ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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上信越高原国立公園 志賀高原

172件の記事があります。

2020年07月06日野反湖から切明へ

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

群馬県中之条町野反湖(のぞりこ)から長野県栄村切明(きりあけ)までの歩道の状況を6月30日に確認しました。GPSで記録された歩行距離は約17kmでした。

野反湖から切明までの地図

では、歩道の状況です。

通行可能ですが、昨年10月の台風19号の影響で歩道が崩れて分かりにくくなっている箇所がありました。上の地図で「崩落箇所」と示した場所です。

2万5千分の1地形図には沢の名前はありませんが、「山と高原地図(昭文社)」では「トネクラ沢」と書かれています。

トネクラ沢の崩落箇所

<赤テープを目印に沢を渡ってください。左に立っている人の所から奥側の歩道が崩落。写真中央下の黄色い雨合羽の人の所に下り、石伝いに沢を渡って、写真右側の道の残っているところまで上ります。>

このほかに、小規模ですが、歩道が崩れているところがあります。

小規模な崩れ

また、倒木が何本かありますが、通行は可能です。

倒木を通過

<栄村役場職員と栄村誌の自然環境編の執筆者と歩きました。>

さて、この歩道のうち、渋沢ダムから切明までの区間では、黒部川の「下ノ廊下」の水平歩道に似た雰囲気が感じられます。

下ノ廊下に似た雰囲気

<渋沢ダム建設のためにトロッコの軌道が敷設されていたそうです。平成28年9月6日撮影。>

一方で、野反湖や志賀高原の岩菅山(いわすげやま)の山並みを望むこともできます。

左の写真:野反湖と浅間山を望む。右の写真:志賀高原の岩菅山を望む。

<左:野反湖と奥に浅間山(あさまやま)。右:志賀高原の岩菅山。平成28年10月24日撮影。>

※注意※ 

「カエルを素手で触れた場合は後でよく手を洗ってください。皮膚などから毒を分泌しています。」

アズマヒキガエル

<アズマヒキガエル。目の右側にある鼓膜の大きさが見分け方のポイント。この個体は「鼓膜の直径」のほうが「目の端から鼓膜の端までの長さ」より大きい。栄村ではニホンヒキガエルは確認されていないとのこと。>

【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】

上信越高原国立公園の利用においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いや3つの密を避けるといった「新しい生活様式」の実践をお願いします。また、上信越高原国立公園へお出かけの際には、上信越高原国立公園のページ、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認ください。皆様のご協力をお願いします。

厚生労働省「新しい生活様式の実践例」

<https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html>

※体調に不安がある場合は、絶対に入山しないこと。(長野県「登山者への5つのお願い」より)

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2020年06月24日志賀高原ユネスコエコパーク

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

志賀高原は国立公園であるとともに、「志賀高原ユネスコエコパーク」にも登録されています。

1980(昭和55)年に他の3地域とともに日本で初めて登録され、2014(平成26年)年に区域が拡張されています。

では、「ユネスコエコパーク」とはどんなものでしょうか。

「ユネスコエコパーク」は「ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)」の提唱する「生物圏保存地域(Biosphere Reserves)」の日本独自の呼び名です。

また、山ノ内町の子ども向けのページ<http://yamanouchi-kids.com/learn/about/>では

・自然と人が仲良くくらす場所

・自然を守りながら賢く活用し、人と自然が共生できる形を探すのが、ユネスコエコパークの目的

と説明されています。

例えば、6月16日のAR日記「水のつながり」で、「イワナ」が生息している志賀高原一の瀬地区の小雑魚川(こざこがわ)では、川の上流に宿泊施設やスキー場がある地区にも関わらず、地区住民の努力によりイワナの生息環境が保たれていることを紹介しました。自然環境の保全と地域の人々の生活が両立している状況なので、ユネスコエコパークの目的に合っていると考えられます。

なお、生物多様性の保全という観点は国立公園にもあるものです。

さて、「志賀高原ユネスコエコパーク」の区域と「上信越高原国立公園」の区域は下図のように重複しています。

志賀高原ユネスコエコパークの関係市町村は、長野県山ノ内町、高山村、群馬県中之条町、草津町、嬬恋村です。

志賀高原ユネスコエコパークの区域

ユネスコエコパークは役割の異なる「核心地域」、「緩衝地域」、「移行地域」の3つの区域にゾーニングされます。

志賀高原ユネスコエコパークでは「核心地域」と「緩衝地域」は国立公園内に、「移行地域」は国立公園外に設定されています。

高山村は全村が志賀高原ユネスコエコパークの区域に含まれます。

■核心地域

上信越高原国立公園(志賀高原地域)の特別保護地区(ただし、平成31年1月の公園計画変更前の特別保護地区)と同じ区域。自然公園法による保護規制の強い区域。

・山ノ内町志賀高原の志賀山を中心とした大沼池や四十八池を含む約700ha。

■緩衝地域

核心地域を囲む約17,600ha。上信越高原国立公園の特別保護地区、特別地域及び普通地域にあたる区域。

・山ノ内町では国立公園に含まれる区域のうち岩菅山東斜面周辺を除く区域。

・高山村では国立公園に含まれる区域全域。

・中之条町、草津町及び嬬恋村はそれぞれ国立公園に含まれる区域の一部。

■移行地域

国立公園外の約12,000ha。

・山ノ内町及び高山村の国立公園に含まれない区域の全域。

例えば、志賀高原のトレッキングコースだと、「池めぐりコース」と「まが玉の丘コース」は核心地域を通るコースです。ほかの多くのトレッキングコースは緩衝地域にあります。

また、緩衝地域には、群馬県側では、草津白根山、芳ヶ平湿地、万座温泉といった場所が含まれます。国立公園内のスキー場や宿泊施設も緩衝地域にあります。

志賀高原で皆さんは、トレッキング、食、温泉、スキーなどそれぞれの楽しみ方をされると思います。楽しむ中で、国立公園であることとともに、自然環境と人の活動との共存を目指す「志賀高原ユネスコエコパーク」であることも意識していただければと思います。

本文は以上です。以下、ユネスコエコパークについて次の3項目を説明します。

1.ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)とは

2.ユネスコエコパークの「3つの役割」

3.ユネスコエコパークの「3つの区域」

1.ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)とは

-----以下、文部科学省<https://www.mext.go.jp/unesco/005/1341691.htm>から引用-----

ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)は、生物多様性の保護を目的に、ユネスコ人間と生物圏(MAB)計画(1971年に開始した、自然及び天然資源の持続可能な利用と保護に関する科学的研究を行う政府間共同事業)の一環として1976年に開始されました。

ユネスコエコパークは、豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域です。(認定地域数:124か国701地域。うち国内は10地域。)※2019年6月現在

世界自然遺産が、顕著な普遍的価値を有する自然を厳格に保護することを主目的とするのに対し、ユネスコエコパークは自然保護と地域の人々の生活(人間の干渉を含む生態系の保全と経済社会活動)とが両立した持続的な発展を目指しています。

2.ユネスコエコパークの「3つの役割」

ユネスコエコパークは、自然環境と人の活動との共存について3つの役割を持っています。

-----以下、山ノ内町<http://yamanouchi-kids.com/learn/about/>から引用-----

■保存機能

人間の生活とその影響も含めて、生物多様性を守るために重要な地域であること

■学術的研究支援

持続可能な発展のための調査や研究、教育の場があること

■経済と社会の発展

自然環境と人間との共生のモデルとなること

3.ユネスコエコパークの「3つの区域」

「核心地域」、「緩衝地域」、「移行地域」の3つの区域は、上の3つの役割を果たすことができるように設定されたものです。

-----以下、山ノ内町<http://www.town.yamanouchi.nagano.jp/shiga_highland_biosphere_reserve.html>から引用-----

■核心地域

自然環境の世界全体の財産として厳格な保護を目的とした地域です。

この地域では自然環境のモニタリングや科学的なデータの収集などに利用されます。

国内の法律により保護されます。

(志賀高原ユネスコエコパークでは国立公園の特別保護地区と同一の範囲であり自然公園法などにより保護されています)

■緩衝地域

保護と活用の両立を目指す地域です。

この地域では、核心地域を保護する役割と、自然環境に負担がかからない範囲での活用ができます。

生物多様性に配慮した森林経営や、教育・観光などに利用されます。

(調査研究活動、森林復元、ESDなどの環境教育、エコツアーなどの観光・レジャーでの利用)

■移行地域

地域住民の生活の場、地域発展のための様々な社会・経済活動の場です。

自然と共存した経済活動を通じて、新たな環境対策、伝統文化の保護継承、コミュニティの振興などを行います。

【新型コロナウイルス感染拡大防止についてのお願い】

上信越高原国立公園の利用においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いや3つの密を避けるといった「新しい生活様式」の実践をお願いします(厚生労働省「新しい生活様式の実践例」)。また、上信越高原国立公園へお出かけの際には、上信越高原国立公園のページ、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認ください。皆様のご協力をお願いします。

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2020年06月18日こちらの水は日本海へ、そちらの水は太平洋へ

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

写真は長野県高山村(たかやまむら)と群馬県嬬恋村(つまごいむら)の境にある「毛無峠(けなしとうげ)」です。

ここでは、こちらの水は日本海に、そちらの水は太平洋に流れます。このように雨水が異なる方向に分かれる境界を「分水界(ぶんすいかい)」と言います。

毛無峠の標識

<余談ですが、この「群馬県」の標識と「この先危険につき立入禁止」の標識のセットは、ネタとしてネットで知られています。5月29日撮影。>

「分水界」については、山では尾根が雨水を異なる方向に流れ分ける境界になるので、「分水嶺(ぶんすいれい)」という言葉も使われます。毛無峠付近の山の写真に分水嶺(=尾根)を赤い線で書き足しました。毛無峠は写真の中央付近にあります。

毛無峠付近の分水界

<赤い線の左側の水は千曲川に流れ、信濃川に名前を変えて日本海に注ぎます。赤い線の右側の水は吾妻川に流れ、利根川に合流し太平洋に注ぎます。写真は平成28年7月14日撮影。>

■お願い

毛無峠では、植物の生えているところに立ち入らないようにお願いします。

毛無峠では第1種特別地域になっている区域があり、ガンコウランやコケモモなどの指定植物が生育しています。特別地域で指定植物を損傷する行為は自然公園法で規制されています。

毛無峠での模型飛行機

<模型飛行機の無線操縦を行っている利用者がいました。模型飛行機の場所まで行くには植物の生えているところを歩くことになり、指定植物を損傷させる恐れがあります。>

では、毛無峠からの景色です。

毛無峠から浅間山を望む

<毛無峠のら南東方向に、榛名(はるな)山、赤城(あかぎ)山(左)、浅間(あさま)山(右)があります。浅間山も上信越高原国立公園に含まれる山です。本国立公園の面積の広さを感じます。5月29日撮影。>

毛無峠の北側

<毛無峠の北には御飯(おめし)岳があります。毛無峠は荒涼さも魅力だと感じます。毛無峠は「ぐんま県境稜線トレイル」の通過地点で、写真右端から山腹を横切る道路がコースになっています。5月29日撮影。>

毛無峠の鉱山の遺構

<毛無峠から群馬県側へ立入禁止の道路を進むと鉱山跡があります。毛無峠には鉱山の操業時に使われていた索道の鉄塔が残っています。平成28年6月14日撮影。>

さて、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。

本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。

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2020年06月16日志賀高原から水のつながり

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

志賀高原管理官事務所のある長野県も梅雨入りしました。

雨水や雪解け水は、「水」という形でいろいろな物事とつながっています。

■「イワナ」-水中の生物-

志賀高原のイワナはすべて天然です。

写真のイワナは、一の瀬地区のスキー場を流れる小雑魚川(こざこがわ)で撮影しました。上流には宿泊施設があり、水路の底面と両側面がコンクリートです。このような場所でもイワナがいるのは、地区の方が排水などの環境保全に対して高い意識を持っておられるためです。

写真を撮影した場所は禁漁区になっています。そのためかどうか分かりませんが、イワナは物陰に逃げることが少なく、また、逃げてもしばらく待っていると出てきます。

小雑魚川は雑魚川(ざこがわ)へと名前を変え、魚野川(うおのがわ)と合流し中津川(なかつがわ)となり、信濃川に合流します。

小雑魚川のイワナ

<6月9日撮影。この50mくらい下流でも1匹いました。雑魚川と魚野川での渓流釣りは志賀高原漁協の定める規則に従ってください。>

「大沼池(おおぬま いけ)」-水のある景観、また、灌漑用水、発電用水へのつながり-

志賀高原ではトレッキングコースや登山道沿いに20を超える池があります。

大沼池は志賀高原で面積が最も広い池です。このAR日記でも何度となく紹介しています。

大沼池は、また、志賀高原の麓の中野市の農業用水「八ヶ郷(はっかごう)用水」の水源となっています。大沼池の水は横湯(よこゆ)川を流れ、志賀高原からの角間(かくま)川と合流し夜間瀬(よませ)川となり、八ヶ郷用水に取水されます。稲作のほかに、りんご・もも・ぶどうといった果樹の栽培に利用されています。

また、横湯川から取水され発電にも利用されています。

赤石山山頂から大沼池を望む

<赤石山山頂から。中央の志賀山の溶岩で堰き止められてできた池。青色の水面が印象的です。写真の右奥が中野市方面。平成28年8月8日撮影。>

大沼池の石碑

<大沼池の堤にある八ヶ郷用水関係の石碑。平成29年8月4日撮影。>

■「田ノ原湿原(たのはら しつげん)」-過湿な環境に特有な植物の生育、また、自然草原としての景観-

志賀高原では、湿原はトレッキングコースや登山道沿いにいくつもあります。

田ノ原湿原は国道292号沿いにあり、近くに駐車スペースがあるのでアクセスしやすく、比較的広い面積があるので取り上げました。

今が見頃の主な植物は、ワタスゲの穂やヒメシャクナゲの花で、7月中旬にはニッコウキスゲが咲きます。

田ノ原湿原は「高層(こうそう)湿原」と呼ばれるタイプのもので、湿原の水分は雨水と雪解け水で維持されています。

田ノ原湿原

<奥に見える特徴的な形の山は笠ヶ岳(かさがたけ)。左:平成27年7月21日撮影、右:令和2年3月13日撮影。>

田ノ原湿原のワタスゲ群生

<湿原植物の一つワタスゲの群生、今が見頃です。撮影している時に「ここはどこなんだ?」という利用者の声が聞こえてきました。6月15日撮影。>

■本事務所で使っている水

前回の記事「志賀高原の名水」で紹介した清水公園の近くの湧き水を地区共同の簡易水道で引いているものです。湧き水も雨水と雪解け水があってのものです。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。

本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。

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2020年06月11日志賀高原の名水で涼しさを

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

標高1,500mを超える所にある志賀高原は、その立地だけでも涼しいですが、「名水(めいすい)」とともにさらに涼やかなひと時を過ごしてはいかがでしょうか。

この記事では車で立ち寄りやすい2か所を紹介します。

■清水公園(しみず こうえん)

近くの湧水を引いて名水公園として整備されました。

6月9日の撮影時は3組の小グループが利用されていました。水を汲みに来たり、休憩をしたり、食事をしたり、それぞれの時間を過ごされていました。

清水公園

場所は、奥志賀公園栄線の大沼池入口付近(志賀1号トンネルと志賀2号トンネルの間)で脇道に入り、道なりに進みすぐの所です。車は脇に停められます。

清水公園の渓流

<清水公園の近くの渓流の流れの音も心地よく感じました。>

■沓打名水公園(くつうち めいすい こうえん)

国道292号沿いにあります。名水公園として整備され、ベンチのほか駐車スペースと公衆便所もあります。

この付近には、志賀高原の麓の湯田中渋温泉(長野県山ノ内町)と草津温泉(群馬県草津町)の間を人馬で行き来していた頃に、茶屋があったそうです。当時から水を得やすかったと推測できます。

また、ここから志賀高原で最大の滝を望める「澗満滝(かんまんだき)展望台」への遊歩道があります。

沓打名水公園

<朝の早い時間帯に撮影したので利用者はいませんでした。>

清水公園と沓打名水公園の位置です。

清水公園と沓打名水公園の位置

(地理院タイルに名称等を追記して作成)

【テント泊について】

水場があるのでテントで宿泊したくなるかもしれませんが、まず、テントの設置には土地所有者の許可が必要です。また、国立公園内であるため自然公園法の規制が関係します。

・清水公園は第1種特別地域にあります。自然公園法では原則として設置は認められません。

・沓打名水公園は第2種特別地域にあります。自然公園法で規制している、仮設工作物を新設する行為にあたるおそれがあります。

さて、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。

本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。

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2020年06月08日志賀高原のレンゲツツジ咲き始めました

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

6月8日のレンゲツツジ開花状況をお伝えします。志賀高原ではレンゲツツジは池や湿原の周りでよく見かけます。

■一沼(いちぬま)

国道292号を山ノ内町側から上ってくると、最初に出会う池です。

つぼみが随分と膨らんだものも見られます。開花が近いように感じます。

駐車は池を過ぎてすぐの所にあるサンバレー地区の駐車場をご利用ください。

一沼のレンゲツツジ

<デッキとベンチがあり、開花の盛期には大勢のカメラマンで賑わいます。今年の撮影の際はソーシャルディスタンスを心がけてください。>

一沼のズミ

<ズミの花が見頃です。池の縁に沿うように咲いています。>

■蓮池(はすいけ)

蓮池も国道292号沿いにあり、一沼から車で5分程度です。

一部開花し、つぼみも随分と膨らんでいます。

駐車は「志賀高原山の駅」の駐車スペースをご利用ください。

蓮池のレンゲツツジ

<レンゲツツジの「レンゲ(蓮華)」は「蓮(ハス)の花」のことだと言われています。このように、つぼみが重なり合った時に「蓮の花」のように見えると思います。>

蓮池の看板

<標識が設置されました。この周囲は、今は砂利ですが、芝を張り広場として整備する予定です。>

一沼と蓮池の位置です。

一沼と蓮池の位置

地理院タイルに池及び施設の名前を追記して作成

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。

なお、本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。

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2020年06月05日志賀高原 グリーンシーズンへ

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

6月になりました。

雪が少ないと言われた'19-20シーズンでしたが、志賀高原で最も標高の高い所にあるスキー場は6月1日まで営業していました。

そして、いよいよグリーンシーズンですが、例年6月初旬に行われる山開きなどの行事が中止や規模縮小となっています。

これまでとは違う雰囲気でグリーンシーズンが始まったように感じます。

さて、国立公園内にある本事務所周辺の様子を紹介します。

事務所の進入路に木の影ができた

<標高約1,500mにある事務所への進入路は、ようやく木の葉が茂り、木の影ができるようになりました。>

事務所から見える東館山では、落葉樹の芽吹きが斜面を上っています。

事務所から東館山を望む

<左側の西館山は山頂付近まで緑色になりましたが、右側の東館山の山頂付近はまだ茶色が目立ちます。>

蓮池スキー場のワタスゲ

<事務所近くの蓮池スキー場ではワタスゲの穂が見頃です。綿毛はまだ白色がきれいです。>

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。

なお、本事務所が属する信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。

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2020年05月29日#STAYHOME 志賀高原歴史記念館

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

今回は「志賀高原歴史記念館」を紹介します。

もともとは、昭和12(1937)年開業、平成11(1999)年閉鎖の旧志賀高原ホテルです。志賀高原の歴史を語る建物であり「志賀高原歴史記念館」として保存されています。

この建物は建築時から建て替えられずに残っているものです。

志賀高原歴史記念館

<山小屋風の外観が特徴です。この外観は上高地帝国ホテルに似ていると感じます。>

・昭和10年に鉄道省国際観光局が、志賀、妙高、菅平一体を「上信越国際スキー場」に指定し、志賀と赤倉に国際観光ホテルを建設するとしたことにより、志賀高原ホテルが建設されました。

・閉鎖後の保存にあたり、この建物の両翼にあった宿泊棟は撤去されました。

・内部は公開されています。今シーズンは6月1日から公開とのことです。

では、志賀高原ホテルが開業した昭和12年頃の志賀高原はどんな様子だったのでしょうか。

「和合会の歴史 下巻」(財団法人和合会、1975)及び「志賀高原旅館組合誌」(志賀高原旅館組合、1997)の記述を整理しました。

・昭和5(1930)年に「志賀高原」と命名された。

・昭和10年頃はスキー場の開発(ゲレンデスキー)が始まった時期。その頃に主流のスキーは山々を巡るツアースキー(山スキー)で、志賀高原内を巡るコースのほか、志賀高原から草津温泉や志賀高原から野沢温泉へ向かう縦走コースなどいくつかのコースがあった。

・宿泊施設は、大正時代までは湯治場として発哺温泉に2軒と熊の湯に1軒が夏季のみ営業していたが、昭和10年頃からはスキー場開発に合わせて地元民、企業や大学などの施設(旅館、寮、ヒュッテ)が増え、冬季を含めた通年営業を行うようになった。

・交通は、昭和12年に麓の上林から志賀高原の丸池までの自動車道路が開通した。また、丸池まで夏季のみバスが運行開始された。

 →ということは、志賀高原ホテルの建設資材は人力か馬で運んだということ!?

また、この頃に志賀高原でスキーをするためには、自力で志賀高原まで上っていたということ!?

・何を目的に訪れていたかについては、昭和14(1939)年の入湯客数の月ごとの人数を見ると、発哺温泉では7月と8月の人数が全体の約40%を占めていた。一方で、熊の湯では12月から2月の3か月の人数が全体の約60%を占めていた。志賀高原は夏季の避暑と冬季のスキーで通年利用されていたことがうかがえる。

これらのことから、昭和10年頃は、名前がなくただの山奥であった場所が、スキー場開発やホテル建設に伴って志賀高原として一般に認知され、利用され始めた時期(スキーリゾート志賀高原の始まりの時期)だと感じました。

さて、志賀高原歴史記念館の場所は丸池の近くです。

志賀高原歴史記念館の位置

(地理院タイルのシームレス空中写真に建物の名前と池の名前を追記して作成しました。)

志賀高原歴史記念館の芝生広場

・かつて宿泊棟があった場所は芝生広場になっています。この写真の右側に最初の写真の建物があります。

・志賀高原ホテル建設にあたり、整地するのも人力だったわけです。土の山ではなく、溶岩の山なので、より労力がかかったと思います。

・なお、この芝生広場を会場にして開催予定であった「新緑のクラフトフェアin志賀高原」の今年度の開催は中止となりました。

コロナウイルス感染拡大防止のため、感染リスクを高めないような行動が各県からお願いされています。このため、志賀高原を訪れて自然を楽しんでいただくにはまだ難しいところがあります。

本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、タイトルに「#STAYHOME」を付けて、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。

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2020年05月27日#STAYHOME 志賀高原の四十八池湿原

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

山ノ内町(やまのうちまち)の志賀高原の四十八池湿原(しじゅうはちいけ しつげん)の様子です。

四十八池湿原は、国立公園の保護のため、開発行為などに対して規制が強い「特別保護地区」にあります。

また、志賀高原ユネスコエコパークのロゴマークは、この風景をモチーフにしています。

四十八池湿原

<雪がほとんど解け、ミズバショウが咲き始めました。奥に見える山は志賀山と裏志賀山。>

この湿原のすぐ近くには環境省の整備した公衆便所があります。

四十八池公衆便所

・雪解け後の施設の状況を確認しました。特に異常はみられませんでした。

・今シーズンも6月中には開所しますが、開所予定日はまだ決まっていません。

・この公衆便所の洗浄水は、汚物を酵素や土壌内の微生物により分解し、浄化された水を再利用することが特徴です。トイレの利用人数が分解の能力を超えると再利用のシステムに悪影響を及ぼします。これを防ぐため、緊急時のみ利用いただくようご協力をお願いします。

さて、今回歩いた硯川(すずりかわ)・ほたる温泉から四十八池湿原までは、志賀高原で最も利用者数の多い「池めぐりコース」の一部です。

5月27日時点では残雪が多いので一般の方の利用は難しいと感じました。

コースの半分ほどは雪の上を歩きました。歩道全体が雪に覆われると周辺の斜面と区別しにくくなり、道迷いしないよう目印を探しつつ歩く必要がありました。

歩道上の残雪

途中で歩道から50mくらい離れた斜面でクマを見ました。先に向こうが気づき、私たちから離れていきました。こちらが気づいたのはクマの動き始めにササが動いた音がしたため。

今回の生き物の写真。

イワナシ

<イワナシ>

ヒキガエルの仲間

<ヒキガエルの仲間>

志賀高原管理官事務所担当区域のある長野県と、隣接する新潟県、群馬県では緊急事態宣言が解除されました。しかし、コロナウイルス感染拡大防止のため、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。このため、多くの人に志賀高原を訪れて自然を楽しんでいただくのがまだ難しいところがあります。引き続き、#STAYHOMEを付けて、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行います。

本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しています。

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2020年05月26日#STAYHOME 木島平村の紹介

上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

志賀高原管理官事務所が担当する市町村を紹介する3回目。

今回は長野県の木島平村(きじまだいらむら)を紹介します。

木島平村の位置

<南から、須坂市(すざかし)、高山村(たかやまむら)、山ノ内町(やまのうちまち)、木島平村、野沢温泉村(のざわおんさんむら)、栄村(さかえむら)の6つを担当しています。前回は高山村を紹介しました。>

木島平村について、少し詳細な地図を載せます。

木島平村と国立公園

では、木島平村の国立公園の主な興味地点として

・カヤの平高原(かやのたいら こうげん)

・北ドブ湿原(きたどぶ しつげん)

・高標山(たかっぴょうやま、こうひょうさん)

・奥志賀渓谷(おくしが けいこく)

の4つを紹介します。

なお、カヤの平高原へのアクセス道路の状況ですが、木島平村糠塚(ぬかづか)からカヤの平高原に続く清水平林道及び栄村からの秋山林道は冬期閉鎖が解除されました。しかし、奥志賀高原栄線は、志賀高原側からも野沢温泉村側からも冬季閉鎖に引き続き災害復旧工事が行わるためしばらくは通行できません。

■カヤの平高原

木島平村の東部にある高原。標高約1,400mから1,750mに広がる高原。次に紹介する「北ドブ湿原」と「高標山」もこの地域にあります。

カヤの平高原の樹齢300年を超えるブナ林は「日本一美しいブナの森」と呼ばれ、森を散策する遊歩道があります。遊歩道は複数あり、距離や標高差もさまざまなので、体力や時間に合わせて選ぶことができます。

また、遊歩道の起点となる「総合案内所」の周辺に、駐車スペース、宿泊施設やキャンプ場があります。

カヤの平のブナ林

<ブナ林。幹の太さを感じられるように撮影時の自然保護官も写しています。平成27年6月11日撮影。>

カヤの平牧場での放牧

<夏期に牛が放牧されることがあります。平成29年7月21日撮影。>

■北ドブ湿原

カヤの平高原にあり、標高は約1,540mです。現地の案内標識では、「総合案内所」から遊歩道で約40分です。

木道があるので湿原の花々を近くで楽しむことができます。

北ドブ湿原にニッコウキスゲなどが咲いている

<日本一美しいブナ林を抜けて、さらにこの景色です。ニッコウキスゲ、ヒオウギアヤメ、ワタスゲの綿毛など。平成29年7月21日撮影。>

■高標山

木島平村の南東部に位置し、山頂の標高は1,747mです。

「総合案内所」との標高差は約300mで、歩行時間は山と高原地図によると、「総合案内所」から山頂まで約2時間です。

山頂からは志賀高原のほか、竜王山、高社山などの山々や千曲川沿いの市街地も望むことができます。

なお「たかっぴょう」が一般的な呼び方ですが、「Kohyosan」と書かれた誘導標識が登山道の途中にあったため「こうひょうさん」を併記しました。

高標山山頂から奥志賀高原を望む

<高標山山頂から奥志賀高原を望む。右奥に焼額山、中央奥に岩菅山。平成29年7月21日撮影。>

■奥志賀渓谷

雑魚川(ざこがわ)は山ノ内町の志賀高原から北へ流れた後、木島平村、栄村、新潟県津南町を経て、信濃川に合流します。

奥志賀渓谷は、雑魚川沿いのうち、山ノ内町、木島平村、栄村の境界が出会う付近にあります。奥志賀渓谷には、ブナやミズナラの落葉樹林や、雑魚川の滝を巡る探勝歩道があり、この一部が木島平村地内にあります。

なお、雑魚川での渓流釣りは遊漁証を購入しルールを守ってお楽しみください。

雑魚川沿いの歩道

<雑魚川沿いの歩道。川に足を浸すのも気持ちよいです。平成29年6月20日撮影。>

さて、志賀高原管理官事務所担当区域のある長野県と、隣接する新潟県、群馬県では緊急事態宣言が解除されました。しかし、コロナウイルス感染拡大防止のため、各県とも県外との往来は控えていただくことや感染リスクを高めないような行動がお願いされています。

このため、多くの人に国立公園を訪れて自然を楽しんでいただくのがまだ難しいところがあります。引き続き、外出を行わなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行います。

 環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しています。

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