2017年10月25日
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2017年10月25日雪化粧
中部山岳国立公園 上高地 関根陽太
こんにちは。
各地から冠雪の便りが届くようになりましたが、
上高地から見える穂高連峰も冠雪しています。
上高地は今朝から雨でしたが、
雨上がりの夕方に雪をまとった穂高連峰が顔を出しました。
カラマツの黄葉と山の雪、
素晴らしい季節です。
11月15日に閉山式を迎え、バスやタクシーの今年の運行は終了となります。
まだ間に合います!
季節の移り変わりを体感しにいらしてください。
河童橋と穂高連峰
2017年10月25日台風の爪痕・・・戸隠編
妙高戸隠連山国立公園 戸隠 アクティブレンジャー 前田久美子
10月24日(火)、台風一過で久々の晴れの戸隠♪
23日の夜とても寒かったせいか紅葉も色が鮮やかになった印象です。
そして戸隠山や高妻山の頭には雪が・・・(今シーズン2度目!!)
そして何より何より悲しい事が・・・なんと戸隠神社の奥社参道沿いの大きな杉が、強風で折れてしまったのです!
戸隠のシンボルである奥社参道の杉並木・・・オーバーユースにより杉が弱ってきており、どう保全していくか話し合い始めていた矢先の出来事です。
参拝のお客様が安全に通れるように、さっそく撤去作業開始!
ものの15分もしないうちに片付いてしまいました!すごい!
倒れた杉の中を見てみると・・・空洞になって腐っています。
なるほど・・・倒れやすくなっていたんですね・・・。
倒れたことにより、至急対策が必要であると、関係者で再認識できました。
まずは調査を行い、戸隠神社を中心に杉並木維持のための対策を行っていきます。
みなさん、こんにちは。
白山では冠雪の便りが届き、白山自然保護官事務所もストーブのお世話になる季節がやってきました。
さて、いつもは山の様子をお伝えしていますが、今回は海の様子をお伝えしたいと思います。
はじめに、皆さんは「国指定鳥獣保護区」ってご存知ですか?
読んで字のごとく、鳥や獣など生き物を保護するために国によって指定された場所のことで、全国に85箇所あります(平成28年11月時点)。
「アクティブ・レンジャー日記 中部地区」では、西部ARと吉塚ARが担当・更新している藤前干潟(名古屋市)も国指定鳥獣保護区なので「よく知ってるよ」という方も多いかもしれませんね。
実は国指定鳥獣保護区は白山の周りにもあるんです。
その一つに「七ツ島国指定鳥獣保護区」があります。先日、ここでの保全事業に同行したので紹介したいと思います。
七ツ島は石川県の能登半島、輪島の沖合約25kmにある大小7つの小島・岩礁群で、いずれも無人島です。
(水平線に浮かぶ七ツ島の島影。輪島から撮影)
そして、ここはオオミズナギドリやウミネコなど、海鳥の重要な生息地・繁殖地となっています。
ところで、オオミズナギドリってどんな鳥なんでしょうか。
図鑑によると下記のように書かれています。
―― オオミズナギドリ(大水薙鳥) ――――――――――――――――――――――――
学名:Calonectris leucomelas
全長:約50cm
生態:夏鳥として渡来し、おもに日本近海の無人島で繁殖。フィリピンやオーストラリア北部海域で越冬。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
大きさはカラスくらいで、長距離を移動するタフな鳥ということですね。
また、飛び立つのが苦手とされ、斜面などを駆けおりて勢いをつけて飛び立ちます。木に登ってそこから飛び立つ姿は、テレビなどで見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今回、私がオオミズナギドリと接触できた時間はごく短いものでしたが、私なりに感じた彼らの特徴をちょっとご紹介します。(ただし個人の感想です!)
1.食べ物は魚やイカ
島を歩いているとき、オオミズナギドリが落としてしまった(吐いてしまった?)魚などの残骸を時々目にしました。肉厚で、高級感ある白身だったので、ちょっと美味しそうと思ってしまうくらいでした。豊かな海の恵みを食べているようです。
2.頭を隠すと安心する
巣は地面に穴を掘って作り、その中でヒナは育てられます。調査中、巣穴からはみ出したヒナを発見しました。本来は、深い巣穴の奥にいるはずなのでしょうけれど、この子は何らかの理由で深い場所にいられなかったようです。しかし、頭以外は丸見えなのに落ち着いていました。頭が隠れていることは重要なようです。
3.かわいい顔をして、恐ろしいくちばしを持っている
黒くてつぶらな目が印象的でとってもかわいい!しかし、活きのいい魚やイカをがっしり捕まえるだけあって、くちばしはとても頑丈そうで力強さが感じられます。咬まれれば(はさまれれば)きっと流血します。
(巣穴からはみ出したヒナ。首の周りの灰色のフワフワした羽毛がヒナの証。くちばしは強そう!)
4. とにかく着陸が下手
夕方、オオミズナギドリは海から島に戻ってきます。あまり減速せずに突っ込むし、障害物を避けるのも上手じゃないようで見ていて冷や冷や。

この様子はまるで「空からの墜落」。
しかも大群で帰ってくるので空は大混雑!鳥同士が接触する「パシンッ!!」という音が時々聞こえましたし、私も頭をかすめられ、髪にオオミズナギドリが触れるのを感じました・・・。着地に失敗して命を落とす個体もあるそうです。ただ、海を飛翔する姿はとても優雅で美しいと聞いています!
こんなオオミズナギドリが繁殖する七ツ島ですが、海鳥の楽園なのかと思いきや、実は問題を抱えています。
七ツ島の一つ、大島では、約30年前に持ち込まれたたった2つがいのアナウサギが大繁殖してしまいました。その結果、植物がウサギに食べられて植生が荒廃し、裸地化した(植物が失われ土がむき出しになった)ところから土壌が流出して、オオミズナギドリの巣を壊してしまうなど、繁殖に大きな影響を与えるようになってしまいました。
そこで、平成12年からアナウサギを捕獲するとともに、平成25年からは植生復元(植生を回復させるための)事業が行われています。
(土壌流出を防止し、植生回復を促すために設置されたネット)
最近はアナウサギがほぼいなくなり、ネットの設置によって土壌の流出が抑えられれば短期間で植生が回復するようになっています!
年数回、トイレもお風呂もない無人島に寝泊まりしながら、空から降ってくる海鳥の落とし物にくじけず、照りつける太陽の下、ダニが潜み鳥のフンが舞い散る人の背丈を超える草むらの中で(または寒風厳しい中で)、ウサギ対策や植生復元など様々な保全事業が行われています。
その土地にいない生き物(外来生物)を一度持ち込んでしまうと、想像もしなかったような大きな環境変化が起きてしまったり、その土地にもともといた生き物に深刻な影響を与えてしまうことがあります。さらに、変化してしまった環境を元に戻すのには大変な労力と時間がかかりますし、場合によっては元に戻すのが難しいこともあります。
(七ツ島の夕暮れ)
七ツ島の外来生物について皆さんが直接関わることはないかもしれませんが、よそからやってくる生き物(外来生物)が地域の自然に大きな影響を与えることを心の片隅においていただければ幸いです。
** 【白山とその周辺の国指定鳥獣保護区】 ****************
白山とその周辺には3つの国指定鳥獣保護区があります。
■ 大規模な野生生物の生息地である「白山(石川県・岐阜県)」
■ 野鳥が集団で渡ってくる「片野鴨池(石川県)」
■ 海鳥が集団で繁殖する「七ツ島(石川県輪島市)」
※七ツ島へは許可なく上陸することができませんのでご注意ください。
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