2021年10月25日
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2021年10月25日白山国立公園『刈込池』の紅葉状況は・・・?
白山国立公園 大石佳織
皆さん、こんにちは。 白山自然保護官事務所の大石です。 冷え込む日が続きますが、皆さん、体調を崩されていませんか?暖かくして、風邪などひかないようにしたいですね。 さて、冷え込みが続いた白山は、10月21日に初冠雪したと金沢地方気象台から発表がありました。 ![]() (冠雪した白山。10月24日勝山市内から撮影) 紅葉前線も山麓へと歩みを進めています。 福井県大野市に位置する刈込池では、もうじき見頃を迎えそうです。 10月15日はまだ色づいていませんでしたが・・・ ![]() (刈込池。10月15日撮影) 10月21日にはほんのり色づいています。 見頃は今月末くらいからでしょうか???皆さんはどう思われますか? ![]() (刈込池。10月21日迫保護官撮影) 池の奥に見えるのは標高2,128mの三ノ峰です。山頂付近は雲の中ですが、冠雪していますね。雪化粧した山と紅葉の景色はとてもきれいなので、皆さんにも ぜひ見ていただきたいのですが、刈込池で雪化粧した山と紅葉のコラボレーションは毎年見られるわけではありません。今年も池の周りが紅葉する時に、山頂付近が冠雪することを祈りましょう! なお、紅葉シーズンの刈込池は大変混雑し、週末は渋滞が発生したり駐車場が満車となったりします。アクセスする道路は道幅が大変狭いため、ゆずりあい、スピードは控えめで、十分注意して通行してくださいね。 また、服装についてもご注意ください。刈込池のハイキングコースは、高低差が累積で350mほどあり、足場が悪い場所やぬかるむ場所もあるので、しっかりとしたトレッキングシューズで行くことをおすすめします。標高は1,000mを超えるため、この時期はお天気が良くても日陰や風が吹くと非常に寒いです。さらに、北陸は晴れ予報でも時雨れることがあるので、防寒具や雨具もお忘れなく! ★お知らせ★ 刈込池へアクセスする道路の近くには、道の駅「越前おおの荒島の郷」があります。 ここでは10月31日(日)までレンジャー写真展を開催中です!入場・観覧は無料なので、刈込池ハイキングの後は、ぜひお立ち寄りください♪ ![]() (チラシ表面) ★刈込池については過去にも紹介しています。こちらもぜひご覧ください★ |
こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
先日の鹿島槍ヶ岳から五竜岳縦走で遠見尾根を下山しましたが、その際に五竜テレキャビン(ゴンドラ)のアルプス平駅にある白馬五竜高山植物園に立ち寄ることができました。
高山植物園責任者の坪井さんにお会いすることができ、園内を案内して頂きました。
<白馬五竜スキー場のゲレンデ内に造園された植物園>
白馬五竜高山植物園は長野県で初の「(公社)日本植物園協会」加盟植物園で、スキー場のアルプス平パノラマコース上に設園されています。
植物園と坪井さんには環境省も大変お世話になっており、ライチョウ保護増殖事業においてもライチョウの餌となる高山植物の栽培、(公社)日本植物園協会の保全事業として白馬山域における絶滅危惧種の保全、栽培、研究調査にもご協力頂いています。
<手入れ風景>
この植物園は、標高1500mを越えるスキー場の斜面、また白馬山系蛇紋岩の地質から高山植物が好む環境に近い適地だそうです。高山の花のエリアでは、長野県で標高2500m前後に生育するコマクサが見られ、最盛期にはコマクサ通りと名付けられた散策路で淡いピンクの絨毯が間近で観賞することができます。
また吃驚したのは、高低差数メートルの小山の地形を利用して標高3000mまでの植生を再現しているエリアです。その小山の頂上には標高3000mの標柱が建っています。山名は「白馬五竜岳」(有りそうな山名ですが実際はありません)。標柱をよく見ると"3000m相当"と書いてありました。ハイマツ帯があり、その上は森林限界を超えた地帯でイワギキョウ、イワベンケイ、タカネツメクサなど表札が立っていました。この植物園に来れば3000mまで登山した気分になるのは間違い有りません。
<高山の環境を再現した小山>
<標高3000m、相当>
ハイマツ帯にはライチョウも居ました!(ライチョウはくば君)
もう一つの特徴は、絶滅危惧種の栽培です。
北アルプス白馬周辺の限られた場所でしか生育しなくなってしまった植物を環境省と(公社)日本植物園が進める植物保全事業による許可のもと種子を採取し、この植物園で栽培しています。代表的なものは、タカネキンポウゲ、クモマキンポウゲなど。
<絶滅危惧種の栽培>
<様々な希少植物が栽培実験されていました>
このように希少植物の栽培にも実績があり、例えば動物園から餌としての植物栽培を依頼されることもあるそうです。実際、環境省のライチョウ保護増殖事業における餌を資源を確保する面からムカゴトラノオの提供をお願いしています。
<栽培されたムカゴトラノオ>
坪井さんにトラノオの栽培地を見学させて頂きました。そこは植物園を降りた里山にあり、マルチシートが張られた畑に栽培実験が始められていました。
高山植物は高山の厳しい環境でのみ育つと思っていましたが、標高1500mでも地質や斜面や手入れ次第でその環境を再現でき栽培もできることを知りました。
海外の高山植物もエリア化されており、ヒマラヤやヨーロッパアルプスの植物も観賞することができます。
登山しなくとも高山植物が間近に見たい方にはお勧めの場所です。
また遠見尾根を下山される方は是非ともご鑑賞下さい。
植物園は、綺麗な植物を観光客に観てもらう業務と同時に、その地の貴重な植物を保全するための研究も行っていることを知り大変勉強になりました。
坪井さんありがとうございました。
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