2021年7月
14件の記事があります。
2021年07月30日志賀高原 四十八池湿原の木道の応急補修
上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史
こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。
先日、「四十八池(しじゅうはちいけ)湿原」の木道(もくどう)について注意喚起をしました。
7月26日に補修作業が行われ、折れた箇所が応急的に付け替えられました。
しかし、写真手前のように表面が削れた板などは複数箇所残ったままです。凹凸に足を引っかけて転倒しないよう注意して通行してください。
<左は7月9日、右は7月26日に撮影。>
この日は四十八池湿原の近くにある公衆便所のカウンターのデータを回収しました。事務所で内容を確認したところ、7月22日から25日までの4連休に約450人の利用がありました。
例年、7月下旬は利用者の多い時期です。しかし、今年も少なめになりそうです。
四十八池湿原です。鉢山(はちやま)と志賀山の間にあります。下の写真で右奥にあるのが鉢山です。志賀山は撮影者の背中側にあります。
四十八池というのは、池の数が48あるのではなく、池がたくさんあるという意味で48を使っているそうです。
<色の淡いところは湿原で、写真中央より奥側で色の濃いところは樹林です。左端中央から逆「く」の字に湾曲して奥に向かっている線は木道です。写真を撮影している場所も木道からです。公衆便所は写真中央付近の樹林内にあります。>
四十八池湿原ではモウセンゴケの花が咲いています。
<コケと名が付きますが、花を咲かせる(=種子(たね)をつくる)ので、コケ(蘚苔類)ではないことが分かります。>
さて、ほたる温泉(硯川)バス停から四十八池湿原までの間に「渋池(しぶいけ)」があります。
下の写真は渋池を同じ構図で違う日に撮影したものです。左は7月15日、右は7月26日です。
池の中にある緑色のものの位置と形が変わっているように見えます。
これは「浮島(うきしま)」です。名のとおり水面に浮かび漂っています。緑に見えるのは草が生えているためです。形が変わったように見えるのは、浮島の向きが変わったためです。
風のある日は浮島が動くのを実際に見られることもあります。
また、渋池と四十八池湿原の間ではヒカリゴケを見ることができます。木の根元や岩の隙間などに生育しています。
<中央付近で明るい緑色に見えるのがヒカリゴケ。暗い所に生えているものを手持ちで撮影しているので、ぶれています。>
<前回の記事と同じ図ですが、四十八池湿原の場所です。「池めぐりコース」と呼ばれるトレッキングコースの途中にあり、ほたる温泉(硯川)バス停から徒歩で約1時間です。>
【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いや3つの密を避けるといった「新しい生活様式」の実践をお願いします。その一方で、熱中症にもご注意ください。
厚生労働省「「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました」
<https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html>
2021年07月21日妙高ビジターセンター取材
妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎
現在、立て替えのため休館中のいもり池の妙高ビジターセンターは来年4月オープンを目差して工事が進んでいます。
7月16日(金)その展示内容を外国人向けに多言語化するための事業の取材に同行しました。
日本在住の外国人ライターの皆さんに、妙高戸隠連山国立公園の見どころを実際に自分の目で見てもらって素敵な紹介文を書いて頂きましょうという趣旨です。
前日に妙高と信濃町の取材を終えており、この日は戸隠。
まずは戸隠地質化石博物館の田辺先生の解説を聞きながら鏡池~戸隠神社奥社参道~森林植物園を散策。
田辺先生のガイドではいつも新しい知識が得られます。私も今回初めて知ったことがたくさん。
戸隠を流れる「さかさ川」何が「逆さ」なのか皆さんご存じでした?
戸隠では他の川は皆南へ流れるのにさかさ川だけ信濃町方面の北へ流れているからだそうで。またこの川は信濃町に入ると「鳥居川」に名前を変え、なぜ「鳥居」なのかというと「戸隠神社奥社参道の鳥居の前から流れているから」だそうです。知らなかった~
外国人ライターの皆さんは日本の自然や文化に興味津々で、様々な質問を投げかけていましたよ。
奥社参道では樹齢400年と言われる大杉の幹に寄り添うキャサリンさんがまた
絵になること。というわけで撮影会が始まりました。キャサリンさんはライターさんなんですけどね。
<絵になるキャサリンさん>
森林植物園の後は「戸隠民俗館・戸隠忍法資料館」へ
自身が空手や剣道などの日本の武道をされているというブレンダンさんは忍術に興味津々。
お昼は皆さんは奥社入口にある「なおすけ」さんで戸隠そばを堪能。
午後は原山竹細工店で戸隠の伝統工芸品である竹細工について取材させていただきました。キャサリンさんは大きなバスケットを買ってましたよ。
次に戸隠山を背景に蕎麦畑が映える絶景ポイントにご案内。
もうそろそろ夏そばの収穫時期で花は終わりかけでしたが、美しい景色に皆さんウットリ。
最後は戸隠地質化石博物館へ。
この博物館は昔の柵(しがらみ)小学校の校舎を博物館に改装していて、それぞれの元教室がテーマごとの展示室になっています。
昭和初期の学校の備品等もたくさんあって珍しいものがたくさん。
田辺先生に駆け足で解説していただきました。
戸隠地質化石博物館では希望すればスタッフの方がついてくれて展示解説も行っていただけます。ウサギコース(30分)、イノシシコース(50分)、カメコース(2時間)、カタツムリコース(8時間耐久)の各コースがあり、8時間耐久コースは今まで5人達成された方がいるとか(笑)
<戸隠の生き物たち>
戸隠の生き物展示室では蛇もいて、キャサリンさんがまず小さいシロマダラを手に取って遊び始めました。これだけでもびっくりでしたが、次に大きなアオダイショウと遊び始めたではないですか。蛇はどんどん手からすり抜けようとするのをそのたびに首のところを優しくつかんでを繰り返して上手に扱うこと。キャサリンさんは蛇が大好き。びっくりな1日でしたよ。
<ヘビが大好きなキャサリンさん>
2021年07月21日焼岳 中尾高原ルート登山道維持管理
中部山岳国立公園 福澤春彦
こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
7月1日、焼岳の登山道維持管理に参加してきました。
今回の対象ルートは飛騨(岐阜県)側から焼岳に登頂する中尾高原ルートです。
昨年7月の豪雨で登山口付近が大きく崩壊し、橋も流されてしまいました。
登山シーズンがこれから始まる時期の大きな被害に登山道維持管理を行う事もできず、通行止めにするしかありませんでしたが今日は地元で長年にわたりこの登山道を守ってきた有志が集まり、2年ぶりの登山道維持管理です。
<焼岳登山口>
お馴染みの登山口ですが、この付近は割谷、黒谷、白水谷など大きな沢が集まってくる場所で下方の林道にも大量の雨水が集中し大きな崩壊が起こりました。
割谷に入ってみましたが当時の様相を残していました。
<沢筋には大雨の後が残っています>
登山口に立派な橋が新しく架けられており、多少の雨で流されないよう上部にアンカーを設置しワイヤーで繋ぎ止めが施されていました。
<架け替えられた橋>
登山道に入ると、早速上部の方で刈り払いの機械音が聞こえています。
「しばらく放っておくとこの有様!」と登山道にかかった笹藪を手際よく刈っていく顔は言葉とは裏腹に笑顔です。
<刈り払い作業>
樹林帯の登山道は、道跡自体はしっかり残っていますが、両脇からの草藪が覆い被さると道の判断がつかなくなり、酷いケースでは道はあるのに一面草むらに見えてしまうこともあるくらいです。
安全に登山して頂くために登山道の刈り払いは大事な作業の一つなのです。
<草に覆われた登山道>
緩斜面をゆっくり進むと滝見台です。
落差40mの白水の滝は、見事な姿で出迎えてくれました。
<白水の滝>
ここからしばらく急登となり、西穂高から焼岳の稜線に向かう尾根をトラバースして進みます。不思議な「鍋助横手」と有るあたりから谷側は深く落ち込んでおり、生い茂った笹で足下が見えないと危険な場所が続きます。
昔、大きな鍋を抱えこの地点を通過しようとした人が運悪く落ちてしまった、ところから付いた地名だと教えてもらいました。
当時もしっかりと刈り払いされていれば鍋助さんも落ちなかったかもしれませんね。
<登山道を踏み外すと谷側へ転落しそうな鍋助横手>
登山道を雨水が大量に流れたために以前維持管理した階段状のステップが流れ落ちたため修復します。
ステップの位置を決めるにも登りの視点、降りの視点、加重の強度、ステップのバランス・・・沢山の考察を瞬時に判断しながら慣れた様子で作業が進みます。
<ステップができました>
急登を終えると緩斜面になり、今日の目的地の秀綱神社に到着です。
飛騨の国を治めていた戦国大名三木自綱の息子である秀綱と奥方は、敗戦から再興を図るため信濃の国を目指す途中で命を落とします。諸説有りますが、秀綱は焼岳中腹の中尾峠を越えた辺りで捕らえられ、奥方は上高地の徳本峠越えの際に島々谷で、同じ悲運を辿ったそうです。
この焼岳中尾高原ルートは、かつて信州と飛騨地方を結んだ飛騨新道と呼ばれる古道で、中尾の人々は秀綱を祀って安全を祈願したようです。
<鳥居を撤廃した秀綱神社>
この秀綱神社には鳥居がありましたが、倒壊しており安全のため撤去しました。
<秀綱神社で大休憩>
順調に作業は進められ、計画した秀綱神社から焼岳小屋分岐点まで作業範囲を広げることにしました。
皆さんは口々に「毎年の維持管理登山が一回無かっただけで勝手が違うな!思うように身体が動かない」と仰っていましたが、その作業は手慣れたもので的確にスピーディーに作業されていました。
<手慣れた作業でどんどん範囲を広げました>
地元の古道に対する愛着と歴史が感じられ、子どもの頃から祖父や父親の登山道維持管理に付いて秀綱神社まで上がってきていたという微笑ましいお話や、秀綱神社の広場で煮炊きして宴会まで開いた豪傑な話など、どのお話にもこの地に暮らす方々の山に対する愛着と畏敬の念を感じることができました。
皆様、本当にご苦労様でした!
*======================*
中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2021年07月20日注意喚起 志賀高原 四十八池湿原の木道
上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史
志賀高原には、志賀山の火山活動によってできた大小様々の美しい湖沼や湿原があります。
このうち「四十八池(しじゅうはちいけ)湿原」の木道は、破損したものがあるので通行にご注意ください。破損は数箇所あります。
<人の歩く部分の板が折れてしまったり、板の表面が削れたりしています。老朽化によるものです。問題のない板を歩いて通過してください。>
<四十八池湿原の場所です。「池めぐりコース」と呼ばれるトレッキングコースの途中にあり、ほたる温泉(硯川)バス停から徒歩で約1時間です。>
この日は、ほたる温泉(硯川)バス停から四十八池湿原を通過し、大沼池へ向かいました。
<大沼池の水の色。水際に立って見る水の色は無色透明でした。しかし、水面を見下ろすとこのように見えました。空にガスがかかっていても水の色が青く見えます。>
<大沼池の水際のすぐ脇に湧き水がありました。湧き出ている水と池の水を触って温度を比べると、湧き出ている水が明らかに冷たかったです。伏流した水がたまたまこの場所から湧き出たようです。>
【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いや3つの密を避けるといった「新しい生活様式」の実践をお願いします。その一方で、熱中症にもご注意ください。
厚生労働省「「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました」
<https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html>
2021年07月14日平湯温泉「春の環境清掃」
中部山岳国立公園 福澤春彦
こんにちは中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
梅雨の晴れ間6月29日、今年も平湯温泉「春の環境清掃」がやってきました。
平湯地区全体が中部山岳国立公園に属しており、毎年平湯管理官と共に作業参加しています。
<公民館に集合!>
平湯公民館には大勢の地元の方や工事関係者が集まって今日の段取りを確認しました。
「平湯を訪れる方々に気持ちよく感じて頂きましょう」と町内会長の挨拶の後、各持ち場に分かれて作業開始です。
<平湯地区を手分けして美化清掃していきます>
私は平湯管理官事務所からの平湯自然探勝路を担当しました。
この道は平湯の原生林に整備された探勝路で、河岸段丘や溶岩台地の森など表情豊かな道です。
一冬を越した春の森は、今、緑が溢れ小鳥がさえずり生き生きとした状態ですが、植物の生命力は目覚ましく清掃された歩道の脇から笹などが覆い被さり視界を遮るほどで危険でもあります。
半袖半ズボンなどで肌を露出したままだと草で傷つくことも想定されるため、刈り払いで歩道をしっかり確保することが今日のミッションです。
<歩道や標識がしっかり視認できるように>
前もってかなり手入れが必要と目星を付けておいた河岸段丘の急階段に来ました。
見ての通り、周りからの草や笹が生い茂り、歩道を視認しにくいどころか足に絡まりそうに伸びている茎もあり、手摺り隠して持てない箇所もあり、荒れています。
<生い茂った笹が階段を覆い尽くす>
2人で階段の上からと下からに分担し、刈り払いを行いました。
機械では狭くて危ないため、全て手作業です。
<刈り払いの成果>
みごとに歩道が現れました!しっかりと歩道が視認でき、手摺りにも捕まることができます。
この時期の森には珍しい植物も顔を覗かせていました。
<ギンリョウソウ(幽霊茸)>
各分担を作業し完了した方々が公民館に戻ってきました。
平湯を美化清掃できた満足感からか、誰しも自然に笑顔でした。
皆様お疲れ様でした!
*======================*
中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2021年07月14日乗鞍岳畳平周辺の巡視とライチョウ
中部山岳国立公園 福澤春彦
こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
例年より遅く梅雨入りした中部山岳国立公園一帯ですが、いよいよ本格的に始まるグリーンシーズンを前に乗鞍岳畳平周辺の巡視に行ってきました。
また丁度、環境省が協力する「日本アルプス ライチョウ観察ガイドツアー」の為のガイド研修会も行われていましたので合わせてご紹介したいと思います。
6月21日と22日は好天に恵まれ、残雪、新緑、青空と雲、の素晴らしいコントラストの景色が広がっていました。
<白と緑、そして青のコントラスト>
今期乗鞍岳にアプローチするバスは、長野県側のエコーラインが7月1日から、岐阜県側のスカイラインが7月22日からです。
岐阜県側からの乗鞍スカイラインは昨年7月の豪雨で道路の一部が崩壊してしまい通行止めが続いていましたが、工事関係の皆様の懸命な努力で予定より早い開通を迎えることができそうです!
<今はまだ静かな畳平>
今回は、現状で長野県側から乗鞍大雪渓まで入り、大雪渓を登り肩の小屋経由で畳平まで入山しました。
今日一泊お世話になる畳平の白雲荘では、「日本アルプス ライチョウ観察ガイドツアー」の為の研修会が行われており、山岳ガイドさん達が研修に励んでいらっしゃいました。私も研修会に同行させて頂き、中部山岳国立公園のシンボルの一つライチョウについてたくさん学ぶことができました。講師のお一人は白雲荘の小林支配人で、長年畳平に勤務されている経験に裏付けされた貴重なお話は、ツアーさながら研修者全員を惹きつけるとても魅力的なものでした。
<熱心に研修を受ける山岳ガイドさんたち>
研修に参加された方々は、地元長野県の山のプロ集団、ガイドさん達です。
バスでアプローチ可能な畳平ですが、そこは標高2000mを越えた北アルプスです。
そこからライチョウ観察に向かうエリアは完全な登山領域で、一般の旅行とは一線を画すのです。その意味でも山岳ガイドさんにライチョウ観察に連れて行ってもらえると安心ですね。
<夜も研修は続きます>
2日目はライチョウの行動に合わせて、なんと朝4:30に集合して出発です。
<写真の真ん中に居ますよ!>
この時期のライチョウは卵胞の時期に入っており、雌が卵を温めている間は雄が見張り役として外敵に備えます。
ライチョウは保護色で身を守ることで知られていますが、慣れていないと本当に探すのが難しいです。「あ、ライチョウだ!」と誰かが言ったとき周りの人は「どこ?どこ?」となかなか見つけられないでいることもよくありますね。
ライチョウ研修の後は、畳平バスターミナルの南側に広がるお花畑を散策できる木道を巡視しました。昨年は、落石で一部の木道が破損し通行止めを余儀なくされましたが、畳平のお花畑は高山植物が群生する素敵な場所です。
<整備された木道の確認>
丁度、ミヤマキンバイなどが咲き始めていて高山の風景に癒やされました。
木道やお花畑の情報は下記のURLから確認できます。
○飛騨高山乗鞍岳 乗鞍スカイライン
https://norikuradake.jp/ohanabatake/
大雪渓を下山しましたが、最後にもう一度ライチョウに出会えました。
大雪渓を通過する登山者やスキーヤーを見守っているようにも見えました!
昨年、環境省では一般社団法人 日本アルプスガイドセンターと共同で「ライチョウ観察ルールハンドブック」を作成しました。
下記URLから閲覧できますので是非お目通し下さい。
https://thejapanalps.com/ptarmigan
*======================*
中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2021年07月09日志賀高原 四十八池公衆便所のカウンター
上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史
こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。
先日、白山国立公園の登山者カウンターの話題がありました。
志賀高原でも四十八池(しじゅうはちいけ)公衆便所で、利用者数をカウントする機器を環境省が運用しています。
<赤丸で囲んだ送信機と受信機のセットで使用します。雨を防ぐカバーの中にカウンター本体が入っています。奥が男女別のトイレで、利用者は必ずこの場所を通過します。>
この機器は、何かが送信機と受信機の間を通過すると1カウント記録されます。
1回のトイレ利用につき、入る時と出る時にそれぞれ1カウントずつで計2カウントされます。このことから、カウントされた値を半分にすると利用者数になります。
しかし、誤カウントにより、ある時間帯にカウントされた数が偶数ではなく、奇数になることがあります。
既知の誤カウントは次のようなものです。
・順番待ちでカウンターの前で止まったり、カウンターの前をゆっくり動いたりすると、1人の利用者でも3カウント以上されることがある。
・横に並ぶなど複数人がかたまってカウンターの前を通過した場合は、実際の人数よりも少なくカウントされることがある。
・カウンターの前を駆け抜けた場合はカウントされないことがある。
<現地で再現しないようにお願いします。>
また、夜間など人の利用がないはずの時間帯にカウントが記録されることがあります。(このトイレは最寄りの宿泊施設から山の中を約1時間歩いた場所にあります。)
こういったカウントは明らかな誤カウントとして無視します。ですが、原因が何なのか気になります。
なお、カウンターを設置した理由は、利用者数データを公衆便所の維持管理に反映させるためです。
■この便所は、一日当たりの利用者数の上限を200人で設定しています。この便所の特徴は、汚物を酵素や土壌内の微生物により分解し、浄化された水を洗浄水として再利用することです。トイレの利用者数が分解の能力を超えると、再利用のシステムに悪影響を及ぼします。
利用者数が多い場合には、トイレを緊急時のみ利用するようなお願いやトイレの使用制限などの対応をとることができます。
■この便所は汚泥(汚物が分解されて生じる泥状のもの)を抜き取る必要があります。利用者数と汚泥の量の関係は、利用者数が増えると汚泥の量が増えるという関係にあると考えられます。利用者数を知ることで、中期的には汚泥の抜き取り時期を推定することができます。
== お願い ==
国立公園での機器の設置には自然公園法の手続きが必要になることがあります。設置前に最寄りの環境省の事務所にご相談をお願いします。
【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いや3つの密を避けるといった「新しい生活様式」の実践をお願いします。その一方で、熱中症にもご注意ください。
厚生労働省「「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました」
<https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html>
2021年07月08日白山国立公園の登山者カウンターについて
白山国立公園 森由利子
こんにちは!白山アクティブレンジャーの森です。
7月に入りいよいよ暑くなってきましたね。
事務所所在地である白峰は標高500メートル付近なのですが、夜は半袖でないと蒸して眠れなくなってきました。
さて、白山では山開きの少し前に登山者カウンターの設置を行いました。
登山口でこんな物体を見たことはありませんか?
この物体の名称は「登山者カウンター」といいます。
登山者の通った日時や方向(入山か下山か)をカウントしてくれます。
これによって登山道がどの時期にどの程度利用されたかある程度把握できます。
白山は登山者カウンターの数が他公園よりもかなり多いです。
令和3年度は一部設置出来ない箇所があり、計17箇所に設置しました。
カウンターの設置数が多いので事務所には大量のカウンターが・・・この受け渡し準備として動作点検、最終チェックを事務所で行っております。
一つ一つチェックしてこの膨大な量のケースの中にしまっていきます。
太陽光パネルの状態、バッテリーの電圧やリモコン動作チェックなどなど、かなり大変な作業です!
細かく点検記録や備品チェックをしておかないと記録が取れていなかったり、設置の際の部品が足りなくて後日再設置ということになってしまいます。
こうして設置した登山者カウンターの記録は国立公園を適切に維持管理するために役だっております。
皆様も登山口付近で彼らをみかけたら「いつもお疲れ様です!」と心の中で声をかけてあげて下さいね。
2021年07月07日朝日岳山開き
中部山岳国立公園 立山 平松新一
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の平松です。
7月3日から4日にかけて、朝日岳山開きに参加してきました。昨年度はコロナの影響で実施できなかったそうで、今年は2年ぶりの開催でした。3日は雨こそ降らなかったものの始終ガスがかかっていて、周辺の山々を見ることはできませんでした。それでも、高山植物はすでに咲き始めていて、草花に癒やされながら登山することができました。そこでここでは登山行程と登山中に見られた花について紹介します。
登山口である北又小屋からイブリ山までの多くは林の中の道です。途中1合目から順に標識があって、10合目がイブリ山山頂です。多くの標識はクマにかじられたのか、破損していました。
<登山口のある北又小屋> <三合目 標識が破損している>
イブリ山までの林床には、所々で花が咲いていました。
<イチヤクソウ> <サンカヨウ>
<オオサクラソウ> <シラネアオイ>
イブリ山を過ぎると高木は少なくなり、やがて明るい草原に出ます。そこは夕日ヶ原と呼ばれる場所で、チングルマなどの高山植物が見られます。
- <イブリ山山頂 ここまでで全行程の約2/3> <夕日ヶ原>
<チングルマ> <キヌガサソウ>
<イワイチョウ> <ミヤマキンポウゲ>
登山口から7時間、目的地の朝日小屋に着きました。小屋の横には朝日神社があり、ここで山開きの神事が行われました。
この日の朝日岳にはガスがかかっていて、全容を見ることはできませんでしたが、ガスの晴れ間から雪倉岳や白馬岳を見ることができました。
<朝日小屋> <朝日神社>
<ガスのかかる朝日岳方面> <雪倉岳(左)と白馬岳(右)>
小屋の周りにも多くの高山植物が見られました。ライチョウもいましたが、写真に収めることはできませんでした。
<ハクサンチドリ> <ハクサンイチゲ>
<ミネズオウ> <シロウマアサツキ>
翌4日は朝から雨、その後も強く降る可能性があるとのことで、朝日岳でのご来光はおろか、山頂へも行かず下山となりました。
今回の登山では大蓮華山保勝会の皆さんに大変お世話になりました。大蓮華山保勝会は朝日岳を中心に活動しており、ガイド活動や登山道の整備などを行っているそうです。私のグループも保勝会の大和リーダーのもと、一人の脱落者も出ることなく、また見事なペース配分で行程を完遂することができました。保勝会の皆様、ありがとうございました。
******************
中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
本日、カモシカスポーツ松本店でアクティブ・レンジャー展の設営をしてきました。
カモシカスポーツは「中部山岳国立公園パートナー企業」です!
今年度は「国立公園アクティブ・レンジャー展~国立公園の舞台裏~」と題して信越自然環境事務所管内を巡回しています。
カモシカスポーツでの開催ですので、特に登山をする方に国立公園やその仕組みについて知ってもらいたく展示しています。
入口では、レンジャー服を着たマネキンがお出迎え!
写真やパネル・地図と共に、中部山岳国立公園のプロモーション動画も流しています!
ご来店の際は、ぜひご覧ください!
*********************************
中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。