アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
乗鞍岳のライチョウ
2020年06月30日中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
「乗鞍岳と中央アルプスでのライチョウ事業」で紹介させていただきました、乗鞍岳での事業が本格始動しています。
乗鞍岳のライチョウは、産卵から抱卵の時期に移ってきました。
事業は巣探しを経て、中央アルプスに移植するライチョウ3家族20羽程度(1家族あたりメス親1羽とその雛6羽程度)を選定・検討しています。
ライチョウの生息情報は、足輪を付けることで明らかになりました。
足輪は、ライチョウの捕獲許可を得た研究者により取り付けられ管理されています。
足輪の色の組み合わせで個体を識別できるようになっており、過去の採卵記録と照合することにより今回の事業で遺伝子の多様性にも配慮することが可能です。
足輪があることによって、ライチョウのなわばりについても研究されています。
過去、信州大学が実施した調査結果から、なわばり図を基に植生図になわばりを書き込んだ図がこちらです。
(植生図は、環境省生物多様性センターのWeb-GISを基に表示。)
信州大学の調査では、この範囲に90近くのなわばりが形成されていたことが確認されています。
ライチョウが暮らせる高山低木群落(ハイマツ等の植生)の多くの範囲が、なわばりに使われていることが分かります。
乗鞍地域が一体となり自然保護活動に取り組んできたことで、乗鞍岳でライチョウが安定して生息できる自然環境を保てています。
これからも、ライチョウが棲み続けられる乗鞍岳を未来に繋ぎたいですね。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内トピックス、ライチョウ保護増殖事業等についてに掲載しています。
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