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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

歩くアルペンルートを歩こう!~立山の魅力~その4 室堂平

2022年02月16日
立山 一ノ枝亮輔

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の平松&一ノ枝です。

今回はシリーズ第4回目です。今回は室堂周辺について紹介していきます。

<↑今回の場所。出典:電子地理院地図を加工>

○過去の投稿はこちら

第1回目 歩くアルペンルートを歩こう!~立山の魅力~その1 立山駅から美女

第2回目 歩くアルペンルートを歩こう!~立山の魅力~その2 美女平から弥陀ヶ原

第3回目 歩くアルペンルートを歩こう!~立山の魅力~その3 弥陀ヶ原から室堂

立山室堂平は標高2450mで、アルペンルートで行くことができる最も標高の高い場所です。ここは比較的平坦で、周りを浄土山や雄山、別山、大日連峰などの山々が取り囲んでいます。立山信仰のため登山をしていた頃の遺跡や優れた自然景観もあって、立山観光の中心となっています。

室堂平のシンボルで、観光客も含めほとんどの人が訪れる場所が『ミクリガ池』です。ミクリガ池は約1万年前に水蒸気爆発できた火山湖で、周囲630m、水深15m程あります。

<ミクリガ池>

立山信仰に必ず出てくるのが「地獄谷」です。立山曼荼羅(たてやままんだら)にも大きく描かれており、立山信仰では、罪のある者はすべて立山地獄に堕ちると言われ、立山登拝をすることで救われると人々に勧めたのです。立山登拝の拠点となる宿坊を営んでいた衆徒(しゅと)たちは、立山曼荼羅を持ち歩き全国の大衆に絵解きをして、立山信仰を広めていきました。地獄谷には今で言う農家→「百姓地獄」、染め物屋→「紺屋地獄」、刃物屋→「鍛冶屋地獄」など、職業別に墜ちる地獄の名前が付けられています。
現在の地獄谷は火山ガスの濃度が高いため2012年から立入禁止としていますが、エンマ台付近から見る風景は地獄を思わせる物々しい雰囲気です。また、地獄谷近辺の山小屋には温泉もあり、雄大な山の中で温泉はまた格別なものがあります。

<エンマ台からの地獄谷>

<血の池。女性が墜ちるとされた池>

エンマ台付近にある建物は「火山ガス情報ステーション」です。近年の火山ガスの濃度が強いため、地獄谷周辺での安全確保のために設置されました。夏のシーズンは監視員も在駐しています。

<火山ガス情報ステーション>

日本最古の山小屋と言われているのが「立山室堂」です。「室」=宿泊所、「堂」=宗教施設 という意味があり、ここを拠点として立山登拝をしていました。国指定重要文化財として保存されている貴重な建物です。融雪後の時期には施設内も観覧できます。

<立山室堂。1980年代まで実際の山小屋として使用していた>

立山を開山した伝説が残る洞窟が「玉殿の岩屋」です。ここで佐伯有頼と阿弥陀如来が出会い、有頼が出家することを決めたとされています。

<玉殿の岩屋。中には石仏が安置されている>

室堂では、このような遺跡、施設や景観だけでなく、高山特有の様々な動植物も見られます。

中でもライチョウは立山を代表する生き物です。春から夏までは遊歩道沿いでもその姿をよく目にすることができます。

<4月14日撮影 全身が純白>

<5月5日撮影 はねが生え替わり始めています>

<6月3日撮影 はねが生え替わったオス>

<6月16日撮影 メス、オスとははねの色やもようが違います>

立山のライチョウはあまり人を恐れません。ただ、だからといってむやみに近づいたり、追い回したりするのは絶対にやめてください。皆さんだってストーカーは嫌ですよね。

高山植物もたくさん見られます。チングルマ、アオノツガザクラ、タテヤマリンドウ、ヨツバシオガマなど、7月初めから8月中頃にかけて、たくさんの花たちが皆さんを出迎えてくれますよ。

<チングルマ>

<アオノツガザクラ>

<タテヤマリンドウ>

<ヨツバシオガマ>

室堂周辺は遊歩道が整備されていて、気軽に散策することができます。室堂ターミナルからは、ミクリガ池まで10分弱、エンマ台までは15分ほど、別方向にある立山室堂までは約10分、その奥にある玉殿の岩屋までは立山室堂から10分ほどです。山の清澄な空気の下、ぜひぜひ散策を楽しんでください。

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