アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
乗鞍岳と中央アルプスでのライチョウ事業
2020年06月12日中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
環境省では令和2年度ライチョウ保護増殖事業により、動物園で飼育されている日本のライチョウの有精卵を中央アルプスのメス個体の無精卵と差し替えて野生復帰させることと、乗鞍岳から3家族20羽程度(1家族あたりメス親1羽とその雛6羽程度)を中央アルプスに移植することを予定しています。
今回は、乗鞍岳から中央アルプスへの移植について書いてみたいと思います!
ライチョウは、6月頃に産卵し6月末~7月上旬に孵化します。
生まれたばかりの雛は体温調節ができないため、梅雨の悪天候に合ってしまうと死んでしまうことが多いです。
また、孵化直後の雛は飛ぶことができず、捕食者から逃げることもままなりません!
(Kobayashi and Nakamura 2013一部改変)
孵化後の約1ヶ月は生存率が特に低く多くの年で半数以上の雛が孵化してから1か月間で死んでしまっているのがわかりますね。
逆に雛が独立する盛夏以降は、安定しています。
今年度予定している移植事業では、夜間や悪天候時でも体温調節や捕食者から身を守ることができるように、乗鞍岳で産まれた雛とメス親をケージで3週間ほど保護する予定です。
このケージ保護は、南アルプス北岳周辺でも大きな効果を上げることができました。
(南アルプスでケージ保護を行った際の様子)
(令和元年度保護増殖事業検討会資料一部改変)
ケージにより雛を保護することで生存率を向上させ、乗鞍岳のライチョウ個体群になるべく負荷をかけないように移植をすることができるためです。
移植先の中央アルプスでもケージ保護を行い、現地の環境に慣らした後に放鳥する予定です。
現地の情報も随時アクティブ・レンジャー日記にUPさせていただければと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内に掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
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