白山国立公園
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2016年05月12日*開山に向けての大仕事!*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
4月末に白山公園線が異例の早さで別当出合まで開通し、5/1には白山室堂も素泊まりのみの営業を開始しました。晴れた週末には早くも登山者で賑わいつつあります。これから本格化する登山シーズンに向けて、5/7(土)に毎年恒例となっている別当出合駐車場の清掃をしてきました。
この日はあいにく小雨でしたが、白山国立公園パークボランティア14名とともに、パークボランティア活動の中でも1、2を争う重労働にとりかかります。
春の駐車場はこんな感じで、側溝には落ち葉と泥がつまり、落石も見られます。
大変だー・・といいつつ、みなさん何だか楽しそうな様子。
黙々と作業をします。
見違えるほど綺麗になりました!
側溝にすっぽりはまってしまった落石。これでは水が流れず詰まってしまいます。
ああでもない、こうでもないと知恵をしぼって・・・
とれた!!
結局作業中に雨はあがりませんでしたが、作業後の達成感は格別で青空の下にいるような清々しい気分でした。誰かに見られているわけでは無く、誰かに褒められたくてやっているわけでもありません。白山が好きだから白山のためにできることをしたい、という思いが白山国立公園パークボランティアの原動力で、感服します。写真もほんの一例で全て紹介できないのが残念ですが、15人で約1時間半がんばりました。
ゴミもこんなにありました。これらのごみは分別して数を数えて調査結果として残します。
せっかく綺麗になった駐車場ですから、ゴミを落とさないよう1人ひとりが気をつけて利用してくださいね。
2016年03月31日*白山と雪のはなし③ 植物との関わり*
白山国立公園 白山 アクティブレンジャー 小島永莉子
長いと思っていた冬も過ぎ去り、白山のふもとでも春を感じられるようになりました。もう2ヶ月もすれば本格的な登山シーズンに突入です。白山での楽しみの1つといえば高山植物!ということで、今回は植物たちについて少し紹介します。
白山には約250種の高山植物が生育すると言われていますが、これだけ数が多いのは地形や雪融けの違いにより多様な生育環境ができ、自然に住み分けがなされているからなのです。中でも雪が与える影響は大きいそうです。白山を歩いていると景色がどんどん変わっていくのと同じように、咲いている花の種類も場所ごとに変わっていきます。
観光新道のお花畑
白山のお花畑のイメージといえば観光新道などで見られる高茎草原だと思います。雪が積もる斜面に形成されるというおおまかな特徴がありますが、日当たりや雪崩の頻度などによって生育する植物はばらばらです。ニッコウキスゲやイブキトラノオなどで構成される見応えのあるお花畑は何回見ても感動します。
南竜ヶ馬場のイワイチョウ
南竜ヶ馬場のような水の豊富な湿原ではハクサンコザクラやイワイチョウといった植物が主に生育します。黄色く見えるのがイワイチョウです。
室堂平のクロユリ
雪が遅くまで残る湿潤なところを雪田といい、雪渓から流れ出る水がたくさん供給される場所です。クロユリ、ハクサンコザクラ、コバイケイソウなどが見られます。
山頂付近
雪が吹き飛ぶほどの強風が吹く山頂付近では背の高い植物は育たず、岩にへばりつくようにガンコウランが生育しています。左の写真のマットのように広がっている緑の植物がそれです。風があたらない岩陰でイワギキョウ(写真右)やイワツメクサが見られます。
簡単に紹介しましたが、水を作り出す"雪"が植物にとってとても重要なことがわかります。今年は本当に雪が少なく、この時期ならまだ真っ白でのっぺりとした綺麗な白山が見られるはずですが、だいぶ表面が見えてきています。今年はどんなお花畑を見せてくれるのでしょうか・・?
2016年02月03日*冬のお客さん*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
今年は雪があまり無く暖冬の影響を感じています。先月の寒波の到来でいっきに積もった雪もだいぶ溶けてしまいました。雪かきと屋根雪下ろしはやっかいですが、降らなければスキー場の運営や除雪作業など冬の仕事が無くなってしまうので、無くても困る存在です。
しかし暖冬とは言っても、山には相当量の雪が降り積もるのは変わらず、入ることはできません。冬の間は事務所にこもり事務仕事をしていますが、そんな日々のちょっとした楽しみはふらっと事務所に訪れる小さな来客です。パソコンに向かいながら気配を感じちらっと外に目をやると、かわいい鳥がいるのです。その愛らしい姿と仕草に癒されます。
ヤマガラ?かキビタキ?小さくて判別できません・・。
カケスはわかりやすいです。羽の青色が綺麗です。
ツグミでしょうか。餌を探していたようです。
どれも画質が悪いのはご容赦ください。今まで鳥は難しいという先入観にとらわれ興味が無かったのですが、少しずつ覚えて行くうちに可愛く見えてきました。あまり気にかけていなかった頃は見えなかったものが、興味の対象になるとどんどん視界に入り、こんなに身近にいたことに感動を覚えました。
今月、白山自然保護官事務所ではスノーシューで散策する自然観察会を実施する予定です。今回は白山国立公園が会場ですが、たとえ国立公園で無くても身近に自然はたくさんあるのだと改めて感じています。観察会を通し自然への興味を深めてもらい、すぐそばの小さな発見、小さな感動をどんどん増やしていくためのお手伝いができれば、とあれこれ思索中です。
2015年12月28日*白山と雪のはなし② 動物たちのくらし*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
白山は1年の多くを真っ白な雪に覆われていることから名付けられたと言われています。冬季白山にはどれ程の雪が積もるのでしょうか。残念ながら正確な調査記録は見当たりませんでしたが、高山帯で十数メートルといわれています。冬、大陸からの北西の季節風が発生し、その季節風は日本海を通る際に水分を含み、そのまま白山にぶつかります。そうすると上昇気流が発生し、水分が大量の雪となり白山とそのふもとへ降り積もるのです。
今月はじめ、雪の白山へ行く機会がありました。空気は冷たく、植物は雪に埋まり、鳥の声が聞こえるだけで、他の生き物の気配はしません。夏場の活気に満ちた白山とはまるで別世界でした。でも・・・
尾根上に登山道が続いていますが、もちろん人間の足跡ではありません
雪が積もると、普段はあまり姿を見せない動物たちの行動が一目瞭然です。みんな歩きやすい登山道を通っていることがわかります。冬の主な利用者は動物たちのようです。それにしてもたくさんの足跡・・・宴会でもやっていたのでしょうか。
白山の冬は人間にとってはとても厳しい場所ですが、生き物たちはそんな環境に適応し、生きています。換毛が代表的な例で、ノウサギやオコジョは外敵に見つかりにくいよう、雪と同じ白色に毛が生え換わります。タヌキも冬は別の生き物のようにふっくらしています。これは冬を乗りきるために脂肪を蓄えているからですが、毛足が長い冬毛に生え換わるため大きく見えるのもあります。
また、動物たちは冬眠するイメージがありますが、実際に冬眠するのはクマやヤマネなど少数で、多くの動物は冬でも活動しています。
これは良くみかけるウサギの足跡です。食べ物を探し回るのでいたる所に足跡が残っています。主に木の皮や葉、冬芽などを食べます
ウサギ食べた後、するどくとがっています
ウサギの糞
カモシカやイノシシ、イタチ、キツネなどもよく足跡が確認されます。木の芽や根、ネズミなどの小動物など、食べ物を探しに冬でも活動しているのです。もちろん動物たちも雪崩に巻き込まれたり、敵に襲われたりする危険性もありますから、彼らにとっても厳しい季節です。そんな中でとても強く、たくましく生きていることがよくわかります。人間も見習いたいものです。
こうした冬の動物たちの行動は、白山国立公園の入口に位置するブナオ山観察舎(石川県白山市尾添)で観察することができます。観察舎内には望遠鏡や双眼鏡が常設され、職員さんに聞けば使い方や動物の出現情報なども教えてくれます。土・日・祝日にはかんじきハイクもしていますので、ぜひ足をのばしてみてはいかがでしょうか?
2015年12月14日*白山と雪のはなし①*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
11月26日の16時をもって白山公園線が閉鎖しました。石川県白山市白峰の風嵐ゲートから別当出合間は冬季通行止めです。
冬の間白山国立公園は閉ざされてしまい、私も今年度はもう入ることはありません。この時期を迎えると、何だか寂しい気持ちになりますが、その分春が待ち遠しく、シーズン中は楽しみも倍になります。冬の間も、登ることは出来なくてもとても美しい姿を拝むことが出来るので、遠くから白山を眺めながら春の訪れを待つこととします。
この先に白山が・・・
これが現在の白山自然保護官事務所です↓
事務所かどうか怪しく見えますが、これは雪囲いをしてあるからです。
通常はこんな感じで、ちゃんと看板がありますよ↓
積雪により窓が割れたり、建物内に雪が入り込むのを防ぐために冬季は雪囲いをします。
白山の名の通り、山上はもちろん白山の麓も日本有数の豪雪地帯となっており、たくさん雪が降ります。例えば、富山県南砺市や岐阜県白川村も白山国立公園を含んでいますが、こちらは合掌造りが有名です。特徴のある急勾配の屋根は雪が自動的に落ちるので都合が良く、豪雪地帯ならではの知恵です。石川県白山市白峰は重要伝統的建造物群保存地区に指定されていますが、こちらも家屋に特徴があります。
白峰重伝建の代表的存在 山岸家
白峰重伝建は土壁と縦長の窓が特徴としてよく挙げられます。土壁は夏涼しく冬暖かいという利点があります。窓は、半間から一間間隔で柱をたてるため(一間=6尺で約1.818m、半間ならその半分なので約90㎝)、半間幅に収まるよう縦長となっていますが、小さい分防寒対策にもなっているそうです。どの特徴も雪に対応出来るようにという人々の知恵を感じさせます。
雪囲いも雪かきも、労力のかかる大変な仕事です。そんな少々やっかいな雪ですが、実は白山にとっても私達にとっても、とても重要な役割をしています。これから雪のシーズンなので、しばらく雪についてお伝えしていきます。きっと、もっと白山が好きになりますよ。
2015年11月13日*白山周辺施設情報*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
白山は例年10月半ばに初冠雪を迎えます。先月末に白山に登った際は、中飯場より上からうっすらと雪が積もり、甚之助避難小屋以上は一面の銀世界でした。そして、今月4日、赤兎山登山道(小原三ノ峰線道路)の検査確認に同行した際は見事な快晴で、真っ白に輝く白山が見えました。ついつい見入ってしまう美しさです。神々しく、ありがたい気持ちになります。
※赤兎山登山口へ続く林道は冬季閉鎖中です。
このまま冬か・・・と感慨にひたっていましたが、今日見てみるとなんと雪はとけていました。今週は割と温かい日が続いていたからでしょうか。
あれ?白くない・・・
特に珍しくもないのでしょうが、つい最近まで白かったはずなのに、一気に溶けてしまったことが私としては驚きでした。
さて、11月に入り、白山国立公園内の施設は着々と冬期閉鎖の準備が進んでいます。
○別当出合休憩舎 休憩室及び給水設備は使用できません。冬季トイレは使用可能です。
○市ノ瀬ビジターセンター 閉館しました。
○市ノ瀬野営場 閉鎖しました。
○中宮温泉ビジターセンター/中宮展示館 11/15の営業をもって閉館予定です。
○中宮野営場 閉鎖しました。
別当出合へ続く県道白山公園線は通行可能ですが、トイレがありませんので、ご注意下さい。白山方面へ行かれる際は事前の情報収集をお忘れ無く。
2015年10月27日*厳しい冬に備えて*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
10月も終わりにさしかかり、だいぶ寒くなりました。いろいろな開山準備作業を経てやっと開山したかと思うと、あっという間に閉山時期が訪れます。登山者で賑わっていた別当出合も静まりかえり、今は冬を待つのみとなりました。
それでも別当出合周辺まではまだ紅葉が見られます。今年は色づきが良くないとの言葉をちらほら聞きましたが、感じ方は人それぞれで、私はそんなことはないと思います。毎年様々に姿を変えて違った景色を見せてくれますし、自然ほど美しいものはないと改めて感じます。
24日土曜日に行った際はこんな感じでした↓
砂防新道の紅葉
葉っぱが落ちて見通しが良くなるとまるで別世界です。足下には落ち葉のじゅうたんが広がり、ザクザクと音を立てて歩くのがおもしろいです。
青空に映えるマユミ
可愛い桃色の部分は花では無く果実なんです。熟すとパカッと開いて種子が顔を出します。
案内看板の撤去
毎年恒例の作業です。冬に備え一方通行の看板を取り外しました。パークボランティアの皆さん、ありがとうございます。
さて、白山国立公園内の様々な施設も冬期閉鎖しますので、お知らせです。
【甚之助避難小屋】 夏期トイレと給水設備は使用できませんのでご注意ください。休憩舎と冬期用トイレは使用可能です。
【殿ヶ池避難小屋】 休憩室とトイレは通年使用できます。水場はありません。
【市ノ瀬ビジターセンター】 11/5で今季の供用を終了します。トイレは使用できなくなりますので、ご注意ください。
2015年10月09日*白山にはごみが無い?*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
10月に入り白山麓もすっかり寒くなりました。白山では先月半ばから紅葉が始まっていて、山頂部から麓にかけてどんどん色づいています。秋晴れの気持ちの良いお天気が続く中、まさに見頃を迎えています。そんな先週末、あえて山へは登らずに市ノ瀬地区でパークボランティア(以下、PV)さんと共にごみ拾いをしていました。
※市ノ瀬地区は石川県側からの白山登山者の大部分が訪れる場所で、利用集中期にマイカー規制を行う日はこちらに車を停め、シャトルバスに乗り別当出合登山口まで行きます。市ノ瀬ビジターセンターがあり、市ノ瀬園地と岩屋俣谷園地が整備され、気軽に自然にふれあうことができます。
ゴミ拾いの結果・・・
なんと、3.8㎏のゴミを回収しました!たくさんのゴミを回収できたのは達成感があったけれど、こんなにもゴミが落ちているのか・・、とPVさん共々残念な気持ちでした。園地ということで登山道と比べ人が集中するため多かったのかもしれません。
中にはこんな強者も!駐車場に袋ごと落ちていました。
故意においたのか、置き忘れてしまったのかはわかりませんが、誰かが拾ってくれるなんて甘いことを考えてはいけません。自分で出したゴミは必ず持ち帰りましょう。
気になるゴミの内容を今回も全部ひっくり返して集計しました。プラスチック類がとても多いです。
1位 容器包装プラスチックフィルム 99
2位 飴などの包装 25
3位 プラスチック片、ティッシュ、タバコ 18
ついで包装紙(12)やビニール袋(10)、ウェットシート(9)などがありました。
一覧表にまとめたので、どんなゴミがあるのかご興味あるかたは覗いてみてください↓
白山はゴミがほとんど落ちていない綺麗な山だとよく言われます。他の山のことはわかりませんが、私もどこよりも綺麗な山だと思っています。綺麗なのにわざわざゴミ拾いをするの?というニュアンスの言葉を聞いたこともあります・・・これは、ちょっと悲しかったです。既に綺麗だから大丈夫、飴の袋1つくらいどうってことない、では無くて、ゴミが落ちていること自体がおかしいという感覚をもってもらいたいと思います。どこよりも綺麗な山だからこそ、今以上に綺麗な状態を保つために取り組むべきではないでしょうか?ゴミ1つ落ちていない状態を白山基準にしていきましょう!
↑こんな感じで登山バスに乗るお客さんに向けて、美化清掃の呼びかけも行いました。
2015年09月14日*レンジャー写真展のお知らせ*
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子
中部地方環境事務所管内にある国立公園と鳥獣保護区で働くレンジャーとアクティブ・レンジャーが撮影した写真を展示する、レンジャー写真展を開催しています。中部地区内を巡回しているレンジャー写真展ですが、今回は北陸に場所を移し福井県大野市での開催です!
★ 環境省レンジャー写真展 ★
【期間】平成27年9月11日(金)~9月23日(水・祝)
【場所】大野市役所1階 市民ホール
福井県大野市天神町1-1
【入場料】無料
白山国立公園、伊勢志摩国立公園、藤前干潟鳥獣保護区の風景や生き物をテーマに計36点の写真を展示しています。どれも力作揃いですので、近くへいらした際はぜひお立ち寄りください。
私も写真展のために昨年からがんばって写真を撮りました!全くの素人ですが、なかなか良い写真が集まったと思います。普段なかなか行けない方も山、海、干潟のすばらしい自然を写真展で満喫してみてください!
↑とてもきれいな会場です。
会場にはアンケートを用意しておりますので、記入にご協力をお願いします。皆さまの感想はとても励みになりますし、この写真展をより良いものにしていくための参考とさせていただきます。
白山に登りたいけれど、雪の状況は?花は何が咲いている?トイレはある?などなど様々な疑問がありますよね。そんな時はぜひ市ノ瀬ビジターセンターを訪ねてください。
市ノ瀬ビジターセンターは石川県白山市の白峰集落と別当出合のちょうど中間地点に位置しています。
【展示コーナー】映像も見ることができます。
【休憩スペース】一息ついたり、本を読んだり、自由にお使い下さい。
1番見ていただきたいのがこちらの"白山のいま"コーナーです。
今年から始めた取り組みとして、白山国立公園パークボランティア(以下PV)で自然状況等調査を実施しています。白山へ行く頻度の多いPVさんに公園内の自然状況や施設状況を調査してもらい、集まった情報をこちらで発信しています。ありがたいことにたくさん情報が集まり載せきれないほどです・・。
現在綺麗な山頂部やお花の写真とともに残雪状況や花の開花情報を載せています。白山のいまがよくわかるので、山へ登られる前に一度立ち寄ってチェックしていって下さいね。また、知りたいことなどございましたらビジターセンター職員へおたずね下さい。気軽に市ノ瀬ビジターセンターを利用してくださいね。
パンフレットはこちらです↓
http://www.env.go.jp/park/hakusan/data/data/20130227aa.pdf