白山国立公園 白山
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2016年11月24日*薪割り体験をしました*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
少し時間が経ってしまいましたが、先月10月30日、白山しらみね薪の会との共催で自然観察会「市ノ瀬で薪割り体験~山の恵みを感じよう~」を開催しました。秋晴れの気持ち良いお天気で、参加者もスタッフも山を満喫してきました!その様子をお知らせします。
<プログラム①炭窯ツアー>
市ノ瀬にある岩屋俣谷園地を利用して、炭窯跡を見学するツアーを実施しました。この岩屋俣谷園地には炭窯跡が2つあり、昔はこの場所で木を伐り出し、炭を作って生計を立てていました。また、オニグルミ、クリ、カエデ、マタタビの実などの植物、イノシシやクマの痕跡も観察できました。
白山しらみね薪の会の風さんから炭の作り方について教えてもらいました。
今年はミズナラが豊作でたくさんのどんぐりが落ちていました。先っぽからもう根っこを出しています。
パークボランティアさんが紅葉(黄葉)のしくみについて話してくれました。みなさん真剣に聞いていました。
ツアーの折り返し地点である白山展望台からは白山がきれいに見えました。
<プログラム②薪割り体験>
ツアーの後はいよいよ薪割りです。薪割りの注意点について教えてもらい、薪割り機を使って実際に薪を割ってみました。斧で割るととても労力が要りますが、薪割り機ならすっとレバーを引くだけで薪がきれいに割れました。
チェーンソーでの玉切りを見せてもらいました。コの字型に刃をいれるのがコツだそうです。
レバーを引くだけですが、きれいに割れると何だか楽しい!
たくさん割りました。
<プログラム③山の恵みを知る>
薪割りが一段落したところで薪を燃やしてみました。伐ったばかりの木は水分を多く含んで燃えにくいので、使うのはあらかじめ乾燥させておいたものです。火がついたらお湯をわかしクロモジ茶を作り、山で採れたオニグルミ、クリ、ブナの実を味わいました。何の味付けもしていない自然そのものの味は、素朴ですがとても美味しく幸せな気分にさせてくれました。
なかなか火がつかず苦戦しました。
オニグルミは堅いので、ハンマーを使って割ります。力が弱いと割れないし、強いと中身までつぶれてしまうし、力加減が難しかったようです。
クロモジ茶も良い香りがしてすっきりとした味わいで、みなさん山の恵みを堪能しました。
今回のテーマは「山の恵み」でした。この日のプログラムを通して、山は①生業の場を提供してくれること、②薪(燃料)を作るための木を育むこと、③木の実やキノコなど食糧をうみだすこと、ということを、参加者に伝えることが出来たと思います。きっとまだまだあるはずです。私自身、今回の観察会を企画する中で、いかに山から恩恵を受けているかをひしひしと感じました。山麓に住む人々にとって、山は昔から生活に関わる重要な存在でしたが、都会で暮らす人々にとっても全く無関係ではなく、何らかの形できっと関わりがあると思います。人と自然のつながりを改めて考えてみる観察会でした。
2016年11月07日*白山周辺の紅葉情報*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
11月2日に白山での初冠雪を確認しました。あっという間に冬が訪れます。白山国立公園内の施設も着々と冬に向けての閉鎖作業が行われています。
<施設情報>
甚之助避難小屋・・休憩室、冬季トイレが利用可能です。水はありません。
中飯場・・・使用できません。
別当出合・・・冬季トイレのみ使用可能です。
市ノ瀬ビジターセンター・・・閉館しました。
さて、冬支度中といってもまだまだ山を楽しみたいという人も多いはずです。そこで白山の紅葉の様子を少しご紹介します。
現在は市ノ瀬周辺、だいたい標高830mあたりが見頃です。その先の別当出合はもう終わりかけですが、まだ車で通行可能ですのでドライブしながら気軽に紅葉を楽しむことができますよ。別当出合には無料の駐車場もあります。現在吊り橋の工事のため砂防新道は通行できませんので、登山をされる方は観光新道をお使いください。
【現在の別当出合】吊り橋工事中です。
【市ノ瀬】ビジターセンターの向こうの山がとても綺麗です。
それから、白山白川郷ホワイトロードの様子です。こちらは少し前の先月21日の様子ですが、一番標高の高い三方岩駐車場(1450m)付近は紅葉の見頃は終わっていました。上から下へどんどん色づいていますし、晴れた日には白山が綺麗に見えますので、ぜひ足をのばしてみてはいかがでしょうか?ホワイトロードの全線開通期間は今週10日までですが、中宮料金所からふくべの大滝までの区間は13日まで通行可能です。
【物見山展望台から】
【遠くに見える白山】
市ノ瀬からは紅葉と白山を見ることができます。ただし、市ノ瀬の公衆トイレは10日に閉鎖予定です。ビジターセンターも閉館中につき、10日以降は市ノ瀬周辺トイレの使用はできませんので、お越しの際は予め済ませていただきますようお願いします。
2016年10月13日*「市ノ瀬で薪割り体験~山の恵みを感じよう~」開催のおしらせ*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
10月に入り白山周辺も一気に秋が深まりました。日中もだいぶ肌寒くなり、そろそろストーブがほしいです。
さて、白山自然保護官事務所では昨年好評だった薪割り体験を白山しらみね薪の会との共催で今年も行います。秋の市ノ瀬で薪割りと自然観察を一緒に楽しみませんか?
「市ノ瀬で薪割り体験~山の恵みを感じよう~」
【日時】平成28年10月30日(日)9:00~13:00
【場所】市ノ瀬園地(石川県白山市白峰)
集合場所:市ノ瀬ビジターセンター
【内容】①炭窯ツアー
炭窯の歴史と周辺の自然について解説をしながら秋の岩屋俣谷園地を散策します。
②薪割り体験
薪作りと環境保全について解説した後、実際に薪割り機を使用して薪割り体験をします。
③山の恵みを知ろう
実際に薪を燃やしてみたり、山で採れた木の実を試食して自然の恵みを感じます。
【定員】20名(小学生~一般、小学生は保護者同伴)
【参加費】100円(傷害保険代)
詳細はこちらをご覧ください↓
昨年のようすはこちら↓
2015年8月14日付「薪割り体験イベントを開催しました!」http://chubu.env.go.jp/blog/hakusan/a-hakusan/index_2.html
今年は「山の恵み」がテーマです。普段あまり気にすることは無いかもしれませんが、実は私たちは山からたくさんのものをわけてもらって生活しています。建物や家具に使う木材に、山菜、キノコ、木の実といった美味しい食べもの、挙げてみるとたくさんありますね。特に会場である白峰は山に囲まれた集落で、山との関わりがとても深い地域です。かつては山にこもり木を伐りだして炭を作り生活を営んでいたそうです。そんな昔の人の生活についても薪割りをとおしてふれてみましょう。
申し込み・お問い合わせは白山自然保護官事務所までお気軽にどうぞ♪
参加お待ちしております!
白山自然保護官事務所:076-259-2902
2016年10月11日*刈込池で清掃活動*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
福井県大野市上打波にある刈込池は紅葉の名所として知られており、見頃の時期には多くの人で賑わいます。実はこの刈込池、白山と深く関わりのある場所なのです。
かつて白山には大蛇3000匹が住んでおり、山麓の人を苦しめていました。そこで泰澄大師は大蛇を退治し、特に凶悪な1000匹を蛇塚に、もう1000匹は千蛇ヶ池に、そして残る1000匹をこの刈込池に封じ込めたそうです。それから刈込池を見下ろす位置にある剣ヶ岩に大剣をつきたて、湖面に映るようにしました。大蛇は鉄に触れると体が腐ってしまうので、湖面に映る剣を怖れて出られなくなった、ということです。
そんな刈込池を多くの人に気持ち良く利用してもらうため、まだ葉っぱが色づき始めたばかりの9月末、パークボランティアで清掃活動をしてきました。刈込池の周辺にはぐるっと一周できる自然研究路が整備されており、所々に案内看板が設置してあります。ゴミ拾いをしながら、看板の清掃をしてきました。
案内板は泥やほこりで汚れています。
ブラシや雑巾を使ってゴシゴシ汚れを落としていきます。
見違えるほど綺麗になりました!!
解説看板は全部で13基あります。全てを拭き上げるのは重労働でしたが、ピカピカになると心も晴れやか、達成感がありました。ぜひ解説を読みながらゆっくり散策を楽しんでくださいね。
キノコやアカハライモリなど小さな生き物たちもたくさんいました。
左から・・・ベニテングタケの幼菌?、大きなタマゴタケ!、アカハライモリ
残念ながらこの日は曇りでしたが湖面にはうっすらと木々が写り綺麗でした。紅葉はまだまだこれからのようです。約2時間で一周できますが、山道で滑りやすい箇所もありますので、汚れても良い服装としっかりとした靴でお越しください。
↑この日の刈込池。紅葉で晴天の時にはすばらしい景色を見ることができます。
↑急な階段があります。 ↑石段は滑りやすくなっています。
お気を付けて!!
2016年09月12日* レンジャー写真展@白山のおしらせ *
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
名古屋、白山、伊勢志摩を巡回しているレンジャー写真展ですが、9月と10月は白山国立公園周辺地域での開催です!9月の会場は白山の麓、石川県白山市の中宮です。
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☆ レンジャー写真展 2016 ☆
【日時】平成28年9月10日(土)~9月25日(日)9:00~16:30
【場所】中宮温泉ビジターセンター(石川県白山市中宮)
【入場料】無料
詳しくはこちらをご覧ください↓
中宮温泉ビジターセンター(中宮展示館)は金沢から車で約1時間30分、白山白川郷ホワイトロードの料金所手前、中宮温泉の近くです。水の綺麗な蛇谷川と山々に囲まれた場所に位置し、静かで、ゆったりと自然に浸ることができます。これから紅葉も始まりますので、ぜひお近くにいらした際はお立ち寄りください。
写真展のテーマは「中部地方の山、海、生き物」ということで、中部地方で見られるおもしろい生き物たちや、すばらしい自然風景をそれぞれのレンジャー目線で紹介しています。白山自然保護官事務所では、小さな生き物や、季節や時間により様々に姿を変える白山の写真を用意しました。力作揃いですのでぜひお楽しみください!
お時間がありましたらアンケートにもご協力ください。
2016年08月09日*山の日イベントを開催します!*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
今年度から新たに国民の祝日として8月11日の「山の日」が追加されました!それを記念し、山岳公園である白山国立公園でも制定記念イベントを実施します。山に親しみ、山の恵みを感じることができるプログラムを用意していますよ。
☆ 山の日制定記念イベント おいでよ!市ノ瀬夏祭り ☆
【日時】平成28年8月11日(木・祝) 9:00~17:00
【場所】石川県白山市市ノ瀬 市ノ瀬集団施設地区
(市ノ瀬ビジターセンター、白山鳥獣保護区管理センター、市ノ瀬園地、岩屋俣谷園地)
【内容】①クイズラリー
②白山の写真展
③高山帯のいきもの展
④オオバコ茶試飲コーナー
⑤ゲームコーナー
⑥工作コーナー
詳細はこちらをご覧下さい↓
山の楽しみ方はなにも登山だけではありません。白山のふもとの市ノ瀬で、気軽に山を楽しんでみてはいかがでしょうか?普段とは違う発見や楽しみがきっとありますよ!こどもからお年寄りまで、どなたでもご参加いただけます。
当日は専用駐車場(無料)もありまので、ぜひお越しください!
2016年05月12日*開山に向けての大仕事!*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
4月末に白山公園線が異例の早さで別当出合まで開通し、5/1には白山室堂も素泊まりのみの営業を開始しました。晴れた週末には早くも登山者で賑わいつつあります。これから本格化する登山シーズンに向けて、5/7(土)に毎年恒例となっている別当出合駐車場の清掃をしてきました。
この日はあいにく小雨でしたが、白山国立公園パークボランティア14名とともに、パークボランティア活動の中でも1、2を争う重労働にとりかかります。
春の駐車場はこんな感じで、側溝には落ち葉と泥がつまり、落石も見られます。
大変だー・・といいつつ、みなさん何だか楽しそうな様子。
黙々と作業をします。
見違えるほど綺麗になりました!
側溝にすっぽりはまってしまった落石。これでは水が流れず詰まってしまいます。
ああでもない、こうでもないと知恵をしぼって・・・
とれた!!
結局作業中に雨はあがりませんでしたが、作業後の達成感は格別で青空の下にいるような清々しい気分でした。誰かに見られているわけでは無く、誰かに褒められたくてやっているわけでもありません。白山が好きだから白山のためにできることをしたい、という思いが白山国立公園パークボランティアの原動力で、感服します。写真もほんの一例で全て紹介できないのが残念ですが、15人で約1時間半がんばりました。
ゴミもこんなにありました。これらのごみは分別して数を数えて調査結果として残します。
せっかく綺麗になった駐車場ですから、ゴミを落とさないよう1人ひとりが気をつけて利用してくださいね。
2016年03月31日*白山と雪のはなし③ 植物との関わり*
白山国立公園 白山 アクティブレンジャー 小島永莉子
長いと思っていた冬も過ぎ去り、白山のふもとでも春を感じられるようになりました。もう2ヶ月もすれば本格的な登山シーズンに突入です。白山での楽しみの1つといえば高山植物!ということで、今回は植物たちについて少し紹介します。
白山には約250種の高山植物が生育すると言われていますが、これだけ数が多いのは地形や雪融けの違いにより多様な生育環境ができ、自然に住み分けがなされているからなのです。中でも雪が与える影響は大きいそうです。白山を歩いていると景色がどんどん変わっていくのと同じように、咲いている花の種類も場所ごとに変わっていきます。
観光新道のお花畑
白山のお花畑のイメージといえば観光新道などで見られる高茎草原だと思います。雪が積もる斜面に形成されるというおおまかな特徴がありますが、日当たりや雪崩の頻度などによって生育する植物はばらばらです。ニッコウキスゲやイブキトラノオなどで構成される見応えのあるお花畑は何回見ても感動します。
南竜ヶ馬場のイワイチョウ
南竜ヶ馬場のような水の豊富な湿原ではハクサンコザクラやイワイチョウといった植物が主に生育します。黄色く見えるのがイワイチョウです。
室堂平のクロユリ
雪が遅くまで残る湿潤なところを雪田といい、雪渓から流れ出る水がたくさん供給される場所です。クロユリ、ハクサンコザクラ、コバイケイソウなどが見られます。
山頂付近
雪が吹き飛ぶほどの強風が吹く山頂付近では背の高い植物は育たず、岩にへばりつくようにガンコウランが生育しています。左の写真のマットのように広がっている緑の植物がそれです。風があたらない岩陰でイワギキョウ(写真右)やイワツメクサが見られます。
簡単に紹介しましたが、水を作り出す"雪"が植物にとってとても重要なことがわかります。今年は本当に雪が少なく、この時期ならまだ真っ白でのっぺりとした綺麗な白山が見られるはずですが、だいぶ表面が見えてきています。今年はどんなお花畑を見せてくれるのでしょうか・・?
2016年02月03日*冬のお客さん*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
今年は雪があまり無く暖冬の影響を感じています。先月の寒波の到来でいっきに積もった雪もだいぶ溶けてしまいました。雪かきと屋根雪下ろしはやっかいですが、降らなければスキー場の運営や除雪作業など冬の仕事が無くなってしまうので、無くても困る存在です。
しかし暖冬とは言っても、山には相当量の雪が降り積もるのは変わらず、入ることはできません。冬の間は事務所にこもり事務仕事をしていますが、そんな日々のちょっとした楽しみはふらっと事務所に訪れる小さな来客です。パソコンに向かいながら気配を感じちらっと外に目をやると、かわいい鳥がいるのです。その愛らしい姿と仕草に癒されます。
ヤマガラ?かキビタキ?小さくて判別できません・・。
カケスはわかりやすいです。羽の青色が綺麗です。
ツグミでしょうか。餌を探していたようです。
どれも画質が悪いのはご容赦ください。今まで鳥は難しいという先入観にとらわれ興味が無かったのですが、少しずつ覚えて行くうちに可愛く見えてきました。あまり気にかけていなかった頃は見えなかったものが、興味の対象になるとどんどん視界に入り、こんなに身近にいたことに感動を覚えました。
今月、白山自然保護官事務所ではスノーシューで散策する自然観察会を実施する予定です。今回は白山国立公園が会場ですが、たとえ国立公園で無くても身近に自然はたくさんあるのだと改めて感じています。観察会を通し自然への興味を深めてもらい、すぐそばの小さな発見、小さな感動をどんどん増やしていくためのお手伝いができれば、とあれこれ思索中です。
白山自然保護官事務所周辺は一度は雪が積もりやっと冬らしい景色になったものの、それ以降は降る気配が無く、もう春になったのかと思うくらいです。この季節は道路が閉鎖されるため、しばらく公園中心部へは行けません。それでもこの時期の白山は真っ白に輝いていて特に美しいものです。そんなわけで、今回は視点を変えていろんな場所から白山を見てみましょう。
鷲走ヶ岳(石川県白山市)から
医王山(白π山・石川県金沢市)から
写真中央の遠くに見える山です。
鞍掛山(石川県小松市)から
白木峰(富山県富山市)から
写真中央から少し左に見える雪が残る山です。
上で紹介した山の共通点は「山頂から白山がみえること」です。どの場所からでも白山が見えると嬉しいものですが、がんばって登頂し美しい白山が見えた時はより一層感動します。
白山を望める山はたくさんあり、こちらに挙げたのはほんの一例にすぎません。天気が良いと遠く名古屋からも見えるそうですよ。こうして見てみると信仰の山と言われる所以がわかりますね。
※写真の撮影時期は3月~7月です。また、雪山登山をおすすめするものではありません。