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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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中部山岳国立公園 後立山

50件の記事があります。

2013年01月08日雪形(ゆきがた)

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

こんにちは、北アルプス後立山からです。本年もよろしくお願いいたします。

12月末から長野県白馬村の八方インフォメーションセンター(バスターミナルを併設)で「アクティブ・レンジャー国立公園写真展」という名称の写真展を開催しています。内容は、長野自然環境事務所の8人のアクティブ・レンジャーが管内の2つの国立公園(中部山岳国立公園、上信越高原国立公園)で撮影した山岳や高原の景色、動植物などの写真を展示しています。
国立公園の素晴らしさをより多くの方に知っていただきたいというアクティブ・レンジャーの思いが詰まっています。皆様のお越しをお待ちしています。また、この時期にスキー等で白馬村へお出でになる予定のお知り合いに情報を伝えていただけると幸いです。

写真展の会場近くから見える山々は既に白銀の世界です。
写っている稜線は中部山岳国立公園の主稜線で、3,000m級の山々の連なりです。
左から五竜岳、唐松岳があり、中央に八方尾根が大きく見えます。その右に白馬三山と呼ばれる白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)、杓子岳(しゃくしだけ)、白馬岳の3つのピークがあり、その右のなだらかな尾根の高い所が小蓮華山、右端の台地状の山が白馬乗鞍岳です(平成24年12月17日撮影)。



さて、タイトルにある「雪形」というのは、里が新緑を迎え、山が雪解けを始めた季節に、山肌に残った残雪によってできる模様を何かに見立てたものです。昔の農民たちは山肌にあらわれる残雪の模様を農作業の目安にしていたと言われています。
写真展の設営の際、雪形が現れる場所を撮影してみました。この時期はどのように見えるのかという興味からです。

まず、「代掻き馬」と呼ばれる雪形です。白馬岳の山頂から小蓮華山方面に下った辺りに見えます。この雪形は、田植えの準備である代掻きの目安とされていた馬の雪形で、白馬岳や白馬村の名前の由来にもなったと言われています。
この雪形は、雪が解けて見える岩肌が馬の形に見えるタイプなので、今の時期はどうかというと・・・
随分と雪が付いて岩肌が隠れています。なので、頭、胴体の上の方と尻尾が分かる程度です。

(左は平成24年5月26日撮影、右は平成24年12月28日撮影)


また、「武田菱」と呼ばれる雪形がでる場所を撮影しました。場所は五竜岳の頂上直下です。
「武田菱」は、かつてこの地を支配した戦国時代の武将、武田信玄の紋所「四つ割菱」そっくりなため、その名が付いています。
こちらは、まだ雪が付いておらず、4つの菱型がはっきりと見えました。



この他、白馬村からは、小蓮華山から白馬乗鞍岳にかけての場所に「種まき爺さん」、「仔馬」、「にわとり」などの雪形を見ることができます。しかし、今回撮影した時には、これらの場所には既に多くの雪が付いており、形が見えませんでした。

冬期は、主に麓からの情報をお伝えします。


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2012年10月03日八方尾根の植生回復作業に行けませんでした

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

こんにちは、北アルプス後立山からです。
今日(10月3日)は、白馬村の八方尾根で植生回復作業が行われましたが、事務所内の事情により参加できませんでした。
現地には行けませんでしたが、八方尾根の自然を守り継ごうという皆さんの思いと、自然を保全する活動を継続されていることに、少しでも力になりたいと思っています。

さて、先日撮影した写真で、植生復元作業を行った場所の変化を見ましょう。


左は平成23年10月4日、右は平成24年9月13日に撮影したものです。約1年経っています。
細長い葉(おそらくイネ科)が斜面の上部に出てきており、他にも何種か見られます(画像サイズの関係で見えにくいかもしれませんが)。
ただし、これらの植物は、マットの敷設時に播種した種子が発芽し生長したものか、もとからマットの下にあったものがマットの網目を縫って出てきたものかは不明です。


また、今年度は八方尾根自然研究路(環境省の呼び名では黒菱唐松岳線道路(歩道))において、環境省が長野県に施工委任した歩道の改修が行われました。


左は平成23年9月27日、右は平成24年9月13日に撮影したものです。
左では、金網のようなものが踏面より上に出ているので足がひっかかりやすくなっていました。そして、それを避けるため階段の脇を歩く方が多く、歩道の幅が広がっていました。
今回、右のように、金網を撤去し、石による階段を整備しました。少しは歩きやすくなったと思います。この後、グリーンロープの幅を狭め、階段部分のみを歩くように誘導する予定です(既になっているかもしれません)。


今の時期、八方尾根の紅葉が美しくなる頃です。
八方池までは八方尾根自然研究路と呼ばれるトレッキングコースですが、八方池は標高2000mを超える所にあり、この時期は雪が降ることもあります。それなりの準備でお出かけください。


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2012年09月28日山の上は色付き始めました

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

こんにちは、北アルプス後立山からです。
今回は長野県大町市にある餓鬼岳(がきだけ)です。餓鬼岳ではグリーンワーカー事業で登山道維持管理を行っており、その実施状況の確認のために行きました。

では、グリーンワーカー事業とは?
環境省が実施する事業で、国立公園の保全管理上の問題を解決するため、地域の自然をよく知った地域の団体等に、地域の実情に対応した迅速できめ細やかな自然環境保全作業を行っていただき、国立公園の管理のグレードアップを図ることを目的に行う事業です。
餓鬼岳では、登山道に繁茂したササ等の刈り払い、歩道の補修といった登山道の維持管理作業を山小屋の属する団体にお願いしています。

餓鬼岳では次のような作業がなされていました。

<グリーンロープで進入を防止している方向に歩道があったが、ロープの先で地面が抜け落ちている。迂回のため左手のササを刈り通行が確保されていた。>


さて、歩道(登山道)の状況です。
餓鬼岳へは白沢登山口から入山しました。国立公園の境界は登山口ではなく、かなり上った大凪山からです。
国立公園内の歩道(大凪山~餓鬼岳小屋)については特に問題となる箇所は見られませんでした。登山口から大凪山までの道に比べ少しは足元がよくなりますが、急傾斜の道であることは変わりません。
白沢登山口から大凪山については気を抜けない道が続きます。落石に注意が必要なガレ場があります(自然に落ちてくる石に対しての注意も必要ですが、自分で落石を起こさないことも必要)。また、桟道・鎖場等滑落に注意が必要な箇所があります。この区間は国立公園外なのでグリーンワーカー事業ではありませんが、草刈りや桟道・鎖場等の整備がなされています。

紅葉については、山小屋の支配人によると、小屋付近では2、3日前から色付き始めたとのこと。今年はまだ氷点下になっていないので、良い紅葉になりそうだとおっしゃいていました。

これから紅葉はますます美しくなるのでしょう。でも、日が短くなり、また、凍結・降雪・積雪がある等、登山者にとって条件が悪くなります。
気を付けてお出かけください。


<小屋近くの色付いたダケカンバ>


<餓鬼岳山頂からの北アルプスの名だたる山々のパノラマ>
常念岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳、鷲羽岳、烏帽子岳、立山、劔岳、針ノ木岳等。
振り返れば、浅間山、八ヶ岳、富士山等も見えます。もちろん天気や雲の状態にもよりますが。

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2012年06月28日栂池自然園ではミズバショウが咲いています

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

こんにちは、北アルプス後立山からです。
栂池自然園(長野県北安曇郡小谷村)は中部山岳国立公園内にあり、標高1900mから2000mに広がる高層湿原です。ミズバショウが盛期を迎えています。この写真は自然園の入口付近です。



また、自然園の奥の展望湿原まで歩くと、白馬大雪渓や白馬三山などの山並みを間近に望むことができます。
当日は雲があったので山並みは見えませんでしたが、白馬大雪渓を見ることができました。中央の雪のある大きな谷がそれです。



自然園では毎年この時期に日本一遅咲きのミズバショウと銘打って「水ばしょうまつり」が行われます。自然園入口まではゴンドラとロープウエイを乗り継いで行くことができます。雄大な山並みと高所ならではの自然を楽しみにお出でください。園内の歩道にはまだ雪の残っている所があるので、お気を付けください。


<雪解けの早い尾根ではイワカガミが咲いていました>


さて、栂池自然園を訪れた目的はニホンジカの情報収集です。ここでは6月上旬に目撃されました。
中部山岳国立公園では、最近、亜高山帯でニホンジカが目撃されるようになってきました。
ニホンジカへの対策を立てるために、環境省、中部森林管理局、関係各県市町村、山小屋などが連携して、目撃情報を収集しています。
国立公園を利用される皆様からの情報も重要です。ニホンジカの目撃情報をお寄せください。お願いいたします。
環境省松本自然環境事務所 電話0263-94-2024
環境省長野自然環境事務所 電話026-231-6570
(専用のメールアドレスを検討中です)


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2012年06月05日直轄施設の安全確認

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

こんにちは、北アルプス後立山からです。
6月4日は蓮華温泉と朝日岳を結ぶ歩道(登山道)で、環境省が整備した施設の安全確認を行いました。環境省では、利用者への対応として特に整備が必要な歩道について、直轄事業という形で施設を整備しています。整備をした後、施設の状態を把握し、安全性を確認することも重要です。
今回は白高地沢橋において、新潟県、糸魚川市、施工業者、山小屋の方とともに、雪解け後すぐの定期的な安全確認を行いました。その結果、損傷は特に認められず、安全が確認されました。
手すり(高欄)は積雪等による橋への悪影響を避けるために取り外してありますが、速やかに取り付ける予定です。今の時期のご利用はほとんどないと思いますが、通行の際はお気を付け下さい。



雪解け後すぐということで、白高地沢に着くまでにこの時期ならではの景色を見ることができました。兵馬の平から朝日岳(左)と五輪山(右)です。ミズバショウ、新緑、雪の残る山がとても美しく見えます。



また、春の花も見頃でした。写真はツバメオモト、サンカヨウ、エゾエンゴサク、オオカメノキです。この他に、ニリンソウ、カタクリ、ミヤマカタバミなどが見頃でした。



山小屋の方によると、この時期に兵馬の平からの景色を見た方は、リピーターになる方が多いとのこと。その気持ち分かりました。

さて、訪れる方は、次の3点をご注意ください。
※現在、ヒワ平から蓮華温泉の間は道路整備中で一般車は通行できません。ヒワ平から蓮華温泉までは約8kmあり、徒歩で約2時間半かかります。車道の開通予定は6月下旬から7月上旬の予定です。糸魚川市役所へお問い合わせください。
※白高地沢橋が供用されたことにより、白高地沢の前後は歩道が付け替えられています。残雪の時期は赤テープに注意して、道を間違えないように通行してください。
※これまで白高地沢橋の上流に仮設橋(単管パイプの橋)が設置されていましたが、今年度からは設置されません。道標、赤テープに従い、白高地沢橋を渡ってください。

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2012年05月30日夏山シーズンの始まり

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

5月末から6月初めにかけては、各地で夏山シーズンの始まりとなる山開きが催されます。
北アルプス後立山地区では5月26日(土)に白馬村で白馬連峰開山祭(第46回貞逸祭)が催され、開山を待ちわびた方々が多く参加されました。

猿倉駐車場で、神事(安全祈願祭)、トレッキング出発式の後、大雪渓下部の白馬尻まで白馬山案内人組合のガイドの元、トレッキングを行いました。
トレッキングの参加者の中には、晴天に誘われてか、当日参加を申込みした方もおられました。

猿倉付近では手前には目に染みるような新緑、奥には残雪の白馬岳が見えました。



代掻き馬の雪形も見ることができました。



コースの途中からは雪で埋まった谷を上りました。写真の左側は既に流れが見えますが、この辺りは夏までには雪が解けてしまいます。



しかし、白馬尻ではようやく植物の動きが目に見えるようになったところでした。

<白馬尻で休憩するトレッキング参加者>

※夏山シーズンの始まりというタイトルですが、大雪渓を上っていくには今の時期でも冬山に近い登山の準備が必要です。また、開いていない山小屋もあります。自身の安全性を高める準備や情報収集をしていただき、楽しい登山になるよう努めていただきたいと思います。

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2011年10月13日八方尾根での植生回復作業

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

先日の日記で、長野県白馬村の八方尾根で環境省と地域の方々が連携して植生回復作業を行っていることを紹介しました。
今年度も植生回復作業が10月4日に行われ、私も参加しました。参加者は地域の方を中心に約40名。作業場所は八方尾根のトレッキングコース(八方尾根自然研究路)の第2ケルン付近の斜面で、中部山岳国立公園内でした。

ゴンドラとリフトを降りた先にある八方尾根のトレッキングコース入口には、写真のような施設があります。トレッキングコースの利用者は、まず、ここで靴をぬぐい、靴底についている雑草(この場所の生態系に不要な植物)の種子を落とします。外来種はもちろんですが、低地の在来種も八方尾根の生態系に悪影響を及ぼすおそれがあります。
特に、植生回復作業では、マットを敷いて自然状態よりも発芽をしやすい環境をつくるので、参加者は不要な種子を持ち込まないように入念にぬぐいました。



作業場所では、植物繊維のネットがついたマットを敷き、マットがずれないようにピンで固定します。下の写真の中央の緑色のものがピンで、自然状態で分解し、最終的に水とガスになるというものをできるだけ多く使いました。
マットの固定が終わった後、種子をできるだけ植物繊維のネットにからまるように注意してまきました。
今回の作業では、約120平方メートルにマットを敷くことができました。
どのように植生が回復するか楽しみな一方で、雪溶けの遅い場所なのでどのような成果が出るか不安もあります。

<作業の様子>

なお、国立公園においては優れた自然風景を保護するため、規制を受ける行為を定めています。規制を受ける行為を行う場合は、公園計画の保護計画によって定められる地域地区により自然公園法に基づく申請又は届出の手続が必要となります。
植生回復作業を行った場所は、中部山岳国立公園の第1種特別地域(現在の景観を極力維持することが必要な地域)でした。この植生回復作業も申請し、許可を得て行われたものです。
国立公園内で行う行為に申請または届出の手続が必要かどうかご不明な場合は、お近くの自然環境事務所、自然保護官事務所までお問い合わせください。

さて、作業日は八方池(標高2060m)でも日陰には2~3cmの積雪がありました。
八方池まではトレッキングコースということで、ハイキング気分で利用される方がいるかもしれません。この時期には標高の高い所では冬と同じようになっていますので、十分な準備をしてください。

<斜面に白く見えるのは雪です>

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2011年10月05日秋の終りの八方尾根

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

長野県白馬村の八方尾根は、標高1830mまでゴンドラとリフトを乗り継いで訪れることができます。リフトを降りた所は既に中部山岳国立公園の中で、間近に雄大な山岳景観を眺めることができます。

さて、その八方尾根では木道の改修工事が行われている箇所があります。これは八方尾根の黒菱平(標高1680m)から八方池(標高2060m)までのトレッキングコース(八方尾根自然研究路)を、ご家族連れやお年寄りの方でもできるだけ歩きやすいように、環境省と長野県が行っているものです。
工事箇所の前後には、登山道の工事を告知する看板や、工事箇所を示す地図があります。また、この工事に伴い木道が片側交互通行になっている箇所があります。おそれいりますが、片側交互通行にご協力をお願いいたします。

<工事箇所>

また、このトレッキングコースでは、環境省と地域の方々が連携して、植生回復の作業を行っています。
写真は4年前に植生回復の作業が行われた場所です。手前のロープ付近にムシロのようなものが見えるので、植生回復作業が行われた場所であることが分かります。しかし、遠目に見ると人為のない植生であるように見えます。今年度は10月4日に植生回復の作業を実施しました。

<4年前に植生回復作業が行われた場所>

当日は写真からお分かりのように良い天気でした。そこで、お決まりの写真、八方池に写る白馬三山の写真です。写真左のなだらかに見える尾根が天狗尾根、そして白馬三山のピークが3つ、左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳です。




さて、上の写真を撮影した時は今から紅葉が盛りになる秋の山だなと感じていました。しかし、それから1週間が経過し、白馬岳は稜線まで上がらなくても積雪があります。そして、稜線まで上がればより深い積雪です。しっかりと準備をして入山してください。

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2011年09月21日雄大な山岳景観

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

長野事務所では、レンジャーとアクティブ・レンジャー(AR)が、管内の国立公園の歩道(登山道)の状況(登山道の浸食や植生荒廃状況など)を把握するための調査(歩道調査)を行っています。
調査の際には、歩道の状況の把握だけでなく、歩道の安全管理と利用状況把握・利用者指導も行います。そして、調査結果を様式に従って歩道カルテにまとめます。この調査結果は、どこにどのような整備が必要か、どの箇所を優先的に整備するかなどを検討する材料になります。このように歩道調査は国立公園の現状把握と整備・管理のために必要で重要な作業です。
歩道の雪解け後から積雪前まで、ARは調査の日々が続きます。

8月終りから9月初めに、中部山岳国立公園のいわゆる裏銀座縦走コースの北部と高天原の歩道調査を行いました。裏銀座縦走コースの北部の歩道が長野県と富山県の境にあり、高天原は富山県にあるので、長野県側を担当する私と富山県を担当する立山自然保護官事務所のAR2名が協働して行いました。

まずは山並み。この雄大な山岳景観が中部山岳国立公園の魅力の一つです。
私の担当する後立山の山並みも一望できました。実際に山並みを見て気を引き締めました。

<上左:槍ヶ岳と東鎌尾根、上右:立山>
<下左:後立山、下右:水晶岳>


そして、足元には高山植物。

<チングルマとミヤマダイコンソウが咲いている>

この写真を見て、何か変に感じた方がおられるかもしれません。
撮影日は8月30日なので、チングルマの花は季節外れです。でも、本当に咲いていました。
この場所の上には雪渓が残っていました。おそらく雪が溶けるのが遅かったので、花が咲くのも遅かったのだと思います。こういうのを見られるのが山の自然の面白さです。


さて、登山道には誘導標識が要所に設置されています。関係者は登山道や標識の整備など安全確保に努めていますが、写真のように傾いているものもあります(この標識は傾いていますが機能は維持されています)。分岐点では万が一の事故を防ぐため、地図を見て、自分の進む道を確認してから歩を進めてください。自身の安全性を高めるための準備や心構えで、楽しい登山を。


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2011年06月07日登山シーズンのはじまり

中部山岳国立公園 後立山 アクティブレンジャー 則武敏史

他のARも投稿していますが、5月末から6月にかけては、各地で登山シーズンの始まりとなる山開きが催されます。
私の担当している後立山地区でも、白馬村と大町市で開山祭が催されました。

白馬村では5月28日(土)に白馬連峰開山祭(第45回貞逸(ていいつ)祭)が白馬大雪渓一帯で開かれ、開山を待ちわびた方々が多く参加されました。
当日の天候は曇りでしたが、前日まで天気予報が雨であったことを思うと、なによりであったと思います。

猿倉駐車場で、神事(安全祈願祭)、出発式の後、大雪渓下部の白馬尻まで白馬山案内人組合のガイドの元、トレッキングを行いました。猿倉付近では新緑が目にしみ、グリーンシーズンの始まりといった風景でした。しかし、白馬尻に近づくと春の装いへと変わる前の風景でした。
トレッキングでは、ガイドの解説を聞いたり、早春の花を探したりしながら歩き、コースの途中からは解けてゆるんだざらめ状の雪の上を歩きました。白馬尻では、この冬は降雪は多かったものの、5月以降雪解けが進み、積雪は平年並みになっているとのことでした。


<猿倉からトレッキングに出発>


<白馬尻付近(標高約1500m)は間もなく春>


続いて、6月5日(日)には大町市の総合山開きとなる針ノ木岳慎太郎祭が、針ノ木大雪渓で開かれました。
こちらは、扇沢の駐車場から雪の残る道を歩き、標高約1800mの雪の上で神事が行われました。神事の後、参加者は、針ノ木峠(標高約2500m)への記念登山に向かうグループと、周辺の自然観察を行うグループに分かれ、それぞれの行程を楽しみました。
今年は例年以上にデブリ(雪崩の堆積物)が多いとのことでした。


<針ノ木岳 慎太郎祭の神事の様子>

登山シーズンが始まりました。関係者は登山道の整備など安全確保に努めています。皆様も自身の安全性を高める準備や心構えを持っていただき、楽しい登山になるよう努めていただきたいと思います。

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