皆さん、こんにちは。 白山自然保護官事務所の大石です。 梅雨の晴れ間はむし暑いですね。水分をこまめにとって、熱中症には気をつけましょう。 さて、今日は白山国立公園の山の1つ、法恩寺山(ほうおんじさん)をご紹介します。 法恩寺山は標高1356m。越前禅定道上にある山で、白山の歴史を感じられる山です。 ■ 白山の歴史と禅定道 霊峰白山は717年に泰澄大師が開山したとされ、古くから多くの人に登られている歴史ある信仰の山です。山頂は修行の到達点である「禅頂(ぜんちょう)・禅定(ぜんじょう)」と考えられ、山頂への道は修行の道「禅定道(ぜんじょうどう)」と呼ばれています。
(霊峰白山 6月4日撮影) 禅定道は越前(福井県)、加賀(石川県)、美濃(岐阜県)の三箇所からそれぞれ開かれ、それぞれの麓には馬場(ばんば)と呼ばれる登拝の拠点がありました。 前回のAR日記でご紹介した平泉寺白山神社は「越前馬場」で、ここから始まる禅定道は「越前禅定道」と呼ばれています。
では、法恩寺山登山に出かけましょう! 登山口は越前馬場、平泉寺白山神社の奥にあります。 平泉寺白山神社の拝殿などの更に奥へ参道進んで行くと三ノ宮があり、その左裏手に登山道の入口があります。 (左:三ノ宮とその左奥にある登り口を示す道標(赤矢印)、右:動物よけのゲート) 入口には動物よけのゲートが...。 出入りの際はしっかり閉めましょう♪ ゲートにある注意書きにお気づきだと思いますが、ツキノワグマも出没するので鈴などの対策はしっかりしておく必要がありますね。 ゲートからしばらくはスギ林です。 コアジサイの群落があったりして楽しいのですが、ほどなく修行の道らしい急な登りが始まります...。足腰が鍛えられそうです。
(修行の道)
登り続けた後は、幅が広くてなだらかな道になるので、うきうき♪と歩けます。 ただ、ちょっと距離が長いんです。 だから、木からぶら下がる幼虫をじろじろ見たり、チョウの写真を撮ったり、トンボに忍び寄ったり、楽しみながら進みましょう♪ (左:じろじろ見た幼虫、右:うまく忍び寄れたトンボ(ニホンカワトンボ)) そうこうしていると、林道にぶつかります。 (交差する林道)
最初の林道との交差地点を過ぎて、ほどなく現れるのは稚児堂。 ここには悲しい恋の伝説が残されています。 昔も幸せになれない恋愛ってあったのね...と思ったら、この伝説の二人が急に身近な存在に思えてしまいました...。 こういう伝説があるのは、歴史ある地域ならではですね。
(左:稚児堂の案内板、右:稚児堂の石仏) この他にも、法恩寺山のルート上には剣ノ宮や法音寺跡など、白山信仰に関係のある場所があります。 何度か林道を通過すると、お昼ご飯を食べるのに丁度良い東屋が現れ、そのすぐ後に中ノ平避難小屋に到着し、さらに進むとブナが目に付く楽しい道になります。
(楽しいブナの道)
しかし、すぐに急坂(階段)が出現します。 修行の道、再び。 日が高くなってからの登りは体に堪えます。 飲み物がどんどん減ります。
きつい登りを頑張って、ついに山頂です! 頑張って登りきった人にはこんな景色が待っています!
(山頂から見える景色。左奥が白山、右奥が別山。) 山頂には展望台やベンチなどがあります。展望台は一段高くなっているので、白山がよく見えます♪
それにしても、昔の人の体力はすごいですね。 法恩寺山の山頂から見ると遠くに見える白山へ歩いて行っていたんですから。車で登山口まで行ける今って、とても便利ですね。
車で行けると言えば、実は法恩寺山は標高1000m付近(避難小屋がある付近)まで林道がついていて、そこから登ることもできるんです。(※法恩寺山有料道路を通る場合は通行料が必要です。) 自分の体力に合わせて登山計画を立ててくださいね。
(水色の下線箇所が今回登った山) |