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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋

285件の記事があります。

2011年05月06日「みどりのフェスティバル」出展!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

みなさん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしょうか?
ずいぶんと暖かくなり、お出かけされた方も多いかと思います。

中部地方環境事務所は、ゴールデンウィーク初日の4月29日に
瀬戸市の定光寺自然休養林で開催された「みどりのフェスティバル」に出展しました!

定光寺自然休養林 森林交流館前からの風景

みどりのフェスティバルは林野庁が主催しており、
木材を通して森林とふれあえるイベントです。

当日は丸太切り体験や火おこし体験、かんなくずのプールなど、
木材を用いたブースがたくさん出展されました。
この日は風が強かったものの、晴天に恵まれ、
多くの方が楽しんでみえました。

立ち並ぶブース


そして、我らが中部地方環境事務所のブースでは、
おりがみ講座「作ってみよう!森と海をつなぐいきもの」を行いました。
その名の通り、みなさんに森から海に生きる「いきもの」を折ってもらったのですが、
折ってもらった「いきもの」たちには「川」を通したつながりがあります。

みんな真剣に折っています


みどりのフェスティバルの開催地である定光寺自然休養林の周辺には、
「庄内川」が流れています。
この「庄内川」、藤前干潟に注いでいる3つの川のうちのひとつなのです。

そこで、この定光寺休養林<森>から藤前干潟、さらには伊勢湾<海>へと流れる、
この庄内川の周辺に生きる「いきもの」をおりがみで折ってもらい、
いきものとその周辺の環境について考えてもらいました。

そして折ったおりがみを森、川、海を背景にした台紙に貼ってもらったところ・・・、

できあがりました

ドングリ、テントウムシ、キノコ、フクロウ、クジラやエイなどなど、
こんなにたくさんのおりがみの「いきもの」でいっぱいになりました!!

参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

みなさんに作ってもらったこのおりがみの「いきもの」でいっぱいの台紙は、
夏休み期間中、稲永ビジターセンターにて展示予定です。

藤前干潟にもいきものが溢れています。
干潟のいきものにも会いに来て、森と干潟、そして海をつなぐ庄内川と、
その周辺のいきものたちに思いを馳せてみてくださいね!



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2011年04月18日旅立ったスズガモ

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 藤前干潟は、この季節、干潮時は、野鳥がたわむれ、潮が満ちると、釣り人がやってきます。
 こう書くと、大都会名古屋市の中にあって、自然と寄り添える場所、と思う人もいるかもしれませんが、それゆえの悲しい事故も起きています。

   
*満潮時は、釣り客も訪れる藤前干潟。

 先週末、事務所に「干潟でスズガモが死んでいる」という声が飛び込んできました。
 職員一同、言われた場所に急いでかけつけると、岩にはさまるようなカタチで一匹のスズガモが横たわっていました。よく見ると首の後に釣り針がかかり、釣り糸が首にからみついています。
 潜って餌をとっている時、根掛かりした釣り糸に掛かってしまったのでしょう。微動だにしません。

   
*一報を聞き、「高病原性鳥インフルエンザ」を疑った佐藤R(左)と4月からのニューフェース野村AR。

   
*根掛かりした釣り糸で身動きできなくなったスズガモ。

 スズガモはいわゆる「冬鳥」で、10月頃にこの地に飛来し冬を過ごし、5月の連休前から、繁殖のため、再び生まれ故郷を目指します。
 旅立ちの前に、さぞかし無念だっただろうな、と思った時、スズガモの羽が動きました。「生きている!」。 
 そこから、お隣の名古屋市野鳥観察館のスタッフとの救出が始まりました。まず、岩にひっかかっていた釣り糸を切り、傷ついたスズガモを段ボールに入れ、観察館に運びました。

   
*釣り糸の長さは160㎝もあった。

 そこで、首にささった釣り針を抜き、からまった糸を丁寧にはずしていきました。はずした釣り糸の長さは、1メートル60センチ。その先には、テンビン、オモリもつながっていました。
 クビまわりがスッキリしたせいか、幾分顔色もよくなり、体温も少し上がってきました。
 しばらくすると、早く外に出して、といわんばかりにスズガモはしきりと羽を動かすのですが、なかなか飛び立てません。
 そこでその日は、大事をとって、一晩、名古屋市野鳥観察館で作った段ボール箱の家で休んでもらうことにしました。

   
*段ボールの家で休むスズガモ。

 元気になったら、翌日、放鳥する予定でした。しかしその日の朝、観察館のスタッフが出勤すると、スズガモはもう冷たくなっていたそうです。
 
 首の後に針がささっても、釣り糸がからみついていても、生きていたスズガモ。お前ほどの生命力があったら、故郷まで飛んでいくことができただろうに。秋にはこどもを連れて、この藤前干潟に戻って来ただろうに。
 今朝は、見慣れた藤前干潟が、かすんで見えました。

    
*スズガモ舞う藤前干潟

【名古屋自然保護官事務所からのお願い】
 藤前干潟は、日本有数の渡り鳥の飛来地です。このところ、捨てられた釣り用具やゴミで傷ついたり、亡くなったりする鳥が増えてきています。持参したゴミはぜひお持ち帰りください。よろしくお願いします。

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2011年04月15日「藤前干潟に春到来! でも・・・」

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

みなさま、初めまして。
4月より名古屋自然保護官事務所の
アクティブレンジャーになりました野村です。
藤前干潟の魅力を伝えていけるよう一所懸命
頑張っていきますので、よろしくお願いします。

さてさて、今年の冬はとても寒く、
春を待ち望んでいた方も多かったと思いますが
やっと本格的に暖かくなってきましたね。
稲永公園では今週初めに桜が満開となりました。



穏やかな日差しの中、
満開の桜の花を見ながら鳥たちの鳴き声を聞いていると、
本当に夢見心地です。

しかし、その目線を下に落としてみると・・・、


残念な光景が。
お花見で出たであろう大量のゴミが放置されていました。
これでは、せっかくの桜も台無しです。

既に知っている方も多いかと思いますが、
藤前干潟はゴミの処分場としての埋め立てから
市民活動によって守られた場所です。
そんな藤前干潟を臨む稲永公園に放置されたゴミを見て、
大変悲しい気持ちになりました。

これからは行楽シーズン。
外で遊ぶことが多くなりますが、
屋外で出したゴミは持ち帰りたいものです。

桜も素敵なのですが、藤前干潟と言えば「鳥」ということで、
最後に野鳥観察会のご案内です。
5月8日(日)にNPO藤前干潟を守る会と
中部地方環境事務所の共催イベントとして、
「シギチドリウォッチング」を開催します。

春、シギ、チドリははるかオーストラリアから
小さなからだひとつで藤前干潟にやってきます。
そして、ゴールデンウィーク前後は、
たくさんのシギ、チドリが見られる絶好の野鳥観察シーズンです。

この機会にシギ、チドリを実際に見て、
渡り鳥の「いのち」のたくましさと、
たくさんの「いのち」をはぐくむ藤前干潟の魅力を感じませんか?

観察会の詳細は以下です。
応募をお待ちしております!!
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◆シギチドリウォッチング◆
開催日時:5月8日(日)13:30~15:30
   (雨天時は屋内のみのプログラムとなります)
定員:20名(申込先着順)
対象:幼児~大人 (ただし、小学校3年生未満は保護者同伴)   
開催場所:稲永ビジターセンター(名古屋市港区野跡4-11-2)
  13:30に現地集合
参加費:大人200円、小学生100円、幼児無料
持ち物:水筒、タオル、着替え、帽子、汚れてよい服装・靴 

申込・問い合わせ先:稲永ビジターセンター(TEL:052-389-5821)
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2011年03月22日受け継いでいく意義 ~愛知ターゲットに向けて~

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 生物多様性の保全は、当然のことながら1日でできるものではありませんよね。長年の積み重ねがあって、「生態系」や「種」は守られていくわけですが、その保全の条約ができるまでにも、長い道のりがあったことを皆さんは、ご存じだったでしょうか?

       

 *「名古屋議定書」「愛知ターゲット」が採択された名古屋国際会議場

 そのことを知ったのは、中部地方環境事務所が開催した勉強会でのこと。実は中部地方環境事務所では、COP10が終わって以降も、2020年までの「国連生物多様性の10年」を広めるため、「生物多様性」に関するシンポジウムや勉強会を開催しています。
 1月7日に開催された「国連生物多様性の10年キックオフ記念勉強会」では、元IUCN副会長であり、前千葉県知事の堂本暁子さんをお招きして「生物多様性 リオからなごや『COP10』、そして…」の講演をしていただきました。
 この講演のタイトルは、実は堂本さんの著書の名前。元IUCNの副会長として、生物多様性の成り立ちからを見てきた人ならではの話が展開されました。

        

 *堂本さんの講演は、COP10開催地となった愛知・名古屋市民への
  お礼の言葉で始まりました。
 
 堂本さんが副会長を務めていたIUCN(国際自然保護連合)は、1948年に創設された国際的な自然保護団体です。その成り立ちは、第二次世界大戦で使われた毒ガスでヨーロッパを中心とした世界の自然が壊されたことに遡ります。
 政府だけではない組織、ということで、政府代表とNGO、NPOそして専門家が参加してスタートし、ここからワシントン条約、ラムサール条約、ボン条約といった国際的に重要な条約の大もとが作られていきました。
 堂本さんの言葉を借りるなら、「ワシントン条約、ラムサール条約、ボン条約は、パーツの保全」。80年代に入ってから、「地球を覆う条約が必要なのではないか」、という議論が起こり、こうして「生物多様性」という考え方が出てきたそうです。
 IUCNの「生物多様性」の概念は、 生命が誕生してから40億年という時間軸を取り、エネルギーの循環、水の循環など、地球上のあらゆる自然の循環を考えるダイナミックなものです。
また、IUCNは、レッドリストを出し、絶滅していく生き物を取りあげ、地球の実態も紹介していきました。
 こうしたIUCNなどの自然保護団体の要請を受け、国連環境計画は、「生物多様性条約」の準備を開始します。しかし1990年11月以降、7回に渡って開催された政府間交渉会議では、思わぬ事態が待ち受けていました。
 会議の議題となるのは、いつもIUCNの素案とはほど遠い、「遺伝子資源」「知的所有権」「バイオテクノロジー」「技術移転」「資金援助」のことばかり。1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議で生物多様性条約が調印され、1年間で168の国と機関が署名し、1993年12月に発効しますが、国の利害がぶつかりあった結果としてまとまった合意内容は、これまで行われてきた世界の 環境会議の内容よりはるかに後退したものとなってしまったそうです。
 これについて堂本さんは、国同士の利害がぶつかった時、世界の意志をどうまとめるかは、非常に難しい問題である、と述べていました。

   

  *最後まで、熱気に包まれました勉強会。

 こうしたこれまでの事情を知り、昨年(2010年)愛知・名古屋で開催されたCOP10で、人類が自然と共生する世界を2050年までに目指す「愛知ターゲット」が採択されたことを思うと、これまでの道のりの長さを感じずにはいられません。
 著書の題名でもあり、また講演のタイトルともなった「生物多様性 リオからなごや『COP10』そして…」で、堂本さんが伝えたかったのは、「COP10を終えて、日本が世界をリードしていくために、内閣総理大臣以下日本政府が、「生物多様性を主流化していく」といった意志を示して欲しい、ということでした。これまでの歴史を目の当たりにしてきた堂本さんならではの言葉だと思いました。

 生物多様性を切り開いた人がいて、守る人がいる。そしてそれを受け継いでいくことがどれほど重要なことか…。
 受け継ぐ意義を、いま一度考えてみたいと思いました。






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2010年10月14日中部生物多様性物語Ⅱ 絶滅から生まれた名物

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 名古屋に「守口(もりぐち)漬け」という名物があるのをご存じでしょうか? 
 「えっ!エビせんべいしか知らない?」 実は、そのエビせんべいときしめんと並ぶ名古屋の名物が「守口漬け」。名古屋駅のお土産売り上げベスト3にランクインするほどの人気なんです。
 さてそんな名古屋を代表する味の「守口漬け」ですが、名古屋生まれかというと、さに非ず。発祥の地は、河内の国の守口(大阪府守口市)。守口周辺の伝統野菜である守口大根を使って作られたため、その名が付いた、と言われています。
 それがなぜ、名古屋名物になったかというと、実はここから生物多様性が関係してきます。

    

  *名古屋名物の「ひつまぶし」に必ず付いている守口漬け。
   写真は、名古屋駅で販売されている「日本一名古屋の抹茶ひつ
   まぶし弁当」。協力:株式会社だるま。

 守口大根は、16世紀から20世紀の初頭にかけて、現在の大阪府大阪市から守口市にかけての淀川沿いで栽培されていました。
 守口大根に適しているのは、柔らかく均質な土壌が堆積し、中に石ころや固い層を含まず、土壌の通気性がよく、地下水位が低い場所。それを満たすのが、守口周辺の淀川周辺だったというわけです。
 守口大根は、主として守口漬けとして使われ、あの豊臣秀吉や千利休も食し、やがて東海道の「守口宿」の名物と称されるようになりました。 
 しかし19世紀に始まった淀川の河川改修工事で、河川沿いの環境は激変。これにより守口周辺での守口大根は絶えてしまいます。 
 大阪市守口市の産業農政課の担当者の話によると、いま淀川周辺を掘り起こしても、堆積層がまったく見あたらないそうです。このことから、いかに河川改修が淀川周辺の環境に影響を及ぼしたかを想像することができます。
 守口大根の消滅とともに、絶えてしまった守口漬け。しかし遠く離れた濃尾平野でよく似た種の大根があることから、再生が試みられます。 

    

  *守口大根の日本一の産地を支える「木曽川」。

 栽培の地となったのは、淀川沿いとよく似た環境の木曽川沿いの愛知県丹羽郡扶桑町と、長良川沿いの岐阜県岐阜市。今、扶桑町は、守口大根の生産量日本一の町となり、この二つの産地が、名古屋名物「守口着け」の製造を支えています。
 名古屋に来たら、ぜひご賞味ください。

    

  *これが守口漬け。材料の守口大根は、約1メートル50センチの
   長さがあることから、日本一長い大根と言われている。


 

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2010年10月01日中部生物多様性物語Ⅰ 世界記録を支える森

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 COP10の開催を記念して、開催地、愛知・名古屋から、地元にまつわる生物多様性の話を紹介していきたいと思います。
 まず第一弾は、愛知県が生んだヒーロー、大リーガーイチロー選手に関わる生物多様性のお話です。

    
*10回目の締約国会議(COP10)が開催される名古屋国際会議場。

 9月23日のブルージェイズ戦で、前人未到の10年連続200安打を達成したイチロー選手。そのスーパースターと、生物多様性がどうして関係あるの?と思った人も多いことでしょう。しかし大記録を打ち出したバットは、何でできているでしょうか?そうです。木で出来ていますよね。
 イチロー選手のバットは、「アオダモ」という木で作られています。アオダモは、しなりがあり、金属音に似た音を発するため、イチロー選手に限らず、バッターが好む木でもあるそうです。
 長年イチロー選手のバットを作り続けているミズノテクニクス・プロバットマイスターの久保田五十一さんによると、年間、イチロー選手のために作るバットは、練習用も含めて120本。そのためには1万本の木が必要だといいます。 というのも、イチロー選手は、道具へのこだわりは強く、出す指示もグラム単位。ミリ単位。その結果生まれたのが、バットの長さは、85㎝。太さは一番太いところで、62.5㎜。重さは、880~900gというサイズ。
 さらに良い木でできたバットは、良い音がする、と、久保田さんがバットを実際に叩き、120本を選り分けるといいます。


     
     *イチロー選手が実際に使うバット。
       (写真)株式会社ミズノより提供

 豊かな材料と、職人の技から生まれるバット。では、良い音がする良い木とは、どういう環境で作られているのでしょうか?
 実際に山を歩き、バットにする木を選別する久保田さんの話によると、良い木が育つ良い森とは、鳥類が集い、昆虫が生息し、多様な生物が生きる森だといいます。つまり生物多様性に富んだ森。

    
   *植樹は、地元のこどもをまじえて行われました。
    (写真)株式会社ミズノより提供

 イチロー選手のバットを作り続けている久保田さんは、2005年より、親会社である株式会社ミズノが、岐阜県高山市にある「オークビレッジ」と共同で行っている「バットの森・記念植樹に」に参加し、こんなコメントを残しています。
 「バット作りにたずさわっていた自分が、バットの材料であるアオダモをもう一度山に戻すことができて幸せだ」、と。 
 イチロー選手の記録は、生物多様性と、その豊かな森を守ろうとする人々の気持ちによっても支えられている、と言えるのかもしれません。

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2010年09月28日COP10マーク折り紙三部作が完成しました!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 最近、みなさんは、折り紙を折ったことがありますか?
 わたしは、この2ヶ月で100個以上の折り紙を折りましたよ。折ったのは、イルカ、カメ、そしてゾウ。なぜって、それは、それぞれの折り方を紹介する動画を作ったからなんです。

       
  *ヒトを真ん中に16ものいきものがならぶ、COP10公式マーク。
 
 COP10を間近に控え、開催地、愛知・名古屋では、街のあちらこちらでCOP10の公式マークを目にするようになりました。
 ヒトを真ん中に、トリ、カンガルー、ペンギン、シロクマ、セイウチ、サカナ、イルカ、ラクダ、ゴリラ、チョウ、フラミンゴ、ゾウ、木、花、ウミガメといった16のいきものが、丸く円を描くようにならぶ公式マークは、実は折り紙をモチーフにして作られています。
 聞くところによると、折り紙を使用したのは、議長国「日本」の知恵と文化を象徴するものだからとか。思えばこのマークをはじめて見た時から、懐かしい気がしたのは、折り紙の折り線に親しみを感じたからなのかもしれません。
 それはさておき、多くの人に、COP10のスローガンである「いのちの共生を、未来へ」を、いきものを折り紙で折ることで知ってもらえたら、と、折り方を紹介する動画の制作をはじめたのです。

      
  *折り順にあわせて折り紙をワンカットずつ撮っていきました。
 
 作ったのは、16あるCOP10マークの中から、稚内自然保護官事務所のアクティブレンジャー加勢朗子(かせいあきこ)さんが、折り方を考案したイルカ、カメ、ゾウの3つ。 
 こうして7月から折り紙を折る日々が続いたのですが、その成果は、こちらYou Tube環境省チャンネルで。
 この機会に、皆さんも、ぜひ一度折り紙にチャレンジしてみてくださいね。折ったいきものが身近になってくるから不思議です。 
 You Tube環境省チャンネル http://www.youtube.com/kankyosho

     
  *完成した「イルカ」「カメ」「ゾウ」。
   You Tube 環境省チャンネルで公開中です。

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2010年06月22日594枚の環境宣言 ~COP10に向けて~

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 梅雨に入り、愛知県・名古屋は、湿度の高い独特の夏に向かい始めました。夏が終われば、そうCOP10です。
 そこで今日は、5月22~23日にかけて開催された、国際生物多様性の日・COP10開催半年前記念行事「なるほど生物多様性COP10まであと半年!」で、みなさまから寄せられた、「環境宣言」を紹介したいと思います。

   
 ※木の葉のメッセージカードは時間が経つにつれ、増えていきました。

 環境宣言は、中部地方環境事務所のブースを訪れた方々に書いてもらいました。書いてもらったのは、木の葉形メッセージカード。実は5月22日が、グリーンウエィブの日であったため、環境宣言でグリーンウェイブを起こそうと考えたからです。
 こうした趣旨のもとに集まった環境宣言は、594枚。多くの人は何に関心を寄せているのでしょうか?それを調べるため集まったメッセージを「省エネ温暖化対策」、「環境保全」、「環境保全活動」、「自然環境保護」、「3R(リデュース減らす・リユース再使用・リサイクル再資源化)推進」、「希少種保護」、「外来生物対策」、「環境教育」といった項目に分類。
 その結果、もっとも多かった項目は、「自転車で移動する」に代表される「省エネ温暖化対策」。163枚のメッセージが寄せられました。続いてが、「環境保全」で96枚。次に「3R推進」の80枚。「自然環境保護」の76枚と続きました。

   
   ※木の葉のメッセージカードに環境宣言を書く親子

 実はコメントで大多数を占めたのがゴミに関するものだったのですが、ゴミはゴミでも、「ゴミをポイ捨てしない」は環境保全に、また「ゴミをリサイクルする」は3R推進にまた「海や山にゴミを捨てない」は、自然環境保護になるため、宣言が分散。しかしこのことから、ゴミによる環境汚染を心配する人がどれほど多いか、それを知ることができました。
 また「環境宣言」は、動物や植物にも向けられ、「外来生物は飼わない、捨てない、拡げない」といった外来生物対策が9枚。イベント時期に、新潟県佐渡市の「トキ」が話題になったこともあってか、「絶滅しそうな動物を守る」といった「希少種保護」が4枚ほどありました。

   
   ※微笑ましい環境宣言!

 さまざまな環境宣言の中で、わたしの心に残ったものはというと、「おしるはぜんぶのむ」とひらがなで書かれた環境宣言。書いたのは確か小さな女の子。おかあさんに、残したお汁を下水に流すと、川や海が汚れるのよ」なんて教わったのかな、なんていう微笑ましい想像が膨らんでいきました。
 「100年後を思い生活しよう」という孫や次世代を思うメッセージもあり、世代を越え多くの人が環境に思いを寄せていることもわかりました。
 最初は小さな一歩でも、多くの人の一歩が重なれば、それは足跡となります。その一歩をわたしも踏み出したいと思いました。


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2010年05月31日5月22日 名古屋・栄でグリーンウェイブが起こりました

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 
    
     ※多くの人の「環境宣言」が寄せられた、メッセージツリー!


 今年2010年は、国連が定めた国際生物多様性年。そして5月22日は国際生物多様性の日でもあります。その5月22日(土)と翌23日(日)の2日間、名古屋の都心、栄にあるオアシス21で、国際生物多様性の日・COP10開催半年前記念行事「なるほど生物多様性COP10まであと半年!」が開催されました。

     
     ※中部地方環境事務所のブース

 イベントには、約20の団体が参加し、さまざまな生物多様性のあり方が展示されましたが、中部地方環境事務所では、「地球への想い~今日からできる生物多様性~」をメインテーマに、山で、川で、海で、そして街でできる生物多様性保全の方法を、ミニパネルを使って紹介。また5月22日が、全世界で植樹を呼びかけるグリーンウェイブの日であることから、会場に1本の木のオブジェを用意し、来場者の方々に、展示パネルを見て感じた地球への想いを、木の葉型にあしらったメッセージカードに記入してもらいました。
 実はこのメッセージカードを七夕の短冊よろしく、木のオブジェに貼り付けていき、名古屋の都心で、木の葉型カードによるグリーンウェイブを起こそうとしたわけです。
     
     ※木の葉のメッセージが注目を集め、取材が舞い込んだ!

 
 5月22日午前10時の開場時点では一枚もなかったメッセージが、時間が経つにつれ一枚、そして一枚と増え、地球で起きているグリーンウェイブを想像させずにはいられませんでした。こうして集まったメッセージは、597枚。
「食べ残しはしません」といった愛らしい環境宣言から、「100年後のことを考えて生活する」といった、考えさせられるもの。またハングル、ドイツ語でのメッセージも寄せられ、期待の高さも伺えました。
     
     ※来場者の方々から寄せられたメッセージ

 ブースでは、その他、全国48のビジターセンターで展開された「ちきゅうのいのち、えがいてみよう」の作品の展示や、環境に関するキャラクターを紹介するエコキャラのコーナーも設け、すでに始まっている「生物多様性の保全」を紹介しました。
 COP10まであと半年。地球への想い、ウェイブとなって地球を覆うことを願ってやみません。
     
     ※「地球のいのち、えがいてみよう」の力作のひとつ。

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2010年04月14日名古屋名物「きしめん」で生物多様性を考えてみる

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 玉津佐知子

 いま名古屋は、今年10月に開催される「COP10」に向け、賑わいを見せてきました。しかも今年は、「国際生物多様性年」というわけで、弥が上にも期待が高まっているのですが、世の中の関心が高まれば高まるほど、今さら聞けないのが「生物多様性って、ナニ?」
 そこで開催地名古屋のARとして、名古屋名物を使って、「生物多様性」を解説したいと思います。

      
       *地球を丼で考えてみると・・・

 一時期「名古屋めし」とも呼ばれ、ブームとなった名古屋の味。中でも名古屋人のファーストフードとして親しまれているのが「きしめん」です。だしのきいたつゆ、喉腰のイイ麺、甘辛く煮た油揚げ、彩りのほうれん草、かまぼこ、そして風味の鰹節が揃ってこそきしめん。どれかが欠けると物足りない味になってしまいますし、何か鮮度の悪いモノが入ったら、それこそきしめんそのものを台無しにしてしまいます。実は「生物多様性」にも同じことが言えるんです。
 仮に地球を「奥山自然地域」「里地里山・田園地域」「都市地域」「沿岸域」「海洋域」「島嶼地域」にわけてみると、それは互いにつながり、関係しあっているのがわかります。丼の中のさまざまな具が絶妙なバランスをとって、ひとつのきしめんとなっているように、まさに地球はひとつなんですね。
 生物多様性とは、いきものが多くの種類にわかれていることによって、地球上のさまざまな環境に適していることを言います。またそれにはいきものが過去から遺伝子を変化させることによって環境に適応してきた結果でもあります。
 いま、地球上で年間4万種の野生生物が絶滅していると言われていますが、こんなスピードでいくと地球はどうなってしまうのでしょうね。
 地球が何か物足りない「きしめん」になってしまわないように、また妙な味の「きしめん」になってしまわないように、一人一人できることを考えたいものです。
 名古屋で、もしきしめんを食べる機会があったら、ぜひ「生物多様性」のことを思い出してくださいね。

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