2020年7月17日
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2020年07月17日密です
上信越高原国立公園 谷川 増田 多美
ここ最近巡視や現地調査の度に雨に降られ、梅雨明けが待ち遠しい谷川管理官事務所の増田です。
人間界ではソーシャルディスタンスを保ちましょう。と言われていますが、
植物の世界では関係なしにくっついています。
今回はそんな可愛らしい密になっている植物の姿を紹介していきます!
まずは、6月23日に谷川岳で見つけた可愛い密な植物です。
左:マイヅルソウ 右:ミヤマキンポウゲ
左:ホソバヒナウスユキソウ 右:ハクサンイチゲ
ホソバヒナウスユキソウは谷川岳と尾瀬の至仏山にのみ分布する珍しいお花です。
←ヨツバシオガマ(手前のお花)とミヤマキンポウゲ
谷川岳は初級者向けのコースから上級者向けのコースと様々なコースがあるので、登山レベルに応じた楽しみ方のできる日本百名山の一つです。
ホソバヒナウスユキソウのほかに、ジョウシュウアズマギクやオゼソウなど分布が限られているお花がいくつか生育していますよ☺
次に6月26日に平標山で見つけた密なお花です。
左:ゴゼンタチバナとツマトリソウ 右:アカモノ
左:ハクサンコザクラとチングルマ 右:ミヤマキンバイ
お花の山として人気なだけあって、このほかにも多くのお花が咲いていました。
写真を撮るのに夢中でお花畑に踏み込まないよう、気をつけましょう。
踏み荒らされてしまうと裸地化してしまい、綺麗なお花がみられなくなってしまいます(._.)
次に7月2日に苗場山で見つけた密なお花です。
左:イワカガミと2匹のモンシロチョウ 右:ワタスゲ
左:ベニサラサドウダン 右:オオシラビソの葉芽
山頂には環境省が定める日本の重要湿地500にも選ばれている自然豊かな湿原が広がり、たくさんの池塘が点在しています。
そこはまさしく「天空の楽園」でした!
↑苗場山山頂
いかがでしたか?
これからの時期人間が密になっていると暑苦しく感じますが、お花だと可愛らしくて癒やされますね☺✿
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上信越高原国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。上信越高原国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
2020年07月17日令和2年7月豪雨の影響
中部山岳国立公園 松下裕之
こんにちは。
上高地管理官事務所の松下です。
7月3日から続く大雨の影響で、上高地内の歩道では広い範囲で土砂崩れや橋の流失等の被害がありました。
特に7月7日から降り続いた雨による被害は大きく、先日、その状況を確認してきました。
【左岸(小梨平~横尾)】7/17日現在、歩道の状態が非常に悪くなっています。十分な装備のうえ通行してください。雨天時は通行を控えてください。なお、復旧工事や雨量により通行規制することがありますのでご注意ください。
六百沢では土砂が流出していました。 明神付近の白沢に架かる橋の被害
徳沢に架かる橋では水が越水する被害 左岸は早急に復旧工事が行われています。
【右岸(河童橋~明神)】7/17現在 岳沢湿原~明神間は通行止めです。
6月14日の大雨の影響で、今も歩道が埋まっています。
上部の土砂は、地震や雨の影響で現在も非常に不安定な状態です。除去作業も難しく、岳沢湿原~明神間の歩道は通行しないでください。
春から続く地震と今後の雨の影響で、上高地園内の遊歩道は、日々、状況が変わります。
また、国道158号も通行止め箇所が発生する可能性があります。
上高地は、大自然の中にあります。
お越しの際は、環境省中部山岳国立公園管理事務所HPの「【周知】中部山岳国立公園上高地地域における7月豪雨の影響について」をご確認ください。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
白山自然保護官事務所の大石です。
富山県南砺市に位置する桂湖の畔でオオキンケイギクの除去作業が行われました。
今年は新型コロナウィルス感染症の影響で開催できるかやきもきした時期もありましたが、感染予防対策を取って実施することができたので、今日はそのご報告をしたいと思います。
(桂湖。見ていると心が静かになる気がします)
オオキンケイギクをはじめとした外来種については、全国各地のアクティブ・レンジャーが報告しているのでご存知の方も多いと思いますが、ちょっと解説しておきましょう。
(オオキンケイギク)
オオキンケイギクはオレンジ色の可愛い花を付ける「外来種」です。
外来種とは、
もともとその地域にいなかったのに人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のことです。植物だったら外来植物と呼んだりしますし、外来生物という言葉もよく使われていますね。
三つ葉のクローバーでおなじみのシロツメクサや、ヒメジョオンなども外来植物です。
(左:シロツメクサ、右:ヒメジョオン)
外来種は、私たちの身近なところにたくさん分布していますが、日本の生物多様性に影響を与えることが心配されています。日本に昔からいた生き物たちの住みかや食べ物を奪ってしまったり、日本の生き物と雑種を作ってしまったり、日本の自然に影響を与えてしまいます。
そして、このような外来種の中には、特に影響力の大きな生き物が存在します。こうした生き物は特に注意が必要ということで「特定外来生物」に指定されています。
特定外来生物は、
外来生物の中でも特に生態系へ大きな影響を及ぼすものや、私たちに直接危害を加える恐れがあるもの、野菜や果物など農作物に被害を及ぼすものなどが、法律に基づいて指定されます。
現在、アライグマやカミツキガメなど約150種が指定されています。
また、特定外来生物は、飼育や栽培はもちろん、生きたまま運搬することも禁止されていて、違反すると罰則があります!
※ 詳しくは外来生物法をご確認ください。参考:日本の外来種対策
今回、桂湖で除去したオオキンケイギクは特定外来生物です。
オオキンケイギクはきれいな花を付けるため、多くの場所で緑化のために利用されてきましたが、生命力がとても強く、在来植物の生育場所を奪ってしまうことから、特定外来生物に指定されています。
桂湖でも増えてしまったため、地域の方と協力して除去活動を毎年実施しています。
継続した活動の成果か、湖岸付近では少なくなってきたようです。
しかし、草むらをかき分けて湖面に近い場所へ降りていくと、除去をかいくぐってきた強者たちがちらほら。
(草むらの向こう、湖面近くに花を発見!)
オオキンケイギクは地上に出ている葉をいくら刈り取っても、根茎が残っていると再び元気な芽を出してしまいます。このため、除去するときは根元からしっかり取り除きます。
(根元からしっかり除去)
花を付けた個体の近くには、必ずと言っていいほど小さな個体も生えているので、それもしっかり除去します。
(ヨモギの陰のオオキンケイギク。赤丸の箇所)
除去を始めたばかりの頃は、全然見つけられなかった小さな個体。今ではこの写真のように他の植物の陰に隠れていても見つけられるようになりました。
そして、こちらはオオキンケイギクに乗っ取られてしまったかのような法面。5月に草刈が行われたので花を付けたものは少なかったのですが、一面オオキンケイギクに覆われてしまっています。
(除去前:黄緑色の細長い葉は全てオオキンケイギク)
これを除去すること約2時間。
(除去後!)
かなり除去できました。
今年は25名で作業を行い、除去量は31袋、約179kg!
しかし、今回の作業でも取り切れなかった株がたくさんあるので、根絶への道はまだまだ先です。
地域の皆さま、これからもご協力よろしくお願いします。
そして、これを読んでくださっている皆さま、あなたの身近にもオオキンケイギクはあるかもしれません。身近な自然を守るためにも、除去にご協力をお願いします。
参考:特定外来生物「オオキンケイギク」の駆除にご協力下さい!