2020年7月20日
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2020年07月20日名古屋港にはスナメリがいるんです。
国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 西部理恵
皆さま、藤前干潟からこんにちは。
アクティブ・レンジャーの西部です。
この度の大雨による災害で被災された地域の一刻も早い復旧を祈っております。
藤前干潟(名古屋市、飛島村)のある東海地方でも各地で被害が報告されており、今後もしばらく雨が降る予報もあります。
週末にかけて藤前干潟へ来ることを検討されている方もいらっしゃるかもしれませんが、藤前干潟は庄内川のすぐそばにありますので、天気予報等をチェックして安全等には十分注意してお越しください。
藤前干潟周辺に設置されているライブカメラの情報を掲載しておきます。
●藤前干潟周辺のライブカメラ
・国土交通省庄内川河川事務所が提供する河川情報
https://www.cbr.mlit.go.jp/shonai/kasen/web/
・愛知県 川の防災情報
https://www.kasen-aichi.jp/Top.html?time=1594254717154
藤前干潟に関係する河川は、尾張東部(新川、庄内川)、尾張西部(日光川)です。
・名古屋市野鳥観察館
http://180.43.84.117:50000/live/index.html?Language=1&ViewMode=pull
さて、しばらくAR日記を更新していない間に、季節はすっかり夏になってきました。
新型コロナウィルス感染症が少し落ち着きを見せてきたことから、藤前干潟では、干潟の観察会などが再開され、干潟を楽しむ人たちの姿が見られるようになりました。
新型コロナウィルスの発生には諸説ありますが、自然環境の悪化も一因とされているようです。
身近にある藤前干潟という場所を活用し、ぜひ自然の不思議、楽しさを体感してもらえると嬉しいです。
自然の不思議、といえば、、、
藤前干潟の両センターが臨時休館していた5月、藤前干潟にスナメリが座礁しました。
藤前活動センターのスタッフが発見し報告をくれたのですが、残念ながら発見時にすでに死亡している状況でした。
皆さんは、名古屋港にスナメリがいること、ご存知でしたか?
私は、はじめてそれを聞いた時には、とても驚きました。
なんとなく、鯨類はもっと自分とは遠い海の話、のような気がしていたからです。
実は、スナメリは名古屋港でも良く目撃される鯨類で、ここ藤前干潟でも数は少ないものの、
毎年、1回は目撃報告があります。
稲永ビジターセンターには、藤前干潟周辺の生きもの紹介として、スナメリに関する展示もあります。
さて、この座礁したスナメリですが、
その後どうなったかと言いますと、なごや生物多様性センター(名古屋市天白区)で今後の研究等に活用いただけることになりました。
また、センターの皆さまのご厚意で、スナメリの解剖にも立ち会わせていただきました。
あまり写真でお見せすることは出来ませんが、当日の様子です。
大きな生きものの解剖には始めて立会いましたが、大変な作業でした。
今回のスナメリは、尾びれがすっぱり切れて無くなっていたので、弱って座礁したのかもしれません。
しかし、中には特に異常の見つからない個体でも座礁することがあることから、
鯨類の座礁については、なぜそのような行動をするのか良くわかっていないことも多いのです。
生きものって一つ一つをきちんと観察すると、とても不思議で面白いですね。
そして、その不思議を解き明かしていく作業は、根気も体力もいる大変な仕事ですが、とても素晴らしい仕事だと思いました。
後日、なごや生物多様性センターさんから、骨格標本にしたスナメリの写真をいただきました!
(写真提供:なごや生物多様性センター)
今回ご協力いただいた「なごや生物多様性センター」では、名古屋市内の様々な動植物に関する標本を保管し、研究や普及啓発活動を行っています。
一般の方への普及啓発も積極的に実施されており、生物多様性カフェをはじめとする生きもの講座など様々な企画があります。
今年度は、新型コロナウィルス感染症の関連で、中止となっている講座があるかもしれませんが、ぜひホームページものぞいてみてください。
→なごや生物多様性センターhttp://www.city.nagoya.jp/kankyo/page/0000066409.html
→なごや生きものライブラリーhttps://ikimono.city.nagoya.jp/
→生きものコラム https://ikimono.city.nagoya.jp/category/column/
このスナメリに関して、骨格標本の作製過程や骨格からわかることなども書かれています!
□□□□□藤前干潟プチ情報□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
稲永ビジターセンターは、稲永公園の松林の中にあります。
この時期、稲永公園ではこんな可愛い花に出会えます。
ツユクサ
ツユクサ、と言います。
いわゆる雑草の類いになるのかもしれませんが、とても可憐でかわいらしい花ですよね。
私は、この青い色がとても好きです。
ツユクサは、別名「螢草」とも言うそうですよ。
どうやら形から来ているようですが、黄色い雄しべの部分は螢がポッと光っているようですよね。
このツユクサ、皆さんのご自宅周辺などでも、きっと見つかると思います。
もし探すときは、朝、探してくださいね。
午後になると花がしぼんで、この美しい青い花をみることは出来ません。
ただし、足下ばかり見て、壁などにぶつかったりしないように注意してくださいね!
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2020年07月20日沢渡の池尻湿原
中部山岳国立公園 小森 夏奈
みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。
上高地へ至る重要な乗換拠点の松本市沢渡(さわんど)地区。
沢渡ナショナルパークゲートや市営・民間の駐車場があり、松本方面から上高地を訪れる人は、ここで車を停めてバスかタクシーに乗り換え上高地に向かいます。宿泊施設も複数あり、上高地観光と併せて乗鞍や白骨への観光周遊の拠点にも便利です。
沢渡ナショナルパークゲート
さて、ここ沢渡は上高地管理官事務所の担当地区でもあり、今回は『池尻湿原』を巡視してきました。
松本市公式観光情報のデジタルパンフレット『ウォーキングガイド~松本を歩く』でも、ガイドマップを見ることができます。
池尻湿原は28ページに掲載されています。
国道158号から、林道に入っていきます。道標に従いながら、林道を30分弱ほど歩くと湿原手前の駐車場に着きます。この駐車場までは車での通行も可能ですが、砂利道で道幅は狭くすれ違いができません。運転に不安のある場合は、沢渡地区の駐車場に駐車してから、歩いて行くことをおすすめします。
国道から入ってすぐの看板 湿原手前の駐車場
周辺にはツキノワグマやイノシシ等が棲息しています。歩道脇にはクマよけのベルがありますので、鳴らしながら進みましょう。また、歴史や植物の看板も充実しているので、じっくり読みながら池尻のことを知っていただければと思います。
池尻から安房峠を越え、飛騨を経て越中へ至る道を、この辺りでは『鎌倉街道』と呼びました。中世、幕府が鎌倉に開かれると、あらゆる主要道路は鎌倉へ向けて整備され、物資の交流が盛んになったと言います。その当時の武士達が「いざ鎌倉」と鎌倉へはせ参じた道なのかもしれません。
湿原の入口には東屋があり休憩できます。
湿原の周りは1周10分ほどで周回できます。緑のリフレクションが美しいです。
湿原内では時期になるとミズバショウやミツガシワ、モウセンゴケを見ることができます。
今日は湿原入口でヤマオダマキやウツボグサが咲いていました。写真を撮ったのですが、ピントが合っていませんでした(>_<)
また、湿原から徒歩10分弱で『池尻砦』まで行くことができます。
この砦は武田信玄の縁の地であり、軍記にも登場しています。ここから白骨方面へも歩道がつながっており、昭和20年代に白骨温泉までの車道ができるまでは、湯治客はこちらの道を通って白骨まで向かっていたようです。
喧噪から離れ、手つかずの自然の中で静かな森林歩きを楽しむことができます。
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令和2年7月豪雨による水害と、近辺で多発している地震により、上高地園内の遊歩道は、日々、状況が変わります。通行止め箇所が発生している可能性もありますので、上高地へお越しの際は、自然公園財団上高地支部のHP情報をご確認ください。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
環境省では令和2年度ライチョウ保護増殖事業により、乗鞍岳から中央アルプスへ3家族20羽程度(1家族あたりメス親1羽とその雛6羽程度)移植する予定です。
巣探しを経て移植予定となった3家族は、7/2、5、6にヒナが孵化しました。
孵化から移植までの間は、悪天候時でも体温調節や捕食者から身を守ることができるように、ケージで保護しています。
あらかじめ設置しておいたケージまでは、家族ごとに誘導して保護しています。
今年の7月豪雨は、乗鞍岳のある中部山岳国立公園南部地域でも被害を受けました。
ケージ保護の環境下であっても、例年に比べて悪天候が続く今年は厳しい状況です。
それでもライチョウたちは頑張って生きています。
天気が落ち着いている時は、関係者が見守る中ケージの外に出て散歩や高山植物を食べます。
ヒナたちも徐々にたくましくなってきています。
乗鞍岳から中央アルプスへの移植はヘリコプターで移送する予定です。
また、捕食者等のモニタリングを行いつつ、中央アルプスへ移植した後もケージ保護を行っていく予定です。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内トピックス、ライチョウ保護増殖事業等についてに掲載しています。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。