上信越高原国立公園
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2016年02月29日ニホンジカ被害対策に向けて~地域との協力~
上信越高原国立公園 万座 アクティブレンジャー 小林映絵
ニホンジカの食害などによる農林や生態系への被害が全国的に問題となっていますが、浅間山周辺も例外では無い状況です。
私自身、実際に現地調査を行っている時に、ニホンジカによるものと考えられる高山植物や樹皮の食べ跡などを目にすることが多くなってきたように感じます。
【角研ぎ跡】
【樹皮の剥被】
【高山植物の花芽の食跡】
このように樹皮を剥がれてしまった樹木は、再生することができず枯れていってしまいます。花芽を食べられてしまった高山植物は、種を付けられず命をつないでいくことができなくなってしまいます。
浅間山周辺は、上信越高原国立公園や国指定浅間鳥獣保護区に指定されており、その美しい自然には多様ないきものが生息しています。しかし、ニホンジカの急激な頭数増加と分布拡大により、そのような環境の維持が困難になりつつあります。その自然を守ろうと、浅間山周辺の各地域では様々な取り組みが行われています。
そこで、各地域の取組を情報共有し、今後のニホンジカ対策に生かすため、環境省長野自然環境事務所主催で情報交換会を開催しました!
【行政担当者による活動内容の発表(第1部)】
【市民団体による取組の発表(第2部)】
【会場の様子(第2部)】
この情報交換会では、行政や市民団体による浅間山麓での取組紹介が行われ、そこで行われている活動について知ることができました。また、森林や景観の保全、貴重な高山植物や高山蝶などのいきものの保護のために、ニホンジカ対策の必要性があることを共通認識として持つことができたのではないかと思います。
全国各地でニホンジカによる影響が問題となっています。捕獲数は伸びているものの依然としてニホンジカの個体数増加や分布拡大に歯止めがかかっていません。地球温暖化による冬の雪不足なども要因の一つとして考えられ、私たち人間のライフスタイルの変化も影響しているのかもしれません。現在の自然や景観を今後も残せるように、ニホンジカとも共存していける環境作りを行っていきたいと感じました
*ご協力のお願い*
環境省長野自然環境事務所では、ニホンジカ対策の一環として浅間山周辺のニホンジカ目撃等の情報収集を"いきものログ"を活用し行っています。情報がありましたら是非ご協力をお願いいたします。
2016年01月22日冬の自然に親しむ みなかみスノーシューフェスティバル
上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平
1/18(月)、都心でも大雪で、みなかみも一気に積雪しました。
↑1/18朝、事務所のある上毛高原駅前の様子です。町内に除雪車が行き交っており、当然車はスタッドレスタイヤが必須です。
さて大雪の直前であった1/16(土)、1/17(日)の二日間、例年より雪が少ない中、谷川岳エコツーリズム推進協議会、一般社団法人アウトドア連合会、みなかみ山岳ガイド協会が主催したみなかみスノーシューフェスティバルが開催されました。みなかみスノーシューフェスティバルとは、雪原をスノーシューで散策しながら冬の自然に親しんでもらうイベントで、1/16はみなかみ町の藤原地区、1/17には国立公園内である谷川岳の土合橋上流の湯檜曾川付近で開催されました。今回はイベント二日目の様子をお送りします。
谷川岳ドライブインでの開会式。子どもから大人まで40名以上の参加者が集まり、2015年のミス日本、「水の天使」柴田美奈さんもゲストでいらっしゃいました。
スノーシューとは、底に爪の付いた輪かんじきのようなもので、雪上を歩くときに足が埋もれにくく、堅い雪面でも滑りにくいです。スノーシューを持っていない方でもレンタルできました。
土合橋付近からスノーシューを履き、散策がスタート。アウトドアガイドさんが各班に付き、自然解説やスノーシュー歩行のサポートをしてくださいました。
思い切って寝っ転がったり、雪の滑り台を滑るのも雪の楽しみですね。
一ノ倉沢の岩壁が見える雪原で昼食です。ガイドさんがくれた暖かい紅茶が身に染みました。湯檜曾川の河原に雪が積もって広大な雪原になっており、雪の時期しか味わえない開放的な空間でした。
みなかみスノーシューフェスティバルは、気軽に冬の自然を堪能できるイベントでした。冬山での行動は雪崩などの冬山特有のリスクに注意が必要ですが、地元を熟知したガイドさんのツアーに参加することで、より安全に冬山を楽しめると思います。「夏や秋の山には行くけれど、冬の雪山はちょっと...」と思う方や、冬の自然やアウトドアに興味のある方は、ガイド付きのツアーに参加してみてはいかがでしょうか。
2016年01月18日谷川岳冬の動物②
上信越高原国立公園 谷川 小竹俊平
こんにちは、冬の寒さが身にしみるみなかみです。1/13に谷川岳山麓部の巡視に行きました。
↑土合から谷川岳の中腹に伸びる舗装路(マイカーは入れません)の様子です(1/13)。
舗装路から湯檜曾川沿いにかけて30~50cm位の積雪で、深いところでは1mを越えており、足が膝の上まで雪に埋まる所も多くありました。
さて、今回も前回に引き続き、冬の谷川岳で出会った生き物を紹介します。
↑沢の近くの雪の上を活発に動き回る虫を見つけました。調べてみると、名前はセッケイカワゲラといい、「雪虫」とも言われています。多くの生き物が活発になる春~秋は川底で休眠し、逆に多くの生き物が寝静まる冬になると川から地上に出てくるそうです。そんなセッケイカワゲラの、人間で言う「昼夜逆転の生活」ならぬ「夏冬逆転の生態」には、生物多様性を感じさせられました。
↑一方こちらは湯檜曾川の土合橋付近。川の音の合間に猫のような鳴き声が聞こえたので、目を凝らしてみると対岸にキツネ(ホンドギツネ)を見つけました。キツネが小走りで川沿いを上流に進んで行くので、慌ててこちらも追跡。12月にカモシカを見つけた場所の近くでなんとか追いついて撮影できました。ホンドギツネの繁殖期は12月から翌年の2月。聞こえた鳴き声は、親子で呼び合う声だったのかもしれないですね。
↑こちらは最初の写真で紹介した舗装路でのこと。帰り際に来た道を戻ってみると、雪の上にブナの実の皮や殻斗が散らばっていました(左写真の黒い粒)。最初に通った時は見なかったので、不思議に思っていると、「パリパリ、カチカチ」という音が上から聞こえました。見上げると、ヤマガラの群れがブナの枝に止まっていました(右写真)。どうやら彼らがブナの実を割って食べていたようです。ブナの実は去年の秋にたくさん落ちていましたが、まだ食べる分が木の上に残っていたのに驚きでした。
冬は生き物が寝静まる季節と思っていましたが、意外に生き物を見つけられる季節だと思いました。冬山に入るときは、ちょっとした目に映る物、耳に入る音に気をつけてみてください。そこに生き物との出合いがあるかもしれません。
2016年01月08日「子どもパークレンジャー活動新聞」展示中⑤
上信越高原国立公園 万座 アクティブレンジャー 小林映絵
今年初めてのアクティブ・レンジャー日記です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、昨年の7月より浅間山麓の6市町村を巡回する形で行っておりました「子どもパークレンジャー活動新聞」の展示。
いよいよ、最後となる6ヶ所目の会場は、"御代田町立図書館"です。
長野県御代田町にある"エコールみよた"という施設内にある図書館の入口にて開催中。
【展示状況】
図書館入り口左側に展示しています。
展示期間は平成28年1月8日から平成28年2月16日まで。
今回で展示納めです!まだご覧になってない方はいらっしゃいませんか?
最後のチャンスです。是非、足をお運びください☆
2015年12月14日「国指定浅間鳥獣保護区」標識リニューアル
上信越高原国立公園 万座 アクティブレンジャー 小林映絵
こんな看板を見かけたことはありませんか?
左側の赤い看板が「ココは鳥獣保護区ですよ!」とみなさんにお知らせするための"制札"と呼ばれるもので、主に鳥獣保護区の境界に設置されています。右側の白い看板が、鳥獣保護区のエリアを示した"区域図"を掲示しているものです。
鳥獣保護区とは、"鳥獣保護管理法(※)"に基づき、野生鳥獣が安心して生育できるよう、原則として狩猟や開発などを規制している区域のことです。環境大臣が指定する"国指定鳥獣保護区"と都道府県知事が指定する"都道府県指定鳥獣保護区"の2種類があります。
環境省ではその仕事の一つとして、国指定鳥獣保護区の管理を行っています。国指定鳥獣保護区は国立公園とは別々に指定されますが、重なっている区域も多くあります。"国指定浅間鳥獣保護区"の一部も、万座自然保護官事務所が管轄している上信越高原国立公園の一部と重なっています。
国指定浅間鳥獣保護区は、活火山である浅間山(標高2,568m)を中心とし、標高約1,000mの市街地周辺の地域まで広がって指定されています。その多様で良好な自然環境には、ツキノワグマやホシガラス、ミヤマシロチョウなど様々な野生鳥獣が生息しています。
実際に現地調査に出たときも、様々な生きものたちの痕跡を確認することがあります。時には、その姿を見ることもできて、とても嬉しくなることも♪
そんな国指定浅間鳥獣保護区で、ついこの間、標識のリニューアル工事を行いました。
地面奥深くに埋まっていて、樹木の根っこも絡まっていたり・・・掘り出しに四苦八苦。
無事に、撤去完了!!
そして・・・新しい看板を設置!!
ご覧ください、こんなにステキな看板が設置されました♪
国指定浅間鳥獣保護区について、概要と生息している動物たちをイラストにより紹介していて、とってもかわいくて素敵な看板に仕上がっています。引き続き、順次リニューアル作業を行っていく予定です。道路脇などに設置されていることが多いので、是非近くで見てみてくださいねっ☆
※「鳥獣保護管理法」の目的・・・鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与する事を通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資すること。
2015年12月09日「子どもパークレンジャー活動新聞」展示中④
上信越高原国立公園 アクティブレンジャー 小林映絵
現在、「子どもパークレンジャー活動新聞」の展示を長野県軽井沢町で開催中です。
中軽井沢駅に隣接している"くつかけテラス"のロビーをお借りして展示を行っています(ノ´∀`)ノ
【くつかけテラス外観】
【展示状況】
展示期間は平成27年12月5日から平成28年1月5日まで。
年を跨いで展示を行わせていただく事となっています。
2015年11月04日氷が出てきた
上信越高原国立公園 志賀高原 アクティブレンジャー 則武敏史
こんにちは。上信越高原国立公園の志賀高原です。
10月30日は岩菅山(いわすげやま)登山口(標高約2,070m)で運用していた登山者カウンターを撤去しました。登山者カウンターは登山道の脇に設置し、登山道の利用者数をカウントする機器です。この場所では下の写真のように設置していました。
設置場所まではスキー場のゲレンデを通るのですが、当日はリフトの試運転をしていました。
<夏期はケーブルだけの状態で、ウインターシーズン前に搬器(リフトの座席)を取り付けます。中央奥に見えるのが岩菅山。>
登山者カウンターの撤去作業の最後に、センサーなどを取り付けていた支柱を地面から抜いて、逆さまにすると氷が出てきました。
<支柱の上部は開いているので雨水がたまります。その水が気温の低下により凍ったのだと思います。地面には霜柱の跡があります。>
道路の冬期閉鎖も行われます(予定)。
・4日 奥志賀公園栄線(県道502号線)奥志賀から野沢温泉、秋山郷へ至る道路
・10日 豊野南志賀公園線(県道66号線)山ノ内町笠岳キャンプ場入口から高山村山田牧場まで
・16日 志賀草津道路(国道292号線) 山ノ内町陽坂ゲートから草津町殺生ゲートまで
このように、志賀高原では冬の訪れを感じる出来事がいろいろあります。
志賀高原では、今月末にオープン予定のスキー場もあり、「日本最大級のウインターリゾート※」に向けて準備がされています。冬も志賀高原へお出かけください。
※志賀高原の観光パンフレット「SHIGA KOGEN WHITE BOOK」にある言葉
2015年11月02日「子どもパークレンジャー活動新聞」展示中③
上信越高原国立公園 万座 アクティブレンジャー 小林映絵
現在、4ヶ所目となる小諸市で開催中です。
開催場所は先日新しくなったばかりの"小諸市役所"。
【小諸市役所外観】
【子どもたちの作成した子どもパークレンジャー活動新聞】
子どもたちが、火山について学びまとめた活動新聞と共に各回のニュースレターや活動中の写真も掲示してます。
【万座自然保護官事務所情報】
万座自然保護官事務所の管轄区域図や説明、管内で行われている取り組みや見られる景色を紹介しています。
開催期間は10月28日(水)から11月29日(日)までとなっております。
足を運んで頂ければ幸いです♪
2015年10月30日平成27年度 第2回JPR開催報告
上信越高原国立公園 万座 アクティブレンジャー 小林映絵
1週間ぶりの活動にもみんな元気に参加してくれました!
まずは、前回設置したセンサーカメラで撮影された結果をみんなで確認しました。
o(^-^)oワクワク・・・お~!写ってた、写ってた!!
タヌキやニホンカモシカ、ヒメネズミにキツネ、アナグマを撮影することができました。
前回は食痕などの痕跡から様々な動物が生息していることを確認しましたが、センサーカメラを設置したことにより、より多くの生きものがいることを把握することができました。
そして、ニホンジカやイノシシなども・・・。この2種類は他と比べ、かなり多く撮影されていました。現在、個体数が増加し生態系や農作物被害を起こしている要因の一つとなっており、その個体数調整が早急に必要とされています。
今回は、そのような野生動物による被害を知ると共にその対策について現地調査を行いました。
そしてなんと、ベアドッグ(※)のタマとハンドラーの純平さんも活動に同行!!
タマは、先日アメリカからやってきたばかり。まだ、1歳の女の子です。
ハンドラー純平さんの目をシッカリと見つめ、話を聞く姿には既にベアドッグとしての威厳が感じられました。
まずは、純平さんからベアドッグの役割についての説明が行われました。
クマの匂いを感知して吠えて追い払うように訓練を受けてきたタマは、これから本格的に軽井沢町でベアドッグとして活動していくことになるとのことでした。
ちなみに、ハンドラーとベアドッグは深い絆で結ばれた関係となる必要があり、純平さんとタマは24時間常に一緒に行動しているそうです。子どもたちもみんな、タマの魅力にメロメロでした(o´∀`o)
そして、実際に行われている対策について現地確認に出発です!
これは、クマが開けられないように工夫されたゴミ集積箱。動物園と協力して開発されたそうです。
この集積箱が設置されるまで、クマによるゴミ集積所荒らしが年間120~130件ほどあったそうですが、現在では年間0~1件と激減したそうです。
また、増えすぎたニホンジカやイノシシへの対策として"くくりわな"を設置し、個体数調整を行う取り組みについても学びました。
ハンターでもある純平さんにより、わなの設置についての説明が行われ、たろ~さんジカが捕獲されました!!
たろ~さんの持っている木の枝に、シッカリとわなが!その威力にみんなビックリ!!
ただ、このくくりわなに捕獲対象でないクマやニホンカモシカなどが誤ってかかってしまうことも。わなから脱出しようともがいているうちに、足が千切れてしまう事態が発生しているとのお話もありました。
そして、野生動物たちに「ここから先は来たらダメだよ!!」「これは食べたらダメだよ!!」と、人間と野生動物の住み分けを教えるための"電気柵"を確認。
むやみに人間の居住区に入ってこないよう、農作物を食べてしまわないように取り組みが行われていました。
また、野生動物が車道に出てきてしまい、轢かれて死んでしまうという"ロードキル"についても学習しました。人ばかりでなく、野生動物も被害に遭ってしまっていることを改めて感じることとなりました。
軽井沢町内では、車道沿いに電光掲示板を設置して「シカ飛び出し注意」などの表示を行い、被害の軽減に取り組んでいました。
現地確認後、班に分かれて今回の活動についてまとめtime。
相談しながらそれぞれ役割分担して、協力しながら作成。そして、発表!
野生動物と付き合っていく中で、自分たちにできることについてまとめてもらいました。
「森を切り開いたり、松を植えすぎてエサを減らすようなことはしない」「動物が人間に慣れないようにエサをあげない」「むやみに動物を鉄砲でうたない」など多くのアイデアが飛び出していました。
人は、動物たちの住む森の近くで生活している事を忘れてしまうことがありませんか?
今回の活動で、参加してくれた子どもたちはその事を再認識してくれていた様子が見て取れました。たくさんの野生動物がみんなの周りには生息していること、そしてその魅力を知り、その上で気を付けていかなければならないことを学んでもらえたようです。
みんなの住む地域の魅力を伝えられることができていたら嬉しいな♪
今回は2回の活動となりました。元気に参加してくれてありがとう(≧▽≦)
また会えるのを楽しみにしてるよ~☆
※ベアドッグとは、人の居住区域に侵入してきてしまったクマを本来いるべき森へと帰すように訓練されたカレリアン・ベアドッグです。クマを傷つけずに共生して行くため、そして人間の安全を守るため、ハンドラーと共に重要な役割を担っています。
ピッキオでは現在、タマの他にナヌックがベアドッグとして活動しています。これからの彼らの活躍に期待ですね(o´∀`o)
桜の満開情報について、色々と情報が飛び交っていますね。
万座自然保護官事務所管内周辺では、梅が咲き始めました。
桜の木々も蕾がふっくらと色づきが増し、気持ちの良い気候に包まれています。
そんな素敵な気候に包まれながら、無事に新年度を迎えることができました。
今年初めのお仕事は、「平成28年度アクティブ・レンジャー国立公園写真展」の展示作業でした!!
どんっ。
どどんっ。
現在、草津町温泉図書館をお借りし、展示中です。
こちらの図書館は、草津町のバスターミナルの待合所に併設されており、乗車するバスを待ちながら利用も可能であるとのことです。
(バスターミナルにもちょこっと展示中)
国立公園の美しさはもちろん、そこで行われている取り組みなどなど・・・紹介していますので、足をお運びください♪
素敵な写真たちがお待ちしております☆
【図書館入り口】
場所など詳しくはこちらをご覧ください。