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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

八方尾根巡視

2007年06月29日
長野
 八方尾根とは唐松岳から東へ延びる尾根で、リフトを乗り継げば第一ケルンまで行くことが出来ます。八方池まではトレッキングコースとして道も整備され、高山植物や北アルプスの展望を楽しめます。
 今回は八方池山荘から丸山ケルン(標高約2430m)の間を巡視してきました。あいにくの視界不良と池にはまだ残雪があるため、八方池に映る白馬三山の姿は見られませんでした。
雪渓は上の樺を過ぎた辺りから所々始まり、扇雪渓へと続いており、登山ルートは雪渓上にペイントされた赤い目印を頼りに歩くことになります。
目立った崩壊箇所、危険箇所は今回の巡視ルート上見あたりませんでしたが、路肩注意の標識がある所はそれなりに崩壊が進行しているので、今後も注意が必要です。



(上ノ樺付近から見た下の樺)

ここの植生は珍しい逆転現象(気候的遠因に加え超塩基性の蛇紋岩の存在が要因)により、通常は現れないはずの低い場所に
高山植物が分布していたり、逆に標高2130m付近より(下ノ樺)上になると標高が高くなるにもかかわらずダケカンバが現れます。
そして2350m付近(上ノ樺)から森林限界になり、その先からは高山性の植物があらわれます。
このように八方尾根は、植物相から見て非常に特徴的で貴重な地域であると言えますね。


まだ雪が残る八方池



生分解性植生マットによる植生復元
(成長速度に合わせて糸が分解し、時間の経過とともに織物組織(布目)が変化する植生復元マット「種なし」)

去年に工事を行った物ですが、あちこちから新芽が出ていました。
脆弱な土地で種子が育っていくことは大変ですが、復元がうまく行くことを願いたいですね。