ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋

285件の記事があります。

2013年01月30日カモの落とし物の捜索

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

皆さん、非常に寒いですが、元気にお過ごしでしょうか?

昨日は最大干潮を迎える13時過ぎに稲永ビジターセンターの正面には
大きな干潟が出ているのが久しぶりに確認でき、
確実に冬から春へ時は動いていることを視覚的に実感しました。
(冬の昼間は潮位があまり下がらないので、大きな干潟を見ることができません。)
気づけば立春までもうすぐ。
この厳しい寒さももう少しの我慢かもしれません。

【稲永ビジターセンター前の庄内川に現れた干潟(1月29日撮影)】

さて、ここ数回のアクティブ・レンジャー日記では、
冬鳥であるカモに関する報告をしていますが、
今日はカモの落とし物のお話です。

1月25日、強風の吹きすさぶ干潟の上では、
愛知県と環境省の職員が必死でカモの落とし物の捜索にあたっていました。

【胴長にマスク、手袋、ヘルメットと重装備です。】

探していた落とし物というのは、実は“カモの糞”のことなのです。

【みつけた落とし物の周りにはカモの足跡がたくさんありました。】

「カモの糞を探すこと」、これも私たちの大事な業務の一つです。
カモの糞を採取してこれを検査をすることにより、
毎年冬になると渡ってくるカモが毒性の強い鳥インフルエンザのウイルスを
保有していないかを調べているのです。

藤前干潟では冬の間に計4回、このカモの落とし物の捜索が行われていますが、
目標の100個の糞を探すのは大変!
広大な干潟を歩き、やっとみつけたときは思わず嬉しくなってしまいます。

【カモは水際にいることが多いので、干潟の縁を中心に探します。】

【みつけた糞はサンプルとして拾います。】

今回の1月25日の調査では、無事目標の100個を拾うことができ、
集めたサンプルは、現在、他機関で検査をしてもらっています。

今冬のカモのシーズンも後半を迎えました。
今年も毒性の強い高病原性鳥インフルエンザウイルスの
発生がないことを願っています。

※全国で行われているこの調査結果は以下のサイトで公表されています。
「環境省 高病原性鳥インフルエンザに関する情報」


 ~藤前干潟 ラムサール条約登録10周年スローガン~
   つなげよう藤前の環、広げよう未来へ。
    みんなで作る人と生きものの絆。

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2013年01月23日「カモかもウォッチング」の開催報告

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

今日は、1月8日のアクティブ・レンジャー日記で案内した
観察会「カモかもウォッチング&足型とり」の様子を報告します。

1月13日の観察会当日は曇りでしたが、風もなく、暖かく穏やかな気候で
庄内川のカモをとてもよく観察することができました。

【子どもたちも一生懸命カモを探してくれました。】

見られたカモはオナガガモ、ヒドリガモ、コガモ、マガモ、キンクロハジロなど。

【庄内川のカモたち(1月16日撮影)】

参加者の皆さんは、羽の色が違うカモのオス・メスを見分けたり、
食餌をしている様子をじっく~り観察したり、とても熱心でした。

【オナガガモのオス(左)とメス(右)(1月16日撮影)】

【干潟にはカモの足跡がたくさん・・・。(1月16日撮影)】

バードウォッチングの後は、いよいよ今日の目玉のカモの足型とりに挑戦!
まずは、干潟でカモの足跡を探します。
足跡はたくさんあるものの、くっきり残った足跡をみつけるのは
なかなか大変でした。

【どの足跡にしようかな?】

これ!と思った足跡に、石こうを流し、しばらく待ち、
どきどきしながら石こうをはずします。

【今日、一番の緊張の瞬間!】

そして・・・、とれた足型はこちら↓。



今回の参加者の皆さんがカモの足型とりに成功しました!
とった足型を見ると、カモの足にヒレがあることやカモの足の大きさがよく分かりました。

今回の観察会で、少しでもカモのことを身近に感じ、
生き物観察のおもしろさを知ってもらえたのではないかと思います。

今、藤前干潟にいるカモたちは、暖かくなると北へ渡って行ってしまいます。
ぜひ、冬の間に皆さんもカモを見に藤前干潟へお越しくださいね。

【庄内川の干潟の周りに集まるカモたち(1月16日撮影)】

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2013年01月09日自然だよりをお届けします!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 皆さま、新年明けましておめでとうございます。
本年もアクティブ・レンジャー日記を通じて、身近な自然や各種イベントなどの情報をどんどん発信して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。



【稲永ビジターセンターから名港トリトンを臨む】

 稲永ビジターセンター周辺の自然環境や生き物たちの動きは、先月と比べても大きな変化は見られず、平穏な日々が続いております。センター南側に位置する日当たりの良い築山の斜面では、所々でタンポポが花だけ地面から顔を出して綺麗に咲いています。



【築山に咲くタンポポ(写真左)と枯れ枝にぶら下がるミノムシ(写真右)】

 ここ数日は晴天が続いており、日中はポカポカしていても太陽が雲に隠れると気温が一気に下がるのを感じます。時折吹く風はとっても冷たく、枯れ枝にぶら下がるミノムシは風に揺られ、メジロも2羽寄り添って寒そうにしている様子が観察されました。



【建物の雨どいにぶら下がるヤマガラ(写真左)と寒そうに寄り添うメジロ(写真右)】


【目まぐるしく動き回るカワラヒワ(写真左)とマガモのペア(写真右)】

 干潟に目を向けるとカモの仲間がのんびりと静かな水面に浮かんでおり、センター周辺の林ではカワラヒワやヤマガラ、メジロたちがピーヒャラさえずり、木から木へと目まぐるしく飛び移っております。日中、静かな稲永公園は鳥たちの鳴き声で大変賑やかです。



【グミの実をくわえるメジロ】


【ツクシガモの群れ】

 現在、白いボディと黒いヘッド、赤いくちばしが特長のツクシガモが、ここ藤前干潟で見られます。九州地方の沿岸に渡来する冬鳥で、藤前干潟にやってくるのは大変珍しく、一度に8羽も見られるのは今回が初記録です。まだ、しばらく当水域に留まっているそうなので是非、藤前干潟で観察、写真撮影してみて下さい。
今がチャンスですよ!

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2013年01月08日カモの観察会「カモかもウォッチング」を行います!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

2013年、最初の藤前干潟からのアクティブ・レンジャー日記です。
今年も藤前干潟の魅力をなるべくたくさんお伝えしていきたいと思います。

さて、寒い日が続きますが、稲永公園は小さな生き物たちで賑やかです。
ヒガラ、メジロ、ツグミなどなど。
稲永公園の松林やピラカンサ、グミなどの実を付ける木々に
やって来る鳥たちを昨年もこの場でご紹介しましたが、
今年は昨年より多くの鳥たちが訪れているようです。

木々の間を素速く移動する彼ら。
こんな寒い中、たくましく生きている小さな命を思うと
何だか嬉しくなってきます。


【マツボックリの中にいる虫を探すヒガラ】


【グミの実などを食べに訪れるメジロ】

さて、干潟の方も負けず賑やかです。
ヒドリガモやオナガガモ、キンクロハジロなど、藤前干潟には多数のカモが冬に訪れます。
カモたちは川面でのんびり休んだり、水浴びをしたり、潜って餌を獲ったり・・・。
カモは比較的大きく、いろいろな仕草を見られるので、いつまでも見飽きません。


【水浴びしているヒドリガモ】

さて、今週末の1月13日(日)にこのカモたちを観察する
「カモかもウォッチング&足型とり」を稲永ビジターセンターで行います。
只今、参加者を募集中です!(詳細は下の案内をご覧ください。)

今回の観察会は、カモを観察するだけでなく、
干潟でカモの足型を石こうでとることにもチャレンジします。
この作った足型はおみやげとしてお持ち帰りできますよ!


【泳いでいる時はよく分からないですが、
足型をとるとカモの足の形がよく分かるはずです。】

ぜひ、冬の藤前干潟で過ごすカモと、カモの足の形を観察しに来てくださいね!!

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「カモかもウォッチング&足型とり」
日時:2013年1月13日(日) 13:00~15:00
場所:稲永ビジターセンター
集合:13:00(稲永ビジターセンター1階)
対象:幼児~大人
定員:20名
参加費:大人200円、小・中学生100円、幼児無料(保険代として)
持ち物:筆記具、帽子、飲み物、タオル、防寒着、あれば双眼鏡
参加申込・問い合わせ:
   稲永ビジターセンター TEL:052-389-5821
   もしくは、
藤前干潟を守る会「干潟の学校専用ダイヤル」 TEL:080-5157-2002

※荒天時は、プログラムを変更することがあります。
※この観察会は、「NPO法人藤前干潟を守る会」と
中部地方環境事務所との共催プログラムです。
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2012年12月26日【10周年記念 藤前干潟を未来に繋ぐ人々①】

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

今回は、10月18日のアクティブ・レンジャー日記にて予告した
【10周年記念 藤前干潟を未来に繋ぐ人々】の1人目の方の紹介をしたいと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【10周年記念 藤前干潟を未来へ繋ぐ人々】
名古屋自然保護官事務所では、藤前干潟がラムサール条約登録10周年を
迎えるのをきっかけとして、
藤前干潟の保全や普及啓発に関わってこられた方にお話を伺い、
<未来へ繋ぐ 藤前干潟インタビュー>としてまとめています。

このインタビューに答えてくださった方を、
【10周年記念 藤前干潟を未来に繋ぐ人々】と題してアクティブ・レンジャー日記で
一人ずつ簡単にご紹介したいと思います。
インタビューの導入として読んでいただければ嬉しく思います。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1人目としてご紹介するのは、名古屋市鳥類調査会の森井豊久さんです。

【こちらが森井さんです。】

森井さんは藤前干潟が保全される以前から、藤前干潟や周辺の鳥を見続けて、
いまや、「藤前干潟の鳥のことは、森井さんに聞けば何でも分かる」と言われるほど、
藤前干潟の鳥に精通されている方なんです。
私たちも鳥について分からないことがあれば、まず森井さんのところへ伺います。

森井さんは、稲永ビジターセンターの隣にある名古屋市野鳥観察館で、
週2回程度、鳥の解説などをされています。
たまに私たちが、鳥について森井さんに質問するために野鳥観察館へ行くと、
森井さんは必ずと言って良いほど、カウンターを手に、望遠鏡を覗いてみえます。

【稲永公園内にある名古屋市野鳥観察館】

何をされているのかというと、藤前干潟の鳥獣保護区にいる鳥を
種類毎に数えてみえるんです(野鳥観察館から見える範囲内ではありますが)。

【鳥の数を数えるカウンター】

野鳥観察館へ来た日は、必ず全ての鳥を数えてみえるそうです。
冬になり、最近は5,000羽近くの数のカワウがいる日もあるのですが、
それも1羽1羽きちんとカウンターで数えてみえるんだそうです(驚)。

【黒い鳥は全てカワウ。】

また、森井さんには、藤前干潟の国指定鳥獣保護区管理員として
活躍いただいています。
以前、鳥獣保護区管理員さんの鳥類調査をアクティブ・レンジャー日記で
ご紹介したことがありましたが、
この時の調査をされていた管理員さんは森井さんです。

【調査風景。両手にカウンターを持っているのが分かりますか?】

森井さんは、70歳を越えてみえますが、
鳥類調査をされている時の森井さんはとてもそんなお年には見えません。
望遠鏡を付けた三脚を肩に担いで、スタスタと調査ポイントに着いたかと思えば、
カウンターを両手に一つずつ持ち、
すぐさま、見える範囲の端から端までの鳥を1羽1羽数えていきます。
その素早さと的確さと言ったら・・・。
まるで職人さんです。

さらに、鳥獣保護区の全ての範囲を見るために、それを何カ所でも行います。
全体を回るのに4~5時間かかることもあるそうです。
鳥類調査は、知識だけでなく、体力と気力の勝負でもあることに気付きました!
冬の今でも、森井さんは月3回は藤前干潟の鳥獣保護区全体を回って
調査をされています。
(藤前干潟では9月~6月まで鳥インフルエンザの監視のため、
鳥獣保護区管理員さんが渡り鳥の飛来数を調べています。
※この調査結果は「環境省 渡り鳥の飛来状況」で公開されています。)


【風が通るので、橋の上での調査が一番寒いそうです。手前の方が森井さん。】

ここまで熱意をもってされる背景には、以下の森井さんの強い信念があります。
『鳥や環境の現状を把握するために、
一番基礎データである「鳥の種類」と「鳥の数」を
正確に知ることが大事である、それも自分の目で確認したい。』
かつて、藤前干潟がごみ処分場として埋め立ての危機にさらされたとき、
環境アセスメントの鳥類調査や保全活動に関わられた経験から、
正確な基礎データがいかに大事か、と実感されたことが
影響しているのかもしれません。

調査のときは、幾分キリリとした表情をされていますが、
普段の森井さんはとても穏やかで、鳥のことをお話されているときは本当に
嬉しそうな顔をされるのが、印象的です。

今回ご紹介した森井さんには<未来へ繋ぐ 藤前干潟インタビュー>の中で
以下のようなお話を伺っています。
・森井さんが藤前干潟に関わられた経緯、
・藤前干潟の保全活動の際のエピソード
・昔の藤前干潟の鳥の様子
・藤前干潟の今後への思い   など

森井さんは、藤前干潟に鳥がたくさんいる状態がずっと続いてほしいと
一番強く思っておられる方の内の一人で、藤前干潟の保全を支える方の一人です。
森井さんたちの後継(特に子ども達)を、一人でも増やしたいという思いを
持って探鳥会などもされています。

私も、森井さんの今までの鳥類調査などの活動や思いが、
今後も長く繋がっていくと良いと思っています。
ぜひ、森井さんの藤前干潟インタビューも読み、
藤前干潟を支え繋ぐ人の思いを皆さんも感じてみてください!

【インタビュー風景。森井さん、お話を聞かせていただきありがとうございました。】


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2012年12月19日皆さんの安全は私たちが守ります!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 稲永ビジターセンターと藤前活動センターでは、これまで地震発生時の避難訓練を今年は数回実施してきましたが、今回は施設内で出火したことを想定して消防訓練を行いました。火災発生の危険は、ちょっとした気の緩みや放火による火災を考えると、どのような建物にも常に存在します。特に、稲永ビジターセンターは自然と調和する目的で木材が多用されているため、外国からの来館者に「この建物で火事が起こったら怖いですね」と心配されることがよくあります。



【消防訓練の事前打ち合わせをする様子】

 万一、火災等の災害が発生した場合は、被害を最小限に止めるためにも、我々を含め、センター内のスタッフ全員が、落ち着いて適切な行動をとることが大切です。
 
 今回の訓練では、消防署への通報者、避難誘導者、初期消火者などの担当を決め、来館者の避難、誘導及び消火器の使用方法を習得しました。

 火災が発生したとの館内アナウンスが入ると、私は広い館内を「火事や!火事や~!!」と叫びながら周囲に火災の発生を知らせ、来館者がいると想定して決められた避難経路を使って、安全な場所まで避難誘導する訓練を行いました。また、来館者を想定して逃げる際には、頭を低くして、濡らしたハンカチを鼻・口に当てて、煙を吸い込まないよう指示を出しました。

 いざという時に備えて、火災報知器や消火器の設置されている場所を把握しておく必要があるので、各消防設備の設置場所の確認も同時に行いました。
 
 非常口や避難通路に物が置かれていると、避難経路が断たれて大変危険です。今回の訓練では両センターともに障害となるような展示物等は置かれていませんでした。



【消火器と火災報知器の設置場所を確認する】

 消火器が設置されている場所が把握できていても、使用方法が分からなければ何の意味もありません。そのため、消防署から訓練用消火器をお借りして、実際に消火活動が行えるよう、消火器の構造を理解し、初期消火訓練を行いました。
 

【訓練用消火器(はやわざクン)】

 この訓練用消火器の名前は「はやわざクン」。

 タンク内部には消火剤の代わりに水が充填されており、表面には分かりやすいイラスト付きの取り扱い方法が示されています。出火元から約3~4m離れた位置から、目標物めがけて消火器のトリガーを引くと勢いよく消火剤(水)が発射され、その距離感や消火器の重みを体感しました。



【初期消火訓練を行うセンタースタッフ】

 今回の訓練で、センターと来館者を火災から守るために、日頃から消防訓練を実施し、火災に対する行動力を身につけておくことが大切だと感じました。

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2012年12月17日ヨシの門松

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

年末まであと半月余りとなりました。
稲永ビジターセンターには早くも門松が登場しています。

【稲永ビジターセンターの1階入り口にあります。】

この門松、藤前干潟のヨシでできているんです。
しかも、元下之一色の漁師の犬飼さんという方とセンタースタッフとの手作り作品です。
シンプルだけれど趣があってとっても良い門松だと思いませんか?
ヨシは「良し、善し、吉」とも書けるので、縁起の良い植物でもあります。
これで、稲永ビジターセンターの新年もすてきな年になること間違いなしです!

さらに、稲永ビジターセンターでは現在「ヨシ展」を開催中です。


【藤前干潟周辺にあるヨシ原。夏(上)と冬(下)の様子】

ヨシは、藤前干潟の生態系の中で大変重要な役割を果たしている植物です。
また、ヨシはすだれなどの材料として使われており、
私たちの生活にかつてはとても身近な植物でした。

今回の展示では、ヨシとはどのような植物なのか、
ヨシの周りにはどのような生き物が暮らしているのか、
ヨシがどのように利用されてきたのかなどを、
おもしろく、わかりやすく紹介しています。
(展示期間:2012年12月15日(土)~3月31日(日))

【ヨシ展の一部】

皆さん、門松とヨシ展をぜひ見に来てくださいね!


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*このスローガンを決めたミニシンポジウムの様子(↓)も
 ぜひご覧ください。
   YouTube環境省動画チャンネル『10周年記念ミニシンポジウム』

【YouTubeにて公開中!】

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2012年12月04日“10周年”記念式典

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

気づけば、早いもので師走に入りました。
随分冷え込むようになり、名古屋自然保護官事務所では
昨日からペレットストーブをつけています。

【間伐材を原料に用いたペレットを使用中のストーブ】

さて、既に少し前のことになりましたが、
藤前干潟は今年の11月18日でラムサール条約に登録されて、“10周年”となりました。
先に上野ARが報告している通り、これに合わせて11月17日・18日に
「藤前干潟ふれあいデー2012」が開催され、様々なイベントが催されました。

その中でも、17日の午後に執り行われた「ラムサール条約登録10周年記念式典」の
様子を今回はご紹介します。

当日はあいにくの雨で、屋外に設置したステージでは式典が行えず、
稲永ビジターセンター1階の研修室で行ったため、少々手狭で、
報道取材の方などは会場に入りきらず、部屋の外に溢れた状態になっていました。

【稲永ビジターセンターで行われた記念式典】

式典は、藤前干潟ふれあいデー実行委員会委員長の開式の辞の後、
環境省自然環境局野生生物課課長、愛知県知事、名古屋市長より挨拶がありました。

【環境省自然環境局野生生物課課長の挨拶】

その後、愛知県議会議員、名古屋市総務環境委員長、
NGOであるラムサールセンターの事務局長から祝辞をいただきました。

そして、最後に環境省中部地方環境事務所長から、
この10年間に藤前干潟の保全と活用に尽力いただいた保全活動功労者の方々に
感謝状を贈呈しました。

【名古屋市立南陽東中学校生徒会の生徒さんへの感謝状の贈呈】

保全活動功労者は、藤前干潟のごみ清掃活動、生き物や環境の調査・研究、普及啓発活動など、
様々な分野で継続的に活動されてきた方ばかりです。
■保全活動功労者の皆さん(2個人・5団体)■
犬飼一夫氏(元漁師)
八木明彦氏(愛知工業大学特任教授)
特定非営利活動法人 藤前干潟を守る会
名古屋市立南陽東中学校生徒会
名古屋鳥類調査会
藤前干潟クリーン大作戦実行委員会
みなと川まちづくりを考える会

功労者を代表して特定非営利活動法人 藤前干潟を守る会の理事長から
お言葉を頂戴し、式典はつつがなく閉式しました。


今回、10周年記念式典という藤前干潟の大きな節目に立ち会うことができ、
式典に出席、参加、協力をいただいた方や、功労者として表彰された方を始めとして、
非常に多くの人が今まで、そして今も藤前干潟に関わっていることを
改めて強く認識することができました。

また、藤前干潟を守る会の亀井理事長もおっしゃっていましたが、
10周年はゴールではなく、通過点です。
未来へ藤前干潟を繋げていくために、人の繋がりがさらに重要になっていきます。
これからもたくさんの方が藤前干潟に関心を持ち、関わっていってくれると良いと
心から思います。


【11月18日に稲永ビジターセンターから臨んだ風景】


~藤前干潟 ラムサール条約登録10周年スローガン~
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2012年11月30日「藤前干潟ふれあいデー」が開催されました(ワークショップ&展示編)

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 藤前干潟ふれあいデーでは、10周年記念式典やミニシンポジウムの他にも、ラムサール条約登録湿地における取り組みの講演会や名古屋市の保育園児の皆さんによるエコキッズステージ、「いろは」さんのよさこい踊り、「シュガーポット」さんによるフルート・バイオリン演奏、干潟観察会などの魅力的な催しがたくさん行われ、稲永会場は大変盛り上がりました。ワークショップも充実しており、ヒノキ間伐材を使用したマイ箸作りや、鳥のイラスト講座、ペーパークラフト、凧作り、干潟のいきもの塗り絵などが行われ、皆さん想像力豊かな作品をたくさん作っておられました。



【エコキッズステージ(写真左)とフルート演奏(写真右)】



【鳥のペーパークラフトコーナー】

 名古屋市中区大須のご当地アイドル「OS☆U」の皆さんによるあおなみ線隊24ステージや「名古屋おもてなし武将隊」の皆さんによるミニ演武も館内で披露され、会場を盛り上げて下さいました。お客さんの中にはファンの方も多くいらっしゃったようで、好きな方にはたまらないステージとなりました。



【OS☆Uによるステージ(写真左)と名古屋おもてなし武将隊による演武(写真右)】

 屋外のテントでは「あいち防災リーダー会」による防災炊き出しで、温かいシシ汁とおにぎりがふるまわれ、来場者の方々が列をなして集まっていました。
 向かいのテントでは藤前干潟クリーン大作戦実行委員会が、「子どもたちが安心して遊べる干潟や河川を取り戻そう」というテーマで、漂着ゴミの問題や保全活動団体の取り組みをパネルで紹介していました。市民が中心となって清掃活動をすることで、ここ藤前はいつまでも美しい景観を保つことができることでしょう。



【シシ汁がふるまわれる(写真左)と藤前干潟クリーン大作戦実行委員会による活動紹介(写真右)】

 「こども水族館」では、藤前干潟や伊勢湾の生き物が生体展示で紹介されており、多くの家族連れを中心に賑わっていました。特に生き物に触れ合えるタッチプールは子供達に大人気で、初めて目にするヒトデや貝、大きなヤドカリに触れ、楽しんでいる様子でした。   
 
 こども水族館には、年配の方からお子様まで多くの人が集まり、生き物が人を引きつけるパワーはすばらしいと改めて感じました。




【こども水族館の様子(写真左)とタッチプールで生き物に触れあう子どもたち(写真右)】


【こども水族館の生き物紹介】

 愛知県が出展する、私たちの「里海」三河湾のパネル展示では、三河湾の現状や富栄養化のメカニズム、水中の酸素が少ない貧酸素水塊が海の生き物に与える影響について分かりやすく図説されていました。この藤前干潟でも三河湾と同様の現象が発生することがあるので、大変参考になりました。



【わたしたちの「里海」三河湾】


【多くの人で賑わう館内の様子】

 イベント初日は悪天候で雨が降り続き、翌日には天気が回復したものの、屋外に設置していたテントが飛ばされるほど風が強く吹き付けました。しかし、センター内は窓ガラスが曇るくらいの熱気に包まれ、このイベントに参加された方々の多くは、少しでも藤前干潟に関心を持っていただけたのかなと思います。

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2012年11月29日「藤前干潟ふれあいデー」が開催されました(ミニシンポジウム編)

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 11月17日(土)、18日(日)の2日間で毎年恒例の「藤前干潟ふれあいデー2012」が稲永ビジターセンターと藤前活動センターの両センターで開催されました。
 藤前干潟がラムサール登録されてから10周年を迎えるにあたり、その記念式典やミニシンポジウムも同時に行うなど、いつもとは違ったふれあいデーとなりました。




 藤前干潟ラムサール条約登録10周年記念ミニシンポジウムでは、「藤前干潟の過去・現在・未来を考える ~藤前干潟の次の10年に向けて~」というテーマで、大学関係者の方や名古屋市、NPOの方々をパネリストとしてお迎えして、藤前干潟への想いや未来への展望について語って頂きました。
 シンポジウムの冒頭では、名古屋おもてなし武将隊の家康殿が特別参加し、藤前干潟の歴史を語ってくれました。



【ミニシンポジウムの様子】


【名古屋おもてなし武将隊が藤前の歴史を語る】

 次に、藤前干潟の漁業権が放棄されるまで漁師をされていた名古屋最後の漁師である犬飼一夫氏にお話を伺い、その当時の様子をご紹介していただきました。犬飼氏によると、今から5~60年ほど前は、藤前干潟や名古屋港周辺では漁業が盛んに行われていたようで、藤前はハマグリや牡蠣、海苔まで獲れる豊かな海だったことを再認識しました。



【藤前干潟で行われていた牡蠣養殖】


【藤前干潟で行われていた貝採り漁】

 「藤前干潟を守る会」は、藤前干潟埋め立ての話が出た頃から、調査活動やデモ、シンポジウムを開催するなど、干潟の保全を訴える活動を展開してきたことを紹介されました。当時は、小さな市民団体に出来ることは限られており、資金的にも人的にも厳しい状況だったそうです。藤前干潟のラムサール条約登録が実現し、藤前の保全が周囲に知られるようになり、多くの人が訪れるようになりましたが、藤前が保全されたからと言って、全てがうまくいっているわけではないことを強く意識するようになったそうです。
 藤前を保全することの意義を訴えていくことは重要ですが、それだけでなく水域全体を含めて保全しなければならないと考えておられました。

 地元行政として名古屋市は、生物多様性というテーマの象徴的な場所が藤前干潟であるというイメージが今後も続くように努力したいと話されました。

「クリーン大作戦実行委員会」は、藤前干潟を、子供達が安心して遊べる水辺を目指し、さらに、伊勢湾へのゴミの流出防衛の最前線として藤前地区のゴミ清掃活動に取り組んでいることを紹介されました。市民団体が中心となり、企業・行政・地域住民を巻き込みながら、参加者を増やし、藤前干潟のみならず伊勢湾入り口の三重県鳥羽市答志島の海岸清掃を行うなど、上流から下流へと広域的な連携をしていることが紹介され、伊勢湾全体を見据えた大変意義のある活動であると実感しました。


 

【秋の藤前干潟クリーン大作戦の様子】


【答志島 奈佐の浜清掃の様子】

 学識者の視点から見た藤前干潟の魅力について、名古屋大学の山下博美氏にお話を伺うと、干潟は地味なイメージを持つ方が多いですが、実際に干潟に立ち入るといつまでもいたくなるような魅力があると話されました。また、藤前干潟という場所が生態的にすばらしいだけでなく、環境学習の場としても最適であり、保全活動に関わる人の努力があることを忘れないでほしいと話されました。

 学生さんの立場から見た藤前干潟の課題について、岐阜大学の近藤美麻氏にお話し下さいました。近藤氏はガタレンジャー(干潟案内人)の一人であり、就職や進学などで限られた時間内に、次の世代へと繋げていくためには何ができるのか、これから考えていかなくてはならないと話されました。

 パネルディスカッションでは、藤前干潟の向かうべき方向性は「広域連携」「人と生き物の絆」「共同」というところに集約されました。そして、これらを実現していくために、藤前干潟の次の10年に向けたスローガンを決定しました。


【藤前干潟 次の10年に向けたスローガン】

 このスローガンのもと、藤前干潟の次の10年に向けて、皆さんと一緒に干潟の保全や普及啓発活動等に力を注ぎたいと思います。

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