2020年6月
50件の記事があります。
2020年06月11日河童橋
中部山岳国立公園 松下裕之
こんにちは。
上高地管理官事務所の松下です。
上高地といえば、みなさんはなにを思い浮かべますか?
険しい穂高の山々、梓川の清流、美しい花々でしょうか?
きっと「河童橋」を思い浮かべる方もたくさんおられると思います。
河童橋に立って、上流を見れば雄大な穂高連峰、下流を見れば今なお噴煙をあげる焼岳を望むことができます。
だれが言い始めたかは知りませんが、最近は「上高地のランドマーク」とさえ呼ばれています。
カラマツでできた河童橋は、どこから見ても上高地の自然と調和した美しい吊り橋です。
河童橋と穂高連峰
河童橋と焼岳
右岸から見た河童橋
主塔の太さを測ると、最も太いところで直径約500mmもありました!
芥川龍之介の『河童』はみなさんもご存じのことと思います。
「河童橋」が有名になったのは、『河童』に「河童橋」が出てきたからだという説があります。
そのくだりは、穂高に登りきに来た主人が梓川の縁でお昼ご飯を食べていると、偶然、河童に出会います。その河童を追いかけるうちに穴に落ち、落ちる瞬間、「河童橋」を思い出すというものです。
芥川龍之介自身も明治42年(1909年)に上高地から槍ヶ岳に登っていますね。
現在の河童橋は、平成9年(1997)に架け替えられました。
これが何代目の橋になるのかは、5代目?、6代目?、7代目?と諸説あるようです。
上高地ビジターセンター入口近くには、2代前の欄干が展示してあります。
上高地にお越しの際は、是非、ご覧ください。懐かしく思う方もいらっしゃるのではなでしょうか?
上高地ビジターセンター入口近くのある2代前の河童橋の欄干
2代前の河童橋の欄干の説明書き
河童橋。
それは、「上高地に来てよかったなあ~」と思える最高の場所です!!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月11日花の名山巡視! 湯ノ丸山・烏帽子山
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
本日は上信越高原国立公園内の嬬恋村と東御市の境にある湯の丸牧場の放牧作業に立ち会いました。
湯の丸牧場は明治37年に開設された歴史ある牧場です。
⇑トラックで運ばれてきた牛たち。(写真左)ここはどこだ??と戸惑っている様子。
⇑湯の丸牧場の放牧の日 R2.6.10撮影
放牧された29頭の牛たちはさっそく夢中になって草を食べ始めました。
その後、湯ノ丸山、烏帽子岳へ向かう登山道巡視に行きました。
湯ノ丸山へは、湯の丸牧場の斜面ををまず登ってゆきます。
⇑コンコン平のレンゲツツジ
牧場を抜けしばらく歩くとコンコン平に到着。
まだ数株でしたが、レンゲツツジの開花がはじまっていました。
⇑昨年補修した登山道
雨で足元がぬかるんでも、足場の補助になります。
⇑烏帽子岳山頂直下のコマクサ
湯の丸高原ではコマクサも開花直前です!
⇑山頂にはホシガラスがいました。(写真中央部)
少し空がかすんでおり、写真に写すことはできませんでしたが、
まだ残雪が残る北アルプスも見渡すことが出来、絶景です!!
下山時には雨に降られました。梅雨入り目前‥。
上信越高原国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。上信越高原国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月11日志賀高原の名水で涼しさを
上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史
こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。
標高1,500mを超える所にある志賀高原は、その立地だけでも涼しいですが、「名水(めいすい)」とともにさらに涼やかなひと時を過ごしてはいかがでしょうか。
この記事では車で立ち寄りやすい2か所を紹介します。
■清水公園(しみず こうえん)
近くの湧水を引いて名水公園として整備されました。
6月9日の撮影時は3組の小グループが利用されていました。水を汲みに来たり、休憩をしたり、食事をしたり、それぞれの時間を過ごされていました。
場所は、奥志賀公園栄線の大沼池入口付近(志賀1号トンネルと志賀2号トンネルの間)で脇道に入り、道なりに進みすぐの所です。車は脇に停められます。
<清水公園の近くの渓流の流れの音も心地よく感じました。>
■沓打名水公園(くつうち めいすい こうえん)
国道292号沿いにあります。名水公園として整備され、ベンチのほか駐車スペースと公衆便所もあります。
この付近には、志賀高原の麓の湯田中渋温泉(長野県山ノ内町)と草津温泉(群馬県草津町)の間を人馬で行き来していた頃に、茶屋があったそうです。当時から水を得やすかったと推測できます。
また、ここから志賀高原で最大の滝を望める「澗満滝(かんまんだき)展望台」への遊歩道があります。
<朝の早い時間帯に撮影したので利用者はいませんでした。>
清水公園と沓打名水公園の位置です。
(地理院タイルに名称等を追記して作成)
【テント泊について】
水場があるのでテントで宿泊したくなるかもしれませんが、まず、テントの設置には土地所有者の許可が必要です。また、国立公園内であるため自然公園法の規制が関係します。
・清水公園は第1種特別地域にあります。自然公園法では原則として設置は認められません。
・沓打名水公園は第2種特別地域にあります。自然公園法で規制している、仮設工作物を新設する行為にあたるおそれがあります。
さて、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。
本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。
2020年06月10日ライチョウのために
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
皆さんライチョウは見たことありますか??
標高の高い山に生息して、中部山岳国立公園でもシンボリックな存在となっています。
見た目も動きもかわいくてたまらないですね~
このライチョウですが、1980年代には国内に約3,000羽が生息していると推定されていましたが、2,000年代初頭には1,700羽程度に減少してしまったことが信州大学の研究で分かっています。
(ライチョウの個体数の変化:信州大学調査)
環境省では、このような希少な野生動植物について「保護増殖事業」を行っています!
アホウドリ、イリオモテヤマネコ、トキなどもこの事業により、個体の繁殖促進、生息地の整備等を実施しています。
ライチョウを絶滅の危機から守るために、減少が著しい南アルプス北岳周辺などでも取り組みが行われ、平成27、28年度に乗鞍岳で採卵し動物園で生息域外保全として飼育技術の確立を行っています。
また、平成30年度にはライチョウが絶滅したと思われていた中央アルプス木曽駒ヶ岳で約50年ぶりにライチョウが発見されました。
発見されたのはメス1羽で、遺伝子から乗鞍岳、もしくは北アルプスから飛来したことが判明しました。
仮に乗鞍岳から飛来したとしても直線距離で約40kmも離れています。びっくりですね~!
雪のある時期に、中間にある山を経由して移動したと考えられています。
令和元年度には、乗鞍岳で採取した有精卵を移植し孵化まで成功しましたが、残念ながらその後悪天候や捕食等によって雛は全滅してしまいました。
先日5月21日に中央アルプスのメス1羽の生存が確認され、
保護増殖事業計画に基づいて、ライチョウ全体の絶滅リスクを低減させるためにも中央アルプスの個体群復活について取り組んで行くこととなりました。
具体的には動物園等の飼育卵を中央アルプスのメスの無精卵と差し替えて野生復帰させることと、乗鞍岳から3家族20羽程度(1家族につきメス親1羽とその雛6羽程度)を中央アルプスに移植する方法です。
乗鞍岳で採卵したり、雛、成鳥を中央アルプスへ移植したりして大丈夫なの?
中央アルプスへ移植した後も天敵への対策はどうなっているの?
と疑問もあるかと思います。
それについては、次回の記事に書いていきたいと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内に掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
(乗鞍高原から眺めた乗鞍岳)
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月09日弥陀ヶ原と大日平は兄弟?!その成り立ち
中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
今日は「弥陀ヶ原・大日平」というエリアについての紹介です。
弥陀ヶ原・大日平は標高1600~2100mに位置する高原です。
<出典:国土地理院電子地図を加工>
先日、鍬崎山(くわさきやま)に登ったときの写真がこちら。
<鍬崎山にて立山連峰方面>
写真中央付近に大きく広がっているのが「弥陀ヶ原」で左側に少し小さくなだらかな斜面が広がっているのが「大日平」です。その上に大日岳があります。この日は奥大日・剱・立山もきれいに望むことができました。
クローズアップし、別の日にアルペンルート上から撮った弥陀ヶ原です。
<弥陀ヶ原>
奥に見える山が大日岳ですが、この日は山頂付近が雲でかくれていました。
<弥陀ヶ原から大日岳方面>
<手前が弥陀ヶ原、称名渓谷を間に挟み奥に大日平>
弥陀ヶ原と大日平の間には称名渓谷がありV字谷を形成しており、日本一の大瀑布である称名滝が流れています。
アルペンルートは弥陀ヶ原を通り、室堂平へと上がっていきます。
一見、弥陀ヶ原と大日平は名前も違い、別物だと捉えられるのですが、実はこの2つは火山の噴火でできた台地だそうです。(約10万年前の第2期の噴火活動により火砕流堆積物が冷えて固まってできた岩石で、溶結凝灰岩という)
その火山性の岩石と植物性由来の泥炭と呼ばれる土壌が合わさり形成されているのが弥陀ヶ原・大日平で、2つを合わせて東西約9km,南北約3kmの広大な湿地帯が広がっています。
ラムサール条約湿地にも選ばれており、日本で最も高い位置にある湿地となっています。(ラムサール条約について詳しく知りたい方はこちらから)
つまり、元々は、弥陀ヶ原と大日平は1つだったものが、その間に称名滝(称名渓谷)が流れ、浸食をしていくうちに2つに分断されていったという背景があります。
例えるなら、弥陀ヶ原と大日平は兄弟のようなものなんですね。(例えが適切か微妙かもしれないですが、ご容赦ください。)
6月現在ではまだ雪で覆われておりますが、雪解けとともに徐々に湿原の姿がみえてくることでしょう。その時にはまた弥陀ヶ原・大日平について取りあげたいと思います。
国立公園にかかる公共交通機関につきましては現在、以下のようになっております。
日々情報が変わりますので、お出かけを予定される際は各HPをご確認ください。
■立山黒部アルペンルート
6月19日まで営業休止期間が再延長となりました。
上記に伴い、アルペンルート沿いの各施設につきましても営業休止期間を延長しております。
【立山駅から】立山黒部アルペンルート
【扇沢から】関西電力黒部ダム
■黒部峡谷鉄道トロッコ電車
6月1日より営業開始しました。
新型コロナウイルス対策のため、便数を削減、お客様同士の間隔を空けるなどしながら運行するそうです。ご理解とご協力をお願いいたします。
上記に伴い、欅平ビジターセンターが開館しました。
6月1日より
開館時間 10:00から15:00
減便により開館時間が通常より短くなっております。
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2020年06月08日上高地の白い花々【春】
中部山岳国立公園 小森 夏奈
みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。
最近、晴れた暑い日が続きますね!上高地は標高1500m、下界よりは気温は低いですが、じりじりと照りつけるような日差しです。まもなく梅雨入りのようですので、この晴れ間を有効に使いたいですね。
上高地では続々と様々なお花が開花しています。
本日はその中でも、今年すでに見られた花の中で『白色』のものについてご紹介したいと思います。
【ニリンソウ】
上高地の春のお花、といえばニリンソウではないでしょうか。
真っ白なものや少しピンクがかったもの、花びら(正確には萼片)の枚数は通常5枚ですがもっと枚数が多いもの、茎の先に二輪の花が付くことから『ニリンソウ』という名前ですが、時に一輪しかなかったり、三輪以上の花が付いていることもあります。
一面のお花畑はまさに圧巻ですが、そろそろ見頃は終わりそうです。今年はみなさんにご覧いただくことが難しかったので、来年以降のニリンソウの開花にご期待下さい。
緑色のニリンソウが今にも咲きそうです。
花の中央のみ緑色で縁は白いもの、すべて緑色のものなど様々で、見つけることができたらラッキーです!
【ズミ】
上高地の春を代表する、もう一つのお花です。上高地では小梨(こなし)と呼ばれ、上高地にある『小梨平』はこの木が多いことから名前がつけられています。
つぼみの時は赤っぽい色をしていますが、花が開くと真っ白になり、秋になると赤い実をつけます。
【ツマトリソウ】
このツマトリソウはちょっとだけ縁がピンク色です。毎年、同じところにピンクがかったものが咲くそうです。
【シロバナノヘビイチゴ】
【マイヅルソウ】
【コミヤマカタバミ】
まだまだ紹介しきれないほど、白いお花はたくさん咲いています。
上高地ビジターのホームページでは、スタッフ日記をほぼ毎日更新しています。
野鳥や自然情報等、もっと知りたい!という方はぜひチェックしてみてくださいね。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月08日志賀高原のレンゲツツジ咲き始めました
上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史
こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。
6月8日のレンゲツツジ開花状況をお伝えします。志賀高原ではレンゲツツジは池や湿原の周りでよく見かけます。
■一沼(いちぬま)
国道292号を山ノ内町側から上ってくると、最初に出会う池です。
つぼみが随分と膨らんだものも見られます。開花が近いように感じます。
駐車は池を過ぎてすぐの所にあるサンバレー地区の駐車場をご利用ください。
<デッキとベンチがあり、開花の盛期には大勢のカメラマンで賑わいます。今年の撮影の際はソーシャルディスタンスを心がけてください。>
<ズミの花が見頃です。池の縁に沿うように咲いています。>
■蓮池(はすいけ)
蓮池も国道292号沿いにあり、一沼から車で5分程度です。
一部開花し、つぼみも随分と膨らんでいます。
駐車は「志賀高原山の駅」の駐車スペースをご利用ください。
<レンゲツツジの「レンゲ(蓮華)」は「蓮(ハス)の花」のことだと言われています。このように、つぼみが重なり合った時に「蓮の花」のように見えると思います。>
<標識が設置されました。この周囲は、今は砂利ですが、芝を張り広場として整備する予定です。>
一沼と蓮池の位置です。
地理院タイルに池及び施設の名前を追記して作成
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。
なお、本事務所が属する環境省信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。
2020年06月05日志賀高原 グリーンシーズンへ
上信越高原国立公園 志賀高原 則武敏史
こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。
6月になりました。
雪が少ないと言われた'19-20シーズンでしたが、志賀高原で最も標高の高い所にあるスキー場は6月1日まで営業していました。
そして、いよいよグリーンシーズンですが、例年6月初旬に行われる山開きなどの行事が中止や規模縮小となっています。
これまでとは違う雰囲気でグリーンシーズンが始まったように感じます。
さて、国立公園内にある本事務所周辺の様子を紹介します。
<標高約1,500mにある事務所への進入路は、ようやく木の葉が茂り、木の影ができるようになりました。>
事務所から見える東館山では、落葉樹の芽吹きが斜面を上っています。
<左側の西館山は山頂付近まで緑色になりましたが、右側の東館山の山頂付近はまだ茶色が目立ちます。>
<事務所近くの蓮池スキー場ではワタスゲの穂が見頃です。綿毛はまだ白色がきれいです。>
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府や各自治体からは、感染リスクを高めないような行動がお願いされています。上信越高原国立公園へお出かけの際にも、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。
なお、本事務所が属する信越自然環境事務所では「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」を実施しており、外出しなくても国立公園を楽しんでいただくための情報発信を行っています。
2020年06月05日飯縄山 登山道調査
妙高戸隠連山国立公園 土屋達郎
先日飯縄山の登山道調査に行ってきました。
<大谷地湿原から望む飯縄山>
トレイルランニングレースのコースに飯縄山の登山道が含まれているので、環境省としてはトレランが自然環境に与える影響を確認する必要があるのです。
飯縄山は学校登山でも上られていて北信五岳(斑尾山・飯縄山・黒姫山・妙高山・戸隠山)の中でも比較的簡単に登れる山です。・・・のはずなのですが「黒姫山よりキツイ」←これ飯縄山に登る度に何故か感じる私の率直な感想。
しかも今回は、霊仙寺山への道もトレランコースに入っているのでそこも見る必要がありました。
コロナで運動不足気味の私にとってはなかなか応えましたよ。
<イワカガミ>
<ツツジもそこかしこに>
<南登山道と西登山道分岐>
<私~>
<飯縄山頂>
さて飯縄山豆知識いろいろ。
長野市戸隠・信濃町・飯綱町の3つの市町に跨がっています。どういう訳か飯縄山の「つな」は「縄」と書くのに対し、飯綱町は「綱」なんですよね。
北信五岳のうち野尻湖の西側には飯縄山・黒姫山・妙高山の3つが南から北へきれいに1列に並んでいます。これらはすべて火山です。火山としての古さもこの順番だそうで、飯縄山→黒姫山→妙高山と南から北へ噴火の場所を移していったと言われています。飯縄山が最後に噴火したのは約5万年前とのこと。
昔は今まさに活動しているものを「活火山」と定義し、それ以外を「死火山」「休火山」と定義していたのですが、現在では過去1万年以内に噴火したものを「活火山」と定義する以外は特になく、つまり飯縄山や黒姫山は活火山ではないというだけで、今後も絶対に噴火しないかというとそうは言いきれません。
一方、妙高山は最近の噴火が3,000年前くらいといわれていて活火山の分類になります。今一番ホットなのは妙高山の更に北側にある焼山です。常に噴気(煙ではなく水蒸気?)を上げています。
活火山についてはこちら⇒気象庁「活火山とは」
<火山活動の活発な焼山>
飯縄山から霊仙寺山に行くには一旦思いっきり下って登ります。いやぁなかなか大変なコースです。
<飯縄山頂付近から望む霊仙寺山>
<飯縄山~霊仙寺山間は大きな石をいくつも超えていきます>
<野尻湖が見えます>
<霊仙寺山頂からみる飯縄山頂>
飯縄山の名前の由来は、昔食べられる砂「飯砂(いいずな)」が産出したことからとのこと。「飯砂」とは「テングノムギメシ」(天狗の麦飯)とも言われた菌類・藻類など微生物の複合体を指すらしく、昔は飯縄山中に生息していたのが現在は絶滅したといわれています。
テングノムギメシは他にも小諸市や群馬県嬬恋村の浅間山周辺でも産出するそうです。過去に群馬県嬬恋村民だったこともある私ですが、長野県民になって初めて聞きました。
昔、凶作の時に飯縄三郎という天狗がこの飯砂を配って人々を救ったという伝説があり、祀られている飯綱大権現は烏天狗の姿をしています。
長野市富田というところに飯縄神社があるのですが、ここが全国に祭祀されている飯縄神社の総社なのだそうです。東京の高尾山薬王院でも飯縄大権現を祀っていますね。
この総社の飯縄神社には里宮と奥宮があり長野市富田にあるのが里宮で、飯縄山山頂にあるのが奥宮。奥宮はなんと避難小屋も兼ねているのだとか。
<これが全国の飯縄神社を束ねる総社の奥宮>
飯縄大権現は「戦勝の神様」として武田信玄や上杉謙信からも崇められたようで、長野市の飯縄神社は武田信玄の創建によるものだそうです。
そして飯縄山豆知識の極めつけは・・・飯縄大権現はなんと「どんな願い事も叶えてくれる」霊験あらたかな神様なのだそうです。ある意味ちょっと怖い(?)頼りになる神様ですね。
下山路はスキー場に出るコースで。歩きやすく整備されていましたよ。
<巨木の森>
<リュウキンカやニリンソウを咲き乱れ>
<カラマツはまだまだ新緑です>
<歩きやすく整備された沢沿いルート>
<最後はスキー場に出ました。奥に見えるのは戸隠山>
妙高戸隠連山国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。妙高戸隠連山国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
現在、長野駅をスタートし妙高の笹ヶ峰高原を経由し斑尾山頂まで続くロングトレイルが計画されています。今まで多くのメンバーが実際に踏査して、議論を重ねてルート選定をして参りました。
妙高戸隠連山国立公園は自然と文化が一体になった珍しい国立公園です。その国立公園を代表する美しい景色をつなぎ、歴史を感じながら歩けるロングトレイルは来年開通を目指して調査も大詰めを迎えています。
先日もそのメンバーの方々とルート調査に出かけてきました。今回は計画しているロングトレイルの本ルートからは外れますが、周辺に残る歴史の道「戸隠山道」の調査です。 江戸時代に信濃町柏原から戸隠に抜けるルートとして使われた古道だそうです。 信濃町役場に集合して出発。のどかな田園風景の中を進みます。今の時期は田んぼに水が張られていて水面には山々が映り込みます。また道端にはところどころ馬頭観音などの石仏が。普段なら車で一瞬で通り過ぎてしまうような道も、ゆっくり歩いてみるといろいろ発見があって面白いですね。
<出発前の打合せ> <信濃町役場に残る石碑>
<柏原~戸隠を結ぶ戸隠山道> <詳しい方々による解説>
<黒姫山> <真ん中の森が黒姫山の噴火による溶岩台地>
<のどかな田園風景を歩きます> <道端に点在する石仏>
<道端に点在する石仏> <小林一茶さん?>
今回のルート選定にあたっては古道に詳しい方がいて、古い文献等から事前に調べていただけました。その他のメンバーも、古道に関しては長野市や信濃町の役場の方、観光協会の方、地元で商売を営まれる方、なかなか濃い~方々が参加されていましたよ。奇遇にも日本山岳ガイド協会の登山ガイドが私を含めて4人も。
午前中だけでしたが戸隠地質化石博物館の館長も同行していただけて、地形や岩石の解説がとても興味深かったです。
黒姫山と飯縄山の間にこんもり盛り上がった森が見えます。これは黒姫山が噴火した際に出来た溶岩台地だそうです。浅間山の鬼押し出しなども5万年も経つとこのような森になるそうです。
沢沿いにガラス質の石が点在していました。館長によるとこれは人工的な石だそうです。昔ここら辺で鉄を作っていてその際に出来る不純物(スラグ)を撒いたのだろうとのこと。人間が作った黒曜石ですね。
道はずんずん山の中へ。最初ののどかな風景とはガラリと変わって藪漕ぎの連続に。なかなかへとへとになりましたよ。 ロングトレイルに藪のコースはありませんので、開通の暁にはぜひ多くの皆様に歩いて欲しいですね。
<地層には噴火の記録が残っています> <昔の鉄を作るときに出来たスラグ>
<石の解説> <タニウツギがそこかしこに>
<ずんずん山の中へ> <ミズバショウが見られる長原湿原>
<突然現れた滝> <藪漕ぎ>
<ひたすら藪漕ぎ> <お疲れ様でした!>
妙高戸隠連山国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。妙高戸隠連山国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。 なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。