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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

あの世とこの世。地獄の山『立山』

2021年03月16日
立山 一ノ枝亮輔

「立山のいまとむかし~立山信仰と歩くアルペンルート~」と題して、立山の魅力をシリーズとして紹介しています。今回は第4回目です。

<第1回目の記事はこちら> 立山が出てくる最古の文学書「万葉集」

<第2回目の記事はこちら> 立山を開山したのは誰?熊と白鷹の伝説

<第3回目の記事はこちら> 旅する掛軸「立山まんだら」って何?

前回、立山曼荼羅(まんだら)を広めることで、立山参りに来てくださいね~と立山の宿坊の主である「衆徒(しゅと)」の人たちが立山信仰を広めていったというお話をしました。

信仰をしていた人たちは全国にいたようですが特に尾張(愛知)周辺の人たちに多くいたようです。そこで、

ここでいきなりクーーイズです^^

「では実際にその人たちは遠路はるばる立山に何を求めに来たのでしょうか?」

  1. ① 立山に素晴らしい景色を求めて

  2. ② 亡くなった人に会いに来た

  3. ③ 高い山に登りたいから

  4. ④ 熊やシカなどの神聖な野生動物に会いに来た

4つの内のどれに当たるでしょうか。答えは、後ほど!

立山曼荼羅を見てみると、「地獄」が描かれており、様々な地獄の様子を映し出しています。曼荼羅の左上部分に集中的に地獄絵図が見受けられます。

<富山県[立山博物館]蔵、『吉祥坊本』国指定重要有形民俗文化財>

※立山博物館より許可を得て掲載しています。

地獄はあの世、つまり「死後の世界」です。地獄にも色々な種類があり、全部で136の地獄があるそうです!!

そして、あの世とこの世をつなぐのが「三途の川」であり、立山信仰では芦峅寺にある「布橋」を境にあの世とこの世を分けていました。現在ある布橋も、橋を渡った先にはお墓があり、その先に民家という家はありません。

<降雪の布橋。冬の時期はアーチ部分がブルーシートで覆われていました。お墓の先は曼荼羅遊園になっている。>

亡くなった人は、十王から厳しい裁きをうけて立山のどこかの地獄へと堕ちると言われたそうです。(実際には仏教では、地獄の道以外にも他の5つの道があるとされています。ややこしいのでそこは割愛します。)

昔の人は、

「立山へ行けば、亡くなって地獄におちた人に会える。立山参拝(信仰)に行けば亡くなった人が成仏し、自分の罪も浄化される。」と信じて、遠路から立山参りをしていたようです。

なので、先ほどのクイズの答えは、

「②亡くなった人に会いに来た」が正解でしたー!皆さん当たりましたでしょうか?!

立山という雄大な山の中に地獄谷という特異な景勝地があったことで、そこを地獄と見たてて立山曼荼羅に描き、信仰を広めていったんですね。立山の自然の素晴らしさと人の想像力の豊かさがあってこその産物です。

<室堂平にある「血の池」>

今もその名は引き継がれており、地獄谷やエンマ台、血の池など訪れた人を魅了しています。(※現在地獄谷は火山ガス濃度が高いため通行禁止となっています。)

参考文献:立山の歴史 立山信仰の歴史[2006 富山県立山センター]

     入門!立山ワールドあんない[H30 富山県立山博物館]

     立山ふしぎ大発見?![R元年富山県立山博物館]

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