アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
美濃禅定道登山情報
2018年07月27日皆様
白峰でも暑い日が続いています。
先日の7月22日(日)に第27回石徹白白山道清掃登山を行いました。
この清掃登山は、石徹白地区及び石徹白公民館が主催となり、美濃禅定道の清掃及び外来植物の一斉除去しようというものです。石徹白では古くから地域の行事の1つとして美濃禅定道の維持管理をしてきました。美濃禅定道には泰澄大師にまつわる伝承が今も数多く残っており、その作業を通して白山にまつわる伝承や地域の歴史などを語り継いできた背景があります。
今回の日記ではそんな伝説が残る登山道の見所と外来植物除去活動についてお伝えします。
美濃禅定道は泰澄が修行のために登った道ですが、修行に行く泰澄を心配のあまり後から追いかけた泰澄の母親にまつわる伝説も残っています。
登山口から石段をしばらく登っていくと最初の見所である【石徹白大杉】が見えてきます。
この木は国の特別天然記念物に指定されていて、泰澄が白山を開山した際、使用していた杖がこの大杉になったという伝説があります。樹高24m、幹囲目通り14m、樹齢は1,800余年と推定されています。
また、写真はありませんが、【おたけり坂】は泰澄大師の母親にまつわる伝説が残っています。
昔の白山は女性禁制であり、どんな理由があろうと女性が山を登ることは許されないことでした。山に登った泰澄の母がこの坂で神からの叱りを受けたと伝わっています。
そして【雨宿りの岩屋】は岩は突然の悪天候に見舞われた泰澄の母親が雨宿りをしたという伝説が残る場所です。
そこからしばらく歩くと【神鳩避難小屋】に到着です。
今回は神鳩避難小屋から2班に分かれての作業となりました。
神鳩避難小屋から少し登り、銚子ヶ峰のあたりでの作業班、神鳩避難小屋周辺での除去作業班です。
僕は銚子ヶ峰までいきました。
除去の対象となった外来植物はオオバコ、シロツメクサ、エゾノギシギシ、スズメノカタビラです。
白山の外来植物についてはこちらの記事白山の自然を守る「生態系維持回復事業」とは? その1
をご覧ください。
今回使用した道具について説明します。
この先が二股で柄の青い道具は根切りと呼ばれています。
主にオオバコの除去に使います。
先端をオオバコの根の付け根に差し込んで成長点と呼ばれる部位を切断し、根からの再生を防ぎます。成長点から上の部分を切断しても直ぐに再生してしまうのでこのような方法を取っています。
「根の再生を防ぎたいなら、根っこごと引き抜いた方が確実なのでは?」と思う方もいるかと思いますが、根切りにはそれ以外にも役割があります。
もしオオバコを根ごと引き抜いてしまった場合、周辺にオオバコと一緒に掘り起こされた土壌が散乱してしまいます。そして雨の際にそこから土壌が流出してしまうのです。
長い目で見ると登山道の崩壊に繋がる事もあります。
それを防止するための根切りなのです。
小屋からしばらく登ると大きな岩が見えてきました。
【母御石】
この岩にも泰澄大師の母親の伝承があります。
叱っても山を下りない母親に神様が怒り、泰澄の母を石に変えてしまったというものです。
とても存在感があり遠目から見ても気になってしまいます。
母御石から先はさわやかな尾根が続いていてとても気持ちが良いです。
花はあまりないですが、シモツケソウなど派手な植物を見ることが出来ました。
日を遮る物が無いので、登る際は直射日光に気をつけてしっかり水分補給をして下さい。
銚子ヶ峰山頂には山の名前が記された方位盤が設置してありました。
どの方角をむいても壮大な景色が広がっています。
銚子ヶ峰山頂からの眺望は壮大で、一ノ峰から別山まで綺麗に見えました。
肝心の外来植物は毎年の除去の成果もあってか、ほとんど見かけず数個体のみの除去となりました。
今後も続けていくことでさらなる効果が期待できそうです。
最後は登山口の東屋でオオバコ茶をいただきました!
一般の参加者も数多く来ていてとてもにぎやかなイベントでした!
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【白山登山バスについて】
台風12号の接近に伴い、28日~30日にかけて白山登山バスの一部運休または全休運休となります。
詳しくは石川県自然保護センターHPhttp://www.pref.ishikawa.lg.jp/hakusan/tozaninf/attention.html
をご確認ください。
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