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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年10月 2日

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2020年10月02日名古屋自然保護官事務所による出前講座のご紹介!

国指定藤前干潟鳥獣保護区 名古屋 山﨑 陽子

皆さま、こんにちは。

アクティブレンジャーの山﨑です。

朝晩と随分涼しくなりましたね。また、日が暮れるのも早くなり、虫の声が聞こえ、季節の変化を感じます。

藤前干潟では、秋の渡り鳥が増えてきています。潮が引いたある日、イソシギが波打ち際で、ちょこちょこと歩き回り、エサを探していました。

 

<9月28日撮影、藤前干潟>          <イソシギ>

さて、今回は、名古屋自然保護官事務所の職員が実施している出前講座について、お話しします。

出前講座とは、職員が実際に、小学校、中学校、会社などに出向き、「藤前干潟」の普及啓発を目的に、藤前干潟の魅力や今起きている問題について、お話しさせてもらう講座です。

小学校などで行っているテーマは、「藤前干潟 生きものの魅力にせまる!」

  1. 1. 干潟ってどんなところ?

  2. 2. 藤前干潟の生きものたち

  3. 3. 藤前干潟が困っている?  です。

    <講座に持って行く準備物は結構たくさんあるのです(笑)>

1では、干潟とは、どういう所なのか、どうやって出来るのかなどの説明や、実際に干潟の泥を持っていき、触ってもらったり、においをかいでもらったり五感を使い観察をしてもらいます。

<実際に泥を触り、観察している様子>

2では、干潟に棲む生きもの、渡り鳥、それらの特徴や環境に合わせた進化の凄さについてなど、また、時には、生きものを持っていき、マイクロスコープでスクリーンに映し出したり、実際に観察をしてもらったりなどしています。

生きものなので、状況により毎回持っていくことは難しいのですが、実際に生きものを観察出来るのは、名古屋自然保護官事務所ならではのメリットだと思います。出前に出張した生きものたちは、もちろんその日のうちに、干潟へ返します。

 

<マイクロスコープとゴカイ>        <時には、実物大模型で説明します(2020年1月の講座)>

3では、藤前干潟が直面しているごみ問題についてのお話しです。約20年前の1999年に、名古屋市で「ごみ非常事態宣言」が出され、ごみ埋立て計画から藤前干潟が守られた経緯などについてお話しします。

<川や海などから流れ着くごみ、これは、最近の藤前干潟の写真です>

ここまで、説明をすると、ほとんどの子どもたちは、藤前干潟の重要性と自分たちで出来ることは何があるのかなど、いろいろと考えてくれます。

<子どもたちの感想>

・藤前干潟に行ってみたいと思った。

・神秘的な場所だと感じた。

・干潟は水をきれいにしてくれることが分かった。

・私たちの身近な場所であることが分かった。

・ごみはきちんと持ち帰るようにする。など、たくさんの感想をもらいます。

そして、1番の目玉は、「シジミの浄化実験」です。前日か前々日より藤前干潟でシジミを採取し、当日まで世話をして、出前講座に持って出かけます。そして、講座の最初の方で、シジミが入ったコップと入っていないコップに、干潟の泥で泥水を作り、同量を2つのコップに注ぎます。

 

<実際に子どもたちの目の前で作っている様子> <泥水をいれた直後の様子>

そして、講座を再開し、講座を聞きながら待つこと30分、忘れた頃に、シジミの浄化実験の結果発表です! シジミの入ったコップの方は、透明な水に変わっているのです。これには、先生方や子どもたちから驚きの声が上がります。実際に目の前で観察が出来るのはいいですね。

<20分~30分後のシジミ浄化実験の様子、シジミが入っている方の水はとてもきれいになっています>

このような出前講座を通して、藤前干潟のこと、生きもののこと、ごみ問題のことなどを知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけになればよいと思います。また、藤前干潟と自分たちの生活が川などを通じて繋がっていることも分かってもらえると嬉しいです。

□□□□□藤前干潟プチ情報□□□□□

よく川辺や田んぼなどで、見かける白い鳥、サギですが、サギと言ってもいろんな種類がいます。

藤前干潟で、よく見かけるのは、ダイサギ、コサギです。名前の通り、ダイサギは100cmほどに対し、コサギは60cmほどです。

 

<ダイサギ>                 <コサギ>

ダイサギ、コサギに対し、チュウサギもいます(笑)70cmほどです。藤前干潟ではあまり見かけません。

この他、アオサギ、クロサギ、ムラサキサギなど、良く似ていますが、色や大きさなどが少しずつ違うサギ類がいます。※クロサギ、ムラサキサギは、藤前ではほぼ見かけることはありません。

 

<クロサギ>                 <ムラサキサギ>

それぞれに特徴があり、見分け方が難しいものもいますが、興味がありましたら、ぜひ、身近に観察出来るの鳥なので、違いを確認してみて下さいね!

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環境省 稲永ビジターセンターと藤前活動センターの企画展開催中のご案内!

7月25日(土)~12月20日(日)企画展「干潟のちっちゃな生きものたち展」 稲永ビジターセンター

7月25日(土)~12月13日(日)企画展「干潟のベントス展」 藤前活動センター

入館無料です。両センターからの眺めも癒やされます。ぜひ、遊びに来て下さい。

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