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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

【~伊勢湾の漂着ゴミを考える~ ②】★答志島の漂着ごみと海岸清掃

2012年09月12日
志摩
伊勢湾の漂着ゴミを考える連載日記。
第二弾は、志摩自然保護官事務所の村松が担当させていただきます!
私からは、伊勢志摩国立公園の中でも特に漂着ごみ問題が深刻な、鳥羽市答志島で始まっている“奈佐の浜プロジェクト”についてご紹介したいと思います。

この答志島で起きている深刻な問題とは・・・。
前回の記事で、上野アクティブレンジャーからも少しご紹介いただきましたが、この島には、風向きや海流の影響で、伊勢湾流域を発生源とする流下ごみの4分の1以上というすさまじい量のごみが漂着しています。その量は、年間約3000㌧。

島のみなさんはオイルフェンスで囲むことで、奈佐の浜に漂着したごみが再び他地域へ漂流してしまわないようにしたり、一斉清掃を行ったりと地道な活動を続けておられますが、流れ着くごみは年々増える一方。環境省ら行政も重機を入れた清掃を行っていますが、すぐに元通りになってしまう状況です。



【答志島へ流れ着く漂着ごみ】

そんな状況をなんとかしよう!と市民団体の連携で動き出したのが、先日の日記でもご紹介した「奈佐の浜プロジェクト」。伊勢湾流域に住む森、川、海の東海3県の市民が、奈佐の浜の清掃から、伊勢湾に豊かな海を取り戻そうと取り組むものです。
9月8日(土)には、第二回目となる海岸大清掃が行われ、東海3県の環境団体、関係行政機関、答志島島民ら合わせて約300人が参加されました。この夏は台風や大雨がなかったこともあり、ごみは少なめでしたが、全部で約2,480kgのごみが回収されました。


【当日の様子】

何より私がお伝えしたいのは、関わるみなさんそれぞれの思いです。

いつもいかにも漁師さんな出で立ちの小浦委員長(鳥羽磯部漁業協同組合桃取町支所理事)も、この日の講演では正装して緊張した面持ちでした。
両手でマイクを握りひと言ひと言丁寧にお話される姿から、この漂着ごみ問題の解決に島民の生活がかかっていること、何とかしたいという必死で切実な思いが痛いほど伝わってきました。

一方で参加された側からは、当日はごみが少なく清掃時間も短かったことに対し「ゴミがないに越したことはないけれど、今回の活動は本当に答志島の人たちのためになったか」と心配する声が聞かれました。「成果は大きくないかもしれないけど、誠意は伝わったかなぁ」とおっしゃる姿に、ものすごいボランティア精神だなぁと感動しました。参加された方はみなさん同じような思いで清掃に臨んでいらっしゃいます。



【プロジェクトに関わる方々】

今回ごみが少なめだったのは、このプロジェクトを知り、東海3県、その他から有志の団体や個人が清掃に来てくれたおかげもあるそうです。とめどなく流れ着く漂着ごみを清掃していると、終わりのない活動のような気がしてきますが、このプロジェクトに参加させていただいていると、人の繋がりが大きなうねりになって動き始めているのをヒシヒシと感じます。奈佐の浜プロジェクトが目指す「100年後に奈佐の浜の漂着ごみゼロ」も、遠い話ではないかもしれません。

さて、この辺りで答志島のお話は終わりたいと思います。
次回は再び、伊勢湾の豊かな恵みを支えてくれている藤前干潟から。
野村アクティブレンジャーにバトンを渡します~(^^)/♪

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前回の活動の様子は、YOUTUBEでも紹介されています。ぜひご覧ください。
▼6月9日奈佐の浜プロジェクト活動のPV
http://www.youtube.com/watch?v=2he4HjlhEJA&feature=youtu.be
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