アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
西穂高岳の荒々しい稜線を行く!
2020年08月19日こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
8月6日、西穂高岳(2909m)の巡視に行ってきましたのでご報告です。
先ずは先日の日記で紹介しましたリニューアルされた新穂高ロープウエイで西穂高登山口駅まで行きます。(http://chubu.env.go.jp/blog/2020/07/post-1030.html)
初日は登山道から90分ほど歩いた標高2367mに建つ西穂山荘泊まりです。
山荘支配人の粟澤さんに様々なお話をお伺いできました。
西穂山荘は標高2300mを超える厳しい自然条件にありながら通年営業で、登山基地としてはもちろん四季を通して北アルプスの自然を目の当たりにすることができる貴重な場所です。
また粟澤さんは気象予報士で、山の天気に関してとても有名です。
過去に起きた落雷事故からの教訓や山岳域での気象と自然について沢山教えて頂きました。
今期の山小屋営業ではコロナ対策が前提となりますが、西穂山荘でもしっかりと対策されていました。
密を避ける宿泊者の人数管理や検温と消毒の徹底、また食堂テーブルの個別間仕切りなど、山岳地帯にありながら街中のような対策がとられていました。
翌日は粟澤支配人の予報通り好天の中、西穂高岳を往復しました。
最初の樹林帯を抜け、丘のようなピーク丸山まで登ると朝の爽やかな空気の中、岐阜県側には笠ヶ岳から北アルプス奥部に続く山並み、長野県側には穂高の連峰、そして登山する両県境の稜線は前方に荒々しい西穂高岳稜線、後方には焼岳と乗鞍岳のまさに大パノラマを見ることができます。
<西穂山荘と焼岳 遠景は乗鞍岳>
西穂高岳までは、独標(11峰)から順に10峰、9峰、8峰(ピラミッドピーク)、7峰、6峰、5峰、4峰(チャンピオンピーク)、3峰、2峰、主峰西穂高岳と大小様々なピークが連なり、アップダウンが続き北アルプスの中でも岩場難度の高いルートです。
<アップダウンを繰り返す険しい登山道>
登りの岩場をなんとかクリアできても、同じルートを下山しなくてはなりません。
この連続する岩場の下りが最大の核心で、もし独標(11峰)の降りで不安を感じたら
その先には進まないようにと言われているようです。
登山道は7月の大雨被害は見当たりませんでしたが、今も続いている地震の影響は、崩落などいくつかの岩場に見られました。
幸い西穂山荘はじめ山岳関係者の方々の整備のおかげで登山に大きな支障はありませんが、登山前の情報収集をお願い致します
岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会
(https://www.kitaalpsgifu.jp/index.html)
久しぶりの好天にも恵まれ、安全に巡視することができました。
<西穂高岳山頂の風景 遠景は笠ヶ岳>
*======================*
中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。