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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

【伊勢湾の漂着ゴミを考える~③】★答志島から始まる伊勢湾のつながり

2012年09月13日
名古屋
 志摩保護官事務所の村松アクティブレンジャーからバトンを引き継ぎました、名古屋市の藤前干潟にある名古屋自然保護官事務所の野村です。志摩と名古屋の共同連載日記【~伊勢湾の漂着ごみを考える~】の最終走者をつとめます。

 第2走者の村松アクティブレンジャーが報告してくれた9月8日(土)の答志島の「奈佐の浜清掃」には、愛知県からは約100名の参加があり、藤前干潟で漂着ごみの清掃活動や観察会などをしている団体からも多数の方が参加されていました。

【伊勢湾の入り口にある答志島(左)、伊勢湾の最奥部にある藤前干潟(右)】

 この藤前干潟から奈佐の浜の清掃に参加された方々から、奈佐の浜の現状について以下のような感想を伺いました。
「海の水が透き通っていてきれいだった」
「海はきれいなのに、海岸にごみがたくさんあって残念だった」
「きれいな環境に保てたら良いと思う」

 また、奈佐の浜と藤前干潟の漂着ごみを比べると違いや共通点が見られたそうです。
「とにかくビニール袋でもプラスチック製品でも、細かく破片になったごみが多かった」
「流木も小さく細かくなっていて拾うのが大変だった」
「藤前干潟にはあまり漂着しない漁網(魚を獲る網)の一部や、海苔養殖やカキ養殖に用いる小さなプラスチック資材のごみがたくさんあった」
「藤前干潟にも漂着している注射器やルアーのごみを奈佐の浜でもみつけた」
 
 第1走者の上野アクティブレンジャーが報告したように、藤前干潟にも大量のごみが流れ着きます。藤前干潟同様、奈佐の浜でもプラスチックごみが圧倒的に多いようですが、漂着するごみの種類や形状が藤前干潟とは若干異なるようです。また、注射器などの危険なごみが奈佐の浜にもあるというのはとても残念に思いました。


【奈佐の浜の漂着ごみの一部】

【奈佐の浜でもみつかった注射器】

 「今回、奈佐の浜に行き、実際に流れ着いたごみを手に取ったら、このごみはもしかしたら、藤前干潟から流れてきたのかもしれない、と思えて、もう奈佐の浜のごみ問題が他人事には思えなくなった」という声も参加した方から聞くことができました。漂着ごみの問題は、発生源と実際にごみが流れ着いて困っている場所が遠く離れていることが、解決や対策を難しくしています。答志島の奈佐の浜の漂着ごみの問題は、上流からのごみの発生を抑えるなど、伊勢湾流域全体で考えなければ、根本的には解決していけないものです。そのためには、漂着ごみの問題を、他人事とは思わず関心を持ち続けることが大切なんだろうと思います。

 しかし、実は、恥ずかしながら、今まで答志島がどこにあるかさえ知らなかった私。もちろん、答志島に流れ着く大量のごみのことも、その被害についても全く知りませんでした。でも、今回の奈佐の浜清掃が行われたことを機に、答志島の漂着ごみのことだけでなく、伊勢湾全体のごみのこと、人のつながりのことを知ることができました。このような連載日記を書くこともできました。私自身、今後は答志島や伊勢湾流域のことをより考えつつ、藤前干潟で活動していきたいと思っています。

【奈佐の浜での海岸清掃活動(左)と藤前干潟での清掃活動(右)】

 今後、22世紀奈佐の浜プロジェクト委員会では奈佐の浜の清掃を継続的に行うとともに、伊勢湾流域各地での活動や交流を始めていくそうです。皆さんもぜひ、この活動に参加して、実際現地に行って、答志島から始まる伊勢湾流域のつながりを身近に感じてほしいと思います。

 尚、藤前干潟では市民による漂着ごみの大清掃活動「藤前干潟クリーン大作戦」が10月27日(土)に行われます。伊勢湾へ流出するごみを少しでも減らすため、藤前干潟でも多くの人がごみ清掃を頑張っています。藤前干潟にもぜひ足を運んでみてください!
 10月27日(土)の案内はこちら(↓)をご覧くださいね。
 *「2012 藤前干潟 秋のクリーン大作戦」


~藤前干潟は2012年11月18日でラムサール条約登録10周年を迎えます~