ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2012年6月15日

2件の記事があります。

2012年06月15日出前講座に行ってきました!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー野村 朋子

みなさん、こんにちは。

東海地方は梅雨に入り、ここ藤前干潟も今日ははっきりしないお天気です。
体調を崩しやすい時期でもあると思いますので、
みなさんもお気を付けください。

【6月5日、天気がいまいちですが、干潟はよく出ていました】


さて、名古屋自然保護官事務所では、藤前干潟に関する出前講座を行っています。
*過去の開催報告はこちら↓をご覧ください。
「中部地方環境事務所 環境省職員による講座について」

出前講座の実施にあたっては、対象や要望に合わせて、
分かりやすくおもしろい講座になるように、毎回、内容や説明方法を考えています。
ですので、事前準備にどうしても時間がかかってしまいますし、
講座前はとても緊張してしまうのですが、
多く方に実際に会って藤前干潟のことを知ってもらえる機会なので、
とても有意義で楽しみな業務の一つです。

6月13日には、名古屋市立春岡小学校に行き、
小学3年生を対象に出前講座を行ってきました!


【講義の様子】

今回の講座のご依頼は、水辺の生き物を紹介してほしいということでした。
春岡小学校の3年生は、校内にある池(人工)を生き物が
今よりもすみやすいような環境に整えることを
これからの総合学習の時間に行っていくそうです。

そこで、その総合学習の導入として、藤前干潟を始めとする水辺の生き物の紹介と、
池の生き物の生息環境について説明を行いました。

【佐藤レンジャーによる池の生き物の紹介】

講座の間中、生徒さんたちはとっても元気で、
こちらの質問に多くの子が手を挙げて答えてくれました。
そして、何より、これから環境を良くしていく校内の池について、多くの質問が出ました。
実は質問の中には答えに窮するものもあったのですが、
それだけ生徒さんたちが池の生き物や環境について真剣に
考えていることが分かり、とても嬉しく思いました。
このようにいろんな反応や質問があるので、
出前講座を実施している私たちも毎回勉強させてもらっています。

春岡小学校の3年生の皆さんには、今回の出前講座をきっかけとして、
校内の池の生き物と環境のことを自分たちでさらに積極的に調べ、
考えていってもらえたら良いなと思います。
今後、池がどのように変化していくのか、とても楽しみです。

名古屋自然保護官事務所では、このような出前講座を随時受け付けています。
講座の内容は藤前干潟に限りませんので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
■問い合わせ先■
 名古屋自然保護官事務所
 TEL:052-389-2877 FAX:052-389-2878 
 MAIL:WB-NAGOYA@env.go.jp




~藤前干潟は2012年11月18日でラムサール条約登録10周年を迎えます~
*“11月18日”については、こちら↓のAR日記をお読みください!
「2011年11月19日のAR日記 ★記念日月間★11月18日」

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2012年06月15日ヨシ原の変遷

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 アクティブレンジャー 上野淳一

 稲永公園前の永徳スリップ周辺には小規模なヨシ群落が存在します。この場所は現在、写真のように堤防護岸できれいに整備されていますが、以前は良好なヨシ群落が堤防沿いに広がる場所でした。護岸工事が始まってから完成までの期間、取り残された小さなヨシ群落は少しずつその姿を変えており、近年はヨシがパッチ状に散在するようになりました。また、岸近くのヨシ原の根がむき出しになっている場所や、土砂やゴミが堆積して陸地化が進行し、陸生植物が混生する場所も見られます。さらに、ヨシ原の前に広がる干潟の底質も以前に比べてやや堅くなり、底生生物の分布も変化しています。地元の人々によれば、これらの環境変動は護岸工事が始まった頃から見られているので、もしかするとこの影響があるのでは?というお話でした。


【パッチ状に生育するヨシ原(黄線部分)】

 工事によって潮流が変化することで細かい粒子の泥が沖に流され、結果的に干潟が粗粒化したのかもしれません。また、この底質変化に伴ってヨシの分布が不連続となり、底生生物の生息分布も同時に変化したのではないかと考えられます。



【陸地化が進行するヨシ原】



【ヨシの根元にゴミが堆積している様子】

 岸際のヨシ原は大潮満潮時であっても冠水することは無く、常に陸地となっていること、さらにヨシ原内に漂着した流木やゴミ類があまり移動せずその場に留まって存在することから、台風や大水時に砂利やゴミ等が一度に多量にヨシ原に漂着してヨシの根元を覆った状態となり、通常の潮汐変動ではこれらが海へ流出せずに陸地化が進行しているのではないでしょうか。
 このように当水域の環境変動は護岸工事を含めた物理化学的要因が影響している可能性もあるので引き続き底生生物の変動とともに見守っていきたいと思います。 

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