中部山岳国立公園 松本
241件の記事があります。
2020年06月16日ライチョウの巣探し
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
中央アルプス駒ケ岳周辺や乗鞍岳では、ライチョウの巣探しが進んでいます。
ライチョウの巣を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。
それもそのはず。ライチョウは主にハイマツの下に巣を作るので、登山道を歩いているだけではライチョウの巣はほとんど見えません。
(ライチョウの巣)
中央アルプスの無精卵と動物園で飼育されている個体が産んだ有精卵の入れ替えや、乗鞍岳でのケージ保護などを行うにも巣を探す必要があります。
巣を探すために、広大なハイマツ林をむやみに歩き回る訳にもいきません。
そこで、親ライチョウをよく観察し巣のありかを特定しています。
まず、雪どけから産卵までのライチョウの行動を紹介します。
・高山帯で餌が得られない冬には森林限界付近まで移動して過ごしていたライチョウが
雪どけと共に再び高山帯に集まってくる
・オス同士のなわばり争いが激しくなる
・雪どけの早い場所からなわばりが決まってくる
・5月に入ると多くのなわばりにメスが現れ一夫一妻のカップルが成立
・5月末から6月上旬にメスは卵を産み始める
・6卵程度の卵を産み終える6月中旬にメスは抱卵を始める
・抱卵はメスが1羽で行うため、メスはなかなか巣を離れることができない。
・抱卵中のメスは1日数回採餌や排泄のために巣を離れる。
巣を探すには、抱卵中のメスが巣を離れるのをじっと待ち、メスを見つけたら行動をじっと観察し、巣に戻るのを待ちます。
(巣探し調査の様子)
巣探しは写真のようになわばりが見渡せる場所でじっと待ち、いつ巣を離れるかわからないメスが現れるのをじっと待ちます。
写真でフィールドが広大なのが伝わりますでしょうか?この時期は日差しが強かったり、吹雪になったりと高山帯は厳しい環境です。
さらにメスは明け方や夕方遅くに巣を離れることが多いのですが、メスが卵を抱く時期は夏至が近いこともあり朝は4時前から、夜は18時を過ぎるまで調査を行うこともあります。
ライチョウの巣探しは忍耐のいる厳しい調査なのです。
季節の進み具合やライチョウの行動のタイミングを読みながら、同事業を進めています。
皆さんがライチョウの巣を見たことがない理由がおわかりいただけましたでしょうか。
現地の情報も随時アクティブ・レンジャー日記にUPさせていただければと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内トピックス、ライチョウ保護増殖事業等についてに掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月15日ライチョウ飼育卵の野生復帰
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
前回までの日記で、ライチョウの生息域内保全としての南アルプス北岳周辺での取り組みや、中央アルプスにおける野生復帰や移植について書かせていただきました。
今回は、生息域外保全の取り組みを紹介させていただこうと思います。
生息域外保全は、急激に個体数が減少してしまうことを考慮し、野生個体が存在するうちに飼育・繁殖の技術や科学的な分析を行うことを目的に、ライチョウの場合は公益財団法人日本動物園水族館協会の協力で行われています。
平成27、28年度に乗鞍岳で採卵し、その子どもたちが現在6つの動物園で飼育されています。
厳しい環境で生き抜くために動物にとっては消化しづらい物質や、ともすれば毒となるような物質を含んでいる高山植物を主食としているライチョウは、お腹の中に植物に含まれる物質を分解するための腸内細菌を飼っています。ライチョウの雛は、お母さんのフンを食べることでこれらの腸内細菌を受け取っていることが最近明らかになり、飼育個体についてもこの食糞や腸内細菌を活かした飼育技術の開発に取り組んでいます。
人間でも"腸活"がクローズアップされていますが、生きものっておもしろいですね!
飼育下で孵化した雛 H28.7.1撮影(大町山岳博物館提供)
今年度は、中央アルプスのメスが産んだ無精卵と動物園での飼育卵を入れ替え、野生復帰させる予定です。
飼育卵は6/5に中央アルプスの山麓に運ばれ、6/7に8卵の入れ替えが行われました。
卵の入れ替え準備の様子
卵を入れ替えた後の様子
無事に孵化してかわいい雛の姿を皆さんにお届けできることを願うばかりです。
野生下で生きていくので全ての雛が成鳥になれるとは限りませんが、孵化後はケージ保護を行い生存率を向上させる予定です。
この卵の入れ替え作業の前に、巣探しが行われました。これは簡単な事ではありません。
巣探しを通してライチョウをもっと知っていただけると思いますので、次回の日記で紹介したいと思います!
6月上旬の中央アルプス駒ケ岳の雪解け状況
現地の情報も随時アクティブ・レンジャー日記にUPさせていただければと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内トピックス、ライチョウ保護増殖事業等についてに掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月12日乗鞍岳と中央アルプスでのライチョウ事業
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
環境省では令和2年度ライチョウ保護増殖事業により、動物園で飼育されている日本のライチョウの有精卵を中央アルプスのメス個体の無精卵と差し替えて野生復帰させることと、乗鞍岳から3家族20羽程度(1家族あたりメス親1羽とその雛6羽程度)を中央アルプスに移植することを予定しています。
今回は、乗鞍岳から中央アルプスへの移植について書いてみたいと思います!
ライチョウは、6月頃に産卵し6月末~7月上旬に孵化します。
生まれたばかりの雛は体温調節ができないため、梅雨の悪天候に合ってしまうと死んでしまうことが多いです。
また、孵化直後の雛は飛ぶことができず、捕食者から逃げることもままなりません!
(Kobayashi and Nakamura 2013一部改変)
孵化後の約1ヶ月は生存率が特に低く多くの年で半数以上の雛が孵化してから1か月間で死んでしまっているのがわかりますね。
逆に雛が独立する盛夏以降は、安定しています。
今年度予定している移植事業では、夜間や悪天候時でも体温調節や捕食者から身を守ることができるように、乗鞍岳で産まれた雛とメス親をケージで3週間ほど保護する予定です。
このケージ保護は、南アルプス北岳周辺でも大きな効果を上げることができました。
(南アルプスでケージ保護を行った際の様子)
(令和元年度保護増殖事業検討会資料一部改変)
ケージにより雛を保護することで生存率を向上させ、乗鞍岳のライチョウ個体群になるべく負荷をかけないように移植をすることができるためです。
移植先の中央アルプスでもケージ保護を行い、現地の環境に慣らした後に放鳥する予定です。
現地の情報も随時アクティブ・レンジャー日記にUPさせていただければと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内に掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
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なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年06月10日ライチョウのために
中部山岳国立公園 関根陽太
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
皆さんライチョウは見たことありますか??
標高の高い山に生息して、中部山岳国立公園でもシンボリックな存在となっています。
見た目も動きもかわいくてたまらないですね~
このライチョウですが、1980年代には国内に約3,000羽が生息していると推定されていましたが、2,000年代初頭には1,700羽程度に減少してしまったことが信州大学の研究で分かっています。
(ライチョウの個体数の変化:信州大学調査)
環境省では、このような希少な野生動植物について「保護増殖事業」を行っています!
アホウドリ、イリオモテヤマネコ、トキなどもこの事業により、個体の繁殖促進、生息地の整備等を実施しています。
ライチョウを絶滅の危機から守るために、減少が著しい南アルプス北岳周辺などでも取り組みが行われ、平成27、28年度に乗鞍岳で採卵し動物園で生息域外保全として飼育技術の確立を行っています。
また、平成30年度にはライチョウが絶滅したと思われていた中央アルプス木曽駒ヶ岳で約50年ぶりにライチョウが発見されました。
発見されたのはメス1羽で、遺伝子から乗鞍岳、もしくは北アルプスから飛来したことが判明しました。
仮に乗鞍岳から飛来したとしても直線距離で約40kmも離れています。びっくりですね~!
雪のある時期に、中間にある山を経由して移動したと考えられています。
令和元年度には、乗鞍岳で採取した有精卵を移植し孵化まで成功しましたが、残念ながらその後悪天候や捕食等によって雛は全滅してしまいました。
先日5月21日に中央アルプスのメス1羽の生存が確認され、
保護増殖事業計画に基づいて、ライチョウ全体の絶滅リスクを低減させるためにも中央アルプスの個体群復活について取り組んで行くこととなりました。
具体的には動物園等の飼育卵を中央アルプスのメスの無精卵と差し替えて野生復帰させることと、乗鞍岳から3家族20羽程度(1家族につきメス親1羽とその雛6羽程度)を中央アルプスに移植する方法です。
乗鞍岳で採卵したり、雛、成鳥を中央アルプスへ移植したりして大丈夫なの?
中央アルプスへ移植した後も天敵への対策はどうなっているの?
と疑問もあるかと思います。
それについては、次回の記事に書いていきたいと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内に掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
(乗鞍高原から眺めた乗鞍岳)
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2020年06月02日地域の相談役
中部山岳国立公園 関根陽太
こんにちは。中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
前回の記事で、国立公園内での様々な行為について取り上げましたが、行為の場所や内容に応じて自然公園法に基づく申請手続きが必要となります。
先日は、乗鞍高原でのツアープランを考えている方から各種設備を設置したいとのことで事前に相談があり、関係者の方々と現地調査に行ってきました。
法令や公園計画、管理計画等に基づき、自然景観への配慮をお願いするほか、利用者の安全や快適性、国立公園としての利用がより良いものになるよう、打合せを行いました。
このように、行為内容について事前にご相談をいただければ、その場所と内容に応じて様々な視点から指導・助言をさせていただきます。
レンジャーの業務は、皆さんが思っているよりも幅が広いかもしれません。
国立公園が持続的な地域づくりに貢献できるように、アクティブ・レンジャーもお手伝いさせていただければと思います!
国立公園に関する、ご不明な点がございましたら、最寄りの事務所までお問い合わせください。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年05月26日#STAYHOME レンジャーの仕事
中部山岳国立公園 関根陽太
こんにちは。中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
今回はレンジャーの仕事も紹介させていただこうと思います!
現地勤務するレンジャーが管理する国立公園は、『自然公園法』に基づき日本を代表する自然の風景地を保護し利用の促進を図る目的で環境大臣が指定する自然公園のことです。
保護と利用については、国立公園ごとに『公園計画』で定めています。
保護については、地種区分として6つにランクに分け段階的な規制を掛けています。(海の無い地区は5つです!)
利用については、宿や休憩所、駐車場、歩道、車道などの利用施設を計画し、執行者によって運営されています。
地種区分は、特別保護地区や特別地域などがあり、生物多様性センターのWebGISのページでご覧いただけます!
一番規制が強い特別保護地区を取り囲むように段階的に計画されているのが分かります!
制度について詳しく知りたい方は、日本の国立公園HP内をご覧ください。
規制されている区域内で植物や岩石を採取したい研究機関の方もいますし、建築工事だってありますし、宿を営んだりしながら国立公園内に生活している方々もいらっしゃいます。
そういった活動のうち、区域に応じて規制される行為を行う場合や公園事業の変更を行う場合などについては申請書を提出していただき、国立公園内での様々な行為などを審査して、許可・認可する業務がレンジャーの仕事のひとつです。
審査は、地域ごとの特性に合うように作られた、『管理計画書』に沿って進められます。
まずは、乗鞍地域や上高地などが属している中部山岳国立公園南部地域管理計画書を見てみましょう!
審査の方針には、構造物等の材料や色、動植物の採取についても書かれています。
「このように、国立公園の景観と自然に配慮しているのか~」と、国立公園に行ったことはあっても知らないような、管理の目線から国立公園を知れると思います!
申請内容を審査する服部レンジャー
国立公園に関する、ご不明な点がございましたら、最寄りの事務所までお問い合わせください。
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中部山岳国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、都道府県をまたいでの不要不急の来訪や、感染リスクが高まるような行動の自粛をお願いしています。お出かけの前に、各自治体や訪問先が発信している情報をご確認ください。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年05月20日#STAYHOME 後立山巡視
中部山岳国立公園 関根陽太
こんにちは。中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
ゴールデンウィーク中、後立山地域の各登山口を巡視してきました。
#STAYHOMEや自粛が呼びかけられる中、国立公園の利用状況を把握することは
環境省の現地事務所にいる私たちの役目です。
自粛にご協力いただいていることや、駐車場の閉鎖、登山口へのバス、ゴンドラ等が運休となっていることもあり、多くの方々に登山等の利用を控えていただけました。
立山黒部アルペンルートも休業しているため駅舎はシャッターが閉まり扇沢の静かな空間が広がっていました。
最新の情報は、下記をご確認ください。
カラマツ芽吹きはじめ、雪解けと共にふきのとうも顔を出しています。
季節は巡っていますね!
大町市観光協会HPにある登山道等のGoogle ストリートビューもおもしろいので、ぜひチェックしてみてください!
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中部山岳国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年05月19日#STAYHOME 雪どけ後の点検と乗鞍岳
中部山岳国立公園 関根陽太
こんにちは。中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
環境省が乗鞍高原で直轄整備・管理している施設の点検をしてきました。
歩道や木道、橋、案内板、トイレなど、環境省では様々な利用施設を整備しています。
特にこの時期は、冬の間に壊れた箇所がないか念入りにチェックしています!
昨年、木道の滑りやすい箇所に滑り止めネットを張ってみました。
雪どけや、紅葉の時期には滑り止めネットの中に入った落ち葉の清掃が必要ですが、以前より安全に歩いていただけるようになったかと思います。
自分の目と足だけでなく、利用者や地元の方の声や情報にもアンテナを張りながら、順次安全対策を進められればと思います!!
この時期、乗鞍岳の雪どけ状況も気になりますよね~
新緑や融雪など日々の自然環境の変化を観察するには、ライブカメラを活用する方法もあります!
環境省が運営するインターネット自然研究所では、「乗鞍高原からみた乗鞍岳」をはじめ、全国の国立公園等に設置した固定カメラで撮影したライブ画像を公開しています。画像は日中1時間間隔で更新され、過去の画像をデータベースとして蓄積しています。「乗鞍高原からみた乗鞍岳」は、2002年からの画像が蓄積されています!!
「日別」や「月別」で表示してみると、季節の移り変わりを観察することができます。
さらに「年度推移」での表示ができるのも興味深いです。
同じ日付でも年によって、残雪や新緑の様子が違っていて、地球環境・生態系の変化をおうちで感じられます。
それ以外にも様々な条件で画像を並び替えることができますので、あなたならではの活用方法を考えてみるのもよいかもしれません。まず乗鞍岳の今を、インターネット自然研究所からぜひ覗いてみてください!
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中部山岳国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
2020年05月04日#STAYHOME 白骨温泉から
中部山岳国立公園 関根陽太
こんにちは。中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
4月23日に乗鞍高原の現地確認に行った際、白骨地区を通って帰ってきました。
この日はなんと雪が降りました。
白骨温泉は雪が似合いますね~!
「#STAYHOME 乗鞍高原ってどんなとこ? ~江戸時代編~」でもご紹介したように歴史のある温泉です。
白骨温泉のお湯は、やわらかくて、硫黄の香りがするとてもいいお湯です!!
温泉成分が湯船の中で白くなることから、白船、白骨と呼ばれるようになったそうです。
白くなる要素の一つがカルシウム成分です。
白骨温泉では、炭酸カルシウム(石灰華)が少しずつ重なってできた塊や、つぶつぶと丸く固まったものもあり、国の特別天然記念物にもなっています。
このカルシウム、実は南の島からやってきたものらしいです!!!
地質調査総合センターの地質図Naviで見てみましょう!
(産総研地質調査総合センターウェブサイトより(https://www.gsj.jp/))
中心の水色のエリアが、カルシウム成分を多く含んでいる地質です。
白骨温泉の周辺にありますね~
私も詳しくないのですが、おおまかにお伝えすると、
・南の海の底から噴出した溶岩の上にサンゴ礁が育つ
・プレートの動きによって運ばれる
・サンゴ礁だった塊が、海溝で日本列島を形成しているプレートに"付加"される
・プレートの動きで日本列島に取り込まれ、気が付いたら山の中の白骨温泉の位置に!
石たちにも、お湯にもストーリーがあったのですね!
5月10日は「地質の日」とのことで、自宅でも楽しめる地質関係のデジタルコンテンツが紹介されています。
こども向けから専門的なものまで!ぜひコチラからご覧ください。
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中部山岳国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。
中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
乗鞍高原の一ノ瀬地区では、レンゲツツジが見ごろを迎えました。
レンゲツツジには毒があるため、牛馬を一ノ瀬で放牧していた時代にそれらが食べ残した結果、
きれいなレンゲツツジ群落が広がっています。
放牧が行われなくなった平成20年代前半以降は、樹木が生長して景観が変わってきている箇所もあります。
乗鞍高原が国立公園に指定された「人々の営みと自然が作り出した高原景観」を守るために、地域の方々による除伐作業も行われています。
地域の皆さんのお話を聞いていると、一ノ瀬は心の原風景のように大切にしている場所なのだと感じます!
放牧、炭焼き、ワラビ粉など、乗鞍高原の暮らしのストーリーが詰まった一ノ瀬地区。
想いを馳せながらレンゲツツジ観賞するのもいいかもしれませんね!
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。