アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
旅する掛軸「立山まんだら」って何?
2021年02月25日こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
「立山のいまとむかし~立山信仰と歩くアルペンルート~」と題して、立山の魅力をシリーズとして紹介しています。今回は第3回目で、「立山曼荼羅(たてやままんだら)」についてです。
立山曼荼羅(たてやままんだら)とは、立山信仰を全国に広めるために、立山山麓に住む人たちが「日本の越中に立山って言う場所があって、そこにはこんな世界が広がっているんだよ。ぜひお越しください。」と布教を行ったものです。
立山の歴史・文化について精通されている「立山博物館」では、所蔵されている立山曼荼羅が50点程あるようです。
<立山町芦峅寺にある 立山博物館>
立山曼荼羅は、掛け軸(掛幅)になっており、通常は4枚で1つの立山信仰の世界が描かれています。大きいものでは、縦180cm×横240cmのサイズがあります。4つに分割をすることで、携帯性を良くし、全国に持って行きやすいようにしたようです。
この立山曼荼羅は、立山信仰を広めるために重要な役割を担っていました。
口頭で「立山ってこんなすごいところがあるんだよ~」と伝えるよりも、絵を通して伝えた方がよりわかりやすく、説得力があります。確かに、現代でも写真を使った方がその場所の情報を伝えやすいですし、「行ってみたい!」という気になります。
先にご紹介をしたように立山曼荼羅でもたくさんの種類があります。その中の1つが「吉祥坊本」です。立山曼荼羅ごとにも名前が付いているんですね。
<富山県[立山博物館]蔵、国指定重要有形民俗文化財>
※立山博物館より許可を得て掲載しています。
そして、こちらが「善道坊本」です。
<富山県[立山博物館]蔵、国指定重要有形民俗文化財>
※立山博物館より許可を得て掲載しています。
写真ではわかりずらいですが、立山曼荼羅には、いくつも種類があり、その中でも描かれているものが異なっているようです。立山曼荼羅の中には、「様々な地獄」が描かれていたり(現在の地獄谷)、「立山開山」した場面が描かれていたり、その他にも雄山山頂の「峰本社」や、剱岳、浄土山、室堂、美女杉など現在でも呼ばれている地名が描かれています。絵と照らし合わせて、現在の場所と比較してみると「ここは、ここのことか~!」と発見があり面白いです。
「立山曼荼羅」を見て「立山登山・周遊観光」をしてみても面白いですし、
「立山登山・散策(観光)」をした後に「立山曼荼羅」を見てみるというのもまた面白いです。
立山へお越しの際には立山曼荼羅を展示している、「立山博物館」へセットで立ち寄るのもお勧めです。ちなみにすぐ隣は雄山神社中宮祈願殿がありお参りもできます。
<雪の雄山神社中宮祈願殿>
富山県側から立山駅へ向かう途中の「芦峅寺」という集落に立山博物館はありますのでぜひ寄ってみてはいかがでしょうか。
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