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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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中部山岳国立公園 上高地

181件の記事があります。

2013年02月19日冬期の仕事

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 松尾野里子

上高地は11月で閉山しています。
「閉まっている間は何をしているのだろう?」と、着任前は不思議に思っていたのですが…。

閉まってはいても、上高地は動いていました。
端的に言うと、来年度の準備ですが、内容は盛りだくさんです。

利用者がいない閉山期にしか出来ない施設の補修、危険木の伐採等の工事で、現場は天候(雪)と向き合いながら作業を進めています。
また、マイカー規制のような上高地の利用に関する多くの『ルール』についての会議や打合せ、配布資料(ポスター)作成などなど。こうやってシーズンを迎えるのかと、感心しきりです。

私はといえば、開山期のまとめの事務作業がメインですが、パークボランティアの定例会にて来年度の活動計画を練ったり、勉強会のお手伝いをしています。


パークボランティアの定例会・勉強会 の様子


先週は、乗鞍高原休暇村にて開催中のAR写真展(2月13日~3月15日・8:00~18:00)の設置のお手伝いもしてきました。



 


おや? 冬場は現場には出ないのかな?」とお思いでしょうか?

いえいえ、閉山期の利用者の状況調査や施設点検があります。
先々週末に、2回目の冬期調査に行ってきました。

この日はあいにくの雪(前日は快晴)でしたが、釜トンネルから上高地を目指す沢山の方へ、入山届の提出(ご存じない方もおられました)をはじめとした『冬期利用ルール』の周知を行いました。



釜トンネルにて入山者への『冬期利用ルール』周知状況


冬の上高地は冬山登山と同様の装備・知識が必要になります。また、入山者の増加やルール・マナー違反によって自然環境への影響が心配されています。このため、冬期入山者の安全確保と自然環境保全を目的として、関係機関で『冬期利用ルール』を策定して利用者に遵守を呼びかけています。

 『上高地冬期利用ルール』
  ●必ず入山届を提出してください。
  ●雪崩・落石、地吹雪等に十分注意してください。
  ●湿原等には踏み込まないでください。
  ●用便は冬期トイレを使用してください。
  ●テントはキャンプ指定地(小梨平)で張ってください。
  ●ゴミや食料は必ずお持ち帰りください。
  http://c-chubu.env.go.jp/nagano/pre_2012/1226a.html


約2時間、入山される方にお声がけしたのち、上高地へ向けて出発。

この日も、雪上に食品の包装紙等のゴミやトイレ跡が多く残されていました。
また、道中で、4箇所ある冬期トイレ(大正池・中の瀬・バスターミナル・小梨)の状況確認も行いました。
バスターミナルのトイレは屋根からの落雪のため、案内表示が見づらくなっていたため、除雪をしました。



ターミナルトイレの除雪作業、冬期トイレは建物裏にあります。



当日は、13時の時点で-8℃と冷え込みはさほど厳しくなかったですが、風が吹いたため、時折吹雪となり、自然の厳しさを体感しました。

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2013年01月10日乗鞍高原 善五郎の滝 巡視

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 佐々木政善

アクティブ・レンジャーの佐々木です。
今回は乗鞍高原で、凍結した善五郎の滝の巡視と注意喚起看板を設置してきました。

乗鞍高原は乗鞍岳東側の標高約1500mに位置し、一年中自然を楽しめることができます。特に冬期期間はスノーシューを利用したスノートレッキングなどが楽しめます。

今回は、その乗鞍高原のスノートレッキングコース上にある「善五郎の滝」に注意喚起看板を設置してきました。




連日の冷え込みですっかりと凍り付いた滝です。一見、完全に凍り付いているように見えますが、水量豊富な善五郎の滝は、表面が凍結していても内部では水が流れ続けています。

積雪の下には川や滝壺が存在します。また、気温の上昇により大規模な氷の崩落が起こる可能性もあり非常に危険ですので、絶対に滝へは接近しないでください。


今回の巡視では、凍結した滝に亀裂が確認出来ました。

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2012年12月25日上高地 冬期利用のルール

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 佐々木政善

上高地ARの佐々木です。
上高地が閉鎖された後は、上高地のレンジャー及びアクティブ・レンジャーは松本自然環境事務所(松本市内)へ移動し、勤務になります。
冬期期間は上高地も閉山して仕事も一段落と思いきや、開山期に集めたデータの報告書作成など結構忙しいです。
そして、上高地ARの冬期期間の重要な業務として「上高地の冬期利用」に関する業務があります。
12月25日(火)に釜トンネル入口に「冬期利用のルール」を記した看板を設置してきました。

写真:釜トンネル入口に設置した看板
「上高地の冬期利用ルール」についてはホームページからも確認出来ます↓
http://c-chubu.env.go.jp/nagano/pre_2012/1226a.html
特に注意して頂きたい事は、釜トンネルから大正池間の県道上高地公園線上(車道)で発生する雪崩と落石です。
昨年度の冬期調査でも雪崩が確認されています。


写真:県道上の雪崩(大正池横)

「上高地 冬期利用のルール」を守り、安全に配慮して入山してください。

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2012年11月21日シーズンの終わり②

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 松尾野里子

11月15日(木)に上高地閉山祭が行われました。
前日から降り続いた雪のため、積雪が30cmを超え、開催も危ぶまれましたが、無事に?今シーズンの終わりを迎えることができました。





雪が降り続き、早朝に除雪車が稼働し、なんとか…開かれた閉山祭。
こんなに大雪になったのは、久しく(10年以上)ないとのことです。


翌日は一転して、良い天気に恵まれ、雪化粧した穂高連峰が輝いていました。





営業を終えた施設や公園各所の閉めの作業、皆様にご協力いただきましたマイカー規制の横断幕の撤去などが行われ、関係者の引っ越し・冬期対策が進められ、翌週からはひっそりと静かになりそうです。







冬期に上高地に入られる方にお願いです。
以下の『冬期利用ルール』(公園内にも掲示してあります)を守って、散策等をお楽しみください。


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2012年11月14日シーズン終わり①

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 松尾野里子

今日は朝から雪模様で、時折、強く風が吹き、吹雪のようになっています。
明日に閉山を控え、山や上高地自体が冬支度をしているかのようです。






今シーズンは地域の方々、パークボランティア、自然公園財団スタッフ等々沢山の方に支えられ、仕事を進めてきました。



上高地を美しくする会(関係各位によるボランティア)隔週で活動


公園管理に携わるまで、気づかなかったお仕事が沢山ありました。
例えば、公園内の維持管理は、園路だけでも木道や橋などの構造物の安全点検、除雪や落ち葉掃き、せり出したササ・草等の刈り払い、水たまりの解消、危険な枝の除去、清掃等があります。






維持管理には上高地パークボランティアのみなさんも多大なる貢献をしてくれています。

そのほかに、野生生物対策として、各施設の方、ネイチャーガイド協会、自然公園財団、パークボランティアはクマへの対応手順やサルやカモの追い払い(人と野生の適切な距離を保つ為)の講習会を設け、実践を重ねています。






訪れる方が、安心して楽しんでいただくために、上高地の関係各位が一丸となって取り組んでいるからこそ、今の上高地があるのだと、思いました。

このシーズンを大きな事故なく終われることに感謝しつつ、来年に向けた準備を行いたいと思います。

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2012年08月28日上高地の外来植物

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 松尾野里子

上高地では、野生生物の取り組みの一環として、外来植物の調査を行いました。

昨年まで、10年以上にわたってパークボランティアにより、外来植物の侵入状況が調査されてきました。その蓄積データを基に、今年は、衛星利用測位システム(GPS)付きカメラを用い、外来植物の分布位置と量を同時に把握するための調査を行いました。



<調査状況>


調査は、環境省上高地自然保護官事務所、上高地パークボランティア、信州大学山岳科学総合研究所が合同で行い、集計中も含めると3000地点以上で約50種の外来植物を確認しました。

中間結果を上高地ビジターセンターにて展示してあります。





GPSデータから、どの種が、どこに、どれだけあるかの「見える化」のため分布図を作成しました。


また、8月22日には、上高地を美しくする会(上高地関係者によるボランティア団体)の活動として、約50人がエゾノギシギシやメマツヨイグサなど7種類、162kgの外来植物を除去しました。



<除去作業>


上高地には外来植物の侵入経路がたくさんあるため、今後も観察(調査)と対策(除去)を続けていきます。

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2012年07月11日焼岳の登山道整備

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 松尾野里子

報告が遅くなってしまいましたが、2日に中尾高原からの焼岳・登山道整備に参加してきました。

梅雨のため、心配していた天気もこの日だけお日様マークに!!
山の稜線は雲を纏っていたものの、気持ちいい晴れとなりました。

作業は看板の補修や、歩行に支障のある草・枝の刈り払い、崩壊地の土留め、歩道の足場作成等々、中尾町内会の方を中心に20名以上での活動でした。




焼岳をバックに…






段差解消のためのステップ。






戦国時代に非業の死と遂げた秀綱(飛騨一円を従えた三木自綱の子で飛騨高山松倉城主)を奉った神社。 『道中安全と家内安全の守り神』の鳥居も、丁寧に塗り直ししました。


などなど、出来映えは皆さんご納得。

梅雨明けもそう遠くなくなり、いよいよ登山シーズンです。
快適で安全な登山をお楽しみください。

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2012年06月01日上高地の取り組み

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 松尾野里子

開山から1ヶ月余り、堅く閉じていた芽もほころび、日に日に『緑』に染まりつつある上高地です。





本格的なシーズンを前に、上高地のパークボランティアさん達の研修会が行われ、上高地についてや、活動のあれこれを勉強されています。





また、50年の歴史を積み重ねてこられた『上高地を美しくする会』の活動も始動しました。





訪れてくださる皆様の思い出が、楽しく、美しいものとなりますよう、今年も美化活動をはじめ、公園内の整備に取り組みます。

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2012年05月31日島々明神線(徳本峠経由の登山道)

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 松尾野里子

来月3日に開かれるウェストン祭の一環として、「ウェストン記念山行」(2日開催)があります。

徳本峠経由の登山道は『日本アルプス』の名を世界に知らしめたウォルター・ウェストンや河童橋付近を舞台にした小説『河童』を書いた芥川龍之介も歩いた上高地への唯一のアプローチルートでした。

記念山行は地元の児童をはじめ、皆でこの歴史あるルートを歩く行事です。


それに先駆け、松本市や長野県をはじめ、関係各所の皆さんで登山道の整備を行いました。




崩れた道の代替ルートの敷設や徒渉用の橋の新設、倒木処理などなど、
見回りと修繕をしている様子です。
                                       



江戸時代から林業のため整備されたこの道は、明治時代に今の沢筋のルートとなり、かつては馬が荷を牽いて登り下りしたり、木材などの搬出用にトロッコレールが敷設されるような生活道路だったようです。
道々に刻まれた歴史に思いを馳せつつ、大きなカツラの木や足下で競い咲く草花との出会い、徳本峠での圧倒的な山岳景観を楽しみつつ歩くのも良いかもしれません。
                                    



登山口には『登山者カウンター』を設置しています。
通過の際はゆっくりと、お一人ずつお進みください。

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2012年05月02日上高地開山祭

中部山岳国立公園 上高地 アクティブレンジャー 佐々木政善

こんにちは。上高地のアクティブ・レンジャーの佐々木です。

4月27日。穂高の稜線を望めるほどの晴天の中、上高地開山祭が2000人を越える入山者が見守る中で行われました。

開山祭までの期間、上高地に訪れる人たちが安全・安心に、そして気持ちよく上高地を楽しんでもらうために、様々な人たちが頑張ってきました。


環境省・林野庁・砂防事務所・松本市役所・自然公園財団の上高地を愛する人たちが、歩道や危険木が無いか、巡視を行いました


歩道上に横たわる倒木を、みんなの力で取り除きました。


次は、上高地パークボランティアの活動です。
開山祭前日の4/26、木道の除雪をしてもらいました。雨の中、固くしまった雪(氷?)を割ってもらいました。


パークボランティアさんのおかげで、木道も歩きやすくなりました。



そして、上高地開山祭。みんなの上高地に対する熱い思いが天に通じたのか、快晴になりました。

河童橋と岳沢、そして残雪の穂高連峰。
上高地が幕を開けました。

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