上信越高原国立公園 万座
187件の記事があります。
2020年12月07日駆け込み木道整備
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
11月下旬、根雪になる前に万座園地熊四郎歩道へ滑り止めテープの貼り付けを行いました。
歩幅に合わせてテープを貼付けしてゆきます。
山登りに慣れた人には問題なく歩くことのできる木道ですが、
万座温泉を訪れた観光客の方にとっては、部分的に少し傾いていたり、
木道が湿っていると滑りやすい場所があります。
↓ 設置完了した場所の様子です。
少し傾いた木道でも安心して歩くことができるようになりました♪
滑りそう・・と思ったら、テープめがけて歩けるように設置しています。
冬の厳しい気候条件での耐久性を確認するために試験的に一部区間に貼付しました。
これからマイナス10℃近くになる厳冬期を超えて春までもってくれるとよいのですが!
2020年11月17日根子岳(2,207m)でササ刈り
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
根子岳・四阿山保全協議会、真田中央公民館の主催で
根子岳登山道周辺のササ刈りが行われています。
根子岳では希少な高山植物を楽しむことができますが、
近年の急激な森林化やササ藪化の影響で、多くの高山植物が減少しています。
今回のイベントでは根子岳頂上付近の登山道周辺のササ刈りを行い、 かつてのお花畑に戻すことを主目的としています。
今年で3年目のササ刈りイベントに、環境省スタッフも同行させていただきました。
↑ 開会式の様子 R2.11.8撮影
一般公募で全国より総勢50名近くの参加となりました。すごい人数です。
↑ 刈払機を背負って登山
荷物を持っての登山とササ刈りは重労働ですが、みなさん楽しそうにテンポ良く登山されています。
※根子岳山頂周辺は上信越高原国立公園の特別保護地区になっており、
植物の採取、損傷は禁止されていますが、今回は上田市が木竹の伐採許可を受けて実施しています。
↑ 登山道での休憩の様子
菅平高原の歴史や植物について勉強しながら登ることができるのもこのイベントの楽しみのひとつ。
山頂に着くと、作業手順や注意点を再確認しておのおの作業開始しました。
↑笹刈りの様子
今回は登山道の両側4メートルのササ刈りが目標。
思い切り刈ってゆきます。
↑ 手鎌でのササ刈りの様子。
ササの茎は堅く、刈り払いは非常に大変です。
今後数年で高山植物の芽吹きや開花の増加が見込めるため、
皆さん、来年のグリーンシーズンを楽しみに、自分がササ刈りした場所をチェック!
無事下山、イベント終了しました。
最後に...
11月の根子岳周辺は氷点下になることも多く、
前後の天候によってはアイゼン等、冬山装備が必要な場合があります。
登山の際には、装備等の準備を十分に行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
↑ 菅平牧場周辺より見た北アルプス R2.11.12撮影
2020年11月11日子どもパークレンジャー開催しました♪
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
11月1日、子どもパークレンジャーを開催しました!
嬬恋村と長野原町の小学3年生~6年生の子ども達19人が参加してくれました。
今年のテーマは「知られざるクマの生活をのぞいてみよう」です。
自然の中で生きるクマの生活を想像して・・
怖い!だけではないクマの一面や、
周りの自然環境との関係を知り、考えるプログラムです。
実際に万座のフィールドを歩いて、万座の秋の自然も堪能してもらいました♪
↑ 万座しぜん情報館での座学の様子
みんなメモをとったり、質問したり、一生懸命です。
クマのまわりにはどんな動物がいる?クマの大きさは?など、
普段の生活では知ることのできないクマの一面を学びました。
学んだ後は、フィールドへ!
まずは、クマの食べ物を探したり、野生動物の痕跡を探しました。
↑ きのこや、クロマメノキの実など野生動物の食べ物をどんどん発見!
↑ 牛池に熊ベルも設置しました。
お昼休みには、サンショウウオへのえさやり体験。
毎回、子どもたちに人気です。
↑ サンショウウオへのえさやり体験の様子
ぱくぱくとイトミミズを食べるサンショウウオがとってもかわいいです。
↑ ハチミツや果実ジャム等、クマのご飯も・・実食!
手作りの笹茶が意外にも人気でした。
まとめは今日学んだことをポスターにまとめました。
↑ まとめのポスターデザイン作成の様子
どんな絵を描いたらよいのか苦戦しながらもできあがったデザインには、
クマの子どもや、フィールドワークで探した笹の葉やクロマメノキも描かれています。
学んだり、フィールドを探検したり、触ったり、
盛りだくさんの楽しいイベントとなりました!
2020年10月23日万座の牛池
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
つい先日まで黄色の紅葉がきれい、と思っていたら、
あっという間に万座温泉周辺は落葉し晩秋の雰囲気です・・。
↑ 牛池 2020/10/19撮影
静かな雰囲気が牛池のきれいな湖面を一層きわだたせています。
さて、今年度は牛池の木道を補修しましたので報告します。
↑木道補修前(黄色で囲った部分が浸水) ↑木道補修後
写真(左)が工事前の木道ですが、木道の老朽化に加え、たくさん雨が降ると
木道がしばしば浸水していました。黄色で囲った部分は大雨により一時的に浸水しているときの写真です。
写真(右)が補修後の様子です。
老朽化した木道よりかさあげすることで浸水を防ぎ、木道も平らで歩きやすくなっています!
今回ご紹介した牛池の場所は以下からご確認いただけます。
万座しぜん情報館
http://manzanc.jp/visitors-guide/highlight/2016-04-06-17-43-28
平地より一足早く、晩秋と初冬の雰囲気をぜひどうぞ。
2020年10月22日黒斑山登山道 歩きやすくなりました!
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
10月20日(火)黒斑山周辺の現地確認をして来ました。
↑10月17日に降った初雪のまだ残る浅閒山
火口からの水蒸気や、秋らしい巻雲などが空にかかり、にぎやかな空模様です♪
本日は、黒斑山登山道の補修工事が完了したので登山道のチェックも行いました。
↑写真左が補修前、写真右が補修後。
歩幅や水の流れを考えた登山道となっており、とっても歩きやすくなっております!
今後の巡視でも登山道の変化を見るのが楽しみです。はやく登山道が安定しますよう・・。
↑黒斑山山頂付近より湯の平方面を撮影
カラマツの紅葉も見ごろを迎えています!
↑マルバダケブキの綿毛
2020年10月08日登山道標柱の維持管理
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
10月1日、鹿沢万座パークボランティアさんと合同で湯ノ丸山・烏帽子岳の登山道巡視と
標柱のペンキの塗りなおしを行いました!
↑ 標柱befor(写真左)、after(写真右)
見違えるようにきれいに。
今回の巡視では登山道や山頂標識あわせ、計8本の標柱の塗りなおしを行いました。
↑ 丁寧にペンキを塗ってゆきます。二度塗りしました。
歩きはじめ、一時小雨が降る瞬間もありましたが、
前日の晴天で、標柱はよく乾いており、ペンキ塗りには最適な気候でした。
湯ノ丸山・烏帽子岳を訪れた際には、ペンキ塗りたてのきれいな標柱で記念撮影をぜひどうぞ!
2020年09月30日2020年の花、ひっそりラストスパート
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
軽井沢町の追分宿よりすぐ、石尊山(1,667m)に9月28日巡視にいってきました。
↑登山道はなだらかで歩きやすく、道標もしっかりついています。
道標は軽井沢町の管理で今年新しくなったばかりです♪
さて、夏からすっかり顔ぶれの変わった花もラストスパートを迎えていましたのでご紹介します。
↑ ミズヒキ
その名の通り水引にそっくり。登山口~中間地点のあたりの登山道で見られました。
↑ ナギナタコウジュ
葉の匂いをかいでみると、甘いような、ハーブのような‥?不思議な香りがしました。
↑ ヤマラッキョウ
頂上付近で発見!
↑ リンドウ
こちらも頂上付近で発見!
標高2000メートル付近は雲で覆われていましたが、麓は晴れており、花が咲いていました。
最後に、石尊山の山頂からは
浅間の大パノラマ、軽井沢町が一望でき、とっても景色がきれいでした。
↑ 石尊山山頂より、浅間山方面
2020年09月16日草原を増やす取り組み
上信越高原国立公園 万座 飯島久美子
長野県上田市と須坂市にまたがる菅平高原も草原が多く、
その多くは牧場やスキー場など、人間の暮らしと密接に関わっています。
↑ 広い牧場に牛がゆったりと放牧されています。
そんな菅平地域に位置する根子岳(標高2,207m)の登山道には、
多くの高山植物が咲き乱れます♪
↑ ツリガネニンジン 根子岳登山道にて撮影R2.9.10
種が遠くまで運ばれないため、
草原にこの花が咲いていると昔から同じような環境であったと推測できます。
↑ ノハラアザミ たくさん咲いていました。
花真っ盛りの時期はすぎていますが、花と種子を同時に観察できてお得感があります。
他にもリンドウや、アキノキリンソウ、ウメバチソウ、ワレモコウ、マツムシソウ等も花をつけていました。
そんな菅平では貴重な草原を維持し、高山植物の保護増殖のために
上田市や、菅平の自然を愛する方々により毎年ササ刈りが行われています。
↑ ササ刈り箇所の植物調査の様子
ササが増殖したり樹木の成長などで草原が減少すると、高山植物が生える場所がなくなってしまいます。
ササ刈りを行うと、高山植物が増えることがわかっており、
写真の植物調査の際にもササ刈りを行った場所からは、幼木や、高山植物の開花が観察できました。
↑ ササ刈り箇所で発見したリンドウ
実際に山を歩きながらそこから見える景色や生えている植物をよく観察すると
人間の生活や、環境の変化に草原環境は大きく影響を受けていることを実感します。
2020年09月08日夏~秋に咲く外来植物
上信越高原国立公園 飯島久美子
夏から秋にかけて花を咲かせるオオハンゴンソウという特定外来生物をご紹介します。
↑オオハンゴンソウ R2.9.3撮影 バラギ湖付近道路沿いにて
かつて観賞用として日本に入ってきたもので、 黄色が鮮やかな、きれいな花です。
1から3メートルほどの背丈の高い植物なので、花の咲く時期はとても目立ちます。
オオハンゴンソウは繁殖能力が非常に高く、すでに在来の植物が生えていた場所でも
種や根っこでどんどん株を増やし、在来の植物を押しのけ拡がることが懸念されています。
↓ 道路脇などでよく見つけることができます。
車のタイヤや、動物の体について種子が運ばれ、拡がっていると考えられています。
↓近づいてみると・・他の植物の生える余地がなく一面オオハンゴンソウ!
実は...
今回ご紹介した場所は嬬恋村の地元有志の方々によって
約6年前から年に数回のペースで駆除作業が行われている場所です。
毎年駆除してもこれだけまた生えてくる。すごい繁殖力です。
主な駆除方法は2種類あります。
・根から抜き取り(根からも増えるため)
・刈り取り(種子を刈り取ることで種子による分布の拡大を防ぐため。)
今回の駆除作業は、刈り取りによる駆除を行いました。
↑ 地元のボランティア団体の方による刈り取り作業
↑ 刈り取り後
一面の黄色の花がなくなって少しほっとします。
刈り取ったオオハンゴンソウは種子が散逸しないようにビニール袋にしっかりと密閉し、直接、焼却処分場へ運びます。
オオハンゴンソウは、園芸用の近種も多く存在しますので詳細は
以下URLのリーフレット(環境省釧路自然環境事務所)をご覧下さい。
http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_ohangoso.pdf
外来種駆除は一度では効果を得ることは難しく、継続して行うことが重要です。
来年は少しでも減りますように!
特定外来生物であるオオハンゴンソウは多年草でロゼットで越冬します。
↑ 落ち葉の間から出ている緑色の葉は全てオオハンゴンソウのロゼットです。
夏~秋には2メートル近くあった茎の部分は枯れています。
この場所、8月終わりころはこんな様子でした。
↑ 2メートル近くの背丈で黄色い花を咲かせていました。
特定外来生物ではありませんが、外来植物のハルザキヤマガラシの越冬の姿もご紹介します。
↑ ハルザキヤマガラシのロゼット。
黄色の矢印の先の丸い葉です。
↑ ハルザキヤマガラシは春になると黄色い花を咲かせます。
12月中旬の寒波の影響で今はロゼットも雪の下・・。
外来種駆除は1年では難しく、数年にわたり駆除が必要なことを実感します。