2020年6月
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2020年06月16日日本一の大瀑布「称名滝」は生きている。
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
前回は、弥陀ヶ原・大日平について紹介をさせていただきました。今回は、その間に流れ、日本一の落差を誇る「称名滝」について触れていきます。
「称名滝」は国の名勝および天然記念物になっており、日本の滝百選にも選ばれています。
称名滝の上部に広がるのが弥陀ヶ原と大日平です。
<アルペンルート大観台より見た称名滝>
日本一の滝の落差は350m。東京タワー333mがすっぽり入ってしまう高さです。
間近で見上げる滝は大迫力です!
<展望台から称名滝(左)、ハンノキ滝(右)を見上げる>
滝は4段になっており、上から70m、58m、96m、126mと順に落ちています。
また今の時期、融雪期や降雨時に出現するのが、称名滝右手に落ちる「ハンノキ滝」です。
<中央に落ちているのがハンノキ滝>
その落差はなんと、500mあるそうです!圧巻ですねえ。
称名滝の下流部を見上げると、通称「悪城の壁」と呼ばれる岩壁がそびえ立っています。その高さは500mあり、一枚岩となっています。
<称名川の左岸側の壁面が悪城の壁と呼ばれる>
この巨大な断壁を作り出した当人が称名滝です。称名滝は、約7万年前には現在の立山駅付近(約7km手前)にあり、水の流れの浸食により徐々に削られて後退して現在の位置に移動しました。もちろん現在も浸食はされ続けており、現在進行形です!
水の力のすごさと、スケールの大きさを感じることができる場所です。
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国立公園にかかる公共交通機関につきましては現在、以下のようになっております。
日々情報が変わりますので、お出かけを予定される際は各HPをご確認ください。
■立山黒部アルペンルート
6月19日まで営業休止期間が再延長となりました。
上記に伴い、アルペンルート沿いの各施設につきましても営業休止期間を延長しております。
【立山駅から】立山黒部アルペンルート
【扇沢から】関西電力黒部ダム
■黒部峡谷鉄道トロッコ電車
6月1日より営業開始しました。
新型コロナウイルス対策のため、便数を削減、お客様同士の間隔を空けるなどしながら運行するそうです。ご理解とご協力をお願いいたします。
上記に伴い、欅平ビジターセンターが開館しました。
6月1日より
開館時間 10:00から15:00
減便により開館時間が通常より短くなっております。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月16日志賀高原から水のつながり
上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史
志賀高原管理官事務所のある長野県も梅雨入りしました。
雨水や雪解け水は、「水」という形でいろいろな物事とつながっています。
■「イワナ」-水中の生物-
志賀高原のイワナはすべて天然です。
写真のイワナは、一の瀬地区のスキー場を流れる小雑魚川(こざこがわ)で撮影しました。上流には宿泊施設があり、水路の底面と両側面がコンクリートです。このような場所でもイワナがいるのは、地区の方が排水などの環境保全に対して高い意識を持っておられるためです。
写真を撮影した場所は禁漁区になっています。そのためかどうか分かりませんが、イワナは物陰に逃げることが少なく、また、逃げてもしばらく待っていると出てきます。
小雑魚川は雑魚川(ざこがわ)へと名前を変え、魚野川(うおのがわ)と合流し中津川(なかつがわ)となり、信濃川に合流します。
<6月9日撮影。この50mくらい下流でも1匹いました。雑魚川と魚野川での渓流釣りは志賀高原漁協の定める規則に従ってください。>
■「大沼池(おおぬま いけ)」-水のある景観、また、灌漑用水、発電用水へのつながり-
志賀高原ではトレッキングコースや登山道沿いに20を超える池があります。
大沼池は志賀高原で面積が最も広い池です。このAR日記でも何度となく紹介しています。
大沼池は、また、志賀高原の麓の中野市の農業用水「八ヶ郷(はっかごう)用水」の水源となっています。大沼池の水は横湯(よこゆ)川を流れ、志賀高原からの角間(かくま)川と合流し夜間瀬(よませ)川となり、八ヶ郷用水に取水されます。稲作のほかに、りんご・もも・ぶどうといった果樹の栽培に利用されています。
また、横湯川から取水され発電にも利用されています。
<赤石山山頂から。中央の志賀山の溶岩で堰き止められてできた池。青色の水面が印象的です。写真の右奥が中野市方面。平成28年8月8日撮影。>
<大沼池の堤にある八ヶ郷用水関係の石碑。平成29年8月4日撮影。>
■「田ノ原湿原(たのはら しつげん)」-過湿な環境に特有な植物の生育、また、自然草原としての景観-
志賀高原では、湿原はトレッキングコースや登山道沿いにいくつもあります。
田ノ原湿原は国道292号沿いにあり、近くに駐車スペースがあるのでアクセスしやすく、比較的広い面積があるので取り上げました。
今が見頃の主な植物は、ワタスゲの穂やヒメシャクナゲの花で、7月中旬にはニッコウキスゲが咲きます。
田ノ原湿原は「高層(こうそう)湿原」と呼ばれるタイプのもので、湿原の水分は雨水と雪解け水で維持されています。
<奥に見える特徴的な形の山は笠ヶ岳(かさがたけ)。左:平成27年7月21日撮影、右:令和2年3月13日撮影。>
<湿原植物の一つワタスゲの群生、今が見頃です。撮影している時に「ここはどこなんだ?」という利用者の声が聞こえてきました。6月15日撮影。>
■本事務所で使っている水
前回の記事「志賀高原の名水」で紹介した清水公園の近くの湧き水を地区共同の簡易水道で引いているものです。湧き水も雨水と雪解け水があってのものです。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。
本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。
2020年06月15日ライチョウ飼育卵の野生復帰
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
前回までの日記で、ライチョウの生息域内保全としての南アルプス北岳周辺での取り組みや、中央アルプスにおける野生復帰や移植について書かせていただきました。
今回は、生息域外保全の取り組みを紹介させていただこうと思います。
生息域外保全は、急激に個体数が減少してしまうことを考慮し、野生個体が存在するうちに飼育・繁殖の技術や科学的な分析を行うことを目的に、ライチョウの場合は公益財団法人日本動物園水族館協会の協力で行われています。
平成27、28年度に乗鞍岳で採卵し、その子どもたちが現在6つの動物園で飼育されています。
厳しい環境で生き抜くために動物にとっては消化しづらい物質や、ともすれば毒となるような物質を含んでいる高山植物を主食としているライチョウは、お腹の中に植物に含まれる物質を分解するための腸内細菌を飼っています。ライチョウの雛は、お母さんのフンを食べることでこれらの腸内細菌を受け取っていることが最近明らかになり、飼育個体についてもこの食糞や腸内細菌を活かした飼育技術の開発に取り組んでいます。
人間でも"腸活"がクローズアップされていますが、生きものっておもしろいですね!
飼育下で孵化した雛 H28.7.1撮影(大町山岳博物館提供)
今年度は、中央アルプスのメスが産んだ無精卵と動物園での飼育卵を入れ替え、野生復帰させる予定です。
飼育卵は6/5に中央アルプスの山麓に運ばれ、6/7に8卵の入れ替えが行われました。
卵の入れ替え準備の様子
卵を入れ替えた後の様子
無事に孵化してかわいい雛の姿を皆さんにお届けできることを願うばかりです。
野生下で生きていくので全ての雛が成鳥になれるとは限りませんが、孵化後はケージ保護を行い生存率を向上させる予定です。
この卵の入れ替え作業の前に、巣探しが行われました。これは簡単な事ではありません。
巣探しを通してライチョウをもっと知っていただけると思いますので、次回の日記で紹介したいと思います!
6月上旬の中央アルプス駒ケ岳の雪解け状況
現地の情報も随時アクティブ・レンジャー日記にUPさせていただければと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内トピックス、ライチョウ保護増殖事業等についてに掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月15日上高地を学ぶ【上高地いきもの図鑑】
中部山岳国立公園 小森 夏奈
みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。
上高地で様々な植物や動物を写真に撮ったけど、何の種類か分からない・・・。図鑑も持っていないし、どうやって調べればよいのかお悩みの方!上高地ビジターセンターのホームページでは、上高地の植物・動物・鳥類・昆虫についての検索ツールを公開しています。
ぜひこちらで検索して、上高地の動植物に詳しくなりましょう♪
試しに、最近ビジターセンター近くで撮った、お花を検索してみます。
この小さなお花は・・・?
まず、上高地ビジターセンターのホームページを開きます。
左側のサイドメニューから『上高地いきもの図鑑』をクリック!
すると上記のような画面になります。植物を調べたい方は、このまま検索に進みましょう。
動物・鳥類・昆虫を調べたい方は、更に左のサイドメニューから選択して下さい。
また、植物の中でも果実・樹木等を調べたい方、分類・名称で検索されたい方は下段のメニューから選択して下さい。
4つの項目(①調べたい月、②色、③大きさ、④場所)から、該当するものを選んでいきます。
①6月に見た花、②色は青紫、③大きさは30cm以下、④どちらかというと林内で見つけました。(4つすべてを選択しなくても検索は可能です)
そして『調べる』ボタンをクリック!
すると3種類の植物が該当しました!探していたのは右の花のようです。
探していたのは『テングクワガタ』でした!植物の詳しい情報を見ることができます。
同様に動物・鳥類・昆虫も色や大きさで検索することができます。
自由に項目を選択して見ていくと、新しい発見があるかもしれません。
ぜひ上高地の動植物学習にお役立てください!
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2020年06月13日白山国立公園事件簿 泥まみれ踏みにじり事件
白山国立公園 大石佳織
2020年06月12日乗鞍岳と中央アルプスでのライチョウ事業
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
環境省では令和2年度ライチョウ保護増殖事業により、動物園で飼育されている日本のライチョウの有精卵を中央アルプスのメス個体の無精卵と差し替えて野生復帰させることと、乗鞍岳から3家族20羽程度(1家族あたりメス親1羽とその雛6羽程度)を中央アルプスに移植することを予定しています。
今回は、乗鞍岳から中央アルプスへの移植について書いてみたいと思います!
ライチョウは、6月頃に産卵し6月末~7月上旬に孵化します。
生まれたばかりの雛は体温調節ができないため、梅雨の悪天候に合ってしまうと死んでしまうことが多いです。
また、孵化直後の雛は飛ぶことができず、捕食者から逃げることもままなりません!
(Kobayashi and Nakamura 2013一部改変)
孵化後の約1ヶ月は生存率が特に低く多くの年で半数以上の雛が孵化してから1か月間で死んでしまっているのがわかりますね。
逆に雛が独立する盛夏以降は、安定しています。
今年度予定している移植事業では、夜間や悪天候時でも体温調節や捕食者から身を守ることができるように、乗鞍岳で産まれた雛とメス親をケージで3週間ほど保護する予定です。
このケージ保護は、南アルプス北岳周辺でも大きな効果を上げることができました。
(南アルプスでケージ保護を行った際の様子)
(令和元年度保護増殖事業検討会資料一部改変)
ケージにより雛を保護することで生存率を向上させ、乗鞍岳のライチョウ個体群になるべく負荷をかけないように移植をすることができるためです。
移植先の中央アルプスでもケージ保護を行い、現地の環境に慣らした後に放鳥する予定です。
現地の情報も随時アクティブ・レンジャー日記にUPさせていただければと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内に掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月12日アルペンルート沿いは花が見ごろ&ライチョウ通信
中部山岳国立公園 立山 佐藤 裕子
梅雨入りしてしまいそうですが、一週間ほど前に所用で室堂に行ってきました。
(現在、立山黒部アルペンルートは6/18まで運行休止しております)
アルペンルート沿線の標高1630mの弘法より下は、雪も少なく花が見ごろでした。
今年は高原バスの中からご覧いただけなくて残念ですが、写真でお楽しみください。
タムシバ(別名 カムシバ、ニオイコブシ) ムラサキヤシオ(別名 ミヤマツツジ)
Nレンジャーが「タムシバは杏仁豆腐のにおい」とおっしゃっていたので、匂いをかいでみるとたしかに甘いにおいがしました。
アルペンルート運行休止により、立山室堂にはほとんど人がいないため、さぞやライチョウはのびのびと生活しているだろうなと思い上山しました。
雷鳥沢まで歩いていると優雅にカラスが飛んできました。
テントも人も残飯もないので目的は定かではありませんが、2,450mの室堂までくるのは毎年の習慣なのでしょうか(気流かも?)
カラスや上空を飛んでいた猛禽類を恐れてか、歩道の近くの砂地にいたライチョウを見ていたら近寄ってきてくれました。
※ライチョウのストレスになるため、過度に近づいたり追いかけたりはおやめください。
しばらくすると元いた位置に戻り、砂浴びをはじめました。
羽に着いた寄生虫を落とすため砂をあびているそうです。
近くのハイマツの上から、雄ライチョウが見守っていたので退散しました。
ライチョウは一夫一妻が原則ですが、一夫二妻も存在するようです。
今はおよそ交尾期・産卵期に入り、雛が孵ると夫婦は徐々に別行動になっていくので、雄雌両方の姿を見られる時期も貴重なのかなと思います。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
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2020年06月12日白山国立公園 市ノ瀬園地のアレがリニューアル!
白山国立公園 大石佳織
こんにちは。 白山自然保護官事務所の大石です。 白山麓は緑の濃い季節になりました。山ではエゾハルゼミの声も聞こえるようになっています。 南竜山荘予約センター 電話076-259-2022 ※詳細は下記ページをご確認ください。
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2020年06月12日モリアオガエルに恋の季節
妙高戸隠連山国立公園 アクティブ・レンジャー 帖地千尋
昨日梅雨入りした妙高高原。梅雨入りでモリアオガエルの産卵が盛んになった模様です!
乾燥に弱い皮膚をもつカエルたちにとっては、待ちに待った梅雨の到来。
つい最近までは夜のうちに産卵していることが多かったのですが、
しとしと雨の降っていた今朝、ついに!モリアオガエルの産卵シーンを見ることができました!
池にせり出した樹上に卵を産み付ける独特な繁殖行動をとるモリアオガエル。
ペアを見つけたメスが樹上で産卵に入ります。
(大きいのがメスで背中に乗っているのがオスです)
あぶれたオスたちもあきらめてはいません。メスはどこだ!と大移動。
割り込もうとするオスが群がり産卵が続きます。
(ここにはモテモテのメスがいる模様)
産卵シーンは初めて見ましたが、とても感動しました。(一生分のカエルを見た気がする・・・)
梅雨時の風物詩、妙高高原を訪れた際には、池をのぞいてみてはいかがでしょう。
休暇村妙高近くの五最杉園地の池もおすすめです。
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
中央アルプス駒ケ岳周辺や乗鞍岳では、ライチョウの巣探しが進んでいます。
ライチョウの巣を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。
それもそのはず。ライチョウは主にハイマツの下に巣を作るので、登山道を歩いているだけではライチョウの巣はほとんど見えません。
(ライチョウの巣)
中央アルプスの無精卵と動物園で飼育されている個体が産んだ有精卵の入れ替えや、乗鞍岳でのケージ保護などを行うにも巣を探す必要があります。
巣を探すために、広大なハイマツ林をむやみに歩き回る訳にもいきません。
そこで、親ライチョウをよく観察し巣のありかを特定しています。
まず、雪どけから産卵までのライチョウの行動を紹介します。
・高山帯で餌が得られない冬には森林限界付近まで移動して過ごしていたライチョウが
雪どけと共に再び高山帯に集まってくる
・オス同士のなわばり争いが激しくなる
・雪どけの早い場所からなわばりが決まってくる
・5月に入ると多くのなわばりにメスが現れ一夫一妻のカップルが成立
・5月末から6月上旬にメスは卵を産み始める
・6卵程度の卵を産み終える6月中旬にメスは抱卵を始める
・抱卵はメスが1羽で行うため、メスはなかなか巣を離れることができない。
・抱卵中のメスは1日数回採餌や排泄のために巣を離れる。
巣を探すには、抱卵中のメスが巣を離れるのをじっと待ち、メスを見つけたら行動をじっと観察し、巣に戻るのを待ちます。
(巣探し調査の様子)
巣探しは写真のようになわばりが見渡せる場所でじっと待ち、いつ巣を離れるかわからないメスが現れるのをじっと待ちます。
写真でフィールドが広大なのが伝わりますでしょうか?この時期は日差しが強かったり、吹雪になったりと高山帯は厳しい環境です。
さらにメスは明け方や夕方遅くに巣を離れることが多いのですが、メスが卵を抱く時期は夏至が近いこともあり朝は4時前から、夜は18時を過ぎるまで調査を行うこともあります。
ライチョウの巣探しは忍耐のいる厳しい調査なのです。
季節の進み具合やライチョウの行動のタイミングを読みながら、同事業を進めています。
皆さんがライチョウの巣を見たことがない理由がおわかりいただけましたでしょうか。
現地の情報も随時アクティブ・レンジャー日記にUPさせていただければと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内トピックス、ライチョウ保護増殖事業等についてに掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。