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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋

285件の記事があります。

2011年09月26日藤前干潟カメラ講座を開催しました!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 みなさんは写真を記録として撮っていますか?それとも思い出として撮っていますか?




 暑さが残る9月14日水曜日。稲永ビジターセンターにて、名古屋自然保護官事務所主催の「藤前干潟カメラ講座」を開催しました。 
 なぜこのような講座の企画をしたのかというと、藤前干潟に勤務して、干潮の時間にあわせ訪れるアマチュアカメラマンに多いことに驚いたからです。しかもそのほとんどの方が高齢の方です。ある時まで、第二の人生を楽しもうとする姿に、微笑ましさを感じていたのですが、その中に、撮影に戸惑っている人がかなりの割合でいることに気がつきました。
 お隣の名古屋市野鳥観察館のスタッフにその話をすると、時々、カメラの使い方がわからない、と言って高価なカメラを持ったお年寄りが尋ねてくる、と言います。
 カメラの使い方がわからなくて写真が嫌いになってしまったら、こんなもったいない話はありません。藤前干潟周辺は、渡り鳥だけでなく、名古屋港を横断する名港西大橋や、稲永公園の松林、河口の向こうに広がる鈴鹿の山並みなど、シャッターを切りたくなる被写体が数多く揃っています。この名古屋屈指の撮影ポイントをカメラに納め、もっと藤前干潟を好きになってもらいたい、そんな願いもこめ、準備に取りかかりました。

   

*【潮の満ち引きで変わる姿を楽しみに訪れる人も多い藤前干潟】* 

 講師をお願いしたのは、わたしの前職の元上司の井上琢朗氏。井上氏は、中日新聞系の映画会社の中日映画社カメラマンとして活躍し、フリーになってからは、雑誌の巻頭を飾る写真を数々撮ってきています。
 長年ファインダーをのぞいてきた経験が、参加者の質問にも必ず答えてくれるはずと、講座の前半は座学で、後半は講師が撮影会というプログラムにしました。

   

*【平日の開催にもかかわらず13名の方が参加してくれました。】*

 それではここで、みなさんにも、カメラ講座の中から、今日からできる撮影のポイントをご説明しましょう。
 さてみなさんは、これから何かを撮ろうというとき、その撮りたいモノ(見せたいモノ)をフレームのどこにおきますか?
 以下の写真を観てください。天守閣と城壁、そして門が、とてもバランスよく収まっているように思いませんか?
   

*【ポイント1 3分の1の法則】*

 実はこの写真の特徴は、上下、左右の3分の1のあたりにポイントを置いているところです。普通に考えると、天守閣を中央に置きがちですが、左から3分の1あたりに天守閣、右から3分の1あたりに屋根、そして下から3分の1あたりに門を置くことで、城の奥行きや広大さが表現できるようになるのです。

   

*【ポイント2 構図は引き算】*
 
 以上の写真は、構図の中に余分なものをいれない、という講義の中で使用した写真です。実はこの写真は、整然と地蔵郡が収まっていますが、周辺には蔵や近所の家があり、何を撮りたいのか、というテーマのもと、ひとつずつ引き算をして行った結果、このような構図になったそうです。
 よく見ると、この写真にも、左右、上下の3分の1に地蔵の列をいれるという「3分1の法則」を取り入れていることに気がつきます。
   

*【撮影の実施風景。これは逆光撮影のヒトコマ。実施ではARがモデルになることもありました。】*

 デジタルカメラの普及でますます身近になったカメラ。身近ゆえに、心になる一枚が撮れたらうれしいいですよね。
 秋の深まりとともに藤前干潟には、鴨が戻りつつあります。ぜひこの機会に、カメラを持って藤前干潟にお出かけください。

****フォトコンテスト開催****
(名古屋自然保護官事務所からのお知らせ)
10月29・30日に開催される「藤前干潟ふれあいデー」(主催:藤前干潟ふれあい実行委員会)のイベントとして、藤前干潟をテーマとした「フォトコンテスト」を行います。応募期間は、10月3日(月)当日消印有効までです。詳しいお問い合わせは、名古屋自然保護官事務所まで℡(052)389-2877

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2011年08月31日 アップしました!!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子




 映画の予告編を観ていると、「構想5年!制作3年!」という、クレジットが出てくることがあります。いかに、時間と労力を費やしたか、ということの表現なのだと思いますが、これをもじって、「構想1ヶ月!制作に3ヶ月!」の歳月かけて完成したのが、現在、環境省動画チャンネルで配信中の「藤前干潟 夏羽の鳥たち」です。


*映像は、ハマシギの群舞で始まります。

 思えば、そもそもの始まりは、この5月に干潟で羽根を休めているダイサギを双眼鏡で見たことに遡ります。ふと目に留まったダイサギの目のまわりがアイシャドーを塗ったように緑色に見え、それは、それは、怪しい美しさを称えていたからです。
 鳥に詳しい名古屋市野鳥観察館のスタッフの話を聞くと、それは繁殖期に出現する「婚姻色だ」とか。さらに、「夏羽のコサギは、頭に長いベールを冠羽が現れ、ベールをかぶったみたいになりキレイだ」と言います。
 この言葉が、動画を作るきっかけとなったことは言うまでもありません。


*きっかけとなったダイサギの緑色の目(左)。
コサギ(右)の冠羽も夏羽の特徴だ。

 それからというもの、干潮時間に時間を作り、カメラを片手に干潟に出かけるようになったのですが、鳥たちは、わたしが鳥の初心者であることを知っているのか、「見せてあげない!」とばかりに、姿を表してくれません。
 カメラに残るのは、周辺の風景ばかり。そんな日が続いたある日、名古屋市野鳥観察館のスタッフから、こう声をかけられました。「鳥は、干潮時間の前後の方が、干潟に来ることが多いよ」。
 さらに、驚いたことに、名古屋市野鳥観察館のスタッフの皆さんは、鳥が来るのを待って、シャッターを切るのではなく、鳥が来そうなタイミングがわかる、ということでした。


*動画の中で一番好きな写真。干潟が出るのを待つシギ・チドリ。

 今のわたしの実力では、一生かかっても夏羽の鳥たちを撮影することができません!恐る恐る写真協力をお願いしたところ、二つ返事で、CDにデータをコピーしてくれました。これで良い作品ができる、と喜んだのもつかの間、鳥を勉強中のわたしは、どれが夏羽でそれが冬羽なのか、はたまた鳥の名前の判断のつかないものあり、一人で密かに汗をかくこともしばしばありました。


*エサをついばむ姿から、バードウォッチングを始める人もいるという。       
写真協力:名古屋市野鳥観察館(すべて)

 気がつけば、鳥は7月に北へ向かい、暑さが残るこの時期の完成にこぎつけました。
 残念ながら、今、藤前干潟では、渡りの鳥を見ることができませんが、あと1ヶ月もすれば、また北から渡来する鳥たちで賑わいます。
 鴨戻る。実は、この「鴨戻る」は、俳句の世界で親しまれている秋の季語なのです。
 鴨が戻ったら、またこの日記でお知らせします。それまで「藤前干潟 夏羽の鳥たち」をお楽しみください。そして秋、お会い出来る日を楽しみにしています。
■環境省動画チャンネル
http://www.youtube.com/kankyosho

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2011年08月30日夏の藤前干潟観察会、テーマはあの生き物

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

8月はイベントなどで忙しく、すっかり遅くなりましたが、
8月3日に行った「夏休み!干潟観察会」のご報告をします。

【夏の藤前干潟】

さて、ここで突然ですがクイズです。
以下の5つのヒントに当てはまる生き物は?
①細くて長い、②背中は黒色、③ヌルヌルしている、④夏の食べ物と言えばコレ、⑤名古屋名物になる

分かりましたよね?
そう、「ウナギ」です。
名古屋名物「ひつまぶし」になる名古屋にとても馴染み深い生き物です。
そして、このウナギ、藤前干潟周辺にたくさん生息しています。
そこで、今回は夏のテーマとしてもぴったりなウナギを目玉にした観察会を行いました。

観察会当日はよく晴れ、たくさんの方が参加してくれました。
一列に並んで、早速干潟へ入ります。

【足元に気をつけながら・・・】

そして、ウナギを捕まえるために予めしかけてあった土管を
ひとつずつ引き上げていきました。

【土管でウナギを捕る漁法は昔から行われている伝統的な漁法です】

3つ目までの土管にはウナギがかかっておらず、残念でしたが、
4つ目の土管を引き上げたとき、遂に中からヌルっとしたものが!
と、同時にみんなの歓声が干潟に響き渡りました。
ウナギ、ゲットです!!



「ウナギってこんな顔をしているんだ!」
「触ると本当にヌルヌルしている」

ウナギを見る子供達の喜んだ顔を見て、私たちスタッフも嬉しくなりました。
(※観察会後、このウナギは捕まえた場所に戻しました。)

また、今回の観察会では、干潟でウナギを捕まえるだけでなく、
ウナギの生態やウナギを含む藤前干潟の食物連鎖についてクイズで学びました。

【ウナギのクイズ大会!】

ウナギの好物は貝やゴカイであること、
ウナギは実は毒を持っていること(触った直後に手を洗えば問題ないです)、
ウナギは日本から2,000kmも離れた南の海で産卵することなど、
身近な生き物のようで意外と知らないウナギの生態について
知ってもらえたのではないでしょうか?

今後、夏にウナギを目にする際には、
ウナギの生態やウナギを育む藤前干潟のことを思い出してもらえると
嬉しいと思います。

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2011年07月28日夏の主役

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 この時期、干潟沿いを歩いているとマメ粒よりもはるか小さな数ミリの砂団子が目に飛び込んできます。 
 この砂団子が無数にあれば、周辺にカニが住んでいるということ。今日は、藤前干潟の夏の主役であるカニを紹介していきたいと思います。

   
*無数の砂団子がれば、周辺にカニが生息している。

 渡り鳥が北に飛び立ってしまったこの時期の藤前干潟は、青い空ばかりが目につきます。
 一見主役を失ったような藤前干潟で、元気な姿を見せているのが、干潟に生息する底生生物の蟹たちです。
 真水と海水が混ざった汽水域である藤前干潟は、潮の時間で塩分や水量の環境が変化するため、魚だけではないさまざまな生き物の住み処となっています。
 中でも甲殻類のカニは、砂粒の大きさによって住むカニも違ってくるため、引率の大人が夢中になってしまうということもしばしばおきています。

   
*干潟周辺にあるスロープの隙間は底生生物の宝庫。フジツボにクロベンケイガニが見える。

 まず砂干潟に入り口、砂の多い場所で人気者となっているのがチゴガニ。チゴ(稚児)という名前から想像できるように、甲羅の幅は10ミリというミニサイズ。しかもその見た目のかわいさだけでなく、パフォーマンスを披露してくれるため、訪れる人のハートを釘付けしてしまうようです。
 実はこのパフォーマンスは、両方のハサミを上下に振るもので、オスのみが行うため、求愛のダンスとも言われています。が、チゴガニは、春が繁殖期といわれていますが、繁殖期以外の夏にもこのハサミを振るため、はっきりとした理由がわからないのが本当のところです。求愛のダンスなら素敵なのですけどね。

   

   
*これが、チゴガニのパフォーマンス。
 
 そしてこのチゴガニと同じ場所を好み、同じぐらいの甲羅の大きさを持ちながら、背面が灰色から褐色という干潟の保護色なため、ちょっと目立たない存在になっているのが、コメツキガニ。
が、よくみると、昼間に潮が引くと巣穴から砂をかきだしながら現れ、小さいながらの生き物の強さを見せてくれます。
 このコメツキガニも、チゴガニ同様、オスが背伸びをして、ハサミを振り上げるパフォーマンスをします。この動作は、春から夏にかけて行われるため、こちらは求愛行動と見られています。

   
*チゴガニとコメツキガニ(右)の2ショット。同じ環境を好むため一緒に見られる。

 さて干潟をさらに進み、干潟が柔らかい泥になったあたりで見られるのが、ヤマトオサガニ。この日本男子らしい名前のせいもあるのか、このカニの四角い甲羅を見て思い出してしまったのは、亡くなった国民的俳優の顔。それ以降、干潟で見る度に心の中で「寅さんガニ」と呼んでいます。

   
*穴から出るヤマトオサガニ。この四角い甲羅でぜひ国民的カニを目指してほしいもらいたいものだ。

 四角い顔でなかった、四角い甲羅とともに、眼が長いのもこのカニの特徴。繁殖期になると、このカニもハサミを振り上げるパフォーマンスを行うそうですが、残念なことに、まだそれを目にしたことがないのでした。
 小さな生き物が精一杯に生きている藤前干潟。一生懸命な姿を目にすれば、元気が出ること請け合いです。

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2011年07月20日小学校の総合学習にて

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

本当に暑い日が続いていますね。
「こまめな水分補給」と「よく食べ、よく寝る」を実践して、暑さに負けず、
この夏を乗り切っていきたいと思っている今日この頃です。
皆様も体調には十分お気をつけください。

さて、少し前のこととなりますが、
7月1日、名古屋市立八熊小学校の6年生の皆さんが
稲永ビジターセンターに来てくれたときのことを今回はご報告したいと思います。

【稲永公園の松林を抜けて稲永ビジターセンターへ。】

来館の目的は「総合学習」の授業として藤前干潟の環境や生き物について学ぶこと。
藤前干潟の稲永ビジターセンター及び藤前活動センターには年間を通じて、
多くの小学校、中学校の来館がありますが、
今回はヨシ原観察を含めた学習プログラムを実施しました。

まずは、DVD鑑賞。
映像で藤前干潟の概要と底生生物などの生き物をご紹介。


【見終わった後はみんな真剣にメモを取ってくれました!】

続いて、本日のメインイベントであるヨシ原観察へ。
ヨシ原だけでなく、ヨシ原の側にある干潟の石の下や泥の中から
カニやゴカイ、ヤマトシジミなど
たくさんの生き物がみつかりました。


最初は恐る恐る干潟へ入っていた女の子たちも、
しばらくすると次々とカニを手で捕えていてびっくり!

ヨシ原観察では、ヨシ原や干潟のゴミ問題にも目を向けてほしかったので
生き物の観察だけでなく、ゴミ拾いもしてもらいました。

【拾ったゴミ(左)ときれいになったヨシ原(右)】

少しだけのつもりだったのですが、あっという間にゴミ袋いっぱいに。
「ペットボトルが多い!」
「サッカーボールや野球のボールがたくさん捨ててあり、もったいない!」
などの感想が生徒たちから聞かれました。

ゴミがたくさんあるヨシ原や干潟にカニや貝などの生き物が生きている光景を見て、
少しでも何かを感じてもらえたでしょうか?


【最後の質問タイムではたくさんの手が挙がりました。】
八熊小学校のみなさんは、事前に藤前干潟のことをノートにまとめて学習し、
鳥などの干潟の生き物を書いた絵を持参してくれ、とても勉強熱心な姿勢を感じました。

学校で自ら勉強したことに加えて、今回、藤前干潟で見て感じたことが、
生き物や自然環境を見たり、考えたりするときの助けになってほしいと願っています。
そして、実際に生き物を見て、「生き物っておもしろい」と思ってもらえたら
何より嬉しいです。
八熊小学校のみなさん、また、藤前干潟に遊びに来てくださいね。

最後に、名古屋自然保護官事務所では、
小学校・中学校等に出向いて藤前干潟の紹介をする「出前講座」をしています。
興味がある方はぜひお問い合わせください。
(名古屋自然保護官事務所 Tel:052-389-2877)

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2011年06月27日「いつか」ではなく「明日」のために

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

東日本大震災。

3月11日に発生したこの未曾有の災害に対して、
直接の被害に遭わずとも、被害の大きさに胸を痛めると同時に、
あの津波の破壊力にショックを受けた方も多かったのではないかと思います。

目の前に海を臨む、私たち稲永ビジターセンター、藤前活動センター、名古屋自然保護官事務所職員も、
あの津波の被害映像に非常に大きな衝撃を受け、
東海地震や東南海地震の津波への不安・恐怖が一気に高まりました。
(実際、3月11日は浸水に至らなかったものの、
名古屋港には1m程度の津波が来ていたそうです。)

そこで!!
不安を嘆いてばかりでは仕方がない!ということで、
6月22日、藤前干潟の各センターで初めての震災・津波に対する避難訓練を行いました。

◆稲永ビジターセンターの避難訓練◆
午前中は稲永ビジターセンターからの訓練を行いました。

「訓練!訓練!」というアナウンスとともに訓練開始。
訓練と分かっていても、一気に緊張感が高まりました。
ヘルメットを被り、非常持ち出し袋を持って、人数を確認して・・・。
避難所の稲永スポーツセンターへ、さぁ避難!



避難した稲永スポーツセンターからの帰りには津波避難ビルに指定予定の市営住宅を見に行きました。
命に関わる問題なので、ビルを見る顔は真剣そのものです・・・。



◆藤前活動センターからの避難訓練◆
午後は藤前活動センターから藤前公園(一時避難場所)への避難訓練を実施。
大変暑く、汗を大量に流しながらの訓練に・・・。



訓練後は、同じく津波避難ビルに指定予定の南陽工場へ見学に伺いました。


【南陽工場5階からの眺め (余談ですが、南陽工場は藤前干潟がよく見えるおすすめスポットです)】

このように、初めての震災に対する避難訓練は無事終わりましたが、
避難訓練中も、避難訓練後の反省会でも、参加者のみなさんが口にされたのは、
やはり津波への恐怖でした。

私も、正直、大きな災害に対しての無力感を感じる部分もありましたが、
このたびの震災では、頻繁に行っていた避難訓練により多くの命が助かったという事例を耳にします。
防波堤の強化等のハード面の対策を待つだけでなく、
私たちはソフト面でできる努力をしていきたいと
改めて感じた避難訓練でもありました。

災害はすぐにでも起こるものとして、
今回の訓練の反省点等を生かして、
今後も訓練実施や情報収集にあたっていきたいと思っています。



最後にお知らせです。
以前のAR日記でご報告しました「みどりのフェスティバル」のおりがみイベントですが、
予告通り、稲永ビジターセンターに展示しました!
8月末まではみんなの折ってくれたおりがみの「いきもの」たちが、入り口横で迎えてくれます。
夏休みにはぜひ見に来てくださいね!


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2011年06月16日この世で一番

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 この世で一番好きな鳥は、コアジサシだ。なぜ好きなのかというと、オスが男らしいからだ。最近の草食男子に見てもらいたい、と思うほど、その姿はたくましい。

    
*藤前干潟の初夏の主役コアジサシ(絶滅危惧Ⅱ類 VU)


 5月の半ばを過ぎたあたりから、「キリキリキィキィ」という鳴き声が響きわたる。藤前干潟の初夏の顔、コアジサシが繁殖のためにやってきたのだ。
全長は25センチ。初めて見た時、アジぐらいの大きさの鳥が飛んでいる、と思ったのだが、あとでその鳥の名前を聞いて驚いた。
 名前の由来のひとつに、空中から水中に突入して魚を捕る様子が、鰺刺(アジサシ)のようだ、という説があるほど、その動きは速い。鮎鷹(アユタカ)という別名もあるそうだ。

     
*ホバリングした後、水にダイビングして獲物を捕る。

 
 俊敏な動きで、餌を採っては、メスに届け、愛を告白する。そして愛が成就し、父となれば、コロニーで卵を抱く妻の元にせっせと餌を運ぶ。なんとも男らしいではありませんか!

     
*待っているメスのもとに餌を運ぶ。繁殖前には、オスがメスに獲物をプレゼントする「求愛給餌」が見られる。


 こんなコアジサシのような男性がいたら、わたしも結婚していたのにな~と、自分の欠点を棚に上げ、例年、空を見上げる事が多くなる初夏なのでした。


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2011年06月13日ちょっとちょっと!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 数年前、「ちょっとちょっと!」というお笑いコンビのギャグが流行ったことがありましたが、今日は、「ちょっとちょっと!釣りをする皆さんへ」というお話です。

      
*庄内川河口付近では、餌をついばむカワウの姿を見ることができる。

 先週末、のんびりお昼ご飯を食べていたら、ビジターセンターに「カワウが釣り糸にひっかかってもがいている」という通行人の知らせが飛び込んできました。
 ビジターセンターのスタッフ、そしてお隣の名古屋市野鳥観察館のスタッフに声をかけ、現場にかけつけてみると、藤前干潟と呼ばれる中でも庄内川の河口部にある干潟近くで、一羽のカワウがもがいていました。

      
*羽根に釣り糸がかかってしまったようだ。(写真:名古屋市野鳥観察館)

 よく見ると、左羽根に釣り針がささり、その羽根から釣り糸が川岸に向かって伸びています。どうやら川岸の岩に根掛かりした釣り糸にからまり、それを振り払おうと、潜っては体を振り、潜っては体を振っています。が、潜る度に、釣り糸が首にまきついていくようです。
 「助けたい」。その場にいた3人の気持ちは一致し、胴長を着て川に入り、釣り糸をはずそう、ということで意見はまとまりました。
 一人を見張りに残し、残る二人で事務所に戻り、胴長をタモと準備。現場に取って返すと、見張りのスタッフが、腕でバッテンを作り、悲しそうな顔をしています。
 潜ったきり、出てこないというのです。
 潜った時に、また違う岩か何かに糸がからまってしまったのでしょうか。しばらく目をこらし水面を見つめましたが、さざなみが立つばかりです。

      
*二度とカワウは浮かんでこなかった。(写真:名古屋市野鳥観察館)

 そこにいてもどうしようもないことはわかっているのですが、その場から足が離れません。別のスタッフが、それとは違う岸の岩にかかった釣り糸を発見しました。

      
*悲劇が起きた岸。スタッフが別の釣り糸を回収した。

 藤前干潟周辺では、放置された釣り糸や釣り針による、渡り鳥の被害が相次いでいます。「ちょっとぐらい」という油断から、小さな命が失われています。
こうした悲劇を繰り返さないためにも、釣り人のみなさん。「自分が持ってきた釣り糸、釣り針は、お持ち帰りいただけないでしょうか。」
 そして悲劇を間近に見ているわたしたちは、水に浸かって数週間すると溶ける釣り糸が開発されないなかな、と願うのでありました。

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2011年05月23日「藤前干潟のクリーン大作戦」

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

一週間ほど前の5月14日のことになりますが・・・、
藤前干潟とその周辺では、とある一大イベントが開かれていました。

その名も「クリーン大作戦」!

【市民の力で干潟がクリーンに。】

このクリーン大作戦、市民の力で藤前干潟と庄内川、新川沿いを
きれいにするゴミ拾いのイベントです。
春と秋の年2回行われており、今回で14回目の開催となりました。
そして、大作戦というだけあって、今回も約1,450名もの多くの人の参加があり、
約1,800袋(45Lのゴミ袋で)ものゴミが集められました。

【参加者集合!モリゾーとキッコロも応援に来たよ!!】

参加された皆さん、暑い中、そして干潟という足元の悪い中での作業、
とてもお疲れ様でした!

しかし、たくさん集まったゴミを見て、
干潟がきれいになったことに対する嬉しい気持ちの反面、
悲しい気持ちになったのは私だけでしょうか?

どうして、こんなにたくさんのゴミがあるのだろうか、と・・・。

ゴミの中で数が多いのは、何と言ってもペットボトルです。
その他に、ビニール袋、テレビ、ソファにおもちゃなど、
ありとあらゆるものがあります。
中には、釣り糸や針、割れたガラス瓶など危険なものも。

【あんなものやこんなもの・・・、】

【全てゴミです。】

実際、クリーン大作戦に参加されてゴミの量、種類に驚かれた方も多かったようです。
クリーン大作戦で藤前干潟のゴミ問題について感じ、
考えてもらえるきっかけとなれば幸いです。

そして、市民によるこの大作戦がこれからも続いていくと良いと思います。
(もちろん、拾うゴミがないことが一番良いことですが。)

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2011年05月11日神様からの衣装

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

恋をする前に、新しい衣装を奮発してあげよう!と神様は考えたのだろうか。この時期、藤前干潟で餌をついばむ鳥たちの羽根は、一気に艶やかなる。
鳥に詳しい人なら、「夏羽に変わっただけ」と、思うのだろうが、そこはまだ鳥の初心者。
神様が、繁殖を前に粋な計らいをした、思ってしまいたくなるほど、鳥たちの羽は美しく変わるのだ。

   
   *ハマシギ 

 藤前干潟を代表する旅鳥のひとつハマシギは、冬羽は、ぼんやりとした灰褐色だったものが、頭頂と背からの上面の羽縁が赤褐色、風切が黒褐色にかわり、一段と色が濃くなったオスは、どこか守ってくれそうでもある。

   
   *ダイゼン

 同じく冬羽は、灰褐色だったダイゼンも、顔から腹までが黒、頭頂から背にかけて黒色斑が表れ、白と黒のコントラストは、自分はここにいると主張しているようだ。

   
   *ダイサギ

 旅鳥ではないが、この時期、クチバシが黒くなり、目先の色が緑に変わるダイサギも、恋のお相手を探しているようでもあり、
   
   
   *コサギ

 さらにコサギは、後頭に2本の長い冠羽、背や胸にも細長い飾り羽が出て、オスではあるがウェディングベールを思わせる。

 旅立ちを前にしたハマシギ、ダイゼンといったシギ・チドリ類は、自分たちが美しくなったことに関心を示す様子もなく、夢中で餌を食べている。北で繁殖をしなくてはならないからだ。
繁殖のために羽が変わるのか、羽が変わるから繁殖するのか、その答えはわからないけれど、こう思う。一生懸命な姿は美しい、と。

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【今がベストシーズンの藤前干潟】
 俳句の春の季語に「鳥帰る」があります。春、日本に秋渡って来て越冬した渡り鳥が、北の繁殖地に帰ることから、春の季語となったのですが、5月は、渡りを控えた冬鳥のカモたち、また夏羽に変わった鳥たちが観られるベストシーズンです。ぜひこの機会に藤前干潟にお出かけください。

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