皆さん、こんにちは。 桜の開花予想がニュースで聞かれるようになって、いよいよ春ですね。白山自然保護官事務所がある石川県白山市白峰でも、多いときには3mほどあった雪がだいぶ減りました。事務所のまわりもこの通り!屋根雪はなくなり、街路樹の根元の土も見えるようになりました! (事務所のまわりの様子 3月15日撮影) ところで、先週3月6日に、白山国立公園生態系維持回復事業の検討会が開催されました。(漢字ばかりの名称の事業ですね・・・) (検討会の様子) 実はこの事業、白山の自然の将来を考える上でとても大事なものなんです。 そこで今回は、白山国立公園で実施されている「白山国立公園生態系維持回復事業」についてご紹介したいと思います。 が、その前に、そもそも生態系維持回復事業って一体何なのでしょうか? ■ 生態系維持回復事業って何? 少しかみ砕いて説明をすると、自然公園(国立公園や国定公園など)の自然景観を保護するために、生態系を維持し回復させるための取り組みを行うための事業です。 もう少し詳しく説明してみますね。 最近、シカなど特定の生きものが増えすぎたり、もともとその地域にいなかった生きもの(外来種)が侵入したりして、ほかの生きものの生息・生育環境が奪われ、もともといた生きもの(在来種)が姿を消すなど、自然景観や生態系そのものに大きな影響を与えるような事態が発生しています。
(日本の多くの地域で数が増えて問題になってしまったシカ) このようなとき、問題になっている生きものを減らしさえすれば元の自然に戻るかと言うと、そう単純ではないということが様々な地域の取り組みからわかってきました。つまり、問題となっている生きものだけでなく、生きもの同士の関係や生態系の仕組みにも注目した対策が必要なことが明らかになってきたのです。 食う-食われるの関係や、植物と土壌等環境との関係など、生態系には複雑で様々な関係が存在しています。このため、生きものが原因の問題を考えるときには、原因の生きものだけを見ていては、その生きものに関係するほかの生きものや環境の変化を見落としてしまう恐れがあります。
(白山国立公園南部の山々。白山にも複雑な生態系があります)
そこで考えられたのが「生態系維持回復事業」です。 この事業では、生態系全体に注目して調査や対策を実施していくのが特徴です。 問題となっている生きもの(シカや外来種)の調査や数を減らすなどの対策だけでなく、生態系全体を見渡した調査や対策など総合的な取り組みも行います。さらに、この取り組みは、モニタリング(定期的に実施する現状調査)を行って、効果の検証や対策の見直しを重ねながら進めていくという特徴があります。 国立公園のホームページには、とってもわかりやすい説明が載っていますので、こちらも是非お読みくださいませ。 (国立公園ホームページ 生態系維持回復事業についてのページはコチラ) ■白山国立公園での生態系維持回復事業ってどんなもの? ここからは、白山国立公園で実施されている生態系維持回復事業がどんなものかをご紹介していきます。 白山国立公園では、近年の登山者の増加等に伴って、もともと白山には生育していなかった外来種の植物(外来植物)の分布が拡大しています。
(白山国立公園内に侵入している外来植物のオオキンケイギク) その結果、もともと白山に生育していた植物(在来植物)と外来植物の間で雑種ができてしまったり、外来植物が生い茂って在来植物の生育場所を奪ってしまったり、生態系への影響が懸念されるようになりました。 そこで、外来植物を除去したり、侵入や拡大を防いだりすることで、白山の原生的な生態系を維持し、回復させようという取り組みを実施しています。 少し長くなってきましたね。 今日はここまでにして、改めて白山国立公園での生態系維持回復事業の具体的な取り組みを紹介したいと思います。
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