日に行われ、私も参加しました。参加者は地域の方を中心に約40名。作業場所は八方尾根のトレッキングコース(八方尾根自然研究路)の第2ケルン付近の斜面で、中部山岳国立公園内でした。

ゴンドラとリフトを降りた先にある八方尾根のトレッキングコース入口には、写真のような施設があります。トレッキングコースの利用者は、まず、ここで靴をぬぐい、靴底についている雑草(この場所の生態系に不要な植物)の種子を落とします。外来種はもちろんですが、低地の在来種も八方尾根の生態系に悪影響を及ぼすおそれがあります。
特に、植生回復作業では、マットを敷いて自然状態よりも発芽をしやすい環境をつくるので、参加者は不要な種子を持ち込まないように入念にぬぐいました。



作業場所では、植物繊維のネットがついたマットを敷き、マットがずれないようにピンで固定します。下の写真の中央の緑色のものがピンで、自然状態で分解し、最終的に水とガスになるというものをできるだけ多く使いました。
マットの固定が終わった後、種子をできるだけ植物繊維のネットにからまるように注意してまきました。
今回の作業では、約120平方メートルにマットを敷くことができました。
どのように植生が回復するか楽しみな一方で、雪溶けの遅い場所なのでどのような成果が出るか不安もあります。

<作業の様子>

なお、国立公園においては優れた自然風景を保護するため、規制を受ける行為を定めています。規制を受ける行為を行う場合は、公園計画の保護計画によって定められる地域地区により自然公園法に基づく申請又は届出の手続が必要となります。
植生回復作業を行った場所は、中部山岳国立公園の第1種特別地域(現在の景観を極力維持することが必要な地域)でした。この植生回復作業も申請し、許可を得て行われたものです。
国立公園内で行う行為に申請または届出の手続が必要かどうかご不明な場合は、お近くの自然環境事務所、自然保護官事務所までお問い合わせください。

さて、作業日は八方池(標高2060m)でも日陰には2~3cmの積雪がありました。
八方池まではトレッキングコースということで、ハイキング気分で利用される方がいるかもしれません。この時期には標高の高い所では冬と同じようになっていますので、十分な準備をしてください。

<斜面に白く見えるのは雪です>