ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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伊勢志摩国立公園 志摩

236件の記事があります。

2018年04月04日横山展望台の一部が新しくなりました!

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

伊勢志摩国立公園では「国立公園満喫プロジェクト」の一環として

志摩市阿児町にある横山園地の再整備を行っています。

今回、横山展望台の展望デッキをはじめ3箇所の展望施設が完成し、

3月31日から利用できるようになりました。

■横山展望台展望デッキ

供用開始前には完成披露会がおこなわれました。

■木もれ日テラス

ケヤキやスダジイのつくる木かげがあります。

■そよ風テラス

標高が高く海にも近いため、英虞湾の景観に迫力があります。

8月には横山展望台に天空カフェテラス(カフェ併設の休憩所)がオープンする予定です。

また、展望台駐車場および駐車場にアクセスする車道についても同時に供用を開始する予定です。

ぜひ英虞湾の景観を楽しみに来て下さい。

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2018年02月20日レンジャー出前授業@代々木高校2回目

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

2月13日(火)に代々木高校フリースクールで2回目の出前授業をおこないました。

前回は横山園地に来てもらいビジターセンター周辺の自然調査をしましたが、

今回は代々木高校の周辺で、より実践的な調査をおこないました。

代々木高校はもともと旅館だった建物を利用しています。

全域が伊勢志摩国立公園の第3種特別地域に指定されている賢島にありますが、

周辺には近鉄賢島駅や大型のホテル、水族館なども整備されおり、

開発の進んだ地域になります。

はじめに、代々木高校の校舎周辺で植物の名前を記録しました。

高木か低木か、落葉樹か常緑樹か、草本か木本か、

外来種か在来種かなどについても見分けて記録しました。

次に賢島金刀比羅宮でも同様の調査をおこないました。

ここは神社なので古くからの自然が残っている場所です。

調査結果は学校に戻ってから模造紙にまとめました。

2箇所に共通して見られた種、どちらかの場所にしか見られなかった種で分けると、

賢島には全体に常緑広葉樹が多く見られること、

代々木高校周辺では草本や外来種が多く見られたことなどがわかりました。

今回の調査結果は、主に賢島を利用する観光客の方に、

賢島にはどんな種類の植物があるのかを伝えるために作成しました。

短い時間の作業でしたが、とても良い作品が出来上がったと思いました。

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2018年02月05日レンジャー出前授業@代々木高校

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

1月30日に「レンジャー出前授業」を行いました。

これまでの出前授業では、レンジャーが学校などに赴いて行うことがほとんどでしたが、

今回はこちらのホームグラウンドである横山ビジターセンターに来てもらっての授業となりました。

対象は通信制高校である「代々木高校賢島校」の生徒さんです。

フリースクールの一環としてビジターセンターを訪れていただきました。

センターの役割や建物について紹介しています。

続いて、国立公園やレンジャーの仕事についてお話しをさせてもらいました。

横山園地で冬の植物を「調べる」活動の体験をしました。

観察した物はカメラで「記録」しました。

記録した写真を「伝える」ためにビジターセンターに掲示します。

今回実施した「調べる」「記録する」「伝える」は、

レンジャーが国立公園の自然を守るために行っている活動の基本となるキーワードです。

今回はその3つを体験しながらレンジャー活動について知ってもらいました。

次回は代々木高校の周辺で、より実践的な活動をしてもらう予定です。

どうぞお楽しみに。

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2018年01月24日アカガエルの産卵が始まりました!

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

伊勢志摩国立公園から、早くも春を感じさせる話題です。

アカガエルはまだ寒い冬の間に冬眠から目覚め、水辺で産卵をするカエルです。

今年は1月18日の調査で、最初の産卵を確認することが出来ました。

アカガエルの卵は、およそ300個から800個くらいの卵が集まった塊になっています。

浅い水辺に産み落とされたものを、一つ一つ持ち上げて確認します。

このように卵塊が崩れずに持ち上がるのは、ニホンアカガエルの卵です。

ヤマアカガエルの卵は、持ち上げると崩れてしまいます。

確認した卵塊には、日付を書いたマークをつけておき、

無事にふ化するように見守ります。

まだ寒い冬の水辺ですが、アカガエルの卵を探しに出かけてみませんか?

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2017年12月20日レンジャー出前授業@志島小学校

伊勢志摩国立公園 志摩 アクティブレンジャー 半田俊彦

12月18日に志摩市立志島小学校で出前授業を行いました。

「大好き志島」をテーマに5月から4回にわたって

特別な授業を行ってきましたが、

今回が最終回、まとめの授業になります。

伊勢志摩国立公園のレンジャーは自然を守るために、

「調べる」「記録する」「伝える」という3つの活動を行っています。

今回は「伝える」ための活動を実践します。

これまでの授業を通して発見した、志島地区の良い所や自慢したい所、

未来に残していきたい大好きな志島の海について、

4回の授業に沿って模造紙にまとめてもらいました。

いその生物観察を行った授業のまとめです。

海女さんがゲストに来てくれたときのまとめです。

海底地形図を作ったときのまとめです。

漁師さんがゲストに来てくれたときのまとめです。

完成した作品は学校内のほか、

志島小学校の閉校記念式典や横山ビジターセンターでも展示され、

たくさんの方に見ていただくことで志島の魅力を未来へ伝えてくれる予定です。

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2017年12月14日伊勢志摩を外国人観光客にも、楽しんでもらうために②

伊勢志摩国立公園 麻生里衣

いつもの内容と変わって、今回は観光地としての国立公園についてです。


伊勢志摩国立公園は、世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化し、より多くの訪日外国人に来てもらうための活動に取り組んでいる国立公園の一つです。その活動の一環として、11月に4名の外国人アドバイザーを招いて、外国人対応を行っている或いはこれから行おうとする9つの事業者さんを訪問するツアーが実施されました。


伊勢志摩国立公園は96%以上の面積が民有地で、この地域には古くから人々の文化や歴史、信仰があり、それらが自然と共に見られることが大きな特徴の一つです。海女文化や御食つ国としての食文化、地元の大切な産業である真珠養殖などは、伊勢志摩の豊かな自然に支えられています。

今回は、志摩自然学校さんの「志摩の国 ガイドウォーキング ~灯台と石積みのある波切漁村を歩く~」について書きたいと思います。

大王 志摩自然学校 ツアー

「絵描きの町」としても知られる大王町。

とっても絵になる石積みの街並みを歩きます。

天候にも恵まれ、青空を映して海が青く輝きます。

波切 海

小高い丘の上に、タイムスリップしたかのような歴史を感じる建物が見えてきました。

こちらは、波切節「かつおの天ぱく」さんの鰹いぶし小屋です。

波切節 鰹節 天白 見学

歴史を感じる、趣のある建物です。

波切節 鰹節 天白 見学

白煙が漂う小屋の中で、天ぱくのご主人のお話が始まります。

波切 鰹節小屋 見学

この志摩市大王町にある波切は、志摩市磯部町にある「伊雑宮」が奈良時代に建てられた頃から、鰹漁が盛んに行われていた場所だったのだそう。

奈良時代、ここ波切(なきり)は「魚切里」と書かれており、鰹節はこの地域の重要な産業だったといいます。その頃から、この地で作られた鰹節が伊勢神宮の御食(お供え物)として奉納されてきたのだといいます。

そして大切なのが、この薪木!

これば「ウバメガシ」という、この辺りではよく目にする木で、備長炭の材料になります。

ウバメガシ 鰹燻小屋

古くから「里山」として利用されてきたこの地域の森では、人の手が入ることによって自然のバランスが保たれてきました。ウバメガシを薪として使う鰹節小屋の存在が、里山管理に貢献してきたのでしょう。

自然の恵みを受けて育った鰹やウバメガシの木を使い、作った鰹節を神宮の神々に供え、そして自分たちもその後頂く、という営みが昔から脈々と受け継がれてきたことを感じました。

この日本特有の精神性には、外国人アドバイザーたちもとても感心したようです。

かつお燻し小屋を後にし、お散歩は続きます。

ガイドさんが大王崎灯台の見えるロケーションに連れて行ってくれました。

大王崎 灯台 波切

各地に様々な文化がある日本ですが、中には時代の変化と共に失われようとしているものもあります。

そういう魅力を外国に発信していくことで、守っていくお手伝いを出来たらいいなと感じました。

↓今回ご紹介した、波切ツアーに関するお問い合わせはこちら↓

* 志摩自然学校 *

http://www.shima-sg.com/

* 波切節「かつおの天ぱく」 *

http://www.katuobushi.com/

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2017年11月07日湿地の植物観察会

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

以前にもこのAR日記でお伝えしましたが、

伊勢志摩国立公園の南伊勢町押渕地区には良好な自然の残る湿地があります。

ここで11月5日(日)に横山ビジターセンターの自然観察会として

植物観察会と今年度実施した植物調査の報告会を行いました。

この湿地では12種の絶滅危惧種が記録されていますが、

そのうち2種は近年消滅してしまいました。

植物観察には遅い時期でしたが、

それでも7種の絶滅危惧種を観察することができました。

湿地内を流れる水路では、ヒメコウホネやヒメミクリ、

ミズトラノオ、ヒルムシロなどの水草が群生していますが、

最も旺盛に繁茂しているのは外来種のコカナダモです。

ここに生育していたアサザが消滅した要因の一つに

コカナダモの影響が考えられています。

ここは湿地内でも遷移が進んでハンノキが大きく成長した場所です。

地面の乾燥化が進んで湿地の植生ではなくなった場所もありました。

また、ここには外来種であるホテイアオイの大群落も見られました。

ゴマシオホシクサです。

丸い頭花がとてもかわいらしいです。

ナガバノウナギツカミです。

夏にはほとんど目立たない植物でしたが、

ピンク色の小さな花があちらこちらに見られました。

押渕地区の湿地は元々水田だった場所です。

この場所の自然を守るためには、ある程度人の手を加えて管理し、

植生の遷移を止めてあげる必要があると思います。

また、侵入した外来種をどうやって駆除したり管理したりするのか、

地域の住民や自治体と一緒になって考えていく課題もたくさんあります。

志摩自然保護官事務所としても今後も関わり続けていきたいです。

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2017年10月31日神島を巡視

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

鳥羽市の離島である神島には、

島内を一周するように近畿自然歩道が整備されています。

また、2012年には環境省が標識等を整備しましたので巡視をしてきました。

神島の家並みです。

細い路地と坂道とともに屋根や壁のカラフルな色が離島らしさを伝えます。

アサギマダラです。

渡りのピークは過ぎましたが、それでも10頭ほどに出会いました。

神島ではアサギマダラのために、除草時にアザミを保護しているそうです。

伊良湖岬方面の展望です。

神島は三重県の鳥羽市ですが、愛知県の伊良湖岬の方が近くにあります。

監的哨から見た島の南側の弁天岬方面の展望です。

奥に見えるのは鳥羽市の石鏡方面や菅島です。

白い石灰岩がそそり立つカルスト地形です。

手前の黄色い花はアゼトウナです。

ツワブキの花を訪れているのはチャバネセセリです。

アザミの花にはアサギマダラだけでなく、スズメガの仲間が群がっていました。

ハチドリのような姿で吸密する様子がかわいいです。

コセンダングサにはウラナミシジミが見られました。

神島は三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台として、

また秋には猛禽類のサシバの渡りが有名で、

とても魅力的な島です。

今回は施設の点検をするとともに自然情報を収集してきましたが、

いろいろな切り口で何度でも訪れたい島です。

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2017年10月16日南伊勢町押渕湿地の昆虫調査

伊勢志摩国立公園 アクティブレンジャー 半田俊彦

伊勢志摩国立公園のパークボランティア活動では、

南伊勢町の押渕湿地における生物調査に昨年度から取り組んでいます。

10月2日に小雨の降る中、1時間程度でしたが昆虫の採集を行いましたので

結果を報告します。

確認(標本を採集)した昆虫(同定はパークボランティアの中山惇さんが行いました)

【トンボ】

・ヒメアカネ

・アキアカネ

・ハグロトンボ

【バッタ・コオロギ】

・ハヤシノウマオイ

・マダラバッタ

・セスジササキリモドキ

・カネタタキ

・シバスズ

・ヒナカマキリ

・ヒシバッタsp.

・ハラビロカマキリ(目視・写真)

【カメムシ】

・エサキモンキツノカメムシ

・クサギカメムシ

・チャイロナガカメムシ

・チャバネアオカメムシ

・ツマグロオオヨコバイ

・オオアワフキ

【甲虫】

・ルリマルノミハムシ

・キイロテントウダマシ

・マダラアラゲサルハムシ

・チビカサハラハムシ

・ヒレルホソクチゾウムシ

【アブ】

・ホソヒラタアブ

【チョウ】

・チャバネセセリ

・キチョウ

・ジャノメチョウsp.

・イチモンジセセリ(目視・写真)

【ガ】

・ホタルガ

・ヤガsp.

今年度の調査では、いわゆる「普通種」についても

きちんと標本を残しておくことを念頭に調査をしています。

余り大量に取ると後からの作業も大変になりますので

少しずつ進めていきたいと考えています。

11月5日(日)には押渕湿地における主に植物に関する自然観察会と、

今年度横山ビジターセンターで実施した植物調査の報告会が行われます。

こちらも楽しみです。

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2017年10月13日南伊勢町の特別保護地区を調査

伊勢志摩国立公園 志摩 アクティブレンジャー 半田俊彦

国立公園には「特別保護地区」といって厳正に景観を保護する地区が指定されています。

伊勢志摩国立公園の特別保護地区は、

内陸部にある伊勢神宮宮域林などの森と、南伊勢町の海岸部に指定されています。

しかし南伊勢町の特別保護地区は離島や半島の先端部など歩いて行けない場所が多く、

なかなか訪れることが出来ません。

そこで先日、伊勢志摩国立公園パークボランティアの活動として、

船をチャーターして南伊勢町神前浦の海岸部を調査してきました。

この日は曇天で暑くもなく、また海面は鏡のように穏やかでした。

まさに海の調査日和です。

「定ノ鼻」と呼ばれている岬の先端部です。

人為による改変がいまだ入らない原生に近い自然を残しており、

厳正な景観の保護を図る必要性の高い地域として

特別保護地区に指定されています。

「弁天島」という無人島です。

周囲はほとんど断崖となっており、常緑樹の巨木やウバメガシの高木、

海岸性のスダジイ林なども存在することなどの理由から、

特別保護地区に指定されています。

しかし、訪れてみるとカワウの営巣などによって大きく被害を受けていました。

「飛鳥池」という海跡湖のある浜です。

ここは第一種特別地域に指定されています。

伊勢志摩地域では、堤防などの人工物が全くない浜は珍しい場所です。

飛鳥池の様子です。

海水の流入がほとんどないようで、水は緑色に濁っており、

水生植物としてはセキショウモだけが見られました。

チョウジソウです。

レッドデータブックに記載される絶滅危惧種ですが、

有毒でシカによる食害を受けないため増えているそうです。

モロコシソウです。

三重県では絶滅危惧種になっています。

これもシカによる食害を受けない植物です。

サカキカズラの大木です。

熱帯のような景観ですね。

伊勢志摩国立公園では珍しく、

人の手がほとんど入っていない原生に近い自然を感じられた一方で、

シカやカワウなどの動物による害についても考えさせられた調査でした。

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